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令嬢婚約破棄クエスト
エスポワール嬢へ
しおりを挟む「いたたた…寝違えたわ、こんな硬い床でレディ寝かせるなんて執事失格ね…。」
「…ここどこ?」
「どこなんだろう…誠さんここはどこですか?」
「多分、バルフレッドがここに入れたってことはロレーヌ家の地下牢ってとこだろう、
詳しいことはご招待頂いた執事様に聞くしかないな。」
牢屋の鍵が空くと俺たちはバルフレッドに連れられ、屋敷の中に案内される。
その屋敷の一角のバカでかい衣裳部屋に連れてこられた。
ものすごい豪勢な服が所狭しと並んでいるが、着たら腰や首が締まりそうだ。
バルフレッドはそこに待機させていた?数人の使用人に眼で合図を送ると
使用人たちが一斉に俺たちの服を剥ぎ取り、あれよあれよと言う間に
煌びやかな衣裳を身にまとわせる。
「どういうことだ?」
俺がバルフレッドに怪訝な眼差しで質問すると、
心のこもっていない丁寧な言葉で返答がある。
「貴方たちには遠い小国のリヒテシュタイン国のボンド地方という架空の地の辺境伯とし
てクエスト達成の日までエスポワール城で過ごして頂きます。貴方たちは我々ロレーヌ
家が招待したご友人ということになっておりますのでくれぐれも
失礼のないようお願いします。
貴族としての最低限のマナーは道中でお教えしましょう。」
「…道中でってことは、ここはまだ城内ではないんだな。」
「ええ、ここはロレーヌ家の屋敷でございます。」
「そうか…それにしても随分と凝った設定だな、貴族に変装なんかするより
使用人とかの方が動きやすいんじゃないか?」
「城内を自由に動き回ることができるのは爵位を持つ方のみ。
そもそも爵位の無い人間は大公や公爵との接
触を自由にできるものではありませんので。」
なるほど…その辺はしっかり考えているんだな…まあ当たり前か。
俺に比べて4人は能天気にドレスを着せられテンションが上がっているらしい。
「招待という話だったが、何か城で催し物があるのか?」
「ええ…今日から城で行われるのは20年近く続くチェルストン会議、
諸外国も集まって行われるのは平和条約の更新と調印です。
会議とは名ばかりの貴族たちの社交場でございますが。
日数は5日間、最終日にはマクシミリアン大公とシャルル様の婚約発表が
控えております。貴方たちにはそれまでに全てを丸く収めて頂きます。
もちろん私たちロレーヌ家の使用人で可能なことであれば、全てサポートさせて
頂きます。」
「5日!?それまでに全部だと!?」
「…そういう契約になっておりますので。
お嬢様は一足先に城の方に向かっております。
質問が無ければこのまま城までご案内いたします。」
「あ、そう…契約ね。」
トボトボとバルフレッドに付いていく俺とは対照的に、
4人はキラキラと目を輝かせながら、ドレスの裾をお上品に持ち上げながら
鼻に着く煌びやかな馬車に乗せられ、エスポワール城へと向かった。
〇
道中、バルフレッドに貴族としての嗜みを一通り聞いておく。
4人は意外と興味があるらしく熱心に聞いては実際にやって見せたりして騒いでいた。
自分たちの立場が分かってるのかね、こいつら…。
森や林を抜け3時間ほど馬車に揺られて、
ようやくエスポワール城の入口に到着する。
いよいよミッション開始だ…
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