祖国奪還

ポリ 外丸

文字の大きさ
16 / 63

第15話 スキル取得

しおりを挟む
「そうだ。魔物を数体倒したんだし、変わっているかも」

 あることを思い出した司は、服の中に入れていた1枚のカードを取り出した。
 魔物を倒すと、微弱ながら肉体に変化が起きる。
 それを正確に確認する方法はまだ開発されていないが、取得したスキルを確認する方法はある。
 それが司が取り出したステータスカードだ。
 魔力を流すことにより持ち主のスキルや体調などが表示されるようになっていて、本人の許可なく他人が見ることはできなくなっている。
 この世界では子供が生まれたらこのカードを与えることが通常となっていて、かなりの田舎出身の人間でも持っているのが普通だ。
 奴隷にされて持ち物は何もかもを奪われたが、唯一これだけは取り上げられなかったものだ。
 帝国兵からすれば、特殊のスキルでも手に入れていれば帝国にとっても利用価値が高いため、月に1度くらいでチェックするために持たせたままでいたのだろう。
 スキルには、戦闘系やら生活系やらあり様々だ。
 戦闘系のスキルは、その名の通り戦うことで手に入れることが知られている。
 数年前に今よりも小さい時に奴隷にされて、それからは死体処理しかしてこなかったが、このダンジョンに逃れて初めて魔物との戦闘をした。
 そのため、司はもしかしたら何かしらのスキルを手に入れているかもしれないと、確認してみることにしたのだ。

「やっぱり……」

 ステータスカードに魔力を流すと、名前・年齢・体調・スキルの順に文字が浮き上がってきた。
 これまで名前や年齢以外は、健康と奴隷という文字が体調欄に書かれているだけで、スキルの欄には生活魔法以外何も書かれていたなかった。
 しかし、今見てみたら、スキル欄に文字が浮かんでいた。

「あれっ? 棒術のスキルが付いたのは分かるけど、剣術まで付くなんて……」

 スキルの欄には、まず棒術のスキルが付いていた。
 最初のゴブリンを倒した時に手に入れた棒を武器替わりに使って来たため、棒術スキルが付いたのは分かる。
 しかし、何故だか剣術スキルまで付いていたのは予想外だった。

「剣代わりに使っていたのが理由か?」

 手に入れた棒は、長さ的に帝国兵が持っている剣と同じ位の長さをしていた。
 そのせいか、剣のように使っていたのがスキルを手に入れた理由なのかもしれない。

「……何だ? このスキル……」

 これから先ここで生き抜いていくためには、魔物との戦闘を何度も続けないとならない。
 そう考えると、棒術・剣術スキルが手に入ったのはありがたかった。
 しかし、司が1番気になったのはその2つのスキルではないく、もう1つのスキルだ。

死体使いネクロマンサー?」

 ステータスカードに書かれていたのは、死体使いという文字だった。
 聞いたこともないスキルだ。

「死体使いって……、この国じゃ最悪のスキルだな」

 ステータスカードには取得したスキルが表示されるだけで、取得条件や方法はもとより、そのスキルの説明もされることはないため、取得した間が自分で確認をするしかない。
 剣術などのように読んだまま意味するとしたら、このスキルは死体を操るものだと思える。
 そうなると、司の言うように最悪のスキルと言って良いだろう。
 この国では、幼少期から遺体は敬意をもって扱うように教育されている。
 それが生前何人も人を殺した極悪人でもだ。
 そんな国において、司の能力は教義に反し、死者を愚弄していると捉えられるだろう。
 所持しているだけで、殺人犯と同じ扱いを受ける可能性のあるスキルだ。

「この際何でもいいさ。俺は帝国どもを追放してこの国が奪還できればいいんだ。そんな俺にこのスキルはお似合いかもしれないな」

 父や母の遺体を焼き、知り合いの遺体を焼き、多くの大和国民の遺体を焼いてきた。
 まるで廃棄物を処理するかのようにだ。
 そんな自分は、この国の宗教からすると最低最悪の存在と言って良いかもしれない。
 奴隷にされてとは言っても関係ない。
 もしかしたら、神が罰として自分に与えたのかもしれないと思えてくる。
 このスキルがどれだけ使えるかは分からないが、ここを生き抜くためにも帝国の者たちをこの国から追放するにしても、どんな力でも良いからと欲していた力にかわりはない。
 この手に入れた力を使いこなし、司は強くなることを誓ったのだった。





「早速使ってみるか」

 ステータスカードを確認して眠りについた司は、翌朝(時計がないので時間も分からなければ、発行石の光のみで日の光がないため朝か夜かも分からない)に得た能力を確認することにした。
 拠点とした場所から少し離れた場所へと着いた司は、死体使いのスキルを使用してみることにした。

「死体に魔力を流せばいいのか?」

 スキルを取得したというのは分かっても説明はないが、スキルを得たことでなんとなくその使い方が分かるものだ。
 自分のその感覚に身を任せ、司は死体に魔力を流してみた。
 使う死体は、見つけて倒したばかりのゴブリンだ。
 倒した死体は、30分くらい放置しておくとダンジョンに吸収されてしまう。
 そうなる前に、このゴブリンがどんな風に、どれだけ使えるのか試してみることにした。

「どれくらいだろう? とりあえず少しだけ……」

 司は、まずゴブリンの死体に魔力を流し込んでみる。
 あまり多すぎると魔力枯渇が心配になるため、まずは少しだけ流してどんな風に動くのかを試してみることにした。

「よしっ! スキル発動!」

 別に口に出さなくても、発動させようと思えばできるだろう。
 しかし、初めての試みなのだからと、気合を入れるためにもわざと口に出して試してみた。

「……ガッ」

「…………マジで動いた」

 スキルを発動させると、魔力を流したゴブリンの死体が動き出す。
 ノソノソと立ち上がり、ゴブリンの死体は司を見つめた。
 見つめたと言っても、死んで白目をむいているため定かではないが……。
 動き出したことに驚いた司は、そのまま自分を襲い掛かってくるかもしれないと、武器の棒を思わず構えてしまった。
 しかし、立ち上がっても襲ってくるようなことはせず、動かなくなったままだ。

「もしかして、指示待ってんのか?」

 立って動かなくなったため、スキルの発動が失敗したのではないかと思えてきた。
 しかし、それよりも自分を動かしている主人の言葉を待っているかのようだ。

「物は試しに……、木の枝を集めてくれ」

「……ガッ」

 とりあえず、ここでの生活は焚き木が必要になるだろう。
 そのため、司はゴブリンゾンビに枝集めの指導を出してみることにした。
 司の指示に頷くような反応を示すと、ゴブリンゾンビは周辺から木の枝を拾い始めた。

「本当に死体が従っている」

 まさか本当に死体を動かせるなんて思ってもいなかった。
 しかし、ゴブリンゾンビが指示通り動いているのはたしかだ。

「他にも色々試してみよう」

 本当に死体を利用できるのなら、かなりのメリットがある。
 その色々なことを1つ1つを試すことが、司には楽しみでしかたなかった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

『王都の神童』と呼ばれた俺、職業選定でまさかの【遊び人】三連発で追放される。……が、実は「全職業のスキル」を合算して重ねがけできる唯一のバグ

よっしぃ
ファンタジー
王都で「神童」の名をほしいままにしていた少年、ディラン・アークライト(17歳)。   剣を握れば騎士団長を唸らせ、魔法を学べば賢者を凌駕する。誰もが彼を「次代の勇者」と信じて疑わなかった。  しかし、運命の職業選定で彼が得たのは――【遊び人】。   それも、三つの職業スロットすべてが【遊び人】で埋まるという、前代未聞の怪現象だった。 「期待外れだ」 「国の恥晒しめ」   掌を返した周囲によって、ディランは着の身着のままで街を追放される。  だが、かつて神童と呼ばれた彼の「分析力」は死んでいなかった。 『……Lv1なのに、ステータスが異常に高い? それに経験値が分散せず、すべて加算されている……?』  彼だけが気づいた真実。  それは【遊び人】という名に偽装された、この世界の管理者権限(Free-Hander)であり、全職業のスキルを制限なく使用・強化できるバグ技(デバッグモード)への入り口だったのだ。  これは、理不尽に捨てられた元・神童が、その頭脳とバグ能力で世界を「攻略」し、同じく不遇な扱いを受けていた美少女騎士(中身は脳筋)と共に、誰よりも自由に成り上がる物語。 【著者プロフィール】アルファポリスより『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』を出版、オリコンライトノベル部門18位を記録。本作は2月に2巻刊行予定。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

悪役皇子、ざまぁされたので反省する ~ 馬鹿は死ななきゃ治らないって… 一度、死んだからな、同じ轍(てつ)は踏まんよ ~

shiba
ファンタジー
魂だけの存在となり、邯鄲(かんたん)の夢にて 無名の英雄 愛を知らぬ商人 気狂いの賢者など 様々な英霊達の人生を追体験した凡愚な皇子は自身の無能さを痛感する。 それゆえに悪徳貴族の嫡男に生まれ変わった後、謎の強迫観念に背中を押されるまま 幼い頃から努力を積み上げていた彼は、図らずも超越者への道を歩み出す。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

処理中です...