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side紬:12 9月は家族を想う④
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「今決めるって…無理でしょ!紬、熱あるんだよ?」
桃が星野に抗議をするが、星野は完全にスルーで自分のバッグをごそごそと漁っている。
「あった。これで決めよう」
星野はキラリと光るコインを見せた。
「…それって…」
25セント硬貨。去年の冬、カフェのお客さんが星野の幸せを願ってくれたものだ。星野が北斗くんとケンカして、仲直りのきっかけになった物だからよく覚えている。星野はやっぱり、大事に持ってたんだな…。
「決まってないから悩んで苦しいんじゃん。だからもう、コイントスで決めちゃお!コインの向きが表だったら、卒業後に紬は地元に戻って就職をする。裏だったら東京で頑張る。OK?」
「ええっ!」
「いや、全然OKじゃないでしょ…」
「じゃあいくよ!」
「話聞けー!」
星野は25セント硬貨を人差し指にのせて、親指で強く弾いた。
「…あ…あ…」
私はただ、コインがくるくると空中で回転して降りてくるのをおたおたしながら見ているだけ。
星野は手の甲で器用にコインを受けとめて、反対側の手でふたをした。
「さあどっちかな?」
「うぅ…」
心臓がドキドキ言って、息が苦しい。
表だったら…
裏だったら…
「紬はどっちがいい?」
「え…」
星野は手でコインを隠したまま、ニッコリと笑った。
「…選んでいいの?」
「もちろんだよ。紬の進路だもん」
私の進路…。
そう、そうだ。
おばあちゃんは大切。心配だしたくさん会いたい。でも、私は友達と離れたくないし、就職活動していく中で、東京でやりたいことも見つかってきたんだ…。
それなら答えは…
「…裏…」
星野はゆっくりと重ねた手を離していく。瞬間、「何これどうやってんの!?」桃が大きな声をあげた。
手の甲の上でコインがまっすぐ立っていたからだ。コインを受け取めた後、重ねた手がふわっと山を作っているなとは思ったけど、まさか中でこんなことになっているとは…。
「…ふっ」
私は思わず笑ってしまう。
「すごい、星野!すごすぎー!」
「ホントだよ、マジシャンになれるんじゃない?」
桃も星野の才能を称賛する。
星野はちょっとドヤ顔で、「最近練習してたんだよね」と言った。
三人でひとしきり笑った後、星野は私の手をそっと握る。
「東京で就職するの?紬」
「…うん。今、決めた」
「応援するよ、てかやっぱ私も東京で就職したいな~」
桃も迷っていたんだな、と気付く。そうだよね、私だけじゃない。
「あと…」
「うん」
「もう一つ決めたことがある」
私は星野の手をギュッと握り返して、顔をあげた。
桃が星野に抗議をするが、星野は完全にスルーで自分のバッグをごそごそと漁っている。
「あった。これで決めよう」
星野はキラリと光るコインを見せた。
「…それって…」
25セント硬貨。去年の冬、カフェのお客さんが星野の幸せを願ってくれたものだ。星野が北斗くんとケンカして、仲直りのきっかけになった物だからよく覚えている。星野はやっぱり、大事に持ってたんだな…。
「決まってないから悩んで苦しいんじゃん。だからもう、コイントスで決めちゃお!コインの向きが表だったら、卒業後に紬は地元に戻って就職をする。裏だったら東京で頑張る。OK?」
「ええっ!」
「いや、全然OKじゃないでしょ…」
「じゃあいくよ!」
「話聞けー!」
星野は25セント硬貨を人差し指にのせて、親指で強く弾いた。
「…あ…あ…」
私はただ、コインがくるくると空中で回転して降りてくるのをおたおたしながら見ているだけ。
星野は手の甲で器用にコインを受けとめて、反対側の手でふたをした。
「さあどっちかな?」
「うぅ…」
心臓がドキドキ言って、息が苦しい。
表だったら…
裏だったら…
「紬はどっちがいい?」
「え…」
星野は手でコインを隠したまま、ニッコリと笑った。
「…選んでいいの?」
「もちろんだよ。紬の進路だもん」
私の進路…。
そう、そうだ。
おばあちゃんは大切。心配だしたくさん会いたい。でも、私は友達と離れたくないし、就職活動していく中で、東京でやりたいことも見つかってきたんだ…。
それなら答えは…
「…裏…」
星野はゆっくりと重ねた手を離していく。瞬間、「何これどうやってんの!?」桃が大きな声をあげた。
手の甲の上でコインがまっすぐ立っていたからだ。コインを受け取めた後、重ねた手がふわっと山を作っているなとは思ったけど、まさか中でこんなことになっているとは…。
「…ふっ」
私は思わず笑ってしまう。
「すごい、星野!すごすぎー!」
「ホントだよ、マジシャンになれるんじゃない?」
桃も星野の才能を称賛する。
星野はちょっとドヤ顔で、「最近練習してたんだよね」と言った。
三人でひとしきり笑った後、星野は私の手をそっと握る。
「東京で就職するの?紬」
「…うん。今、決めた」
「応援するよ、てかやっぱ私も東京で就職したいな~」
桃も迷っていたんだな、と気付く。そうだよね、私だけじゃない。
「あと…」
「うん」
「もう一つ決めたことがある」
私は星野の手をギュッと握り返して、顔をあげた。
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