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令嬢婚約破棄クエスト
クエスト論争
しおりを挟む全ての料理を完食した俺たちは粗茶を頂きながらくつろいでいた。
「…お腹いっぱい。」
「ホントにどれも美味しかったですねー!」
「ああ、思いのほか旨くてびっくりしたよ。」
「なに…まるで私が料理下手だと思ってたのかしら?
これでも毎日料理してるんだから、このくらいは朝飯前よ。」
「へえー、毎日ね…。」
彼女の指を見つめながら、ついニヤニヤと笑ってしまった。
「なに?」
カエデにギロッと睨まれる。
「なんでもありません。」
俺がそっぽを向くと、ニャミスが会話に割って入ってきた。
「そういえばさっきギルドで話していたクエストってどんなものだったんですか?」
おお!そうだ!その話があった!
おれは粗茶をコトンとテーブルに置く。
「その話をしなければいけなかったな。クーからもらったクエストの
依頼内容にはこう書かれていたんだ。
聞いて驚くなよ…。」
俺はえっへんとわざとらしく咳払いをする。
「さる令嬢に婚約破棄した、さるお方との中を取り持ち婚約破棄を解消すること
報酬は出来高払い、スティグマランク無条件、詳細は面接で採用判断。」
周りの反応をみるが思ったより反応は薄かった。
「へえ、随分珍しい依頼内容ね。報酬は出来高払いになっているけど
どの程度貰えるのかしら?」
彼女は貴族階級に詳しくないのだろうか?
まあおれもラノベとアニメで見た偏った知識しか無いのだが…
「令嬢だぞ、ランクにもよるが最低でも男爵以上だ。
低く見積もっても300はくだらないだろう。」
カエデがテーブルを勢いよくバンと叩く。
「本気!?…でも婚約破棄の解消なんて…私たちにできるの?」
俺は再び粗茶をゆっくりと飲んで湯呑をテーブルに置く。
そしてニヤリと笑みを浮かべて立ち上がり、自慢気に返答した。
「俺は異世界恋愛のプロフェッショナル、
俺に解決できない婚約破棄は存在しない!!」
カッコつけてポーズを取っていると
俺の見せ場を無視するようにニャミスが話し出す。
「んー、でも問題はその面接に通るかどうかですよねえ?」
俺はさらにカッコイイポーズを取る。
「それも問題ない、心配するな。何千何万と見てきた婚約破棄ラノベ…
解決法は全て俺の頭の中に入っている!
俺に解消できない婚約破棄は存在しない!」
「………。」
アテネを除いた連中が大小様々であるが引いているようだ。
しかしそんなことは気にしない、長年培って会得したオタクスキル、
無我の境地!によって俺は鋼メンタルを手に入れていた。
「いやー、それにしてもマジもんの婚約破棄を現実に拝むことができるなんて…
生きててよかったあ。どんなタイプのやつだろ?デュフッ…デュフフフフッ。」
「…誠もしかして異世界恋愛オタクなの?
あの辺の小説は文学の最底辺よ。ちょっと引くわ…」
俺のラノベバカにされセンサーがピンと立った。
自分のことをキモイとか言われるのは構わない…
しかし!ラノベをバカにすることは許さない!
「うるさい!読んだことも無いヤツが異世界恋愛を語るな!
ライトノベルは健全な魂とピュアな心を持ったものにしか理解のできない崇高なものな
のだ!
最底辺というのはお前らのような腐った思考を持つ性に乱れた若者どもが見ている
あい〇りやテラス〇ウスとかいう嘘っぱちリアリティドラマのことだ!!」
注※そんなことありません。
「そうだ!そうだー!」
アテネが俺に便乗した。
「テラス〇ウス面白いじゃない!それに誰の魂が腐ってるって!?アンタのそれこそ偏見
じゃない!
…どうしてもって言うんなら、ちょっとは興味持ってあげても良かったのに!」
「素晴らしい考え方よカエデさん、その一歩が健全な魂を復活させる大きな一歩になるの
です!」
「貴方には言ってません!」
ニャミスとクーは粗茶をすすりながら完全に賢者モードだ。
「こうしちゃいられねえ、クエスト早く受注しておかないと!」
俺も粗茶を一気に飲み干すと論争の勝ち逃げを決め込み、駆け足でギルドに戻った。
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