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3学年 後期
第234話
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「ようっ!」
「「んっ?」」
睡眠前のまったり時間を過ごしていたところ、昨日と同じく了が入ってきた。
ノックしたとはいえ、急に入ってきたため、2人の視線は了に向かった。
「……何だ?」
「……なんか用か?」
「テンション低っ!!」
寝る前と言うこともあり、伸と石塚は声低めに了に問いかける。
それにツッコミを入れる了だが、はっきり言って時間的に2人の方が普通なのではないだろうか。
「どうしたんだよ? お前だって3位決定戦残ってるのに……」
なぜだかテンション高いが、伸が決勝を控えているのと同じように、了も明日は3位決定戦が残っている。
体調を万全に整えるためには寝不足は良くない。
そのため、伸は了にここへ来た要件を尋ねた。
「伸に一言だけ言いに来た」
「んっ? 何っ?」
急に真面目な顔をして話始めた了。
そのため、気になった伸は次くる言葉に耳を傾けた。
「俺に勝ったんだから、明日は負けるなよ!」
どうやら、明日の試合のことを聞きに来たみたいだ。
テレビやネットの一部では、伸と綾愛の対戦に沸いており、婚約者同士の決勝戦という見出しが飛び交っている。
婚約者同士だからこそ、伸は綾愛に3連覇という称号を取らせたいのではないかという思いが完全に拭えないからこそ、了は伸に明日も勝つように言いに来たようだ。
「何だ? わざと負けるとでも思ったのか? 当然勝ちに行くよ!」
「そうか! それなら良い! じゃあな!」
たしかに色々騒がしくなっているが、伸だってここまで来たら勝利したいと思っている。
そのため、伸は了に力強く答えを返した。
その返答を受け、満面の笑みを浮かべた了は伸たちの部屋から去って行った。
「……自分のことよりお前のことが気になっていたんか?」
「かもしれないな……」
微妙にテンション高かったのは、石塚が言うように伸のことが気になっていたからかもしれない。
その不安が取り除かれたから、スッキリしたように去って行ったのかもしれない。
「人のことより自分のことを考えていればいいのに……」
「まぁ、それがあいつの良いところなんだけど」
「……そうだな」
石塚が言うように、了も明日の試合が残っている。
なので、人の心配をしているよりも、自分の試合に集中した方が良いのではないか。
その思いは伸も賛成する。
しかし、これまでの付き合いから、そうしてしまうのが了らしいと思えてしまう。
そのことを伸が言うと、石塚も同じ思いらしく納得したように頷いた。
◆◆◆◆◆
【これより、官林学園鈴木選手対、八郷学園金井選手の3位決定戦を始めます!】
翌日、決勝前の3位決定戦が始まる時間になった。
相手は、昨日綾愛に負けた官林学園3年の鈴木選手だ。
「……相手はちょっとかかりすぎかもな」
「そうか?」
人気の高いこの大会でここまで来るだけでも評価されることだが、3位に入れば魔闘師として優秀という評価が得られ、卒業後も良い就職先が選べることになる。
今後のことを考えれば、何としても勝ちたいと思うのが普通だ。
そのため、了の対戦相手の鈴木は、気合の入った表情をしている。
選手控室のモニターでその表情を見ていた伸は、自分の感じたままに呟いた。
というのも、気合を入れることは間違いではないが、入れすぎると余計な力が入って本来の実力が出せなくなる可能性がある。
競馬でも良くあることだ。
石塚はそこまでとは思っていないようだが、伸は鈴木がその状態に近いように見えた。
「了の方は……」
鈴木の後に了の姿がモニターに映し出される。
昨日は少しテンション高かったため、あの後ちゃんと寝られたのか気になるところだ。
「……大丈夫そうだな」
「あぁ……」
了の表情を見ると、こちらも気合が入っているように見える。
しかし、鈴木とは違い、セコンドの吉井と会話をしている了には僅かだが笑みも見えている。
それを見た伸と石塚は、体調面は大丈夫そうだと安心した。
「……勝てるか?」
「……たぶんな」
石塚の問いに、伸は「どっちが?」という問いは返さない。
了のことを聞いているのだと分かっているからだ。
そのため、伸は自分の予想を口にする。
「勝つって言いきれないか?」
伸が予想すると大体当たっている。
そのため、今回も了が勝利する予想をしてくれることを期待していた石塚だったが、微妙な返答に首を傾げる。
「柊なら問題ない相手だったが、了からすると苦手なタイプだからな」
了が勝つと言いきれない理由。
それは、相性の問題だ。
綾愛は剣術も魔術も全て高レベルで使いこなせるため、鈴木を相手にしても接近・遠距離のどちらでも対抗できる。
しかし、了は接近戦は綾愛にも引けを取らないほどの技術を持っているが、遠距離からの攻撃となると手札が少ない。
元々は魔力を飛ばすことができないくらい遠距離戦が不得意だったが、今ではそれも解消された。
とはいえ、遠距離攻撃が得意な人間と闘えるほど上達したわけではない。
あくまでも、距離を取られたら何もできないという状態ではなくなったというくらいだ。
いまだに了は魔術重視の戦闘スタイルの人間に苦手意識を持っているため、それが出なければ何とかなると伸は思っている。
「始め!」
伸が予想をしている間に試合が開始された。
「ハッ!!」
開始早々に超加速しての居合斬りという了の得意技を読んだのか、鈴木がすぐさま魔術を連射する。
魔力量のことを考えているのか怪しいくらいの魔力弾の数だ。
“タンッ! タタンッ!”
「おぉ……!」
了の動きに、伸は驚きの声を上げる。
綾愛とは違い、素早いステップで魔力弾を躱しながら、鈴木との距離を詰めて行っている。
了にしては珍しく、華麗という動きと言ってもいいくらいだ。
「クッ! このっ!」
了の動きを見て、恐らく昨日の綾愛との戦いが頭をよぎったのだろう。
近付かせまいと、鈴木は更に魔力弾の数を増やした。
その様子は、もう完全に魔力切れのことは頭にないだろう。
「ハッ!」
「あっ……」
近づくほどに危険になるなか、お構いなしと言わんばかりに距離を詰めた了が木刀を振るう。
遠距離戦は得意でも接近戦は苦手なのか、了の攻撃に成すすべなく、鈴木は喉元に木刀を突き付けられることになった。
「それまで! 勝者金井!」
審判が勝者の名を叫ぶ。
これにより、了の3位が決定し、八郷学園が1位から3位まで独占することが決定したのだった。
「「んっ?」」
睡眠前のまったり時間を過ごしていたところ、昨日と同じく了が入ってきた。
ノックしたとはいえ、急に入ってきたため、2人の視線は了に向かった。
「……何だ?」
「……なんか用か?」
「テンション低っ!!」
寝る前と言うこともあり、伸と石塚は声低めに了に問いかける。
それにツッコミを入れる了だが、はっきり言って時間的に2人の方が普通なのではないだろうか。
「どうしたんだよ? お前だって3位決定戦残ってるのに……」
なぜだかテンション高いが、伸が決勝を控えているのと同じように、了も明日は3位決定戦が残っている。
体調を万全に整えるためには寝不足は良くない。
そのため、伸は了にここへ来た要件を尋ねた。
「伸に一言だけ言いに来た」
「んっ? 何っ?」
急に真面目な顔をして話始めた了。
そのため、気になった伸は次くる言葉に耳を傾けた。
「俺に勝ったんだから、明日は負けるなよ!」
どうやら、明日の試合のことを聞きに来たみたいだ。
テレビやネットの一部では、伸と綾愛の対戦に沸いており、婚約者同士の決勝戦という見出しが飛び交っている。
婚約者同士だからこそ、伸は綾愛に3連覇という称号を取らせたいのではないかという思いが完全に拭えないからこそ、了は伸に明日も勝つように言いに来たようだ。
「何だ? わざと負けるとでも思ったのか? 当然勝ちに行くよ!」
「そうか! それなら良い! じゃあな!」
たしかに色々騒がしくなっているが、伸だってここまで来たら勝利したいと思っている。
そのため、伸は了に力強く答えを返した。
その返答を受け、満面の笑みを浮かべた了は伸たちの部屋から去って行った。
「……自分のことよりお前のことが気になっていたんか?」
「かもしれないな……」
微妙にテンション高かったのは、石塚が言うように伸のことが気になっていたからかもしれない。
その不安が取り除かれたから、スッキリしたように去って行ったのかもしれない。
「人のことより自分のことを考えていればいいのに……」
「まぁ、それがあいつの良いところなんだけど」
「……そうだな」
石塚が言うように、了も明日の試合が残っている。
なので、人の心配をしているよりも、自分の試合に集中した方が良いのではないか。
その思いは伸も賛成する。
しかし、これまでの付き合いから、そうしてしまうのが了らしいと思えてしまう。
そのことを伸が言うと、石塚も同じ思いらしく納得したように頷いた。
◆◆◆◆◆
【これより、官林学園鈴木選手対、八郷学園金井選手の3位決定戦を始めます!】
翌日、決勝前の3位決定戦が始まる時間になった。
相手は、昨日綾愛に負けた官林学園3年の鈴木選手だ。
「……相手はちょっとかかりすぎかもな」
「そうか?」
人気の高いこの大会でここまで来るだけでも評価されることだが、3位に入れば魔闘師として優秀という評価が得られ、卒業後も良い就職先が選べることになる。
今後のことを考えれば、何としても勝ちたいと思うのが普通だ。
そのため、了の対戦相手の鈴木は、気合の入った表情をしている。
選手控室のモニターでその表情を見ていた伸は、自分の感じたままに呟いた。
というのも、気合を入れることは間違いではないが、入れすぎると余計な力が入って本来の実力が出せなくなる可能性がある。
競馬でも良くあることだ。
石塚はそこまでとは思っていないようだが、伸は鈴木がその状態に近いように見えた。
「了の方は……」
鈴木の後に了の姿がモニターに映し出される。
昨日は少しテンション高かったため、あの後ちゃんと寝られたのか気になるところだ。
「……大丈夫そうだな」
「あぁ……」
了の表情を見ると、こちらも気合が入っているように見える。
しかし、鈴木とは違い、セコンドの吉井と会話をしている了には僅かだが笑みも見えている。
それを見た伸と石塚は、体調面は大丈夫そうだと安心した。
「……勝てるか?」
「……たぶんな」
石塚の問いに、伸は「どっちが?」という問いは返さない。
了のことを聞いているのだと分かっているからだ。
そのため、伸は自分の予想を口にする。
「勝つって言いきれないか?」
伸が予想すると大体当たっている。
そのため、今回も了が勝利する予想をしてくれることを期待していた石塚だったが、微妙な返答に首を傾げる。
「柊なら問題ない相手だったが、了からすると苦手なタイプだからな」
了が勝つと言いきれない理由。
それは、相性の問題だ。
綾愛は剣術も魔術も全て高レベルで使いこなせるため、鈴木を相手にしても接近・遠距離のどちらでも対抗できる。
しかし、了は接近戦は綾愛にも引けを取らないほどの技術を持っているが、遠距離からの攻撃となると手札が少ない。
元々は魔力を飛ばすことができないくらい遠距離戦が不得意だったが、今ではそれも解消された。
とはいえ、遠距離攻撃が得意な人間と闘えるほど上達したわけではない。
あくまでも、距離を取られたら何もできないという状態ではなくなったというくらいだ。
いまだに了は魔術重視の戦闘スタイルの人間に苦手意識を持っているため、それが出なければ何とかなると伸は思っている。
「始め!」
伸が予想をしている間に試合が開始された。
「ハッ!!」
開始早々に超加速しての居合斬りという了の得意技を読んだのか、鈴木がすぐさま魔術を連射する。
魔力量のことを考えているのか怪しいくらいの魔力弾の数だ。
“タンッ! タタンッ!”
「おぉ……!」
了の動きに、伸は驚きの声を上げる。
綾愛とは違い、素早いステップで魔力弾を躱しながら、鈴木との距離を詰めて行っている。
了にしては珍しく、華麗という動きと言ってもいいくらいだ。
「クッ! このっ!」
了の動きを見て、恐らく昨日の綾愛との戦いが頭をよぎったのだろう。
近付かせまいと、鈴木は更に魔力弾の数を増やした。
その様子は、もう完全に魔力切れのことは頭にないだろう。
「ハッ!」
「あっ……」
近づくほどに危険になるなか、お構いなしと言わんばかりに距離を詰めた了が木刀を振るう。
遠距離戦は得意でも接近戦は苦手なのか、了の攻撃に成すすべなく、鈴木は喉元に木刀を突き付けられることになった。
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