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出会い
逃げる
しおりを挟むとてつもない魔物の叫び声…
この気配は…やばい…
何かが段々と近づいてくる…足音と振動が段々と大きく…近づいてくる気配が分かる。
得体の知れない恐怖を感じながら、俺たちは息をのみ待ち構えた。
そしてその魔獣が姿を………あらわした…
俺たちは絶望して思わず口をあんぐりと開けてしまう。
「………デケぇ。」
カエデも表情を変えないように努力しているように見えたが、
密接していた身体の震えがこちらまで伝わってきた。
「ガーゴイルとケルベロスが融合した幻獣種…グリゴリス、SSSランクの魔獣よ。
なぜこんなモンスターがこんなところに…」
おれはハッとした、このダンジョンの異様さに。
「…だからだ。…だからこのダンジョンにはモンスターがいなかったんだ…。」
「どういうことですか!?」
ニャミスが慌てて俺に聞く。
「こんな魔獣がいたら、他のチンケなモンスター何てこのダンジョンに近づくはず
がない!先遣隊のダンジョン内の探索時にコイツが感知スキルに引っかからなかった
のは強大過ぎて感知できなかったんだ!
そして、さっきの呪文は恐らく魔獣を呼び寄せてしまう呪文…ゴールドネイル。」
「…どうする?」
こんな時でも普段と様子が変わらないクー、
「どうするって逃げるしかないでしょ!」
カエデが全力で後方へ走り出すと、
それに続いて俺たちもグリゴリスから遠ざかるように全力で逃げだす。
…しかし逃げ道がないダンジョンの中、グリゴリスをおびき寄せてしまった
俺たちに助かる方法何て………どうすりゃいいんだ…。
「くそ!このまま逃げてても埒が明かねえぞ!」
「じゃあ止まってみる!?
私たち何てグレゴリスの前に立ち止まっていたら一瞬で餌になっちゃうわよ!」
うーんと表情を変えずに走っているクーが何かを閃いたようにポンと手を叩く。
「…もう一回プルパンテやってみる?」
「「それだ!」」
俺とカエデが奇跡的にハモった。
「…おk。」
クーが再びプルパンテの呪文を唱える。
俺は必死に願いを込めながら祈った…
せめて…転移と言わずとも…アイツを足止めできるような魔法を…。
次の瞬間、クーが呪文の詠唱を終えると、効果は直ぐに発揮された。
すぐに分かった、何故なら今度の呪文は目に見えてすぐに理解できるものだったからだ。
「グレゴリスが2体に増えたわね…。」
「…ピコ―の呪文。」
「クー!凄いです!!あんなに大きなものを完璧にコピーできるなんて!
将来はきっと大魔導士ですね!」
「………。」
もうダメだ…みんな今までありがとう。結局タイトルも粗筋も全く回収できなかったけ
ど、ここまで俺の冒険に付き合ってくれたことにひたすら感謝します。
またどこかで会えたら―
「やばい、行き止まりよ!崖だわ!」
最期の挨拶ぐらい、しっかり言わせてくれ。
2体のグレゴリスが俺たちを追って近づいてくる。
凄い地鳴りだ…もう逃げ道はない。
「クー、最後のプルパンテ!…よろしく頼む。」
「…了解した。」
クーが呪文を唱え始めた矢先、崖に端に立っていた俺たちの岩の一部が崩れ落ちる。
そこに立っていたのはカエデだった。
「い…や…」
―頭より先に身体が動いた
彼女が奈落の底に落ちていきそうになった時、俺は既に走り出していた。
どうせ死ぬなら…異世界恋愛の悲恋もののように、ヒロインを助けて命を落としたい。
俺は落ちる寸前の彼女の腕を掴んで、崖先へ放り投げるようにすると、
その反動で俺は奈落の底に落ちていった。
落ちていく最中、最後まで彼女たちを目で追っていると、
クーが呪文を唱え終わり、3人はどこかに転移したように見えた。
「よかった…」
そう最後につぶやくと、おれは深い深い奈落にどこまでも落ちていくのだった―
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