復讐、報復、意趣返し……とにかくあいつらぶっ殺す!!

ポリ 外丸

文字の大きさ
114 / 179
第5章

第114話 謀反

しおりを挟む
「どういうことだ? 敷島よ」

「……申し訳ありません。国王陛下……」

 玉座に座るアデマス王国国王のジョゼフ・アデマスは、こめかみに青筋を浮かべつつ目の前の敷島頭領の良照に問いかけ、
問われた良照は片膝をついて頭を下げる。
 菱山家の失敗を取り戻すために、帝国へと向かった五十嵐家。
 その五十嵐家も、帝国に打撃を与えるどころか誰一人として戻て来なかった。
 失敗に次ぐ失敗に、腹を立てるのも当然と言って良い。

「謝罪などではなく説明をしろ! 菱山家に続いて五十嵐家も滅ぼされたという話ではないか!?」

 ラクト帝国への侵略を指示したというのに、敷島の菱山家は返り討ちに遭い、全滅するという失態を犯した。
 生物兵器によって苦戦したのだと思っていたが、菱山家も五十嵐家も帝国側の強者によって滅ぼされたという話しだ。

「1人の兵が一騎当千の実力を有するのが、敷島ではなかったのか?」

 ただでさえ指示した侵略が進んでいないというのに、多くの敷島兵がこの世から去ったことに、ジョゼフ王からすれば信用を失いつつあった。
 これまで、自分が望んだとおりの結果を出してきた敷島。
 それがこうも失敗続きの結果なのだから、それも仕方がないことだ。

「我々が予想している以上の実力者が、帝国内に潜んでいるのだと思われます」

 以前帝国内を捜索したが、菱山家と五十嵐家を返り討ちにしたほどの実力者は見つけられなかったはず。
 いや、五十嵐家の行動から考えるに、当主の光蔵は発見していたのかもしれない。

「何者かは分かっているのか?」

「……現在捜索中でございます」

 あれほどの準備をしていた五十嵐家ならばと、光蔵に任せてしまっていたため、良照はその者のことを聞くことが無かった。
 それが今となっては悔やまれる。
 ジョゼフ王の問いに対し、頼輝は再度申し訳なさそうに頭を下げるしかなかった。

“バンッ!!”

「な、なんだっ!?」

「ムッ!?」

「「「「「っっっ!?」」」」」

 ジョゼフと良照、数名の近衛兵しかいない玉座の間。
 その扉が、突然何の確認もなく、大きな音を立てて開かれた。
 その音に反応し、ジョゼフは慌て、良照と近衛兵たちは扉の方へを体を向けて身構えた。

「お話し中失礼……」

「斎藤!?」

 扉を開けたのは、限の父で斎藤家当主の重蔵だった、
 その姿を見た良照が驚いているのを気にすることなく、背後に息子の天祐を引き連れて玉座の間に入室してきた。
 言葉では謝りつつも不遜な態度をしていることに、ジョゼフだけでなく室内にいた者たちは眉をひそめた。

「貴様、ここへ何をしに来た?」

 明かに態度がおかしい。
 そんな重蔵の態度を異様に思った良照は、更に腰を落としていつでも刀を抜ける構えをとった。

「何をって?」

 入室してきた重蔵は、良照の問いを受けると足を止めて笑みを浮かべる。
 そして、少し間を空けて返答する。

「この国をいただきに来た!」

「「「「「っっっ!?」」」」」」

 重蔵の言葉を聞いて、王であるジョゼフを始めとした室内の者たちは驚きで声を失う。

「貴様! 何を狂ったことを……」

 他の者たちとは違い、良照は怒りと共に刀を抜く。
 そして、すぐさま光蔵へと斬りかかっていた。

「っと!」

「光蔵! 貴様は自分が何を言っているのか分かっているのか!?」

「フッ! もちろんだ!」

 接近と共に襲い掛かる良照の攻撃を、重蔵は抜いた刀で受け取める。
 そのまま鍔迫り合いの状態になり、良照は目の前の重蔵へ怒鳴りつける。
 年はとっても敷島頭領。
 その良照が放つ殺気を前にしても、重蔵は鼻で笑って平然と答えを返した。

「こんなことをして、敷島の名を受けられると思っているのか!?」

「頭領! それは的外れな質問だ!」

「なにっ!?」

 菱山家と五十嵐家が消えた今、良照の後に敷島の名を継ぐ有力候補は斎藤家の重蔵しかいない。
 それなのに、こんなことをするような者に敷島の名を与えるわけがない
 自らその地位を放棄する意図が、良照には理解できない。
 鍔迫り合いの状態からお互い距離を取ると、良照は重蔵からの返答を待った。

「敷島の名前なんて必要ねえよ! それよりも、俺は王の座に就く!」

「っっっ!! な、何をバカなことを……」

 敷島の名ではなく、王の座を手に入れる。
 それはつまり、この国を相手にするということだ。
 敷島の人間の実力が一騎当千だといっても、そんな事ができるわけがない。
 もしもそんなことができるとしたら、先代たちがおこなっていたはずだ。
 そうしないのは、いくら敷島の者でも数には勝てないからだ。
 隣国への侵略を繰り返して発展続ける王国は、昔以上に兵の人口が増えている。
 重蔵の言う国を乗っ取るなんて、完全に夢物語だ。

「そんな世迷言、させるわけがないだろう! おい! 城内の兵を集めろ! この謀反人を討ち取るのだ!」

「無駄ですよ。陛下」

「何……!!」

 王の座を狙うということは、自分の命を狙うということ。
 光蔵に堂々と言われ、ジョゼフも黙っていられない。
 自分を守るように立つ近衛兵たちの1人に、城内の兵を集めるように指示を出す。
 その兵が動き出すより早く、これまで黙っていた天祐が待ったをかけた。

「もうこの部屋以外に、生きている兵はいませんよ」

「…………は? き、貴様は何を……」

「乗っ取りは、もうほぼ完了しているということですよ」

 理由を述べたというのに、ジョゼフは理解出来ていない様子だ。
 そんなジョセフに対し、天祐は子供を相手にするに説く。

「……っ!! ヒ、ヒィー!!」

 重蔵と天祐が開けた扉。
 そちらをよく見ると、部屋の外には赤い液体がまき散らされているのが見えた。
 そして、人の物であったであろう手足などが転がっている。
 鎧を着ている所を見ると、王国兵だと理解できる。
 理解したからこそ、ジョゼフは天祐の言ったことが本当だと分かり、恐怖で甲高い悲鳴を上げた。

「俺は頭領を殺る。お前はあっちを殺れ」

「そっちを手伝わなくていいんですか?」

「フンッ! こんな死に損ないなんて、俺一人で充分だ」

 良照と睨み合いを続けながら、重蔵は天祐へと指示を出す。
 相手は、老いているとはいえ敷島の名を持つ現役だ。
 自分も援護した方が良いのではと考え、天祐は父へと問いかける。
 それに対して重蔵は、心配無用と言いたげに鼻で笑った。

「貴様!! 舐めるな!!」

 斎藤親子のふざけた会話に怒り心頭の良照は、全身に高密度の魔力を纏うことで身体強化し、重蔵へと向かって床を蹴ったのだった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

異世界で一番の紳士たれ!

だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。 リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。 リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。 異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

処理中です...