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3学年 前期
第188話
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「夏休みまでもか……」
「オッス! お願いしまっす!」
前期の期末テストが終わり、もうすぐ夏休みに入る。
伸としては、毎年のように柊家の仕事を手伝って小遣い稼ぎをしようと考えていた。
柊家としても、伸ほどの実力者に仕事を手伝ってもらえるのだから、ありがたいことこの上ないといったところだ。
そんなWin-Winの関係の所に、参加希望者が現れた。
後輩で森川家の正大だ。
「お前は実家の仕事を手伝えば良いだろ?」
「いや、自分は八郷地区で従魔を見つけたいと思っていて……」
正大の実家の森川家は、八郷地区の北に位置する台藤地区の名門だ。
柊家同様、魔闘師としての仕事はかなりあるはず。
せっかくの夏休みなのだし、同じように魔物退治の仕事をするのなら実家の仕事を手伝った方が良いのではないか。
そう考えた伸が問いかけると、正大は自分の考えを述べてきた。
「他の地区の方が、珍しくて戦闘で役に立つ魔物が見つかるんじゃないかと……」
他の地区の名門家たちとは違い、森川家は従魔の力を借りて戦闘をするスタイルを取っている。
去年の夏合宿で知り合った正大の兄の哲也も斬牙という名前の狼を従魔にしていて、戦闘力だけではなく敵の臭いを察知するということでも役に立っている。
戦闘や察知において、台藤地区には斬牙以上の魔物はいないのではないかと正大は考えたらしい。
そのため、伸にくっついて、珍しい魔物が見つけられればと考えているようだ。
「なんで俺にくっついてくるんだ?」
正大が、台藤地区より八郷地区の魔物に活路を見出そうと考えたのは分かった。
だからと言って、なんで自分に付いてくるのだろうか。
森川家の力を借りて、八郷地区の魔物を調べ回れば良い話に思える。
わざわざ、柊家の仕事にかかわる必要はない。
「先輩から学べるものはできる限り学びたいので……」
「う~ん……」
元々、正大が八郷地区の学園に通うことにしたのも、従魔を利用して鷹藤家の人間に勝利したという伸に惹かれたためだ。
入学してすぐの時は、伸が特別な従魔を手に入れたのかと思っていた。
しかし、伸の従魔はピグミーモンキーのピモ。
ピグミーモンキーは確かに珍しい魔物だが、愛玩動物としての印象が強い。
そんなピグミーモンキーを利用して、伸がどうやって鷹藤家の人間に勝利したのか気になっていたが、強いのは従魔ではなくて伸の方だったことに気付くことになった。
大量繁殖してできたゴブリンの巣をほぼ1人で壊滅するなんて、兄の哲也どころか、森川家現当主の父だってできやしないことをやってのけたからだ。
特殊な従魔も見つけたいし、伸の強さの秘訣も知りたい。
伸が卒業するまでの1年間で、できる限りのことを吸収したいという熱い思いのこもった視線と共に伝えられ、そこまで言われると悪くない気がしない伸は返事に困った。
「良いんじゃない?」
「……えっ?」
正大の願いに対し、伸ではなく側にいた綾愛が返事をする。
あまりにもあっさりと許可を出したことに、渋っている自分の方が間違っているのではないかと思えて、伸は変な声が出てしまった。
「麻里も許可しちゃったから」
「……そうなのか?」
「押しに負けて……」
「……なるほど」
どうやら、上長家の麻里も帰省することなく柊家の仕事を手伝いたいと、綾愛に願っていたようだ。
その麻里の願いを、綾愛は受け入れてしまったらしい。
どうしてそんな許可をと伸が思っていたら、奈津希から短い説明が入る。
先程の伸同様、綾愛も麻里の圧力に屈したようだ。
「じゃあ、断れないか」
「やった!」
柊家の仕事なのだから、婚約者とはいっても綾愛の方が立場的には伸より上だ。
綾愛が麻里を許可しているのに、正大の方を断るなんてできない。
そのため、伸は正大の願いを受けるしかなかった。
「というか、どんな魔物を従魔にするとか考えているのか?」
「いや、どんなんのが良いのか決めかねていて……」
森川家の人間なので、従魔を手に入れたいというのは理解できる。
それなら、希望があるのか気になった伸が問いかけると、正大は言いにくそうに返答した。
どんな魔物にするのか、全然決まっていないようだ。
「まぁ、焦って決めても仕方ないしな……」
咄嗟の思い付きで従魔にして使い勝手が悪いとなったら、その後が面倒だ。
何故なら、その魔物を自分の手で始末しなければならないからだ。
従魔と言っても所詮は魔物。
魔物を殺すことなんて、特に気にすることはないように思えるが、人間には情というものが生まれる。
使い勝手が悪いといっても、行動を共にしていれば、自分の手で始末するなんてできなくなってしまう可能性がある。
ならば、他の人間に頼むという手もあるが、自分で始末ができないような人間が魔物を従えるなんて、従魔を持つ資格がないというのが常識だ。
そのため、簡単に決めるくらいなら悩んだ方がいいだろう。
「夏休み中に遭遇した魔物で検討するんだな」
「はい」
決めるのは正大だ。
夏休み中の仕事を手伝う中で、どんな魔物が良いかを決めればいい。
そう考えた伸の言葉に、正大は深く頷いた。
「オッス! お願いしまっす!」
前期の期末テストが終わり、もうすぐ夏休みに入る。
伸としては、毎年のように柊家の仕事を手伝って小遣い稼ぎをしようと考えていた。
柊家としても、伸ほどの実力者に仕事を手伝ってもらえるのだから、ありがたいことこの上ないといったところだ。
そんなWin-Winの関係の所に、参加希望者が現れた。
後輩で森川家の正大だ。
「お前は実家の仕事を手伝えば良いだろ?」
「いや、自分は八郷地区で従魔を見つけたいと思っていて……」
正大の実家の森川家は、八郷地区の北に位置する台藤地区の名門だ。
柊家同様、魔闘師としての仕事はかなりあるはず。
せっかくの夏休みなのだし、同じように魔物退治の仕事をするのなら実家の仕事を手伝った方が良いのではないか。
そう考えた伸が問いかけると、正大は自分の考えを述べてきた。
「他の地区の方が、珍しくて戦闘で役に立つ魔物が見つかるんじゃないかと……」
他の地区の名門家たちとは違い、森川家は従魔の力を借りて戦闘をするスタイルを取っている。
去年の夏合宿で知り合った正大の兄の哲也も斬牙という名前の狼を従魔にしていて、戦闘力だけではなく敵の臭いを察知するということでも役に立っている。
戦闘や察知において、台藤地区には斬牙以上の魔物はいないのではないかと正大は考えたらしい。
そのため、伸にくっついて、珍しい魔物が見つけられればと考えているようだ。
「なんで俺にくっついてくるんだ?」
正大が、台藤地区より八郷地区の魔物に活路を見出そうと考えたのは分かった。
だからと言って、なんで自分に付いてくるのだろうか。
森川家の力を借りて、八郷地区の魔物を調べ回れば良い話に思える。
わざわざ、柊家の仕事にかかわる必要はない。
「先輩から学べるものはできる限り学びたいので……」
「う~ん……」
元々、正大が八郷地区の学園に通うことにしたのも、従魔を利用して鷹藤家の人間に勝利したという伸に惹かれたためだ。
入学してすぐの時は、伸が特別な従魔を手に入れたのかと思っていた。
しかし、伸の従魔はピグミーモンキーのピモ。
ピグミーモンキーは確かに珍しい魔物だが、愛玩動物としての印象が強い。
そんなピグミーモンキーを利用して、伸がどうやって鷹藤家の人間に勝利したのか気になっていたが、強いのは従魔ではなくて伸の方だったことに気付くことになった。
大量繁殖してできたゴブリンの巣をほぼ1人で壊滅するなんて、兄の哲也どころか、森川家現当主の父だってできやしないことをやってのけたからだ。
特殊な従魔も見つけたいし、伸の強さの秘訣も知りたい。
伸が卒業するまでの1年間で、できる限りのことを吸収したいという熱い思いのこもった視線と共に伝えられ、そこまで言われると悪くない気がしない伸は返事に困った。
「良いんじゃない?」
「……えっ?」
正大の願いに対し、伸ではなく側にいた綾愛が返事をする。
あまりにもあっさりと許可を出したことに、渋っている自分の方が間違っているのではないかと思えて、伸は変な声が出てしまった。
「麻里も許可しちゃったから」
「……そうなのか?」
「押しに負けて……」
「……なるほど」
どうやら、上長家の麻里も帰省することなく柊家の仕事を手伝いたいと、綾愛に願っていたようだ。
その麻里の願いを、綾愛は受け入れてしまったらしい。
どうしてそんな許可をと伸が思っていたら、奈津希から短い説明が入る。
先程の伸同様、綾愛も麻里の圧力に屈したようだ。
「じゃあ、断れないか」
「やった!」
柊家の仕事なのだから、婚約者とはいっても綾愛の方が立場的には伸より上だ。
綾愛が麻里を許可しているのに、正大の方を断るなんてできない。
そのため、伸は正大の願いを受けるしかなかった。
「というか、どんな魔物を従魔にするとか考えているのか?」
「いや、どんなんのが良いのか決めかねていて……」
森川家の人間なので、従魔を手に入れたいというのは理解できる。
それなら、希望があるのか気になった伸が問いかけると、正大は言いにくそうに返答した。
どんな魔物にするのか、全然決まっていないようだ。
「まぁ、焦って決めても仕方ないしな……」
咄嗟の思い付きで従魔にして使い勝手が悪いとなったら、その後が面倒だ。
何故なら、その魔物を自分の手で始末しなければならないからだ。
従魔と言っても所詮は魔物。
魔物を殺すことなんて、特に気にすることはないように思えるが、人間には情というものが生まれる。
使い勝手が悪いといっても、行動を共にしていれば、自分の手で始末するなんてできなくなってしまう可能性がある。
ならば、他の人間に頼むという手もあるが、自分で始末ができないような人間が魔物を従えるなんて、従魔を持つ資格がないというのが常識だ。
そのため、簡単に決めるくらいなら悩んだ方がいいだろう。
「夏休み中に遭遇した魔物で検討するんだな」
「はい」
決めるのは正大だ。
夏休み中の仕事を手伝う中で、どんな魔物が良いかを決めればいい。
そう考えた伸の言葉に、正大は深く頷いた。
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