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令嬢婚約破棄クエスト
不穏
しおりを挟む「ほう、なぜリュシー様と婚約破棄してシャルル様と結婚をされるという話に…?」
「はい…どうやら宮廷内でお嬢様にあらぬ噂が立てられているようで…
どうやら、マクシミリアン様のお耳にもその噂が入ったようで…」
「その、噂というのは?」
「根も葉もない確証のない話ばかりですが…
今回の婚約破棄の原因ともなっているお話で、お嬢様がシャルル様を
虐げているとの噂が流れ……。」
ハイハイ!!
俺は目を輝かせて頷く。
「それを心配したマクシミリアン様がシャルル様に近づき、
相談を聞いているうちに意気投合され、お互いに好意を持つようになったとのこと…」
そしてそのシャルル様を虐げたお嬢様にはもう会いたくないとおっしゃられ…
う…う…、おいたわしやお嬢様!!」
目に涙を浮かべるバルフレッドさん。
対象的に目をさらに輝かせる俺。
「なるほど!王道展開ですね!いやー分かりますよ、やっぱ、いろんなウィットに飛んだ
ものも面白くてついつまみ食いしちゃうんですけどね!でもやっぱり最終的には王道に
帰ってくるというか、テンプレ展開だの同じパターンだのと揶揄されがちですが、
やはり王道こそ至高だと思いますよ!僕は!!」
「………。」
一瞬の場の沈黙、見えていないが分かる、この場が凍り付いていることに。
限界オタクだと思っていた相手に全力でオタトークをした後、
実はオタクですら無かった時のあの感覚………
まずいな、取り繕わないとこのまま殺されかねん。
おれはコホンと咳払いし、
「なるほど…大体事情はわかりました。恐らくその婚約破棄、私ならいとも簡単に
解消できるでしょう。」
「本当でございますか!?」
「ええ、任せてください。その話を聞いただけで
あらぬ噂を流した犯人も私にはもう分かっています。
その犯人を吊し上げ、マクシミリアン大公の前に差し出し、
全て嘘だったと土下座をさせてやりましょう。
心配ありません…お嬢様は予定通りマクシミリアン大公と結婚できます。
こんなもの私の手に掛かれば朝飯前…
いや!ラノベ100巻読破前だ!!」
俺はキラーンとしたポーズを取ろうと立ち上がったが、
腕を呪文で縛られていることに気づき、また何事もなかったかのように座った。
「おお…!良く分かりませんがなんと力強いお言葉!
今まで面接を繰り返してきた数百組からは見られなかった気迫と自信!」
「任せてくれ!必ずお嬢さんをマクシミリアン大公とくっつけてやる!」
執事さんは目を閉じてうんうんと頷く。
「…皆まで聞くのは無粋でしょう…信じましょう、貴方たち5人を。」
ずっと黙っていた女性陣がようやく喋る。
「私は多分大したことできないわよ…」
「誠さんに付いていけば心配ないですよ!ね、クー?」
「…大丈夫、なんくるないさ。」
若干一名の返事が聞こえなかったが、まあ強制参加だからいいか。
「皆さんの了承も得られましたね、それではこちらが契約書になります、サインを。」
俺の前に机があったのか、そこに紙を置いた?バルフレッドさん。
ん…?
「えっと…目隠しと拘束の呪文を説いてくれないと書けないんだけど…。」
「口に咥えて書いて頂ければ問題ないですよ。」
…ん…?
「でも契約内容も確認しないといけないし…。」
「大したことは書いてありません。
ほらお前たち、誠様の口にペンを加えて差し上げなさい。
そして書くのを手伝ってあげなさい。」
「え…ちょっと、まー!!」
知らないうちに近くにいた執事たちに俺はペンを無理矢理加えさせられ、
頭を押さえつけられて契約書にサインをさせられそうになる。
「ぐっ!何しやがるテメーら!!」
俺はじたばたと必死にもがく。
「ちょっと、誠どうしたの!?アンタたち何やってんの!?
誠を離しなさい!!」
暴れながらもカエデの声が聞こえたが―
「そちらのお嬢様方たちには少し眠って頂きましょう…。」
バルフレッドはリラホーの魔法を唱えると、彼女たちの声も物音も聞こえなくなった。
必死に抵抗するが、何人もの男に身体と頭を押さえつけられた俺は
身動きが取れず、契約書にサインをしてしまったようだった。
「ふむ…少々汚いですが、まあ認識自体は問題ないでしょう…。」
「…お前ら、一体どうゆうつもりだ…。」
「話をさせて頂いた通りです。もちろん契約達成時の報酬はちゃんとお支払いします。
申し訳ありませんが…非常に内密な話になっているので私たちの監視できないところに
勝手に行かせることはできません…そのまま屋敷までご案内させて頂きます。
先に大事なことなので言っておきますが、クエストが不達成の場合は死んで頂きます。
それと逃げ出したり、もしお嬢様に今回のクエスト内容以外のことを話されたりした場
合も同様に死んで頂きます。後でそちらのお嬢様たちにもお伝えください。」
「…なんだって!?クソっ!おーい!誰か―――!!助けてくれ――――――!!」
「声を出しても外には何も聞こえません。結界魔法を張って外部との一切を遮断していま
すので…それでは一旦お休みなさいませ。」
そう言われると俺もリラホーの魔法を掛けられ、意識が遠のいていった…。
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