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初春の風と桜の花弁
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特にすることも無く、ぼんやりと中庭のベンチに座り、名前も知らない綺麗な花と桜を眺めていた。ぽかぽかと暖かな陽気と、ほのかに甘いような柔らかな風が頬を撫でていた。それでもまだ4月に入ったばかりのせいか、少しばかり風は冷たかった。それでもここにいる理由は、この生活を1週間してきた訳だが、ここが1番暇を潰すには最適な場所だという答えが出たからだ。
「今日はおそいな」
小さくため息を着くと、それを見計らっていたかのように中庭に植えてある植木がガサガサと音を立て中から、大きく丸い瞳をした白い毛の猫が現れ「ミャア」と一声鳴くと俺の足元に擦り寄ってきた。
「おぉ、やっほ、今日は遅かったじゃん」
猫を抱き上げぎゅっと抱き締めると、俺の腕の中で抱えられゴロゴロと喉をならして自分の顔を撫で始めた。これがここで1番の暇の潰し方。この猫が俺の相手をしてくれている。しばらく同じ体勢をとっていたが突然俺の肩に移動すると、すんっと鼻を鳴らし綺麗に地面に着地した。今日はもう帰ってしまうのだろうか。
「なんだよ、もう帰っちゃうのか?」
1度こちらを見たがすぐにお尻を向けて植木の反対にある、細道を歩いてゆく。すると猫は「ミャア」と鳴き、俺ではない誰かの足元により頭をすり寄せる。軽く失恋をしたかのようなショックを受け「あぁ」と情のない声を出してしまった。
「君の猫?とても綺麗で可愛いのね」
ソプラノの音色のように美しい声色に若干の動揺をして、ばっと顔を上げた。
ーー 思わず息をのんだ
そこには長い艶のある黒髪の周りに咲く花や桜のように、いや、それよりもはるかに綺麗な顔立ちの、セーラー服を着た同い年ぐらいの女子がいた。突然顔を上げた事に彼女も驚いたようで、黒曜石の様なそれでいて透明感のある瞳を一瞬見開き、また元に戻ると今度は目を細めこちらにヒラヒラと手を振った。
「こんにちは」
時間が早送りされているかのような不意打の出来事に心臓が激しく波打つのがはっきりと分かった。
「はっ、初めまして、こんにちはっ」
緊張で裏返ってしまい、顔が火照る。
強い風が吹いた。
桜の花弁が風と一緒に舞い、彼女と俺の間を遮る。
ふと、その隙間から見えた彼女の顔が、どこが悲しげに見えたような気がした。
「今日はおそいな」
小さくため息を着くと、それを見計らっていたかのように中庭に植えてある植木がガサガサと音を立て中から、大きく丸い瞳をした白い毛の猫が現れ「ミャア」と一声鳴くと俺の足元に擦り寄ってきた。
「おぉ、やっほ、今日は遅かったじゃん」
猫を抱き上げぎゅっと抱き締めると、俺の腕の中で抱えられゴロゴロと喉をならして自分の顔を撫で始めた。これがここで1番の暇の潰し方。この猫が俺の相手をしてくれている。しばらく同じ体勢をとっていたが突然俺の肩に移動すると、すんっと鼻を鳴らし綺麗に地面に着地した。今日はもう帰ってしまうのだろうか。
「なんだよ、もう帰っちゃうのか?」
1度こちらを見たがすぐにお尻を向けて植木の反対にある、細道を歩いてゆく。すると猫は「ミャア」と鳴き、俺ではない誰かの足元により頭をすり寄せる。軽く失恋をしたかのようなショックを受け「あぁ」と情のない声を出してしまった。
「君の猫?とても綺麗で可愛いのね」
ソプラノの音色のように美しい声色に若干の動揺をして、ばっと顔を上げた。
ーー 思わず息をのんだ
そこには長い艶のある黒髪の周りに咲く花や桜のように、いや、それよりもはるかに綺麗な顔立ちの、セーラー服を着た同い年ぐらいの女子がいた。突然顔を上げた事に彼女も驚いたようで、黒曜石の様なそれでいて透明感のある瞳を一瞬見開き、また元に戻ると今度は目を細めこちらにヒラヒラと手を振った。
「こんにちは」
時間が早送りされているかのような不意打の出来事に心臓が激しく波打つのがはっきりと分かった。
「はっ、初めまして、こんにちはっ」
緊張で裏返ってしまい、顔が火照る。
強い風が吹いた。
桜の花弁が風と一緒に舞い、彼女と俺の間を遮る。
ふと、その隙間から見えた彼女の顔が、どこが悲しげに見えたような気がした。
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