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五話目 開かずの理科準備室
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田舎の中学校に、古びた理科準備室があった。
何十年も前から「開かずの間」と呼ばれ、誰も入ってはいけないとされている。
ある日の放課後——悪ノリした三人の男子生徒が、そのドアをこじ開けた。
ギィィ……と鈍い音を立て、重たい扉はゆっくりと開く。
中は真っ暗だった。カビと薬品の混じった、鼻を突くにおい。
「うわ、気持ち悪……」
積み上がるホルマリン漬けの標本。白く変色した剥製。
そして奥のガラス棚——そこに「何か」が詰め込まれていた。
「……これ、人形か?」
中には“顔”だけが、いくつも並んでいた。
だが、それは確かに“本物”だった。乾き、皺だらけになった人間の顔皮。
目も鼻も口もある。それが何十枚も、壁いっぱいに張り付けられていた。
「やば……帰ろう……!」
慌ててドアを閉めようとした瞬間——背後から、濡れた足音。
「返して……返してよ……」
振り返ると、理科準備室の隅に「顔のない男」が立っていた。
皮膚のない、生肉むき出しの顔。剥がされた目、口、鼻。
彼はふらふらと手を伸ばしてくる。
「おまえの顔……もらうね」
次の瞬間、三人のうち一人が絶叫した。
顔をつかまれ、そのままズルリと皮を剥がされたのだ。
まるでゴム手袋を脱がすように、顔の皮膚が引き剥がされ——悲鳴は喉の奥に吸い込まれていった。
残る二人も、走って逃げたはずだった。だが翌朝、職員室に奇妙な届け物が届いた。
薄い茶封筒。中には「三枚の顔の皮」が丁寧に折りたたまれて入っていたという。
それ以来——夜の理科準備室から、誰かの「皮を剥ぐ音」が聞こえるらしい。
ベリ……ベリ……。
何十年も前から「開かずの間」と呼ばれ、誰も入ってはいけないとされている。
ある日の放課後——悪ノリした三人の男子生徒が、そのドアをこじ開けた。
ギィィ……と鈍い音を立て、重たい扉はゆっくりと開く。
中は真っ暗だった。カビと薬品の混じった、鼻を突くにおい。
「うわ、気持ち悪……」
積み上がるホルマリン漬けの標本。白く変色した剥製。
そして奥のガラス棚——そこに「何か」が詰め込まれていた。
「……これ、人形か?」
中には“顔”だけが、いくつも並んでいた。
だが、それは確かに“本物”だった。乾き、皺だらけになった人間の顔皮。
目も鼻も口もある。それが何十枚も、壁いっぱいに張り付けられていた。
「やば……帰ろう……!」
慌ててドアを閉めようとした瞬間——背後から、濡れた足音。
「返して……返してよ……」
振り返ると、理科準備室の隅に「顔のない男」が立っていた。
皮膚のない、生肉むき出しの顔。剥がされた目、口、鼻。
彼はふらふらと手を伸ばしてくる。
「おまえの顔……もらうね」
次の瞬間、三人のうち一人が絶叫した。
顔をつかまれ、そのままズルリと皮を剥がされたのだ。
まるでゴム手袋を脱がすように、顔の皮膚が引き剥がされ——悲鳴は喉の奥に吸い込まれていった。
残る二人も、走って逃げたはずだった。だが翌朝、職員室に奇妙な届け物が届いた。
薄い茶封筒。中には「三枚の顔の皮」が丁寧に折りたたまれて入っていたという。
それ以来——夜の理科準備室から、誰かの「皮を剥ぐ音」が聞こえるらしい。
ベリ……ベリ……。
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