【完結】異世界転移したら騎士団長と相思相愛になりました〜私の恋を父と兄が邪魔してくる〜

伽羅

文字の大きさ
15 / 52

15 服と靴

しおりを挟む
 ガブリエラさんと応接室に向かうと、既に昨日の仕立て屋さんが私達を待っていた。

「奥様、アリス様。ご機嫌麗しゅう。仮縫いが出来上がりましたので試着をお願いいたします」

 仕立て屋さんの目の下にクマのようなものが見えるのだけれど気の所為じゃないわよね。

「急かしてごめんなさいね。アリスには早く自分の体型に合った物を着てもらいたいのよ」

 ガブリエラさんが仕立て屋さんに謝辞を述べるけれど、私のドレスの為にそこまでしてくれなくてもいいと思うんだけどね。

 とりあえず明後日、王宮に着ていく一枚を先に仕立て上げると言う事らしい。

 着せられたドレスは、私の髪の色よりも薄い紫色のドレスだった。

「よく似合っているわ。これで進めてちょうだい。それからアリスが着ていた下着の方はどうなったのかしら?」 

 ガブリエラさんが切り出すと仕立て屋さんは待っていました、とばかりに下着を取り出した。

「こちらがお預かりしたアリス様の下着です。そしてこちらが、私共が試作した下着になります」

 テーブルの上に私が着ていた下着と、仕立て屋さんが作った下着が並べられる。

 今すぐに私の下着を引ったくって隠したいんだけど、流石にそんな真似は許されそうにないわね。

 ガブリエラさんが私のブラジャーと、仕立て屋さんが作ったブラジャーを手にとって見比べている。

「生地の手触りは違うけれど、形はほぼ同じ物が出来てるわね」

「はい。お借りした下着を分解して鑑定士に素材を鑑定してもらいましたが、よくわからない素材が使われているようでした。そこで似たような生地を集めて作ったわけでして…」

 素材を鑑定?

 そんな事を出来る人がいるのね。

 素材が何かよくわからないというのは仕方がないと思うわ。

 だって私が着ていた下着はおそらく化学繊維で作られた物だと思うもの。

 ガブリエラさんに手渡されて仕立て屋さんが作ったブラジャーを触ってみたけれど、ちゃんと胸の部分にパットが入っていたりして、なかなかいい具合になっていた。

「工房の女性にも試着して貰いましたが、皆『胸が大きく見える』と好評でした。下履きの方は少し抵抗があるようでしたが、『これを履けば旦那が燃えてくれるかも…』、いや、失礼!」

 仕立て屋さんの女性は他の人の事のように話しているけれど、きっとご自分でも試してみたんでしょうね。

 まあ、あんな色気のない下履きよりは、私が着ていた下着の方が…。

 って、そんな事を言っている場合じゃない!

 とにかくこの世界でも、ブラジャーが作れる事にホッとしたわ。

 留め具もほぼ遜色なく再現されているけれど、ミシンなんてないからすべて手縫いなんでしょうね。

 仕立て屋さんが帰ってひと息つく間もなく、今度は靴屋が応接室に入って来た。

「奥様。お呼びいただきありがとうございます。そちらのお嬢様の靴がご入用との事で、何足かお持ちいたしました」

 え、今度は靴?

 そう言えば、今履いている靴は通学用の学校指定の黒靴だ。

 エイブラムさんはあまり気にしてなかったけれど、ガブリエラさん始め侍女の方々は私の靴を見て怪訝な顔をしていたっけ。

 流石に靴のサイズはガブリエラさんとは違うから、ずっとこの黒靴を履いたままだったのよ。

 ドレスの裾からチラチラと黒靴が覗くのは流石にいただけないわよね。

 色の選出はガブリエラさんにお任せして、今来ているドレスに合った靴を選んでもらった。

 新しい靴を履いたはいいが、高さ5センチのヒールなんて履くのは初めてで歩きにくい事この上ない。

 ヨタヨタと歩く私にガブリエラさんがキラリと目を光らせる。

「あらあら。これは歩き方の特訓が必要ね。ポリー、指導は頼んだわよ」

 靴屋さんが辞した後、ガブリエラさんは侍女長に声をかけるとまた執務室に戻っていった。

 応接室に残されたのは侍女長と私、それに部屋の隅に控える侍女だけだ。

「それではアリス様。歩き方の練習をいたしましょう。そこのあなた、本を一冊持ってきてちょうだい」

 本?

 まさか頭の上に本を乗せて落とさないように歩くって事?

 漫画か何かでそんなシーンを見た事があるけれど、実際にそんな事をやっているのね。

 侍女が持ってきた分厚い本を頭の上に乗せて私は応接室の端から端へと歩いてみせる。

「アリス様。もう少し速く歩いてくださいませ。背筋が曲がってますよ!」

 侍女長のスパルタ特訓はガブリエラさんが執務を終えて戻って来るまで続いた。

 …明日は筋肉痛かしらね…
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる

湊一桜
恋愛
 王宮薬師のアンは、国王に毒を盛った罪を着せられて王宮を追放された。幼少期に両親を亡くして王宮に引き取られたアンは、頼れる兄弟や親戚もいなかった。  森を彷徨って数日、倒れている男性を見つける。男性は高熱と怪我で、意識が朦朧としていた。  オオカミの襲撃にも遭いながら、必死で男性を看病すること二日後、とうとう男性が目を覚ました。ジョーという名のこの男性はとても強く、軽々とオオカミを撃退した。そんなジョーの姿に、不覚にもときめいてしまうアン。  行くあてもないアンは、ジョーと彼の故郷オストワル辺境伯領を目指すことになった。  そして辿り着いたオストワル辺境伯領で待っていたのは、ジョーとの甘い甘い時間だった。 ※『小説家になろう』様、『ベリーズカフェ』様でも公開中です。

【完結】殺されたくないので好みじゃないイケメン冷徹騎士と結婚します

大森 樹
恋愛
女子高生の大石杏奈は、上田健斗にストーカーのように付き纏われている。 「私あなたみたいな男性好みじゃないの」 「僕から逃げられると思っているの?」 そのまま階段から健斗に突き落とされて命を落としてしまう。 すると女神が現れて『このままでは何度人生をやり直しても、その世界のケントに殺される』と聞いた私は最強の騎士であり魔法使いでもある男に命を守ってもらうため異世界転生をした。 これで生き残れる…!なんて喜んでいたら最強の騎士は女嫌いの冷徹騎士ジルヴェスターだった!イケメンだが好みじゃないし、意地悪で口が悪い彼とは仲良くなれそうにない! 「アンナ、やはり君は私の妻に一番向いている女だ」 嫌いだと言っているのに、彼は『自分を好きにならない女』を妻にしたいと契約結婚を持ちかけて来た。 私は命を守るため。 彼は偽物の妻を得るため。 お互いの利益のための婚約生活。喧嘩ばかりしていた二人だが…少しずつ距離が近付いていく。そこに健斗ことケントが現れアンナに興味を持ってしまう。 「この命に代えても絶対にアンナを守ると誓おう」 アンナは無事生き残り、幸せになれるのか。 転生した恋を知らない女子高生×女嫌いのイケメン冷徹騎士のラブストーリー!? ハッピーエンド保証します。

悪役令嬢の面の皮~目が覚めたらケモ耳旦那さまに股がっていた件

豆丸
恋愛
 仲良しな家族にうんざりしていた湯浅風花。ある夜、夢の中で紫髪、つり目のキツメ美人さんと体を交換することに。   そして、目を醒ますと着衣のまま、美麗ケモ耳男に股がっていました。   え?繋がってる?どーゆーこと?子供もいるの?   でも、旦那様格好いいし一目惚れしちゃた!役得かも。うそ、私、悪役令嬢でしかも断罪後で旦那様にも嫌われてるの?   よし!嫌われてるのなら、押して押して押し倒して好きにさせてみせる!!

転生したら地味ダサ令嬢でしたが王子様に助けられて何故か執着されました

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
皆様の応援のおかげでHOT女性向けランキング第7位獲得しました。 前世病弱だったニーナは転生したら周りから地味でダサいとバカにされる令嬢(もっとも平民)になっていた。「王女様とか公爵令嬢に転生したかった」と祖母に愚痴ったら叱られた。そんなニーナが祖母が死んで冒険者崩れに襲われた時に助けてくれたのが、ウィルと呼ばれる貴公子だった。 恋に落ちたニーナだが、平民の自分が二度と会うことはないだろうと思ったのも、束の間。魔法が使えることがバレて、晴れて貴族がいっぱいいる王立学園に入ることに! しかし、そこにはウィルはいなかったけれど、何故か生徒会長ら高位貴族に絡まれて学園生活を送ることに…… 見た目は地味ダサ、でも、行動力はピカ一の地味ダサ令嬢の巻き起こす波乱万丈学園恋愛物語の始まりです!? 小説家になろうでも公開しています。 第9回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作品

過労薬師です。冷酷無慈悲と噂の騎士様に心配されるようになりました。

黒猫とと
恋愛
王都西区で薬師として働くソフィアは毎日大忙し。かかりつけ薬師として常備薬の準備や急患の対応をたった1人でこなしている。 明るく振舞っているが、完全なるブラック企業と化している。 そんな過労薬師の元には冷徹無慈悲と噂の騎士様が差し入れを持って訪ねてくる。 ………何でこんな事になったっけ?

キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる

藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。 将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。 入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。 セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。 家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。 得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。

兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした

鳥花風星
恋愛
代々騎士団寮の寮母を務める家に生まれたレティシアは、若くして騎士団の一つである「群青の騎士団」の寮母になり、 幼少の頃から仲の良い騎士団長のアスールは、そんなレティシアを陰からずっと見守っていた。レティシアにとってアスールは兄のような存在だが、次第に兄としてだけではない思いを持ちはじめてしまう。 アスールにとってもレティシアは妹のような存在というだけではないようで……。兄としてしか思われていないと思っているアスールはレティシアへの思いを拗らせながらどんどん膨らませていく。 すれ違う恋心、アスールとライバルの心理戦。拗らせ溺愛が激しい、じれじれだけどハッピーエンドです。 ☆他投稿サイトにも掲載しています。 ☆番外編はアスールの同僚ノアールがメインの話になっています。

堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
第零騎士団諜報部潜入班のエレオノーラは男装して酒場に潜入していた。そこで第一騎士団団長のジルベルトとぶつかってしまい、胸を触られてしまうという事故によって女性とバレてしまう。 ジルベルトは責任をとると言ってエレオノーラに求婚し、エレオノーラも責任をとって婚約者を演じると言う。 エレオノーラはジルベルト好みの婚約者を演じようとするが、彼の前ではうまく演じることができない。またジルベルトもいろんな顔を持つ彼女が気になり始め、他の男が彼女に触れようとすると牽制し始める。 そんなちょっとズレてる二人が今日も任務を遂行します!! ――― 完結しました。 ※他サイトでも公開しております。

処理中です...