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1学年 後期
第71話
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「という訳で、了の奴を魔物退治に連れていく許可をもらえないか?」
「何がという訳よ……」
学園対抗戦に選ばれた了。
その了に頼まれた伸は、いつものように呼び出された料亭で綾愛に柊家の魔物退治に了を参加させられないかを頼んでみた。
いきなりのことで、綾愛としては白けた眼を伸へと向ける。
「魔物退治なんて、普通させられないでしょ」
魔物退治は危険を伴うもの。
その世代のエリートが集まる魔術学園でも、2年になってから始めることだ。
それを1年の段階でやらせるなんて、普通させるようなことはしない。
すでに魔物退治をおこなっている伸や、綾愛たちは特別な存在といっていい。
伸に頼まれた綾愛は、当然のように断ろうとした。
「でも、一応了も魔物退治している訳だし……」
「……それは、あなたが操ったからでしょ?」
「そういやそうか……」
「……忘れていたの?」
「……あぁ」
1年でありながら、了は珍しく魔物と戦闘経験がある。
学園内に入り込んだ巨大モグラと、夏休みに突如海岸に現れた巨大イカの2回だ。
2回目の時は、巨大イカを倒したことで少し有名になっていた。
そのことを言ったのだが、綾愛は伸と一緒にいたので、その時伸が操ったことで了が魔物を倒したということを知っている。
あっさりと返された伸は、思いだしたように呟いた。
魔物を倒すことなんて日常茶飯事のようなことなので、了が倒した時に自分が操ったことを忘れていたようだ。
そのことを綾愛が呆れたように指摘すると、伸は申し訳なさそうに頷いた。
「了は柊同様対抗戦の選手に選ばれているんだし、訓練になるんじゃないか? だから柊家の仕事に参加させて欲しいって言ってるんだ」
了が対抗戦に出るのは、あっという間に終わったとは言っても選考会で戦っているため、綾愛も当然知っている。
対抗戦は、学園の評価を上げると共に、その地域のレベルの高さを表すことになる。
八郷地区の魔術師が田舎者扱いされるのも、毎年たいした結果を出していないからというのがある。
今年は柊家の綾愛が出るということで期待されているが、今年は官林地学園から鷹藤家の文康も出場するはず。
そのせいでいまいちの盛り上がりになっている。
八郷地区の学園の評価を少しでも上げるためには、綾愛だけでなく了も目立つ必要がある。
そのためには、了が強くなることに協力することだ。
それは綾愛も分かっているはずなので、伸は再度了に魔物と戦う機会を与えるための協力を求めた。
柊家の仕事なら、強い魔物だけでなく弱い魔物の駆除もおこなっているはず。
了が参加しても危なくない仕事もあるはずだ。
「……たしかにうちの仕事には、金井君の参加できそうなものもありそうだし、対人戦にはない戦いで何か得るものがあるかもしれないけど……」
伸の言うように、綾愛も了には強くなって欲しいと思っている。
対抗戦のトーナメントは、同じ学園の代表者同士で戦うことはないように振り分けられる。
了とは何回か勝たない限り戦うことはないのだから、別に了に助力しても構わない。
それに、対抗戦は対人戦だからと言ってその訓練ばかりをしているより、魔物と戦うことで得ることもあるだろう。
身体強化が得意の了なら、同じく身体強化の魔術しか使わない魔物を相手にする方がもしかしたら対人戦よりも有効的な訓練になるかもしれない。
そのため、綾愛は了を魔物退治に参加させることに気持ちが少し傾いた。
「分かったわ。取り敢えずお父さんに相談してみるわ」
「悪いな。頼む」
「あくまで聞いてみるだけで、参加させる保証はできないわよ?」
「あぁ、それでもいい」
魔物退治をしたところで、了が成長する保証はない。
それでも、多少の自信にはなるだろう。
頼まれた以上、友人として頑張ってもらいたい。
その思いを受けてなのか、綾愛はとりあえずは柊家の当主の父親に聞いてくれることを約束してくれた。
◆◆◆◆◆
「お父さんからOKが出たわ」
「マジで? そいつは良かった」
頼んで翌日、約束してくれた通り綾愛は父の俊夫に聞いてみてくれたようだ。
それにより、了が柊家の魔物退治の仕事に参加することの了承が得られたみたいだ。
それを聞いた伸は、了承されたことを喜んだ。
「頼んでおいてなんだが、よく認めてくれたな?」
1年生から魔物退治は危険のため、頼んでも断られる可能性があった。
にもかかわらず、俊夫から了承が得られたと聞いて、伸は少し意外に思い、綾愛へ問いかけた。
「対抗戦に選ばれるような人物だから、あらかじめうちで目を付けて置こうって事かも……」
「なるほど、青田買いって奴か?」
「そうみたい」
綾愛に話を聞いて、どうして了承されたのか理由が分かった。
いわゆる青田買いが目的のようだ。
対抗戦に出場する選手は、どこの学園からであろうとそれだけで優秀とされている。
1年生のうちから目を付けるのは早いように思えるが、他に取られる前に柊家が先に手を出しておこうという考えのようだ。
了は伸の操作によってとはいえ魔物を倒したという経験もあることから、そう考えるのも分からなくないので、伸は別に気にしない。
「今週の土曜日に、魔物捜索と退治をする定期の仕事があるらしいの。金井君にはそれに参加してもらうわ」
魔物はどこにでも出現するが、人気のないところに出現した場合退治することが遅れる。
遅れると魔物が成長して強くなってしまう可能性があるため、早期発見、早期退治が望ましい。
そうするためにも、町周辺の山や森などの捜索が定期的におこなわれている。
柊家がおこなうその仕事に、了を参加させる考えのようだ。
「近くの森らしいから強い魔物なんて出ないと思うけど、それで我慢してもらうしかないわ」
人の多い場所で魔物が発生した場合、すぐに魔闘組合の魔術師が駆けつけることができる。
町の近くの森ということは、定期的な捜索と退治でたいして強い魔物がいないということだ。
了はある程度強い魔物との戦闘で訓練をしたいのかもしれないが、さすがにそこまでの魔物と戦わせる事なんてできない。
譲歩した結果、そこまでが柊家の出した考えなのだろう。
「分かった。後で了に伝えておくよ」
弱い魔物相手とは言っても、プロの魔術師たちの戦闘が見れるのだから、了にとっても勉強になるはずだ。
綾愛の話を聞いた伸は、寮に帰った時に参加の確認を取ることにした。
「何がという訳よ……」
学園対抗戦に選ばれた了。
その了に頼まれた伸は、いつものように呼び出された料亭で綾愛に柊家の魔物退治に了を参加させられないかを頼んでみた。
いきなりのことで、綾愛としては白けた眼を伸へと向ける。
「魔物退治なんて、普通させられないでしょ」
魔物退治は危険を伴うもの。
その世代のエリートが集まる魔術学園でも、2年になってから始めることだ。
それを1年の段階でやらせるなんて、普通させるようなことはしない。
すでに魔物退治をおこなっている伸や、綾愛たちは特別な存在といっていい。
伸に頼まれた綾愛は、当然のように断ろうとした。
「でも、一応了も魔物退治している訳だし……」
「……それは、あなたが操ったからでしょ?」
「そういやそうか……」
「……忘れていたの?」
「……あぁ」
1年でありながら、了は珍しく魔物と戦闘経験がある。
学園内に入り込んだ巨大モグラと、夏休みに突如海岸に現れた巨大イカの2回だ。
2回目の時は、巨大イカを倒したことで少し有名になっていた。
そのことを言ったのだが、綾愛は伸と一緒にいたので、その時伸が操ったことで了が魔物を倒したということを知っている。
あっさりと返された伸は、思いだしたように呟いた。
魔物を倒すことなんて日常茶飯事のようなことなので、了が倒した時に自分が操ったことを忘れていたようだ。
そのことを綾愛が呆れたように指摘すると、伸は申し訳なさそうに頷いた。
「了は柊同様対抗戦の選手に選ばれているんだし、訓練になるんじゃないか? だから柊家の仕事に参加させて欲しいって言ってるんだ」
了が対抗戦に出るのは、あっという間に終わったとは言っても選考会で戦っているため、綾愛も当然知っている。
対抗戦は、学園の評価を上げると共に、その地域のレベルの高さを表すことになる。
八郷地区の魔術師が田舎者扱いされるのも、毎年たいした結果を出していないからというのがある。
今年は柊家の綾愛が出るということで期待されているが、今年は官林地学園から鷹藤家の文康も出場するはず。
そのせいでいまいちの盛り上がりになっている。
八郷地区の学園の評価を少しでも上げるためには、綾愛だけでなく了も目立つ必要がある。
そのためには、了が強くなることに協力することだ。
それは綾愛も分かっているはずなので、伸は再度了に魔物と戦う機会を与えるための協力を求めた。
柊家の仕事なら、強い魔物だけでなく弱い魔物の駆除もおこなっているはず。
了が参加しても危なくない仕事もあるはずだ。
「……たしかにうちの仕事には、金井君の参加できそうなものもありそうだし、対人戦にはない戦いで何か得るものがあるかもしれないけど……」
伸の言うように、綾愛も了には強くなって欲しいと思っている。
対抗戦のトーナメントは、同じ学園の代表者同士で戦うことはないように振り分けられる。
了とは何回か勝たない限り戦うことはないのだから、別に了に助力しても構わない。
それに、対抗戦は対人戦だからと言ってその訓練ばかりをしているより、魔物と戦うことで得ることもあるだろう。
身体強化が得意の了なら、同じく身体強化の魔術しか使わない魔物を相手にする方がもしかしたら対人戦よりも有効的な訓練になるかもしれない。
そのため、綾愛は了を魔物退治に参加させることに気持ちが少し傾いた。
「分かったわ。取り敢えずお父さんに相談してみるわ」
「悪いな。頼む」
「あくまで聞いてみるだけで、参加させる保証はできないわよ?」
「あぁ、それでもいい」
魔物退治をしたところで、了が成長する保証はない。
それでも、多少の自信にはなるだろう。
頼まれた以上、友人として頑張ってもらいたい。
その思いを受けてなのか、綾愛はとりあえずは柊家の当主の父親に聞いてくれることを約束してくれた。
◆◆◆◆◆
「お父さんからOKが出たわ」
「マジで? そいつは良かった」
頼んで翌日、約束してくれた通り綾愛は父の俊夫に聞いてみてくれたようだ。
それにより、了が柊家の魔物退治の仕事に参加することの了承が得られたみたいだ。
それを聞いた伸は、了承されたことを喜んだ。
「頼んでおいてなんだが、よく認めてくれたな?」
1年生から魔物退治は危険のため、頼んでも断られる可能性があった。
にもかかわらず、俊夫から了承が得られたと聞いて、伸は少し意外に思い、綾愛へ問いかけた。
「対抗戦に選ばれるような人物だから、あらかじめうちで目を付けて置こうって事かも……」
「なるほど、青田買いって奴か?」
「そうみたい」
綾愛に話を聞いて、どうして了承されたのか理由が分かった。
いわゆる青田買いが目的のようだ。
対抗戦に出場する選手は、どこの学園からであろうとそれだけで優秀とされている。
1年生のうちから目を付けるのは早いように思えるが、他に取られる前に柊家が先に手を出しておこうという考えのようだ。
了は伸の操作によってとはいえ魔物を倒したという経験もあることから、そう考えるのも分からなくないので、伸は別に気にしない。
「今週の土曜日に、魔物捜索と退治をする定期の仕事があるらしいの。金井君にはそれに参加してもらうわ」
魔物はどこにでも出現するが、人気のないところに出現した場合退治することが遅れる。
遅れると魔物が成長して強くなってしまう可能性があるため、早期発見、早期退治が望ましい。
そうするためにも、町周辺の山や森などの捜索が定期的におこなわれている。
柊家がおこなうその仕事に、了を参加させる考えのようだ。
「近くの森らしいから強い魔物なんて出ないと思うけど、それで我慢してもらうしかないわ」
人の多い場所で魔物が発生した場合、すぐに魔闘組合の魔術師が駆けつけることができる。
町の近くの森ということは、定期的な捜索と退治でたいして強い魔物がいないということだ。
了はある程度強い魔物との戦闘で訓練をしたいのかもしれないが、さすがにそこまでの魔物と戦わせる事なんてできない。
譲歩した結果、そこまでが柊家の出した考えなのだろう。
「分かった。後で了に伝えておくよ」
弱い魔物相手とは言っても、プロの魔術師たちの戦闘が見れるのだから、了にとっても勉強になるはずだ。
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