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DAY6-1 お外でやりたい放題
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「お~」
朝の十時、電車に乗ってやってきたのは大型ショッピングモールだ。少し前にオープンして、来てみたいと思ってたんだよね。貯めてきたお小遣いを今日はここでパーッと使っちゃいたいと思います。あの世にお金は持っていけないもんね。
とりあえず順番にお店を見ていく。
まずは本屋。
「あ~!このマンガ続き出てたんだ!ヤバ
!買わなきゃ、早く読まなきゃ!…ハッ!これ気になってた本!買お!」
次は雑貨屋。
「はわ~、このカップ可愛い~。ペンポーチもいいな~」
でも使わないよね、もう死ぬし。いくら好き放題買い物しようと思っても…さすがにやめとこ。
お昼ご飯はビュッフェ!
いろんな種類のメニューを一度に食べられるのって、良いよね。私、量はあんまり食べられないけどさ。
私はピザとパスタ、チキンとポテトなどを少しずつお皿にのせて窓辺の席につく。
「うーん、美味しい!」
今度、沙弥も誘って来ようかなぁ。沙弥もパスタ好きだし…。ついそう考えてしまって、気付く。「次」なんてないのだ。
「………」
フォークを持つ手が止まる。
「やめやめ!」
私は首を振って暗い考えを吹き飛ばした。
「もっといろいろ食べちゃおっと。それから、最後に全種類デザート食べる!」
お会計を済ませてレストランを出たら、二時くらいになっていた。まだ遊んでても大丈夫だな…。私はまたぶらぶらとお店を見ることにした。
「あっ!」
目にとまったのは服屋さん。デザインが好みすぎる。ディスプレイに飾られたワンピースはこげ茶の無地とチェックを組み合わせて作られていて、一部がプリーツスカートになっていた。
「可愛い~!」
お店に入っていろいろみてみる。
すごい!このお店、低身長でも着られる服が多い!
えー、どうしよ。このスカートも欲しいし、こっちのトップスも捨てがたい。ヤダ!アクセサリーと靴も良い感じ!
うーん、もうすぐ死んで着られなくなるけど、欲しいなぁ。こんなに気に入る服も珍しいし…。
「それ、可愛いですよね~?試着してみます~?」
お店の服を着た店員さんが声をかけてくれた。試着か、いいかも…。着てみたい。
「お願いします」
試着してみると、サイズもいい感じだし、やっぱりすごく好きなデザインだった。ネックは、明日死ぬのに今日買ってももったいない、という点だけ。
そうだ!
「あの、着て帰ってもいいですか…?」
試着室前で待っていてくれた店員さんにそう尋ねると、笑顔で承諾してくれた。着てきた服をショップのバッグに入れてくれると言う。せっかくだからトータルコーデで、靴とネックレスとベレー帽も買っちゃおう。
「スタンプカード作っておきますね~!冬のコートももうすぐ入荷するし、春物のワンピとか本当に可愛いので、ぜひまた来てください~。見るだけでも全然いいので~」
「…はい」
私は一気にスタンプの貯まったカードを眺めて悲しい気持ちになる。
もったいないなぁ。またスタンプ集めて、ノベルティもらいたい。
春物も、見に来たい。チビだからって諦めてたロングスカートのコーデとかもできるかも…。
「ありがとうございました~!」
お店を出た後もぶらぶらとお店を見て回って、疲れてきたのでそろそろ帰ることにした。外に出ると、もう薄暗くなっている。楽しい時間も終わりか、と駅までトボトボ歩いているとドンッと何かにぶつかった。
「あっ!すいません!」
顔を上げると、高校生くらいの女子だった。
「いえ…」
「大丈夫?ホントごめんね?」
女子高生と一緒にいた男子が私に謝ってくる。二人とも、日曜日なのに制服だ。模試とか、部活があったのかもしれない。
私が大丈夫だと言ってまた歩き始めると、後ろから「気を付けろよ~」とたしなめるような声が聞こえてきた。女子高生は男子の腕に自分の腕をからめて「ごめぇん」と言いながら笑っている。
「…カップルかな。いいなぁ、私も彼氏とデートとかしてみたい」
自然に出てきた言葉に、驚いて口をふさぐ。
「…なんでっ…」
なんで?
もう、死にたいと思っていたのに。
こんなにもやりたいことやほしいものが世界にはあふれているの?
願ったって、もう、叶わないのに…。
「ちがう…」
ぼろぼろこぼれ落ちる涙をそのままにして、私は気付いた。
やりたいことも、ほしいものも、全部私の心の中に在ったのだ。
朝の十時、電車に乗ってやってきたのは大型ショッピングモールだ。少し前にオープンして、来てみたいと思ってたんだよね。貯めてきたお小遣いを今日はここでパーッと使っちゃいたいと思います。あの世にお金は持っていけないもんね。
とりあえず順番にお店を見ていく。
まずは本屋。
「あ~!このマンガ続き出てたんだ!ヤバ
!買わなきゃ、早く読まなきゃ!…ハッ!これ気になってた本!買お!」
次は雑貨屋。
「はわ~、このカップ可愛い~。ペンポーチもいいな~」
でも使わないよね、もう死ぬし。いくら好き放題買い物しようと思っても…さすがにやめとこ。
お昼ご飯はビュッフェ!
いろんな種類のメニューを一度に食べられるのって、良いよね。私、量はあんまり食べられないけどさ。
私はピザとパスタ、チキンとポテトなどを少しずつお皿にのせて窓辺の席につく。
「うーん、美味しい!」
今度、沙弥も誘って来ようかなぁ。沙弥もパスタ好きだし…。ついそう考えてしまって、気付く。「次」なんてないのだ。
「………」
フォークを持つ手が止まる。
「やめやめ!」
私は首を振って暗い考えを吹き飛ばした。
「もっといろいろ食べちゃおっと。それから、最後に全種類デザート食べる!」
お会計を済ませてレストランを出たら、二時くらいになっていた。まだ遊んでても大丈夫だな…。私はまたぶらぶらとお店を見ることにした。
「あっ!」
目にとまったのは服屋さん。デザインが好みすぎる。ディスプレイに飾られたワンピースはこげ茶の無地とチェックを組み合わせて作られていて、一部がプリーツスカートになっていた。
「可愛い~!」
お店に入っていろいろみてみる。
すごい!このお店、低身長でも着られる服が多い!
えー、どうしよ。このスカートも欲しいし、こっちのトップスも捨てがたい。ヤダ!アクセサリーと靴も良い感じ!
うーん、もうすぐ死んで着られなくなるけど、欲しいなぁ。こんなに気に入る服も珍しいし…。
「それ、可愛いですよね~?試着してみます~?」
お店の服を着た店員さんが声をかけてくれた。試着か、いいかも…。着てみたい。
「お願いします」
試着してみると、サイズもいい感じだし、やっぱりすごく好きなデザインだった。ネックは、明日死ぬのに今日買ってももったいない、という点だけ。
そうだ!
「あの、着て帰ってもいいですか…?」
試着室前で待っていてくれた店員さんにそう尋ねると、笑顔で承諾してくれた。着てきた服をショップのバッグに入れてくれると言う。せっかくだからトータルコーデで、靴とネックレスとベレー帽も買っちゃおう。
「スタンプカード作っておきますね~!冬のコートももうすぐ入荷するし、春物のワンピとか本当に可愛いので、ぜひまた来てください~。見るだけでも全然いいので~」
「…はい」
私は一気にスタンプの貯まったカードを眺めて悲しい気持ちになる。
もったいないなぁ。またスタンプ集めて、ノベルティもらいたい。
春物も、見に来たい。チビだからって諦めてたロングスカートのコーデとかもできるかも…。
「ありがとうございました~!」
お店を出た後もぶらぶらとお店を見て回って、疲れてきたのでそろそろ帰ることにした。外に出ると、もう薄暗くなっている。楽しい時間も終わりか、と駅までトボトボ歩いているとドンッと何かにぶつかった。
「あっ!すいません!」
顔を上げると、高校生くらいの女子だった。
「いえ…」
「大丈夫?ホントごめんね?」
女子高生と一緒にいた男子が私に謝ってくる。二人とも、日曜日なのに制服だ。模試とか、部活があったのかもしれない。
私が大丈夫だと言ってまた歩き始めると、後ろから「気を付けろよ~」とたしなめるような声が聞こえてきた。女子高生は男子の腕に自分の腕をからめて「ごめぇん」と言いながら笑っている。
「…カップルかな。いいなぁ、私も彼氏とデートとかしてみたい」
自然に出てきた言葉に、驚いて口をふさぐ。
「…なんでっ…」
なんで?
もう、死にたいと思っていたのに。
こんなにもやりたいことやほしいものが世界にはあふれているの?
願ったって、もう、叶わないのに…。
「ちがう…」
ぼろぼろこぼれ落ちる涙をそのままにして、私は気付いた。
やりたいことも、ほしいものも、全部私の心の中に在ったのだ。
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