御伽ヒロイック学院 ーラノベ主人公科ー

もみじ

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プロローグ2

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 共産都市へと変貌した神園。その象徴とも言えるオトギタワーから放たれた粛清兵器プロレタリアの一閃は沖ノ鳥島を一瞬で蒸発させてしまう。ただの一撃で国土面積に匹敵する経済水域を失った日本。プロレタリアの第二射を阻止するべくタワーに突入するジャスティスだったがそれはエンゲルスの罠だった。

 ビル群の中でも一際高くそびえるオトギタワー、地上200メートルからのぞかみそのは不気味な静寂に包まれていた。
 塔の大時計が六時をきざみ、東の空が明るむ。神園の街を背景にかのメシアの如くはりつけにされるジャスティス。

「フㇷㇷ・・・無様だなジャスティス、希望を失っては力が出まい」

 ニヒルな笑みを浮かべ、巨大な砲にまたがる男。マントに中世西洋貴族を彷彿ほうふつとさせる出立いでたち、色白の肌に立派な顎鬚あごひげたくわえたゴリラ顔の男。三角帽からのぞかせる瞳が怪しく光る。

「見よ、左翼の新たなる夜明けだ!せめてもの情けに貴様が守ってきたこの街と共に葬ってやろう。最後に言い残す事は無いかジャスティス?」
「絶望という言葉にも望みはある。オレはまだ諦めていないぞ、エンゲルス」
「フン、戯言ざれごとを。歴史に下らぬ言葉を刻んだな。ならば無産主義砲のつゆと消えるがいい!」

 無慈悲な砲口がジャスティスをとらえる。
プロレタリアの振動に大気は震え、周囲の瓦礫が小刻みに音を上げる。機械音の高鳴りが、ジャスティスの最期を刻一刻と告げた。

「さらばだジャスティス」

 エンゲルスは拳に握りしめたプロレタリアの発射ボタンを高らかに押す。

              カッ!!!!

 閃光と共に周囲のものがまたたく間に消し飛ぶ。爆音すらかき消し、ただ白光のみが世界を白く染め上げた。無慈悲な光がジャスティスの体を焼き、四方に四散する。

「フハハハハ、流石はプロレタリア、これではあのジャスティスも跡形すら残すまい」

 勝利を確信し高笑いするエンゲルス。しかしそれは唐突に止んだ。

「何だと?」

 エンゲルスの眼前に広がる神園。島をも消し去るプロレタリアの業火がたかだか町一つ薙ぎ払えぬ訳がない。

「残念だったなエンゲルス、オレはまだ生きている!」

 その言葉にエンゲルスはふと我に返る。
 そこには天鎖てんさを引き千切り、金色の輝きを放つジャスティスの姿があった。

「ば・・・馬鹿な、プロレタリアの一撃を受けて何故生きている?」
「お前に見せるのは初めてだったな、これこそ正義を貫くための新たな姿、ディヴァインフォームだ!島をも穿うがつその力、頂いたぞ!」
「なるほど、えたのではなく取り込んだのか、それがそのフォームの真価・・・だが!プロレタリアの真の恐ろしさは連射にある。避ければ街が消し飛ぶぞ。死ね!ジャスティス」

 エンゲルスはコントローラーを前に突き出し、ボタンを猛連打する。ジャスティスも咄嗟にキックで応戦した。
 プロレタリアとジャスティキック。互いの波動が激しくぶつかり、やり場を失ったエネルギーがほとばしる。衝撃でジャスティスの面にひびが入る。

「フハハハハ、プロレタリア一発分のエネルギーではこの連射を受け切れまい。そのディヴァインフォームとやらも一度の吸収量には限界があろう」
「そんなものないさ」
「何?」

 エンゲルスのほおを汗が伝う。じわじわと、そして確実にジャスティスを追いつめるプロレタリアの光。しかしそれはあと一歩の所で押しとどめられていた。
 光が、希望がジャスティスにつどう。

「それは何だ、何を取り込んでいる!」
「夢、希望、皆の願い・・・明日がある限りオレは無限に強くなる!」

 光は次第に大きくなり、ついにプロレタリアを圧倒する。砲身がギシギシと音を立て、エンゲルスのボタン連打が限界を超える。

「ありえない、民が貧困を知らぬ若僧を支持すると言うのか?」
「違うな、オレが支持されているのではなくお前が支持されていないだけだ!確かに格差の無い社会は魅力的だ。だが平等に支配された世界に誰が憧れ、希望を抱く?違うからこそ人は人をうらやみ、高みを目指して頑張れる。その果ての結末なら本望、貴様が思うほど人は弱くはない!!」

 朝日が上り、ジャスティスの後光に光が差す。まるで希望の光が彼の背を後押しするかのように男の目には映った。必殺のキックが砲身を貫き粛清の象徴プロレタリアは悲痛な金切音を上げぜる。

「そ、そんな・・・バカなあぁぁぁ!!!!」

 共産貴族最後の男の断末魔が天空にとどろく。その衝撃で雲は一掃され、空を晴天へと変えた。
 少し高さを失ったオトギタワー。そのいただきは清々しいほど見渡しが良くなり、ジャスティスは天から神園の街を一望した。体の各カ所から熱を排出するジャスティスアーマー。その姿に戦いを見守っていた人々は勝利を確信し、歓喜に狂喜乱舞する。
 そう、世界は再び救われたのだ。
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