勇者に転生したのにステータスが全部運だった件

いつき

文字の大きさ
3 / 5

第4話:運だけでゴブリン討伐!? 勇者、村を救う

しおりを挟む
第4話:運だけでゴブリン討伐!? 勇者、村を救う

夜のギルドに緊張が走っていた。
少女の訴えに、誰もが一瞬言葉を失う。

「ゴブリンって……あのゴブリンか?」

「このタイミングで? まさか『群れ』か……?」

誰もが動揺する中、吉良だけが立ち上がった。
震える手をぐっと握りしめ、ただ一言。

「……行くよ。運だけど、俺ができることをするしかない。」

少女が驚いたように顔を上げる。
冒険者たちは鼻で笑ったり、無言で酒をすすったり、誰も期待はしていない。
だが、吉良は構わず歩き出した。



夜の村、ゴブリンの影

リンド村から南へ数キロ。問題の村「サルバ」が炎に包まれていた。
ゴブリンの群れが民家を襲い、人々は避難する暇もなく追い詰められている。

「……マジで、やばいなこれ……」

吉良は岩陰からその光景を見下ろした。
10体以上のゴブリンが村を蹂躙している。
まともな装備もなく、ステータスは相変わらず【運999】以外はゴミ。

だが、彼には武器がある。

「異常なまでの幸運」
それが、唯一にして最強のスキルだ。



幸運の一撃

「やるしかない……!」

吉良が村へ飛び出すと、すぐにゴブリンに見つかる。
唸り声とともに飛んでくる槍!

「うおおおおおおおお!!」

叫びながら転がるように避けた瞬間——
倒れていた鍋のフタが跳ね上がり、ゴブリンの顔面に直撃。

【ゴブリンAを倒した!】

「おおおおお!? 倒した! いや、倒れてくれた!!」

怒った別のゴブリンが棍棒を振り上げてくる。
だがその足元には油がこぼれており、つるん!と転倒。

その拍子に後ろにいた別のゴブリンに頭突きが決まり、ダブルノックアウト。

【ゴブリンB&Cを倒した!】

「これ……ワンチャンある……!」

まるでドミノ倒しのように、ゴブリンたちは勝手に転び、ぶつかり、火に突っ込み、井戸に落ちていく。

村人たちは茫然と見守る中、**“ただの勇者(運だけ)”**が戦場を駆け抜ける。



夜明けと、少女の涙

戦いが終わったころには、村は奇跡的に守られていた。

「……ありがとう……本当に……!」

少女が泣きながら吉良に抱きつく。

「うん……俺もびっくりしてるよ……」

──この夜、彼は初めて“誰かを救った”という実感を得た。

そしてそれは、彼の旅にとって何よりの力になったのだった。



次回予告

ギルドに戻った吉良に、ある依頼が舞い込む。

それは、かつて【運】だけではどうにもならなかった“あの男”との再会だった。

次回――
「最凶のライバル登場!? 運VS才能、初めての敗北」
運命は、そう簡単には味方してくれない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

Sランクパーティーを追放された鑑定士の俺、実は『神の眼』を持ってました〜最神神獣と最強になったので、今さら戻ってこいと言われてももう遅い〜

夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティーで地味な【鑑定】スキルを使い、仲間を支えてきたカイン。しかしある日、リーダーの勇者から「お前はもういらない」と理不尽に追放されてしまう。 絶望の淵で流れ着いた辺境の街。そこで偶然発見した古代ダンジョンが、彼の運命を変える。絶体絶命の危機に陥ったその時、彼のスキルは万物を見通す【神の眼】へと覚醒。さらに、ダンジョンの奥で伝説のもふもふ神獣「フェン」と出会い、最強の相棒を得る。 一方、カインを失った元パーティーは鑑定ミスを連発し、崩壊の一途を辿っていた。「今さら戻ってこい」と懇願されても、もう遅い。 無能と蔑まれた鑑定士の、痛快な成り上がり冒険譚が今、始まる!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

美醜逆転世界の学園に戻ったおっさんは気付かない

仙道
ファンタジー
柴田宏(しばたひろし)は学生時代から不細工といじめられ、ニートになった。 トラックにはねられ転移した先は美醜が逆転した現実世界。 しかも体は学生に戻っていたため、仕方なく学校に行くことに。 先輩、同級生、後輩でハーレムを作ってしまう。

田舎おじさんのダンジョン民宿へようこそ!〜元社畜の俺は、民宿と配信で全国初のダンジョン観光地化を目指します!〜

咲月ねむと
ファンタジー
東京での社畜生活に心身ともに疲れ果てた主人公・田中雄介(38歳)が、故郷の北海道、留咲萌町に帰郷。両親が遺したダンジョン付きの古民家を改装し、「ダンジョン民宿」として開業。偶然訪れた人気配信者との出会いをきっかけに、最初の客を迎え、民宿経営の第一歩を踏み出す。 笑えて、心温かくなるダンジョン物語。 ※この小説はフィクションです。 実在の人物、団体などとは関係ありません。 日本を舞台に繰り広げますが、架空の地名、建造物が物語には登場します。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

処理中です...