ただいま、入札中【短編】

ジェリージュンジュン

文字の大きさ
11 / 16

しおりを挟む



「おっと、その前にコンビニに寄って腹ごしらえしていくか」


 面接時間は、11時から。

 朝から何も食べずに出てきた俺は、通り道で目に入ったコンビニのドアを開けた。


 「ロールケーキとプリン……あとはアイスココアでいいか」


 俺は商品を手に取りレジに向かった。

あぁ、そうだ。

 面接が終わったら、またチョコレートパフェ味のアイスを買おうかな。

あのアイスは、最近の中では1番美味しかったからな。

よし。

 楽しみが1つ増えたな。

 俺は、ウキウキしながら財布から小銭を取り出そうとした。


――すると、その時。


 「動くな!」


え……?


 「大人しくしろ! 金を出せ!」


 俺は一瞬で体が固まった。

なぜなら、激しい音を響かせドアが開くと、俺の目には異様な人物が映っていたからだ。

それは、男。

サングラスにマスク、帽子を深くかぶり、サバイバルナイフを構えている男だった。


 「え……?」


う、嘘だろ!

こんな真っ昼間に強盗!?


 「早くレジから金を出せ!」


 男は女性店員に向かって、さらに激しく怒鳴り始めた。

 女性店員は、震える手でレジの中にある紙幣を差し出した。

 俺は、その光景をただ黙って眺めていた。

 店内には、客は俺1人。

このままじっとして男の言う通りにしていれば、俺にも女性店員にも何の危害もないだろう。

 金を奪った男は、そのまま逃走するはず。

そして、あとは警察の仕事。

 防犯カメラの映像や、店外での目撃情報も出てくるだろうし、すぐに犯人も捕まるに違いない。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

とある令嬢の断罪劇

古堂 素央
ファンタジー
本当に裁かれるべきだったのは誰? 時を超え、役どころを変え、それぞれの因果は巡りゆく。 とある令嬢の断罪にまつわる、嘘と真実の物語。

冷遇妃マリアベルの監視報告書

Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。 第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。 そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。 王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。 (小説家になろう様にも投稿しています)

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

むしゃくしゃしてやった、後悔はしていないがやばいとは思っている

F.conoe
ファンタジー
婚約者をないがしろにしていい気になってる王子の国とかまじ終わってるよねー

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

処理中です...