小天使リフィエルのグダグダ転生記~どこにでもいるごく普通の高校生に異世界を救わせてみた~

もみじ

文字の大きさ
13 / 16

第13話:スライムにも勝てない弱小勇者。

しおりを挟む
「入れ、入れ!」

俺はリフィの入ったゴミ袋をゲシゲシ蹴って押し込む。

「痛、痛い!ちょっと辞めるっス!!入らないっス!!!」
「なんだリフィ、もうどん詰まりか?」
「シュートが思った以上に狭かったっス、こうなったら琥太郎君、サラダ油持ってくるっス!」
「そんなの持ってきてどうするんだよ?」
「滑らないなら、滑るようにすれば良いっス。ローションのように自分の体に塗りたくるっス!」
「はっ!?何だってー!!馬鹿は辞めろ、そんなことしたら全身ヌルヌルになるぞ」
「止めてくれるな琥太郎君」
「分かった・・・」

 俺は厨房からサラダ油一缶くすねてくるとリフィの体にドバドバかけた。

「よし、これでOKっス。では言ってくるっス」

 リフィは敬礼するとダストシュートの中に入っていった。おお、滑る滑る、見事滑って焼却炉に向かっていく。流石はサラダ油だ。

「よいしょっ、よいしょっ・・・ふぅ、やっとマグマだまりに出たっス。うぁ~あっちぃ!早くしないとから揚げになっちゃうっス。急ぐっス」

「え~と、結界の中心はどこっスかねぇ~、あったこの部屋っス。流石スマフォ、最短距離が手に取るように分かるっス」

 リフィは大きな扉を開けた。

「貴様ここで何をしている?」
「うげぇっ!?アブラギッシュ、なぜここに??」
「何故って私は魔王様にここの守護を任されているからな」
「あれ?ギッシュなんか顔ボコボコっス」
「それが昨夜魔王様の部屋でやっていたことがバレてな。この通りフルボッコさ、ハハ・・・て今はそんなこと関係なぁ~い!天使貴様どうやってここまで来た?そしてなぜ私よりアブラギっている、答えろ!」
「あぁ~それがっスねぇ・・・スマフォ見るっス」
「何だそれは?」
「簡単に言うと時を記録する道具っス。これは昨晩撮った魔王と琥太郎君のツーショットっス」
「ぐはぁっ!は、鼻血がぁぁぁ!!」
「相変わらず魔王の裸見ると大ダメージっスね、でもこれが何を意味してるか分かるっスよね?」
「何だと言うのだ?」
「やっぱ君はバカっス。良いっスか?若い男女が裸でイチャコラ、あとは子供出来てハッピーエンドっス。ドゥ~ユーアンダースタン?」
「な!?・・・ふ、ふぉぉぉぉ~!!!おのれ人間、よくも、よくも私の魔王様を汚したな、許さん、許さんぞぉぉぉ~!」

 急にアブラギッシュの筋肉が盛り上がって衣服がはち切れる。

「待っていろ琥太郎、今殺しに行ってやる!」

 バシューン!!

 アブラギッシュの体から物凄いエネルギーが発せられたと思いきや次の瞬間には爆音をたてて飛び立って行ってしまった。

「ふっ、冷静を欠いてぶっ飛んで行っちまいやがった。あいつつくづくバカっス。これで結界を形成している宝玉を守るものは誰もいない(笑」

   ―一方食堂では―

「えぇ~と、俺は一騒動起こせばいいんだよな?マジ頼むぞリフィ、お前が失敗したら今度こそ俺は殺される」

 俺はテーブルの上に立った。
 思えばろくでもない大冒険だった、リフィに殺され、スライムに襲われ、魔王城できっつい下働きをさせられた。でも悪い事ばかりではない、魔王の裸を見た、魔王の股を見た、魔王にトキめいた、あれ?おっかしいなぁ~なんか魔王に好感しかない。

「おい琥太郎!神聖なるテーブルの上に立つたぁ何事だ!とっとと降りろ!!」
「俺は魔王様のある重大な秘密を握ってしまった、今からそれを打ち明けようと思う!
「な、なんだってー!!」

 魔物一同仰天する。

「実は魔王様、自分の胸の無さを気にしてらっしゃる!こんな自分は皆の魔王に相応しいのか大いに悩んでおられるのだ!」

 ・・・

 賑やかだった食堂が静まり返る。
 沸騰する鍋の音が聞こえてくるほどに。

「琥太郎、貴様・・・ついにバラしおったな」
「へっ?ま・・・魔王様!?」

 すぐ後ろに魔王が立っていた!いつの間に?全く気付かなかったよ!!
 魔物が恐々とする中、俺は重くなった空気を押し退けてさらに言葉を続けた。

「お前等!胸は好きか!?」

 シーン・・・

「おっきい胸は好きか!?」

 シーン・・・

「コ~タ~ロ~ウ・・・よほど殺されたいと見える」
「じゃあ、魔王様は好きかぁ~!?」
「え?」
「ちょっと我儘で傲慢だけど、それでも皆と仲良くしたい不器用な魔王が、俺は死ぬほど大好きだぁぁぁー!!!」
「何を言っておる!?いくら生き延びたいからと言って今更そんな事言っても遅いぞ」

「ボクも好きです!」
「何ぞ?」
「オレもオレも」
「ソチら突然どうした?」
「私も魔王様が大好きです!」

 魔物達が一斉に沸き立つ。

「お前等、一体どうしたと言うのだ?」
「魔王様、これが皆の答えです、皆あなたの強さ、傲慢さ、美しさに惹かれてここにいるのです、ちっぱいが何ですか?裸が何だと言うのですか?魔王なら胸を張ってください。そんな魔王が、俺は大好きです!」
「こ、琥太郎・・・貴様と言う奴は」

 ホロリと水玉が落ちる、鬼の目にも涙、魔王の目から涙がポロポロと、涙が止めどなくこぼれ落ちる。
 ”実に汚い泣き顔だ”
 俺はこれが見れて満足だ。

 ズゥドォーン!!
 巨大な隕石でも落ちてきたかのような爆発音が食堂に鳴り響く。

「何の音だ!?」

「アブラギ、何故ソチがここにいる!?宝玉の守りはどうした?」

「琥太郎、今のは魔王様の事か?魔王様の事かぁぁぁぁ!!!」

 ズドンッ!

 俺の体を丸太のようなぶっとい腕が貫いた。

「100%アブラギッシュの戦略的パンチだ、人間如きがこの技で死ねるなら光栄と思え」
「アブラギ、何てことをしおる!誰が琥太郎を殺せと命じた!」

ぐはっ・・・
俺は口から大量の血を吐いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

異世界に無一文投下!?鑑定士ナギの至福拠点作り

花垣 雷
ファンタジー
「何もないなら、創ればいい。等価交換(ルール)は俺が書き換える!」 一文無しで異世界へ放り出された日本人・ナギ。 彼が持つ唯一の武器は、万物を解析し組み替える【鑑定】と【等価交換】のスキルだった。 ナギは行き倒れ寸前で出会った、最強の女騎士エリスと出会う。現代知識とチート能力を駆使して愛する家族と仲間たちのために「至福の居場所」を築き上げる、異世界拠点ファンタジーストーリー!

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

処理中です...