捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅

文字の大きさ
9 / 57

9 森を抜けて

しおりを挟む
 僕はアーサーを懐に入れるとシヴァの背中に乗った。しかしシヴァが大きすぎて足でシヴァの胴体を挟む事が出来ない。

「シヴァ。もう少し小さくなれない? これじゃ落っこちちゃいそうだよ」

「仕方がない。このくらいならどうだ?」

 しゅるるっとシヴァが小さくなる。これなら丁度いい感じだ。

 毛を引っ張るのも申し訳ないので首にしがみついた。

 モフモフが気持ちいい!

 この体制で走られたら気持ち良くて寝ちゃうかも。

 僕がしがみついたのを確認するとシヴァは走り出した。

 ちょっと、待って!

 まだここは木の中だよね。

 すると、スッと何かをすり抜けたような感覚がした途端、森の中に出ていた。

 シヴァが一緒だと木をすり抜けられるみたいだな。

 そのままシヴァは森の中を走り出す。

 乗馬なんてしたことは無いけど、こんなに気分爽快になるんだろうか。

 シヴァは器用に木の間をすり抜けながら、猛スピードで森の中を駆けていく。

 僕達がキャンプをしていた場所を抜け、孤児院があった街とは反対の方向に駆けていく。

 孤児院があった街は隣国に近い街で公爵家がある王都とはかなり離れているそうだ。

 やがて森を抜けると街道に出た。暫く歩くと街があるらしい。

 シヴァはまた少し小さくなって、僕が連れていても不自然でない大きさになる。

「ジェレミー。次の街で私を従魔登録してくれ。それから今日は宿屋に泊まろう。キャンプよりはベッドに寝たいだろう」

「宿屋って、僕はお金なんて持ってないよ」

 孤児院の火事の後、僕を泊めてくれた老夫婦に服は貰ったけどお金は持っていない。

「仕方ない。ちょっと魔獣を狩って来るか」

 シヴァがまた森の中へと戻る。

 やる気満々なのはいいけど、下手したら凄い魔獣を仕留めてきそうだな。

「シヴァ。魔獣を狩るのはいいけどあまり強い魔獣は駄目だよ」

 僕が釘を刺すとシヴァはちょっとがっかりした顔をしたが、僕の言いたい事は伝わったようだ。

 それでもホーンラビットを5匹も仕留めて来るのはどうかと思うけどね。

 解体をしようにも僕にはやり方がわからない。オロオロしているとシヴァが自分の亜空間エリアにホーンラビットを放り込んだ。

「このまま冒険者ギルドに持って行けばいい。丸ごと買い取ってくれるさ」
 
 シヴァに言われて再び街へと歩き出した。

 シヴァも体が小さくなって歩き辛いようだ。

 体が小さいと歩幅も小さくなるからね。さっきまでのスピードを考えるとまだるっこしいよね。

 街の門番に冒険者証を見せる。

「ジェレミー君か。そっちの従魔は登録証は無いのか?」

「そこの森で拾ったんです。登録をしたいので冒険者ギルドに行きたいんですけど、何処にありますか?」 

 門番に冒険者ギルドの場所を教えて貰って街の中を歩く。

 孤児院があった街と同じくらいの街並みが続いている。

 冒険者ギルドはすぐに見つかった。

 受付に行くと書類に記入を求められた。

 契約者の名前と従魔の名前と種類を記入するようになっている。

 名前はいいけど従魔の種類って何だ?

「…シヴァって何? 犬? 狼?」

 僕の懐の中でアーサーが体を震わせている。おそらく笑っているんだろう。何が可笑しいのやら。

 幸い受付のお姉さんは他の人の対応で側には居ないけど、側にいたら怪訝な顔をされるところだ。

「シルバーウルフでいいよ。本当の事を書くと大騒ぎになるからな」

 大騒ぎになるような従魔ってなんだろう?

 今考えても仕方がないので、僕はシヴァに言われたとおり「シルバーウルフ」と記入した。

 お姉さんは書類を受け取ると、シヴァに付ける登録証を選ぶように言った。

「こちらは全て魔道具ですから、従魔の大きさによってサイズが変わりますよ」

 お姉さんが出してくれた登録証には首輪やリングやペンダントなどがあった。

 首輪は何だか締め付けるみたいで嫌だな。

 僕は金色に輝くペンダントを手に取った。

「これがいいな」 

 お姉さんは僕からペンダントを受け取ると、そのペンダントトップにシヴァの名前を刻んでくれた。

 それをシヴァの首にかける。

「カッコいいよ。シヴァ」

 シヴァが得意そうにしっぽを振る。

 それから買取コーナーに向かい、いかにも僕が出している風を装って、シヴァの亜空間エリアからホーンラビットを取り出して買い取って貰った。

 これで暫くは宿に泊まる事が出来るだろう。

 また受付に戻っておすすめの食事処と宿を教えて貰った。

 従魔連れのテイマー専用の宿があるそうだ。

 冒険者ギルドから近い所に宿屋はあった。

 ここは食事処も兼ねているようだ。

 とりあえず一泊の宿を取り、食堂へと向かった。

 僕とシヴァの食事を注文して食べ始める。

 おすすめだけあってなかなか美味しい。

 ってか、あの孤児院がどれだけ酷かったかって事だろうね。

 食事を終えて用意された部屋へと入るとベッドにダイブした。

 ベッドに寝るなんて、この世界に転生して初めてだな。孤児院では床に薄い布団を敷き詰めて雑魚寝をしていたからね。いや、孤児院に捨てられる前はベッドに寝ていたかもしれないけど、覚えてないしね。

 シヴァとアーサーが何か言っているけど、僕の瞼は既に限界だった。

 ……おやすみ。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

神々に見捨てられし者、自力で最強へ

九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。 「天職なし。最高じゃないか」 しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。 天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...