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3学年 後期
第236話
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「お前……」
「どうして……」
試合の最中に現れた人間に、伸と綾愛は戸惑いの声を上げる。
「……おいっ!」
「あいつって……」
「何で……」
会場中もざわついている。
その理由は、決勝戦に乱入者が現れたことによるものだけではなく、その人間がこの場にいることが信じられないためだ。
「……生きていたのか? 鷹藤文康……」
伸が話しかける。
現れた文康に対して。
文康と言えば、夏休み中に鷹藤家に出現したオレガリオという魔人によって誘拐され、生死不明の行方不明になっていた。
警察や鷹藤家の捜索も実らず、半ば絶望的状態となっていた文康が、元気な状態でいきなり現れたのだから、会場にいる誰もが驚くのも無理はない。
「んっ? 誰だお前?」
「…………」
問いかけられた文康は、伸の顔を見て首を傾げて問い返してくる。
言葉だけだ聞くとイラっと来るが、よく考えたら文康と話したことなどほとんどないため、自分を知らないのも無理はないと無言で納得していた。
「そうか! お前が柊家の婿だとかいう奴か?」
「……そうだ」
鷹藤家からの干渉を防ぐため、伸は綾愛の婚約者と言うことになっている。
そのため、文康の言葉に頷きで返す。
「お前に用はない。引っ込んでろ。俺が用があるのはお前だ! 柊綾愛!」
「…………私?」
伸に対して、元々眼中にないような物言いをする文康。
その次に発せられた言葉からも分かるように、狙いは綾愛の方のようだ。
「柊家のくせに調子に乗りやがって! この国の魔闘師は全員鷹藤家の下に存在しているにいすぎない! 他の家が上に来るなどあり得ないんだ!」
去年犯罪を犯して官林学園を退学になり、誘拐されるまで自宅謹慎をおこなっているという話を聞いていたが、傲慢・我儘な性格は変わっていないようだ。
魔闘師の頂点は鷹藤家。
それ以外は、鷹藤家を引き立てるために存在しているに過ぎないという傲慢な考えと、人気を柊家に取られたことが気にくわないという我儘。
聞くに値しないお子様な考えだ。
「それに貴様! 以前俺と婚約することなんて死んでも嫌だとか抜かしやがったな!? それで選んだのが聞いたこともないような家の人間だなんてふざけんじゃねえ!!」
怒りをぶちまけているうちに思い出したのか、文康は去年の夏の話を持ち出してきた。
綾愛が、鷹藤家から文康・道康のどちらかと婚約の打診を受けたときの話だ。
元々興味がなかった相手だった上に、魔物をけしかけようとしていたという話を知ってしまったため、文康・道康の兄弟は嫌悪の対象でしかなくなっていた。
そのため、綾愛は完全に拒否する言葉として、「死んでも嫌だ」と言った時の話だ。
「……それで? 結局何が言いたいの?」
「簡単な話だ。望み通り……」
一応聞いてはいたが、真剣に取り合う必要のないことばかりだ。
なので、綾愛は文康がここに来た目的を尋ねた。
「殺してやる!!」
綾愛の問いに対し、文康は笑みと共に腰に差していた鞘から刀を抜く。
そして、その刀を綾愛に向けて、一気に殺気を膨れ上がらせた。
「そこまでだ!!」
「動くな!!」
行方不明だったとかは関係なく、乱入者であることは変わりない。
当然、それを排除するため、大会運営の委員会が雇ったであろう警備の魔闘師が文康のことを取り囲み、取り押さえに向かって行った。
「やめろ!!」
2年連続の魔人の出現。
そのこともあってか、警備の魔闘師たちは相当な実力の有している者が集められたのか、魔人の実力次第では勝つことも不可能ではないだろう。
彼らなら、任せておけば大丈夫と思う者がほとんどの中、伸は彼らに文康への接近をやめるように大声を上げた。
“ドンッ!!”
「「「「「っっっ!?」」」」
伸の静止の言葉を聞き入れることなく、武器を手に一斉に襲い掛かった警備の魔闘師たち。
そんな彼らが、文康によって吹き飛ばされる。
刀で攻撃したのではない。
ただ一瞬だけ体内の魔力を膨れ上げただけだ。
「な、なんだ?」
「この魔力量は……」
膨れ上げた魔力をそのまま身に纏い、身体強化する文康。
その魔力量に、警備の魔闘師たちは驚愕の表情で呟く。
以前の文康からは想像できない程の魔力量。
その魔力量で身体強化しているとなると、文康は相当な強さであるということだ。
プロの、しかも高ランクの魔闘師である自分たちよりも上の実力を持つ高校生が存在しているなんて信じられない。
そのため、彼らは文康に襲い掛かるのが躊躇われた。
「退がれ!! あんたらじゃそいつを捕まえることなんて無理だ!!」
「「「「「なにっ!?」」」」」
伸の言葉に怒りを滲ませる警備の魔闘師たち。
決勝まで来た時点で、相当な実力の持ち主なのは分かっているが、自分たちなら何とか勝てると思っていたからだろう。
彼らは伸の言葉を聞き流そうとした。
しかし、次の言葉によって、その考えを改めることになる。
「そいつは魔人だ!!」
「「「「「っっっ!?」」」」」
見た目は完全に文康だが、纏っている魔力は禍々しく、とても人間のものとは思えない。
それもそのはず、そこにいる文康は魔人そのものだからだ。
伸の発言を受けて、警備の魔闘師たちだけでなく、会場中の観客たちも凍り付いたのだった。
「どうして……」
試合の最中に現れた人間に、伸と綾愛は戸惑いの声を上げる。
「……おいっ!」
「あいつって……」
「何で……」
会場中もざわついている。
その理由は、決勝戦に乱入者が現れたことによるものだけではなく、その人間がこの場にいることが信じられないためだ。
「……生きていたのか? 鷹藤文康……」
伸が話しかける。
現れた文康に対して。
文康と言えば、夏休み中に鷹藤家に出現したオレガリオという魔人によって誘拐され、生死不明の行方不明になっていた。
警察や鷹藤家の捜索も実らず、半ば絶望的状態となっていた文康が、元気な状態でいきなり現れたのだから、会場にいる誰もが驚くのも無理はない。
「んっ? 誰だお前?」
「…………」
問いかけられた文康は、伸の顔を見て首を傾げて問い返してくる。
言葉だけだ聞くとイラっと来るが、よく考えたら文康と話したことなどほとんどないため、自分を知らないのも無理はないと無言で納得していた。
「そうか! お前が柊家の婿だとかいう奴か?」
「……そうだ」
鷹藤家からの干渉を防ぐため、伸は綾愛の婚約者と言うことになっている。
そのため、文康の言葉に頷きで返す。
「お前に用はない。引っ込んでろ。俺が用があるのはお前だ! 柊綾愛!」
「…………私?」
伸に対して、元々眼中にないような物言いをする文康。
その次に発せられた言葉からも分かるように、狙いは綾愛の方のようだ。
「柊家のくせに調子に乗りやがって! この国の魔闘師は全員鷹藤家の下に存在しているにいすぎない! 他の家が上に来るなどあり得ないんだ!」
去年犯罪を犯して官林学園を退学になり、誘拐されるまで自宅謹慎をおこなっているという話を聞いていたが、傲慢・我儘な性格は変わっていないようだ。
魔闘師の頂点は鷹藤家。
それ以外は、鷹藤家を引き立てるために存在しているに過ぎないという傲慢な考えと、人気を柊家に取られたことが気にくわないという我儘。
聞くに値しないお子様な考えだ。
「それに貴様! 以前俺と婚約することなんて死んでも嫌だとか抜かしやがったな!? それで選んだのが聞いたこともないような家の人間だなんてふざけんじゃねえ!!」
怒りをぶちまけているうちに思い出したのか、文康は去年の夏の話を持ち出してきた。
綾愛が、鷹藤家から文康・道康のどちらかと婚約の打診を受けたときの話だ。
元々興味がなかった相手だった上に、魔物をけしかけようとしていたという話を知ってしまったため、文康・道康の兄弟は嫌悪の対象でしかなくなっていた。
そのため、綾愛は完全に拒否する言葉として、「死んでも嫌だ」と言った時の話だ。
「……それで? 結局何が言いたいの?」
「簡単な話だ。望み通り……」
一応聞いてはいたが、真剣に取り合う必要のないことばかりだ。
なので、綾愛は文康がここに来た目的を尋ねた。
「殺してやる!!」
綾愛の問いに対し、文康は笑みと共に腰に差していた鞘から刀を抜く。
そして、その刀を綾愛に向けて、一気に殺気を膨れ上がらせた。
「そこまでだ!!」
「動くな!!」
行方不明だったとかは関係なく、乱入者であることは変わりない。
当然、それを排除するため、大会運営の委員会が雇ったであろう警備の魔闘師が文康のことを取り囲み、取り押さえに向かって行った。
「やめろ!!」
2年連続の魔人の出現。
そのこともあってか、警備の魔闘師たちは相当な実力の有している者が集められたのか、魔人の実力次第では勝つことも不可能ではないだろう。
彼らなら、任せておけば大丈夫と思う者がほとんどの中、伸は彼らに文康への接近をやめるように大声を上げた。
“ドンッ!!”
「「「「「っっっ!?」」」」
伸の静止の言葉を聞き入れることなく、武器を手に一斉に襲い掛かった警備の魔闘師たち。
そんな彼らが、文康によって吹き飛ばされる。
刀で攻撃したのではない。
ただ一瞬だけ体内の魔力を膨れ上げただけだ。
「な、なんだ?」
「この魔力量は……」
膨れ上げた魔力をそのまま身に纏い、身体強化する文康。
その魔力量に、警備の魔闘師たちは驚愕の表情で呟く。
以前の文康からは想像できない程の魔力量。
その魔力量で身体強化しているとなると、文康は相当な強さであるということだ。
プロの、しかも高ランクの魔闘師である自分たちよりも上の実力を持つ高校生が存在しているなんて信じられない。
そのため、彼らは文康に襲い掛かるのが躊躇われた。
「退がれ!! あんたらじゃそいつを捕まえることなんて無理だ!!」
「「「「「なにっ!?」」」」」
伸の言葉に怒りを滲ませる警備の魔闘師たち。
決勝まで来た時点で、相当な実力の持ち主なのは分かっているが、自分たちなら何とか勝てると思っていたからだろう。
彼らは伸の言葉を聞き流そうとした。
しかし、次の言葉によって、その考えを改めることになる。
「そいつは魔人だ!!」
「「「「「っっっ!?」」」」」
見た目は完全に文康だが、纏っている魔力は禍々しく、とても人間のものとは思えない。
それもそのはず、そこにいる文康は魔人そのものだからだ。
伸の発言を受けて、警備の魔闘師たちだけでなく、会場中の観客たちも凍り付いたのだった。
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