勇者に転生したのにステータスが全部運だった件

いつき

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第4話:運だけでゴブリン討伐!? 勇者、村を救う

第4話:運だけでゴブリン討伐!? 勇者、村を救う

夜のギルドに緊張が走っていた。
少女の訴えに、誰もが一瞬言葉を失う。

「ゴブリンって……あのゴブリンか?」

「このタイミングで? まさか『群れ』か……?」

誰もが動揺する中、吉良だけが立ち上がった。
震える手をぐっと握りしめ、ただ一言。

「……行くよ。運だけど、俺ができることをするしかない。」

少女が驚いたように顔を上げる。
冒険者たちは鼻で笑ったり、無言で酒をすすったり、誰も期待はしていない。
だが、吉良は構わず歩き出した。



夜の村、ゴブリンの影

リンド村から南へ数キロ。問題の村「サルバ」が炎に包まれていた。
ゴブリンの群れが民家を襲い、人々は避難する暇もなく追い詰められている。

「……マジで、やばいなこれ……」

吉良は岩陰からその光景を見下ろした。
10体以上のゴブリンが村を蹂躙している。
まともな装備もなく、ステータスは相変わらず【運999】以外はゴミ。

だが、彼には武器がある。

「異常なまでの幸運」
それが、唯一にして最強のスキルだ。



幸運の一撃

「やるしかない……!」

吉良が村へ飛び出すと、すぐにゴブリンに見つかる。
唸り声とともに飛んでくる槍!

「うおおおおおおおお!!」

叫びながら転がるように避けた瞬間——
倒れていた鍋のフタが跳ね上がり、ゴブリンの顔面に直撃。

【ゴブリンAを倒した!】

「おおおおお!? 倒した! いや、倒れてくれた!!」

怒った別のゴブリンが棍棒を振り上げてくる。
だがその足元には油がこぼれており、つるん!と転倒。

その拍子に後ろにいた別のゴブリンに頭突きが決まり、ダブルノックアウト。

【ゴブリンB&Cを倒した!】

「これ……ワンチャンある……!」

まるでドミノ倒しのように、ゴブリンたちは勝手に転び、ぶつかり、火に突っ込み、井戸に落ちていく。

村人たちは茫然と見守る中、**“ただの勇者(運だけ)”**が戦場を駆け抜ける。



夜明けと、少女の涙

戦いが終わったころには、村は奇跡的に守られていた。

「……ありがとう……本当に……!」

少女が泣きながら吉良に抱きつく。

「うん……俺もびっくりしてるよ……」

──この夜、彼は初めて“誰かを救った”という実感を得た。

そしてそれは、彼の旅にとって何よりの力になったのだった。



次回予告

ギルドに戻った吉良に、ある依頼が舞い込む。

それは、かつて【運】だけではどうにもならなかった“あの男”との再会だった。

次回――
「最凶のライバル登場!? 運VS才能、初めての敗北」
運命は、そう簡単には味方してくれない。
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