121 / 281
2学年 前期
第121話
しおりを挟む
「何でこうなったんだ……」
「しょうがないじゃない。柊家だけ参加しないわけにはいかないんだから」
剣の型の練習が終了し、休憩時間。
現在の状況に、伸は独り言を呟く。
その呟きが耳に入った綾愛は、伸をなだめる。
「合同訓練か……」
綾愛の言う参加しなければならなかったと言うのは、伸の言うように合同訓練のことだ。
ただの合同訓練ではない。
この国は8つの地域に分かれ、それぞれ名門家が存在している。
その8つの名門家を集めての合同訓練だ。
「言い出しっぺは鷹藤か……」
「えぇ」
集合した場所は、皇都の官林。
そのことからも分かるように、鷹藤家の呼びかけによって集められた。
伸からすると、8家の中でもいまだに自分たちは1段上にいるような態度が気に入らないところだ。
「何で俺まで……」
「道康君に勝った人間を取り込んでいないとなると、そっちの方が面倒でしょ?」
八郷学園に入った鷹藤家の次男道康。
伸がその道康と戦って勝ったという話は、観戦した学生から魔闘師業界へと広まっていった。
勝ち方が勝ち方だけに、たいして興味を持たれてはいないだろうが、名前くらいは知られているはずだ。
まぐれでも良いから、鷹藤家の者に勝った人間は手に入れておきたいところだろう。
そうなると、名門家によるちょっとした伸の争奪戦がおこなわれる可能性がある。
特に鷹藤家は、泥を塗った伸のことを放っておかず、取り込みに来るかもしれない。
そうならないためにも、伸は柊家の傘下に入っているということを分からせる必要がある。
綾愛が今回の合同訓練に伸を呼んだのも、それが主な理由だ。
「若手中心だから、そこまで引き抜きに力を入れて来ないと思うけど……」
合同訓練といっても若手の育成がメインであり、今回集められたのは30歳以下の者たちだ。
夏休み中ということもあり、高校・大学生がほとんどだろう。
家の面子などにこだわる年齢ではないため、この機を利用して引き抜きを計るなどということはそれほどして来ないはずだ。
「まぁ、魔人が世界中に出現しているから、もしものことを考えて訓練するのは正解かもな」
去年、大和皇国には魔人の出現が2度あった。
そして、今年に入り、エグリア共和国やスドイフ連合国にも出現して多くの被害をもたらした。
他の国もそうだが、再度この国に出現する可能性も捨てきれない。
そうなった時のために少しでも戦力は上げておきたい。
ならば、伸びしろのある若手を鍛えることが最も有効な手だ。
この合同訓練も、そう考えると意味あるものかもしれない。
「失礼。君は訓練に参加しないのかな?」
「……ちょっと場違みたいなんで」
他の者が各々訓練をしているなか、伸と綾愛が話している所へ1人の男性が話しかけて来た。
鷹藤家の者に目を付けられるのが嫌なため、訓練に参加している振りをしていたのだが、綾愛と話していたのが良くなかったのだろうか。
なにも返さないのは良くないため、伸は思い付いた言い訳を返答した。
『……たしか台藤の森川だったか?』
話しかけて来た相手の顔を見て、伸は彼が何者かに気付く。
中肉中背で髪をセンター分けした糸目の男性。
台藤地区の名門、森川家の人間だ。
「初めまして、大藤地区の森川哲也です」
「……初めまして、八郷地区の柊家傘下の新田伸です」
地区を代表する一族のことを知っているのは、魔闘師なら当然のこと。
柊家の傘下という名目で参加している自分に話しかけて来たことに疑問が残るが、わざわざ挨拶しに来てくれた相手を無視するわけにはいかないため、伸は簡単に自己紹介を返した。
「知っているよ。綾愛殿の恋人だとか?」
「こ、恋……」
伸の自己紹介を受けて、森川は笑みを浮かべて問いかけてくる。
恋人と言われて、伸ではなく綾愛が顔を真っ赤にして反応する。
「おや? 違うのですか?」
「いや、合ってます」
「えっ!?」
綾愛の反応を見て、森川は首を傾げる。
それに対し、伸は真顔で返答する。
恋人認定した伸の返事に綾愛は驚き、更に顔を赤くした。
『何で赤くなってるんだよ! そう言う設定になってるはずだろ?』
道康との決闘で、恋人であるという設定にしていたはずだ。
決闘のことが知れ渡っているのだから、その設定もそのままにしておかないと、どこぞの一族が綾愛との婚姻関係を求めてくるようになるかもしれない。
綾愛自身もそのことは分かっているはずだ。
おかしな反応をしていると、そのウソがばれてしまいかねないため、伸は顔を赤くする綾愛を内心でツッコミを入れた。
「あの道康君に勝ったとか? すごいんだね」
「いや、まぐれですから……」
どうやら森川は、伸と道康と戦った話が聞きたかったようだ。
別に言いふらすつもりはないため、伸としては面倒な質問だ。
とりあえず、当たり障りないように返答する、
「そのピグミーモンキーを使ったとか?」
「はい。校内戦なら従魔もありですから」
森川は、伸の胸ポケットから顔を出しているピモを指差して問いかける。
勝敗だけでなく、勝ち方まで広まっているのだろうか。
問われた伸は、ピモの頭を撫でつつ返答した。
「そうですね。従魔のことを考慮に入れていないなんて……」
伸の答えを聞いて、森川は言葉の最後を言い淀んだ。
その一瞬、伸には道康のことを間抜けとでも言いそうになって止めたといった感じに見えた。
「そもそも、従魔使いの中にも優秀のがいるんだけどね」
国の象徴たる天皇の先祖が、剣によって竜を倒したという伝承が伝わっている。
それもあって、大和皇国の魔闘師たちには、武器による戦闘が好まれる傾向にある。
そのため、魔物を使役して戦闘をする従魔術のことを他国ほど選択肢に入れていない。
従魔を使役するのは、主人の力不足を自ら露呈しているようなものだという考えがあるのかもしれない。
しかし、従魔術を利用して戦う者の中にも強者は存在している。
「……あなたのようにですか?」
「っ!! そのことを知っているなんてすごいな。地元でもそこまで知られていないんだけど……」
大藤地区は、伸たちの住む八郷地区以上に田舎に見られている。
それもあって、同じ名門でも森川家は8家の中でも一番低く見られがちだ。
その森川家の中でも、哲也の名前は知られていない。
そのことは、哲也自身自覚している。
名前を知られていない理由。
それは、哲也が従魔術をメインにして戦う魔闘師だからだ。
地元の人間でもない伸がそのことを知っていることに、森川は驚くと共に感心した様子だ。
「従魔を使って道康君に勝ったって話だったから話しかけたけど、それ以上に君には興味が湧いたよ」
「そうですか。それはどうも……」
転移の魔法を使うために大藤に向かったことがあり、その時たまたま哲也のことを知っていただけだ。
そのため、伸としては興味を持たれてもあまり嬉しくないが、とりあえず感謝するように返答した。
「じゃあ、僕はこれで……。訓練楽しみにしているよ」
「どうも……」
休憩時間も終了し、訓練再開の時間が来る。
それを察した森川は、笑顔で伸たちのもとから去っていった。
「早速目を付けられたみたいね?」
「何でだ……?」
道康に勝った時の話から、恐らく同じ従魔術の使い手だと思って話しかけて来たのだろう。
しかし、それ以外の面で森川に気に入られてしまったようだ。
原因が分からない伸は、首を傾げるしかなかった。
「しょうがないじゃない。柊家だけ参加しないわけにはいかないんだから」
剣の型の練習が終了し、休憩時間。
現在の状況に、伸は独り言を呟く。
その呟きが耳に入った綾愛は、伸をなだめる。
「合同訓練か……」
綾愛の言う参加しなければならなかったと言うのは、伸の言うように合同訓練のことだ。
ただの合同訓練ではない。
この国は8つの地域に分かれ、それぞれ名門家が存在している。
その8つの名門家を集めての合同訓練だ。
「言い出しっぺは鷹藤か……」
「えぇ」
集合した場所は、皇都の官林。
そのことからも分かるように、鷹藤家の呼びかけによって集められた。
伸からすると、8家の中でもいまだに自分たちは1段上にいるような態度が気に入らないところだ。
「何で俺まで……」
「道康君に勝った人間を取り込んでいないとなると、そっちの方が面倒でしょ?」
八郷学園に入った鷹藤家の次男道康。
伸がその道康と戦って勝ったという話は、観戦した学生から魔闘師業界へと広まっていった。
勝ち方が勝ち方だけに、たいして興味を持たれてはいないだろうが、名前くらいは知られているはずだ。
まぐれでも良いから、鷹藤家の者に勝った人間は手に入れておきたいところだろう。
そうなると、名門家によるちょっとした伸の争奪戦がおこなわれる可能性がある。
特に鷹藤家は、泥を塗った伸のことを放っておかず、取り込みに来るかもしれない。
そうならないためにも、伸は柊家の傘下に入っているということを分からせる必要がある。
綾愛が今回の合同訓練に伸を呼んだのも、それが主な理由だ。
「若手中心だから、そこまで引き抜きに力を入れて来ないと思うけど……」
合同訓練といっても若手の育成がメインであり、今回集められたのは30歳以下の者たちだ。
夏休み中ということもあり、高校・大学生がほとんどだろう。
家の面子などにこだわる年齢ではないため、この機を利用して引き抜きを計るなどということはそれほどして来ないはずだ。
「まぁ、魔人が世界中に出現しているから、もしものことを考えて訓練するのは正解かもな」
去年、大和皇国には魔人の出現が2度あった。
そして、今年に入り、エグリア共和国やスドイフ連合国にも出現して多くの被害をもたらした。
他の国もそうだが、再度この国に出現する可能性も捨てきれない。
そうなった時のために少しでも戦力は上げておきたい。
ならば、伸びしろのある若手を鍛えることが最も有効な手だ。
この合同訓練も、そう考えると意味あるものかもしれない。
「失礼。君は訓練に参加しないのかな?」
「……ちょっと場違みたいなんで」
他の者が各々訓練をしているなか、伸と綾愛が話している所へ1人の男性が話しかけて来た。
鷹藤家の者に目を付けられるのが嫌なため、訓練に参加している振りをしていたのだが、綾愛と話していたのが良くなかったのだろうか。
なにも返さないのは良くないため、伸は思い付いた言い訳を返答した。
『……たしか台藤の森川だったか?』
話しかけて来た相手の顔を見て、伸は彼が何者かに気付く。
中肉中背で髪をセンター分けした糸目の男性。
台藤地区の名門、森川家の人間だ。
「初めまして、大藤地区の森川哲也です」
「……初めまして、八郷地区の柊家傘下の新田伸です」
地区を代表する一族のことを知っているのは、魔闘師なら当然のこと。
柊家の傘下という名目で参加している自分に話しかけて来たことに疑問が残るが、わざわざ挨拶しに来てくれた相手を無視するわけにはいかないため、伸は簡単に自己紹介を返した。
「知っているよ。綾愛殿の恋人だとか?」
「こ、恋……」
伸の自己紹介を受けて、森川は笑みを浮かべて問いかけてくる。
恋人と言われて、伸ではなく綾愛が顔を真っ赤にして反応する。
「おや? 違うのですか?」
「いや、合ってます」
「えっ!?」
綾愛の反応を見て、森川は首を傾げる。
それに対し、伸は真顔で返答する。
恋人認定した伸の返事に綾愛は驚き、更に顔を赤くした。
『何で赤くなってるんだよ! そう言う設定になってるはずだろ?』
道康との決闘で、恋人であるという設定にしていたはずだ。
決闘のことが知れ渡っているのだから、その設定もそのままにしておかないと、どこぞの一族が綾愛との婚姻関係を求めてくるようになるかもしれない。
綾愛自身もそのことは分かっているはずだ。
おかしな反応をしていると、そのウソがばれてしまいかねないため、伸は顔を赤くする綾愛を内心でツッコミを入れた。
「あの道康君に勝ったとか? すごいんだね」
「いや、まぐれですから……」
どうやら森川は、伸と道康と戦った話が聞きたかったようだ。
別に言いふらすつもりはないため、伸としては面倒な質問だ。
とりあえず、当たり障りないように返答する、
「そのピグミーモンキーを使ったとか?」
「はい。校内戦なら従魔もありですから」
森川は、伸の胸ポケットから顔を出しているピモを指差して問いかける。
勝敗だけでなく、勝ち方まで広まっているのだろうか。
問われた伸は、ピモの頭を撫でつつ返答した。
「そうですね。従魔のことを考慮に入れていないなんて……」
伸の答えを聞いて、森川は言葉の最後を言い淀んだ。
その一瞬、伸には道康のことを間抜けとでも言いそうになって止めたといった感じに見えた。
「そもそも、従魔使いの中にも優秀のがいるんだけどね」
国の象徴たる天皇の先祖が、剣によって竜を倒したという伝承が伝わっている。
それもあって、大和皇国の魔闘師たちには、武器による戦闘が好まれる傾向にある。
そのため、魔物を使役して戦闘をする従魔術のことを他国ほど選択肢に入れていない。
従魔を使役するのは、主人の力不足を自ら露呈しているようなものだという考えがあるのかもしれない。
しかし、従魔術を利用して戦う者の中にも強者は存在している。
「……あなたのようにですか?」
「っ!! そのことを知っているなんてすごいな。地元でもそこまで知られていないんだけど……」
大藤地区は、伸たちの住む八郷地区以上に田舎に見られている。
それもあって、同じ名門でも森川家は8家の中でも一番低く見られがちだ。
その森川家の中でも、哲也の名前は知られていない。
そのことは、哲也自身自覚している。
名前を知られていない理由。
それは、哲也が従魔術をメインにして戦う魔闘師だからだ。
地元の人間でもない伸がそのことを知っていることに、森川は驚くと共に感心した様子だ。
「従魔を使って道康君に勝ったって話だったから話しかけたけど、それ以上に君には興味が湧いたよ」
「そうですか。それはどうも……」
転移の魔法を使うために大藤に向かったことがあり、その時たまたま哲也のことを知っていただけだ。
そのため、伸としては興味を持たれてもあまり嬉しくないが、とりあえず感謝するように返答した。
「じゃあ、僕はこれで……。訓練楽しみにしているよ」
「どうも……」
休憩時間も終了し、訓練再開の時間が来る。
それを察した森川は、笑顔で伸たちのもとから去っていった。
「早速目を付けられたみたいね?」
「何でだ……?」
道康に勝った時の話から、恐らく同じ従魔術の使い手だと思って話しかけて来たのだろう。
しかし、それ以外の面で森川に気に入られてしまったようだ。
原因が分からない伸は、首を傾げるしかなかった。
1
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
プライベート・スペクタル
点一
ファンタジー
【星】(スターズ)。それは山河を変えるほどの膂力、千里を駆ける脚力、そして異形の術や能力を有する超人・怪人達。
この物語はそんな連中のひどく…ひどく個人的な物語群。
その中の一部、『龍王』と呼ばれた一人の男に焦点を当てたお話。
(※基本 隔週土曜日に更新予定)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる