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11 森での魔法の練習
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今日はリーズと一緒に森に連れて行って貰う事になった。
パメラにお弁当を用意して貰ってちょっとしたピクニック気分だ。
「それじゃ、行ってきます」
リーズに抱っこされてパメラに手を振る。
「ロジェ。あまりリーズとシリルに無茶はさせないでね。二人とも、危ない所へは行かないのよ」
パメラが心配そうに見送る中、町の外へと続く門へ向かった。
門には門番が二人立っていたが、ロジェの姿を見ると軽く手を上げた。
「やぁ、ロジェ。昨日はお疲れさん。今日は娘さんとお出かけかい」
どうやら顔馴染みの門番のようだ。
もっともロジェはこの町で冒険者をしているんだから、知らない方がおかしいよね。
「ああ。ゴブリンも昨日の今日では出てこないだろうからな」
リーズは学校から貰った許可証を門番に提示して門をくぐった。
「おや、それはこの間拾ったという狐の子か? 元気になったみたいだな」
門番がリーズの腕の中にいる僕に目を留めた。
どうやら僕を拾って帰って来た時、対応した門番のようだ。
もっとも僕は意識がなかったから覚えちゃいないけどね。
「ああ。元気になったから森に帰そうかと思うんだが、どうやらリーズに懐いたみたいだから親元に帰らないかもしれないけどな。一応連れてってみるよ」
ロジェがしれっとした顔でそんな事を言っている。
まあ、こう言っておけば一緒に帰ってきても言い訳が立つからね。
歩いて行くのかと思っていたら、隣町に行く乗り合い馬車で途中まで乗せて貰うようだ。
ゴトゴトと馬車に揺られてしばらく進んだ所でロジェは馬車を停めて貰っていた。
馬車から降りて街道脇の森の中へと入って行く。
「この奥にシリルを拾った川が流れているんだ」
ロジェの後をリーズに抱っこされたまま、ついて行くと川のせせらぎが聞こえてきた。
川の側に空き地があり、焚き火をしたような跡があちこちにある。
「あの岩にシリルは引っ掛かってたんだよ」
リーズが指差したのは川の中にある岩場だった。
川の流れは緩やかでそんなに深くはないようだ。
この川がカヴェニャック王国に繋がっているのか。
どれくらいの距離を流されて来たのかはわからないが、川沿いに遡っても無事にたどり着けるかはわからないな。
まだ街道を通って行った方がよほど早いかもしれない。
「シリル。今すぐにでも君を親元に帰してあげたいが、君一人を行かせるのは不安だ。私がついて行ってあげたいが、この町のギルドとの契約でここからは離れられないようになっているんだ。だからせめて君一人でも旅が出来るようにしてあげたいと思うんだ」
ロジェの言う事は十分理解出来た。
僕自身も一人で旅が出来るとは思っていない。
だからロジェの申し出はとても有り難かった。
「ありがとう、ロジェ。僕も一人で旅が出来るくらいに力をつけるよ。よろしくね」
フルフルと尻尾を振りながら答えると、ワシャワシャと頭を撫でられた。
「それじゃ、リーズと一緒に魔法の練習をしようか。シリルはどんな魔法が使えるんだ?」
僕はリーズのは腕の中から地面に降りると赤ん坊の姿になった。
【ライト】
心の中で唱えて手のひらに光の玉を灯してみせる。
ロジェとリーズはポカン、とした顔でそれを見つめている。
ん?
何でそんな顔をしているんだろう?
僕はライトを消すと今度は水の玉を出して見せる事にした。
【ウォーターボール】
手のひらに水の玉が浮かび上がる。
これをどうしようかと思ったが、向こう側にある木の幹にぶつけてみる事にした。
家の中じゃこんな事は出来ないからね。
ヒュッ!
バシャッ!
狙った通りの木の幹にぶつかって水の玉が弾ける。
よしよし、いい調子。
気を良くした僕は新しい魔法には挑戦してみる事にした。
【ファイアボール】
ボウッと手のひらの上に火の玉が浮かび上がる。
こちらは流石に木にぶつけるわけにはいかないので、川の中にある岩にぶつけてみよう。
ロジェとリーズは相変わらずポカンとした顔で僕を見ているが、そんな事にはお構いなしに火の玉を岩にぶつける。
バシッ!
こちらは岩にぶつかったと同時に火の玉が弾けて川の中に落ちて消えていった。
こんなものかな。
ちょっと得意そうにロジェを見ると、ロジェはゴクリと唾を飲み込んだ。
「…シリル。君はいつも無詠唱で魔法を使うのか?」
ん? と首を傾げてみる。
確かに赤ん坊の姿じゃ喋れないから、当然無詠唱になるよね。
僕は狐の姿に戻るとロジェの方を向いた。
「そうだよ。まだ人型になったら喋れないからね」
「まさか、無詠唱で魔法が使えるとは…。狐の姿じゃ魔法は使えないのか?」
そういえば狐の姿で魔法を使った事は無かったな。
せっかくだからちょっと試してみよう。
僕は狐の姿のままで魔法を使ってみる事にした。
【ライト】
【ウォーターボール】
【ファイアボール】
どれも人型の時と同じように無詠唱で使う事が出来た。
狐の姿でも魔法が使えるんだ、と喜んでいるとリーズが叫んだ。
「シリルの尻尾が二本になってる!」
えっ? 嘘!
パメラにお弁当を用意して貰ってちょっとしたピクニック気分だ。
「それじゃ、行ってきます」
リーズに抱っこされてパメラに手を振る。
「ロジェ。あまりリーズとシリルに無茶はさせないでね。二人とも、危ない所へは行かないのよ」
パメラが心配そうに見送る中、町の外へと続く門へ向かった。
門には門番が二人立っていたが、ロジェの姿を見ると軽く手を上げた。
「やぁ、ロジェ。昨日はお疲れさん。今日は娘さんとお出かけかい」
どうやら顔馴染みの門番のようだ。
もっともロジェはこの町で冒険者をしているんだから、知らない方がおかしいよね。
「ああ。ゴブリンも昨日の今日では出てこないだろうからな」
リーズは学校から貰った許可証を門番に提示して門をくぐった。
「おや、それはこの間拾ったという狐の子か? 元気になったみたいだな」
門番がリーズの腕の中にいる僕に目を留めた。
どうやら僕を拾って帰って来た時、対応した門番のようだ。
もっとも僕は意識がなかったから覚えちゃいないけどね。
「ああ。元気になったから森に帰そうかと思うんだが、どうやらリーズに懐いたみたいだから親元に帰らないかもしれないけどな。一応連れてってみるよ」
ロジェがしれっとした顔でそんな事を言っている。
まあ、こう言っておけば一緒に帰ってきても言い訳が立つからね。
歩いて行くのかと思っていたら、隣町に行く乗り合い馬車で途中まで乗せて貰うようだ。
ゴトゴトと馬車に揺られてしばらく進んだ所でロジェは馬車を停めて貰っていた。
馬車から降りて街道脇の森の中へと入って行く。
「この奥にシリルを拾った川が流れているんだ」
ロジェの後をリーズに抱っこされたまま、ついて行くと川のせせらぎが聞こえてきた。
川の側に空き地があり、焚き火をしたような跡があちこちにある。
「あの岩にシリルは引っ掛かってたんだよ」
リーズが指差したのは川の中にある岩場だった。
川の流れは緩やかでそんなに深くはないようだ。
この川がカヴェニャック王国に繋がっているのか。
どれくらいの距離を流されて来たのかはわからないが、川沿いに遡っても無事にたどり着けるかはわからないな。
まだ街道を通って行った方がよほど早いかもしれない。
「シリル。今すぐにでも君を親元に帰してあげたいが、君一人を行かせるのは不安だ。私がついて行ってあげたいが、この町のギルドとの契約でここからは離れられないようになっているんだ。だからせめて君一人でも旅が出来るようにしてあげたいと思うんだ」
ロジェの言う事は十分理解出来た。
僕自身も一人で旅が出来るとは思っていない。
だからロジェの申し出はとても有り難かった。
「ありがとう、ロジェ。僕も一人で旅が出来るくらいに力をつけるよ。よろしくね」
フルフルと尻尾を振りながら答えると、ワシャワシャと頭を撫でられた。
「それじゃ、リーズと一緒に魔法の練習をしようか。シリルはどんな魔法が使えるんだ?」
僕はリーズのは腕の中から地面に降りると赤ん坊の姿になった。
【ライト】
心の中で唱えて手のひらに光の玉を灯してみせる。
ロジェとリーズはポカン、とした顔でそれを見つめている。
ん?
何でそんな顔をしているんだろう?
僕はライトを消すと今度は水の玉を出して見せる事にした。
【ウォーターボール】
手のひらに水の玉が浮かび上がる。
これをどうしようかと思ったが、向こう側にある木の幹にぶつけてみる事にした。
家の中じゃこんな事は出来ないからね。
ヒュッ!
バシャッ!
狙った通りの木の幹にぶつかって水の玉が弾ける。
よしよし、いい調子。
気を良くした僕は新しい魔法には挑戦してみる事にした。
【ファイアボール】
ボウッと手のひらの上に火の玉が浮かび上がる。
こちらは流石に木にぶつけるわけにはいかないので、川の中にある岩にぶつけてみよう。
ロジェとリーズは相変わらずポカンとした顔で僕を見ているが、そんな事にはお構いなしに火の玉を岩にぶつける。
バシッ!
こちらは岩にぶつかったと同時に火の玉が弾けて川の中に落ちて消えていった。
こんなものかな。
ちょっと得意そうにロジェを見ると、ロジェはゴクリと唾を飲み込んだ。
「…シリル。君はいつも無詠唱で魔法を使うのか?」
ん? と首を傾げてみる。
確かに赤ん坊の姿じゃ喋れないから、当然無詠唱になるよね。
僕は狐の姿に戻るとロジェの方を向いた。
「そうだよ。まだ人型になったら喋れないからね」
「まさか、無詠唱で魔法が使えるとは…。狐の姿じゃ魔法は使えないのか?」
そういえば狐の姿で魔法を使った事は無かったな。
せっかくだからちょっと試してみよう。
僕は狐の姿のままで魔法を使ってみる事にした。
【ライト】
【ウォーターボール】
【ファイアボール】
どれも人型の時と同じように無詠唱で使う事が出来た。
狐の姿でも魔法が使えるんだ、と喜んでいるとリーズが叫んだ。
「シリルの尻尾が二本になってる!」
えっ? 嘘!
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