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第四話 保健室の秘密
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中学生の紗季(さき)は、最近学校の保健室に入り浸っていた。授業が嫌いという理由もあったが、何よりそこは「落ち着く場所」だった。誰もいない静かな空間に、かすかに漂う消毒液のにおい。古びたベッド。薄暗いカーテン。
——なぜだろう、ここにいると心が安らぐのだ。
そんなある日。昼休みに保健室でうたた寝していると、カーテン越しに人の気配がした。誰かが隣のベッドに横になっているらしい。だが保健の先生は出張中。生徒もいないはず。
「……誰?」
紗季が声をかけても、返事はない。だが足音もせず、確かに誰かが“そこ”にいる気配。
カーテンをそっとめくる——そこには、誰もいなかった。空っぽのベッド。
「おかしいな……」
不安に駆られ、荷物をまとめて帰ろうとした瞬間——耳元で、女の声がささやいた。
「——ここ、気持ちいいでしょう?」
振り向くと、ベッドの枕元に誰かの“後頭部”が見えた。
長い黒髪。血の気のない肌。顔は……なかった。
「わたしも、ずっとここにいるの。……いっしょに、いよう?」
ぞっとして部屋を飛び出すと、廊下の掲示板に目が留まった。
『〇年前、保健室で女子生徒死亡』——自殺。原因不明。未解決。
それ以来、紗季は決して保健室に近づかなくなった。
だが、友人が言う。
「最近、保健室行くとさ……ベッドの隙間から、誰かの髪の毛が見えるんだよね。今も誰か、寝てるのかな?」
——誰も、そんな生徒は知らないのに。
——なぜだろう、ここにいると心が安らぐのだ。
そんなある日。昼休みに保健室でうたた寝していると、カーテン越しに人の気配がした。誰かが隣のベッドに横になっているらしい。だが保健の先生は出張中。生徒もいないはず。
「……誰?」
紗季が声をかけても、返事はない。だが足音もせず、確かに誰かが“そこ”にいる気配。
カーテンをそっとめくる——そこには、誰もいなかった。空っぽのベッド。
「おかしいな……」
不安に駆られ、荷物をまとめて帰ろうとした瞬間——耳元で、女の声がささやいた。
「——ここ、気持ちいいでしょう?」
振り向くと、ベッドの枕元に誰かの“後頭部”が見えた。
長い黒髪。血の気のない肌。顔は……なかった。
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ぞっとして部屋を飛び出すと、廊下の掲示板に目が留まった。
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「最近、保健室行くとさ……ベッドの隙間から、誰かの髪の毛が見えるんだよね。今も誰か、寝てるのかな?」
——誰も、そんな生徒は知らないのに。
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