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3学年 後期
第253話
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「なっ!?」
「っ!?」
「ムッ!?」
戦いを続けていた柊家当主の俊夫と娘の綾愛は、異変を感じてオレガリオへの攻撃の手を止める。
異変を感じたのはオレガリオも同じらしく、驚きの声を上げる。
「文康の奴……」
3人が手を止めた理由。
それは、少し離れたところで文康の魔力が跳ね上がったからだ。
オレガリオは、文康が何をしたのかすぐに理解した。
何故なら、自分が先程おこなったことと同じことを文康がしたためだ。
自分の場合は魔力を回復させる程度の成果しかなかったというのに、文康の場合は魔力の量が跳ね上がっている。
つまり、パワーアップに成功したようだ。
「どうやら、あっちの方は成功したようだな?」
「あぁ、そうだな……」
2年前のモグラ魔人の兄弟の時とオレガリオが目の前でおこなったのを見たことがあるため、魔人が急激に成長する方法は理解している。
そのため、俊夫も文康がパワーアップを成功したことにすぐに気づいた。
魔力の波長が合わなければパワーアップを計るどころか弱体化、場合によっては死に至る可能性もあるというのに、オレガリオは魔力が回復しただけ、それに比べて文康は1・5倍程の魔力アップに成功した。
危険を冒して同じようにパワーアップを計ったのに、はっきり言ってオレガリオの方は失敗だったのではないかと思える。
そのことを、俊夫が嫌味のように言うと、オレガリオも渋々ながら受け入れるしかなかった。
「それにしても、危険だと教えておいたのだがな……」
魔人に変えた張本人であるからこそ、文康にはパワーアップの危険性をきちんと説明していた。
それなのに、あっさりとパワーアップを計った文康。
成功したから良いようなものの、失敗していれば最悪の結果も状況になっていたかもしれない。
そのため、文康の行動が予想外だったことをオレガリオは呟く。
「彼は感情が高ぶると考えなしなところがあるから……」
「なるほど……」
オレガリオの呟きが聞こえたらしく、綾愛がその答えを導き出す。
文康は、元々自分の感情を優先する傾向にあった。
それが、最終的に誘拐教唆犯という犯罪者になるに至った。
その綾愛の言葉を受け、オレガリオは納得したらしく頷いた。
「馬鹿の管理は大変だな……」
「……全くだ」
感情優先で動く人間。
それを管理する立場の者としては、良い面もあれば悪い面もある。
感情優先で突っ走って、データだけでは導き出せない結果をもたらすような場合もあれば、失敗によって大損害を引き寄せるような場合もあり得る。
ハイリスク・ハイリターンな人間と言うのが文康だ。
魔人になってもそれは変わらない。
柊家当主として多くの部下を持つ俊夫としては、オレガリオの今の気持ちも分からなくはない。
そんな思いから俊夫が話しかけると、オレガリオは同志を得たような気持ちで頷いた。
「まぁ、文康のことは鷹藤家に任せておけばいい。俺たちはこいつを倒すだけだ」
「うんっ!」
文康は自ら祖父や父に戦いを挑んだ。
柊家のことなど頭にないだろう。
ならば、自分たちが気にするような相手ではない。
そのことを俊夫が綾愛に向かって言うと、綾愛も父と同じ思いだったためか、すんなり受け入れた。
「確かにあいつのことを気にしているわけにはいかないな」
柊親子が文康のことを鷹藤家当主の康義とその息子の康則に任せ、気にすることをやめたように、オレガリオも同じ考えに至ったようだ。
というのも、魔力が回復したことで傷を負うようなことはなくなったが、柊親子の面倒な連携攻撃によって互角の戦いを繰り広げていた。
そのため、文康のことに意識を向けることで余計な隙を生み出しかねない。
余計な傷を負えば、この均衡はあっさりと崩れてしまう。
そうならないためにも、文康のことは考えないようにしたようだ。
「かといって、このまま互角の戦いを続けて時間をかけるのは問題だな……」
今の状態で互角ならば、はっきり言ってオレガリオにとっては問題ではないが、時間をかけると自分たち魔族にとっては不利になる。
皇都周辺の魔闘師たちが集まり、名門家の魔闘師たちの援護をおこなうようになれば、折角世界中から集めた魔人たちが死滅してしまうことになる。
そこいらの魔闘師なんて、自分からすれば普通の人間と大差ないような存在に過ぎないが、そんな存在でも数は力になる。
自分、ましてや魔王バルタサール様からすれば何の意味も成さないが、他の魔人たちからすればそうではない。
数の力でねじ伏せるつもりでいたが、逆の立場になってしまう。
そうならないためにも、柊親子相手にこのままでいるわけにはいかない。
そう考えたオレガリオは、奥の手を使用することにした。
「待て!」
「っ!? 何でっ!?」
これまで通り、俊夫の援護をするために綾愛はオレガリオに向かって火球を放とうとする。
しかし、俊夫がそれを止める。
どうして止めるのか分からず、綾愛は思わず父に問いかけた。
「奴は何かする気だ……」
「えっ!?」
オレガリオの身に纏う魔力が、これまでとは違う反応を示す。
その異変を感じたため、俊夫は綾愛の攻撃を止めたのだ。
「…………」
俊夫の読みの鋭さに、オレガリオは内心驚く。
しかし、それを表情に出すことはなく、オレガリオは刀を構えた。
「っ!?」
「ムッ!?」
戦いを続けていた柊家当主の俊夫と娘の綾愛は、異変を感じてオレガリオへの攻撃の手を止める。
異変を感じたのはオレガリオも同じらしく、驚きの声を上げる。
「文康の奴……」
3人が手を止めた理由。
それは、少し離れたところで文康の魔力が跳ね上がったからだ。
オレガリオは、文康が何をしたのかすぐに理解した。
何故なら、自分が先程おこなったことと同じことを文康がしたためだ。
自分の場合は魔力を回復させる程度の成果しかなかったというのに、文康の場合は魔力の量が跳ね上がっている。
つまり、パワーアップに成功したようだ。
「どうやら、あっちの方は成功したようだな?」
「あぁ、そうだな……」
2年前のモグラ魔人の兄弟の時とオレガリオが目の前でおこなったのを見たことがあるため、魔人が急激に成長する方法は理解している。
そのため、俊夫も文康がパワーアップを成功したことにすぐに気づいた。
魔力の波長が合わなければパワーアップを計るどころか弱体化、場合によっては死に至る可能性もあるというのに、オレガリオは魔力が回復しただけ、それに比べて文康は1・5倍程の魔力アップに成功した。
危険を冒して同じようにパワーアップを計ったのに、はっきり言ってオレガリオの方は失敗だったのではないかと思える。
そのことを、俊夫が嫌味のように言うと、オレガリオも渋々ながら受け入れるしかなかった。
「それにしても、危険だと教えておいたのだがな……」
魔人に変えた張本人であるからこそ、文康にはパワーアップの危険性をきちんと説明していた。
それなのに、あっさりとパワーアップを計った文康。
成功したから良いようなものの、失敗していれば最悪の結果も状況になっていたかもしれない。
そのため、文康の行動が予想外だったことをオレガリオは呟く。
「彼は感情が高ぶると考えなしなところがあるから……」
「なるほど……」
オレガリオの呟きが聞こえたらしく、綾愛がその答えを導き出す。
文康は、元々自分の感情を優先する傾向にあった。
それが、最終的に誘拐教唆犯という犯罪者になるに至った。
その綾愛の言葉を受け、オレガリオは納得したらしく頷いた。
「馬鹿の管理は大変だな……」
「……全くだ」
感情優先で動く人間。
それを管理する立場の者としては、良い面もあれば悪い面もある。
感情優先で突っ走って、データだけでは導き出せない結果をもたらすような場合もあれば、失敗によって大損害を引き寄せるような場合もあり得る。
ハイリスク・ハイリターンな人間と言うのが文康だ。
魔人になってもそれは変わらない。
柊家当主として多くの部下を持つ俊夫としては、オレガリオの今の気持ちも分からなくはない。
そんな思いから俊夫が話しかけると、オレガリオは同志を得たような気持ちで頷いた。
「まぁ、文康のことは鷹藤家に任せておけばいい。俺たちはこいつを倒すだけだ」
「うんっ!」
文康は自ら祖父や父に戦いを挑んだ。
柊家のことなど頭にないだろう。
ならば、自分たちが気にするような相手ではない。
そのことを俊夫が綾愛に向かって言うと、綾愛も父と同じ思いだったためか、すんなり受け入れた。
「確かにあいつのことを気にしているわけにはいかないな」
柊親子が文康のことを鷹藤家当主の康義とその息子の康則に任せ、気にすることをやめたように、オレガリオも同じ考えに至ったようだ。
というのも、魔力が回復したことで傷を負うようなことはなくなったが、柊親子の面倒な連携攻撃によって互角の戦いを繰り広げていた。
そのため、文康のことに意識を向けることで余計な隙を生み出しかねない。
余計な傷を負えば、この均衡はあっさりと崩れてしまう。
そうならないためにも、文康のことは考えないようにしたようだ。
「かといって、このまま互角の戦いを続けて時間をかけるのは問題だな……」
今の状態で互角ならば、はっきり言ってオレガリオにとっては問題ではないが、時間をかけると自分たち魔族にとっては不利になる。
皇都周辺の魔闘師たちが集まり、名門家の魔闘師たちの援護をおこなうようになれば、折角世界中から集めた魔人たちが死滅してしまうことになる。
そこいらの魔闘師なんて、自分からすれば普通の人間と大差ないような存在に過ぎないが、そんな存在でも数は力になる。
自分、ましてや魔王バルタサール様からすれば何の意味も成さないが、他の魔人たちからすればそうではない。
数の力でねじ伏せるつもりでいたが、逆の立場になってしまう。
そうならないためにも、柊親子相手にこのままでいるわけにはいかない。
そう考えたオレガリオは、奥の手を使用することにした。
「待て!」
「っ!? 何でっ!?」
これまで通り、俊夫の援護をするために綾愛はオレガリオに向かって火球を放とうとする。
しかし、俊夫がそれを止める。
どうして止めるのか分からず、綾愛は思わず父に問いかけた。
「奴は何かする気だ……」
「えっ!?」
オレガリオの身に纏う魔力が、これまでとは違う反応を示す。
その異変を感じたため、俊夫は綾愛の攻撃を止めたのだ。
「…………」
俊夫の読みの鋭さに、オレガリオは内心驚く。
しかし、それを表情に出すことはなく、オレガリオは刀を構えた。
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