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11 二人組
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宿屋に着いて部屋を取ると食堂に向かった。
シヴァと一緒に夕食を取っていると、ニヤニヤと下卑た笑いを浮かべながら二人連れの男がこちらに近付いて来た。
「よお、坊や。一人かい? 物騒だからおじさん達が一緒について行ってやろうか?」
そんな事を言いながら近付いて来る自分達の方がよっぽど物騒だと思うんだけどね。まるで自覚していないみたいだな。
何処の世界にでもこんな連中がいるんだな。
「ご親切にありがとう。だけどシヴァが一緒だから大丈夫だよ」
にっこり笑って断ると尚も二人は食い下がってこようとするが、テーブルの下で食事をしていたシヴァが唸り声を上げると、そそくさと逃げていった。
逃げながらもなおも僕に嫌な視線を向けてくる。往生際の悪い連中だが、無視して放っておけばいいだろう。
食事を終えて部屋に戻ると今日もベッドに直行だ。ドサッとベッドにうつ伏せにダイブすると、懐からアーサーが這い出て来た。
「ジェレミー。寝るんなら先に風呂に入って来い!」
お風呂?
そう言えば昨日も入らずに寝ちゃったんだっけ。
「入りたいけど、もう動きたくない」
シヴァの背中に乗っているだけだったけど、それでも結構体力を使うんだよね。だけど何だかやけに眠いな。
「仕方がない。私がクリーン魔法をかけよう」
ベッドに飛び乗ってきたシヴァが前足でちょんと僕に触れた。
僕の全身を何かが包むとすぐに離れて行った。
「うわぁ! 凄い! さっぱりしたよ」
さっきまでベタついてた感触が綺麗サッパリ流れていった。
シヴァは自分自身にもクリーン魔法をかけたみたいだ。毛並みが先程と比べてツヤツヤしている。
「…クリーン魔法も使えないのか。やはりさっさと公爵家に帰る必要があるな」
シヴァの言葉にアーサーが「うんうん」と頷く様に体を揺らしている。
体がさっぱりしたせいか、ますます眠気が襲ってくる。そのまま僕は眠ってしまったようだ。
ふと、寝返りをうとうとして身動きが取れない事に気が付いた。
もしかして縛られてる?
「おっと! 目が覚めちまったか! あのまま寝ておけば良かったのに…」
この声はさっき食堂で声をかけてきた男だ。
「お前達! 何故こんな… モガッ!」
言い終わる前に口を塞がれて猿轡を噛まされる。
シヴァは?
アーサーは?
キョロキョロと辺りを見回すと、男が可笑しそうに笑った。
「あの番犬ならそこでおねんねしているよ。残念だったな。さぁ、一緒に来て貰おうか」
そう言って僕を担ぎ上げようとしたその時、部屋の扉が開いてドサドサッと人がなだれ込んてきた。
「そこまでだ! 二人共大人しく観念しろ!」
数名の騎士が抵抗する二人を取り押さえる。
「な、何だ! どうして騎士がこんな所に…」
逃げる間もなく二人は騎士に拘束される。その際縛られた僕はどさくさに紛れて床に放り出された。
「イタッ!」
騎士の一人が僕を助け起こして猿轡と拘束を解いてくれた。
「大丈夫? 怪我はないかい?」
猿轡が外れてようやく大きく息を吸うことが出来た。
「あ、ありがとうございます。助かりました」
腕に付いた縛られた跡をさすっているとシヴァがすり寄ってきた。
「シヴァ! 無事だったのか?」
「クゥーン」
僕の拘束を解いてくれた騎士がシヴァの頭を撫でながら告げた。
「君の犬は賢いね。騎士の詰め所に飛び込んで来て私を引っ張るんだよ。後を付いて行くと手配書の二人組がちょうど君の部屋に忍び込む所でね。慌てて応援を呼んだって訳さ。怖い思いをさせて済まなかったね」
多分シヴァだけでも二人組を撃退する事は出来たと思う。だけどその場合、騎士達に説明するのに色々と面倒が起こるからわざわざ騎士達を呼びに行ったのだろう。
二人組はやがて騎士達に護送されていった。
その時の騎士達の会話は僕には聞こえなかった。
「あの二人は火事にあった孤児院から子供を連れ去ったんだろう。まだ見つかっていないらしいな」
騎士達が引き上げてようやく部屋に静けさが戻った。
僕はホッとしてベッドに横になる。すかさずシヴァが横にすり寄ってきた。
「ジェレミー、危険な目に合わせて済まなかったな。私が捕まえても良かったんだが、そうすると後々面倒な事になるからな」
「そうそう。公爵家に戻るまでは目立った行動は避けた方が無難だからな」
そう言って僕の目の前に浮かび上がったのはアーサーだった。
「アーサー、いたのか。僕がピンチの時何をやってたんだよ」
僕が文句を言うとアーサーは僕をパシッと叩いた。
「仕方がないだろう。私の声はお前にしか聞こえないし、お前はまだ魔法も使いこなせないし…。大体普通の人間には私は只の薄汚れたペーパーナイフにしか見えないからな」
「アーサーは放っておいてさっさと休め。明日は王都に行くからな」
シヴァにくるまって僕は今度こそ深い眠りについた。
シヴァと一緒に夕食を取っていると、ニヤニヤと下卑た笑いを浮かべながら二人連れの男がこちらに近付いて来た。
「よお、坊や。一人かい? 物騒だからおじさん達が一緒について行ってやろうか?」
そんな事を言いながら近付いて来る自分達の方がよっぽど物騒だと思うんだけどね。まるで自覚していないみたいだな。
何処の世界にでもこんな連中がいるんだな。
「ご親切にありがとう。だけどシヴァが一緒だから大丈夫だよ」
にっこり笑って断ると尚も二人は食い下がってこようとするが、テーブルの下で食事をしていたシヴァが唸り声を上げると、そそくさと逃げていった。
逃げながらもなおも僕に嫌な視線を向けてくる。往生際の悪い連中だが、無視して放っておけばいいだろう。
食事を終えて部屋に戻ると今日もベッドに直行だ。ドサッとベッドにうつ伏せにダイブすると、懐からアーサーが這い出て来た。
「ジェレミー。寝るんなら先に風呂に入って来い!」
お風呂?
そう言えば昨日も入らずに寝ちゃったんだっけ。
「入りたいけど、もう動きたくない」
シヴァの背中に乗っているだけだったけど、それでも結構体力を使うんだよね。だけど何だかやけに眠いな。
「仕方がない。私がクリーン魔法をかけよう」
ベッドに飛び乗ってきたシヴァが前足でちょんと僕に触れた。
僕の全身を何かが包むとすぐに離れて行った。
「うわぁ! 凄い! さっぱりしたよ」
さっきまでベタついてた感触が綺麗サッパリ流れていった。
シヴァは自分自身にもクリーン魔法をかけたみたいだ。毛並みが先程と比べてツヤツヤしている。
「…クリーン魔法も使えないのか。やはりさっさと公爵家に帰る必要があるな」
シヴァの言葉にアーサーが「うんうん」と頷く様に体を揺らしている。
体がさっぱりしたせいか、ますます眠気が襲ってくる。そのまま僕は眠ってしまったようだ。
ふと、寝返りをうとうとして身動きが取れない事に気が付いた。
もしかして縛られてる?
「おっと! 目が覚めちまったか! あのまま寝ておけば良かったのに…」
この声はさっき食堂で声をかけてきた男だ。
「お前達! 何故こんな… モガッ!」
言い終わる前に口を塞がれて猿轡を噛まされる。
シヴァは?
アーサーは?
キョロキョロと辺りを見回すと、男が可笑しそうに笑った。
「あの番犬ならそこでおねんねしているよ。残念だったな。さぁ、一緒に来て貰おうか」
そう言って僕を担ぎ上げようとしたその時、部屋の扉が開いてドサドサッと人がなだれ込んてきた。
「そこまでだ! 二人共大人しく観念しろ!」
数名の騎士が抵抗する二人を取り押さえる。
「な、何だ! どうして騎士がこんな所に…」
逃げる間もなく二人は騎士に拘束される。その際縛られた僕はどさくさに紛れて床に放り出された。
「イタッ!」
騎士の一人が僕を助け起こして猿轡と拘束を解いてくれた。
「大丈夫? 怪我はないかい?」
猿轡が外れてようやく大きく息を吸うことが出来た。
「あ、ありがとうございます。助かりました」
腕に付いた縛られた跡をさすっているとシヴァがすり寄ってきた。
「シヴァ! 無事だったのか?」
「クゥーン」
僕の拘束を解いてくれた騎士がシヴァの頭を撫でながら告げた。
「君の犬は賢いね。騎士の詰め所に飛び込んで来て私を引っ張るんだよ。後を付いて行くと手配書の二人組がちょうど君の部屋に忍び込む所でね。慌てて応援を呼んだって訳さ。怖い思いをさせて済まなかったね」
多分シヴァだけでも二人組を撃退する事は出来たと思う。だけどその場合、騎士達に説明するのに色々と面倒が起こるからわざわざ騎士達を呼びに行ったのだろう。
二人組はやがて騎士達に護送されていった。
その時の騎士達の会話は僕には聞こえなかった。
「あの二人は火事にあった孤児院から子供を連れ去ったんだろう。まだ見つかっていないらしいな」
騎士達が引き上げてようやく部屋に静けさが戻った。
僕はホッとしてベッドに横になる。すかさずシヴァが横にすり寄ってきた。
「ジェレミー、危険な目に合わせて済まなかったな。私が捕まえても良かったんだが、そうすると後々面倒な事になるからな」
「そうそう。公爵家に戻るまでは目立った行動は避けた方が無難だからな」
そう言って僕の目の前に浮かび上がったのはアーサーだった。
「アーサー、いたのか。僕がピンチの時何をやってたんだよ」
僕が文句を言うとアーサーは僕をパシッと叩いた。
「仕方がないだろう。私の声はお前にしか聞こえないし、お前はまだ魔法も使いこなせないし…。大体普通の人間には私は只の薄汚れたペーパーナイフにしか見えないからな」
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シヴァにくるまって僕は今度こそ深い眠りについた。
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