異世界ラブコメは永久に不滅です!ーラブコメが廃れた世界で誰もが羨むラブラブパーティーを作ってのんびり過ごします。

ゆぱ@NieR

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令嬢婚約破棄クエスト

執事さん?

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クエスト依頼は無事受注した俺たちは2日語後、街の端にある広さだけはギルド並みの

オンボロ居酒屋で依頼を掛けた人との待ち合わせをしていた。



今回はアテネも擬人化して同行している。

丸いテーブルに5人で腰掛け、依頼人を待つ。

開口一番、カエデが不満を漏らす。


「それにしてもこんな小汚いところを集合場所にするなんて、

 依頼人はちゃんとした人なのかしら。ちょっと心配ね。」


「んー、その辺は実際に依頼人さんが来てお話を伺ってみないと

 何ともいえませんね。」


真っ当なことを言うニャミス。お前は多分聞いても判断付かないと思うがな…

にしても…このおんぼろ居酒屋、日中だってのにやけに賑わっている。

賑わっている…というよりみんな誰かを待っているように見えた。

それに見る限り、冒険者ばかりだ………まさか。


「お待たせいたしました。」


居酒屋の入口から声が聞こえ、振り向くとそこには品の良さそうな黒服の眼鏡をかけた初

老の男性が立っていた。執事といったところだろうか?


「それでは皆さま、これからクエストの面接会場にご案内します。」


「…皆さまって?」


カエデの頭上には?が一杯出ている。

やっぱりか…


「ここにいる冒険者全員が今回のクエストの面接を受けるってことだろ。」


カエデは辺りをキョロキョロと見回す。


「え…全員て…100人、30組はいるわよ!?」


「まあ、内容だけみれば美味しいクエストに見えるからな。

 感の良いやつは割の良いクエストだって気づくさ。

 詳しい話は執事さんから話があるさ。」


執事さんは俺を見てコクンと頷く。


「では、まず今回の面接についてご説明させていただきます。

 今回のクエスト内容は非常に気密性が高いものとなっておりますので

 採用が決定されるまで真の依頼主との接触は控えて頂きます。

 詳しいクエストの内容については、面接時にお話をさせて頂きますが
 
 その際には申し訳ありませんが皆さんには目隠しをさせて頂きます。

 その面接の結果、残念ながら不採用となった場合には

 今回話させて頂いた内容は機密事項扱いとさせて頂き、 

 面接時の記憶はオビリブエイト(記憶消し)の呪文で消させて頂きます。

 採用となった場合は是非ともよろしくお願いいたします。

 その段階で初めに手付金として1000万ジュリーをお支払いいたします。

 さらにクエスト成功の場合は、追加で5億ジュリーのお支払いをいたします。

 この内容で同意いただける様でしたら入口にお集まりください。

 もし、中止される場合はそのまま帰って頂いて結構です。

 集合締め切りは1時間後とさせて頂きます。

 それでは…」


というと、執事さんは音も無くどこかへ消えてしまった。

一瞬静まり返ると、一気にざわつき始める居酒屋内、



「…クエスト成功で5億…?どういうこと?」


カエデは開いた口が塞がらない様子だ。


「…ニャミス、5億ってきんぴら何杯分?」


「えーっとねえ、きんぴら一杯が大体500ジュリーだから…5億杯くらいかな?」


「…5億杯って何日分?」


「えーっと…一年が365日だから、えーっと…大体10年分くらい…かな?」


「…10年きんぴら食べ放題。」


クーは目を輝かせていた。


「ねえ、誠さん?5億で信者何人買えるかしら?」


…それぞれ思い思いの思惑があるようだが…
 
しかしこのクエストは想像以上の大物が潜んでいる可能性が高いな…

軽い気持ちで受けたクエストだが、下手を踏んだら、大変なことになるかもしれん。

まあ、俺の異世界ラブが引き寄せたものだから心配はないと思うが、

彼女たちの命まで保証できるかは不明だ。

おれはちょいちょいと人差し指で四人を集め、近くで顔を付き合わせる。


「今回のクエスト…金額面を聞いただけで何となく分かると思うが

 多分、相手は侯爵以上の貴族と思って間違いないだろう。

 執事さんの話を聞いても、この話は隠密に進めている様子だ。

 記憶を消すところまでやるってことは一般人にはかなりアンタッチャブルな

 部分が多い…つまり国の内政にも関わってくる重要な結婚なのだろう。

 金額の大きさは危険の大きさだ…、命を落とす可能性も十分に考えられる。

 まあ、俺は当然受けるんだが…お前たちに強制はできないからな。

 よく考えてから決めてくれ。」


「うーん…なんでこんなことを冒険者に頼むのかしら?

 …普通もっと信頼できる人に頼むんじゃない?」


カエデは今回のクエストを怪しんでいるようだった。

それはまあ、当然と言えば当然、仕方の無いことだろう。


「…その辺は聞いてみないことには分からないが、第三者に金で依頼するのが

 後腐れなくて一番手っ取り早いからじゃないか?ほら…貴族って勝手なイメージだが

 何か親や兄弟とドロドロした骨肉の争いを繰り広げていそうな感じというか…。

 身内には知られたらまずいことや、頼みにくい事情があるんだろ、多分。」


ニャミスがフニャフニャと唸っている。


「結局お話を聞いてみないことには何とも言えないですよねー。」


「ああ、面接を受けないことには詳細が知れないなら、とりあえず受ける他ないだろう。

 と俺は考えているが…お前たちがどうするかはお前たちに任せる。

 中身も知らないのに大丈夫だ!なんて軽々しく言えないからな。」

 
俺以外の4人がそれぞれ顔色を伺っている。

一番最初に口を開いたのはクーだった。


「…金平10年分の為なら火の中水の中ドロドロの中。」


クーの返答を聞いてニャミスも答える。


「クーが行くなら私も行きます!心配で夜も眠れませんから。」


「…しょうがないなあ、私も行くわよ。

 一応命の恩人の願いだからね…お役に立てるように頑張りますよ。」


溜息をつきながらも行くことを決めたカエデ。


「へー、4人いるなら私は行かなくても大丈夫そうですねー!

 じゃあ抜けさせてもらいま―


俺は逃げようとしているアテネの肩を力強くガシッと掴む。


「…お前は強制参加に決まってるだろ。」


―かくして全員でクエストに向かうことになった俺たちは

 居酒屋の入口で執事らしき人を待った。


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