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8話
しおりを挟む「そこに立って」
カーテンを開け、窓に背を向ける形で彼女を誘導する。背面から昼下がりの柔らかい日差しを受ける彼女は身体の凹凸が光の影となり映えて写る。
場所は高速鉄道沿いのホテルの高層階の一室。
黒のチュニックに、細身のジーンズを履いているが、そのスラリと伸びた足、緩めのトップスでも隠しきれていない豊満なボディラインは何度見ても撫で回したくなる程に扇情的だ。
「…はい」
「もう一度言うけど、今日はノーと言うのは無し。君は従順なペット、僕だけの。わかる?」
クッと唇を噛む様は少しでも抵抗しようというアピールだろうか、その様がむしろ僕の劣情を唆るということを彼女は理解していないらしい。
「返事は?」
「は……い…」
「今日は何で来たの?返事も無かったから来ないのかと思ってたけど」
必ず来ると確信していた。そうなるようにこの間の面談室で責めたのだから。しかし彼女の口から言わせる事でより早く理性を失わせる為にあえて尋ねる。
「その…いや………林さんが…待ってるって…言うから…」
「ふぅん、期待したんだ?」
「そんなこと…無い、です…あの、また誰かに言うとか脅されても…こ、困るから…」
「何を?」
解りきった質問。
「何がって…」
「何を言われたら困るの?」
被せる様に尋ねる。既に真っ赤な彼女の頬がより朱色に染まる。
「その…か、身体の関係を、もったこと…」
「セックスしてイキまくった事?」
「そ、そんなはっきり言わないで…」
あの時の記憶を引き出させる。
「じゃあまず上を脱いで、自分で脱ぐんだ。ゆっくりと」
「え…いきなり、ですか?」
「いきなりじゃなければ良いの?」
意地の悪い質問を返すと、また唇を噛む。人は余裕がなくなると同じ癖を極端に取るらしいが、まさしくその様だ。
「せ、せめてカーテン閉めてください…」
「言い方があるよね?」
「あの…カーテンを閉めて…ください。お願い…お願いしま…す…」
思わず口角が上がりそうになる。察しの良い女性を好きに動かす事ほど楽しいことは無い。
「だめ、脱いで」
ジッと彼女の目を見つめる。
意図は理解できたようだ。
布の擦れる音だけが部屋に響き、おずおずと脱ぎ始める。一瞬捲れた裾から見える腰は、程よく肉が付き、白くくびれている。
下には白いキャミソール、緩めの生地に隠されていたバストが強調される。ズレた肩紐を戻す仕草が悩ましく映る。
脱いだチュニックを椅子の肘掛けに置き、その紅潮した顔で僕の顔色を伺ってくる。
「これを付けて」
カバンからジャラジャラと音を立たせ、鎖のリードが付いた黒の首輪を取り出す。バンドは飾り気の無い、幅二センチ程の革製だ。
彼女の方は呆けたような表情で、取り出したそれから目を離せない様だ。
「自分で付けるんだ、いいね?」
「付けるって…だって…」
「だって?」
「これ…犬とか、そういう…」
「そう、今日の君はペットだからね」
「うぅ…」
手渡した首輪の尾錠を手で確認しながら、僕の顔を覗き込んでくるが、そのまま強めに見つめ返す。
彼女は一旦跪き、無言で自身の首にバンドを這わせて、慣れない手で何度か試行錯誤している。
垣間見える二の腕や、捲れた臍を僕が視姦していても、気にする余裕は無いらしい。
ようやく付け終わり、跪いたままの彼女の元に寄り、人差し指でバンドを手前に優しく引く。
「…ぅ…」
頸部を軽く圧迫され、息苦しい声を上げる。
「もうひと穴キツく締めて」
「はい…」
締め直させ、そのまま立つよう促す。
清楚なオーラに、似つかわしく無い異色の黒い首輪、身体を揺する度に金属音を鳴らすリードのコントラストがひどく背徳的だ。
彼女もそれがわかっているらしく、先程から腕や目線のやり場に困っているようだ。
リードの持ち手を左手首に巻きながら、僕は次の指示を出す。
リードから首輪に振動が伝わる度にはぁっと吐息を漏らす彼女。
「次はジーンズ」
呆然としていた彼女だったが急に現実に戻され、瞳の焦点が合う。
「や…恥ずかしい…」
そう言いながらも半ば無意識にファスナーに指をやっていた彼女の右手が跳ねる。
ジーッと降ろされていくファスナー、ストンと足元に落ちた生地から両足を逃す仕草が生々しい。
上はキャミソール、下はショーツだけになった彼女は窓の存在が気になるようだ。
「恥ずかしい?」
「…は、恥ずかしいです…とても…」
「これだけ天気が良いと向かいのビルから見えるかもしれないね」
「ゃ…言わないで…」
そう言いながらカーテンに手を伸ばそうとする彼女を、リードを緩く引き寄せ制する。
「こっちに来て」
ヨチヨチと短い歩幅でベッドに腰掛けた僕の方に寄る。
「恥ずかしいのによく出来たね」
子供をあやす様にわざとらしく頭を撫で、猫撫で声で褒める。
「ふ…頭撫でないで。恥ずかしい」
「ちゃんと出来たら褒めないとね、そのままそこに立って」
カバンからローターを取り出しながら、さらに僕の近くに誘導する。
「使ったことは?」
「ないです…」
カァッと頬を赤らめながらピンクのうずら玉子サイズのそれから目を逸らしている。
「使われたことは?」
「無いです!」
「…興味は?」
「ぁ、あるわけ、無いです…」
「ふぅん、でも知ってはいるんだね」
「うぅ…あんまり意地悪…しないでください…」
なんともいじらしい。
「じゃあゲームをしようか」
「ひぅ!」
リードを強めに引き寄せ、お互いの足が当たる距離まで詰めさせる。
「五分立ってられたら、今日はここまでにしよう」
懐疑的な目で見つめ返してくる彼女。
「時間はあのデジタル時計でいいか。ローターを手で邪魔しないようにね」
枕元に据え付けられた大きめの時計を顎で指す。
「そんなこと…」
スイッチを入れ、ブゥンと呻めき始めたローターを彼女の内腿に這わせる。
「ゃ…もし立って、いや駄目だったらどうな、ひゃぁ!」
言い終わらない内に、ショーツのクリトリス辺りに触れるか触れないかの強さで当てる。モーター音が収まる代わりにその微細な振動が彼女の敏感な部分に吸い込まれていく。
生地越しでもわかるほど、そこはニュルリと滑っていた。
「何?」
「ゃ、はっ…な、なに…これ…まって…」
一度上部にずらす。
「何て?」
「ぅ…その…もし立ってられなかったら、どう…するんですか…ひぁぁ…」
「別に何も。続けるだけ」
「そんな、ぁ、ぁ、くぅ…」
何度か先端でクリトリス辺りを弾く。
恐らくショーツの中は溢れてきている愛液でグチャグチャになっているだろう。ローターからの摩擦を無くし、振動だけが襲うように。
「だめっ!これだめ!止めて…スイッチ…きってぇ…」
「お願い…あぁ…ぁ!ふ、ぅぅん…そこ…あ…擦らないで…おね…あぁ!」
今度はクリトリス周辺を円を書く様に嬲る。明らかに反応が変わる場所に触れないように回し、何周かしてから円を小さくし、ぷっくりと膨れているであろう敏感な部分を重点的に責める。
「ぐりぐり…はぁ…ぁん!ぐりぐり無理!もぅ…むり…むりです…ひ…はっ…」
何度か繰り返すと、ついに彼女の膝がガクガクと震え出し、両膝がくっ付く程に内股になっている。
真面目なのだろう、快感を染み込ませてくるローターを無意識に両手で拒もうとするのを抑えるように、代わりに自身の骨盤辺りを何度も何度も無意味に摩っている。
「ぁ…ぁ…ぁ…」
もう会話する余裕もなさそうだ。擦り合わせた腿に挟まれた僕の手にかけられる力もどんどん増してくる。明らかに絶頂の前兆だ。
ここまでくればもう押し付けているだけで充分だろう。
「だめ…だめ…だめ………………あぅ!」
釣り糸に引き上げられた魚のように顎を突き出し痙攣した後、膝からへたり込む。
「はぁ…はぁ…はぁ…………はぅ!…はぁ…はぁ…………ぅ!…」
押し寄せる度に徐々に弱まる快楽の波に肩を縮こませながらのまれている。
「どうだった?」
ローターを切り、呼吸が落ち着くのを待ち、尋ねる。
「………」
もう虚勢を張っても身体の反応が物語っている体たらくは悟っているらしく、まだ続いている微弱な波に身体を任せている。
「三分強くらいかな、全然だめだったね」
「じゃあ続けようか」
我ながら下衆な表情をしていたと思う。
「立ちなさい、それとも気持ち良すぎてもう腰が抜けたかな?」
「言わないで…そんなこと、ない…」
熱でもあるかのような緩慢な動作でヨロヨロと立ち上がる彼女。リードを片手に背後に回る。
「ひゃっ!」
空いている手で背筋を尾骨から指でさすり上げる。キャミソール越しにひどく汗ばんでいるのがわかる。
背筋、脇腹、鳩尾を弄び、耳元で息がかかるように伝える。
「次にイク時はちゃんと自分の口で言うんだ。『イク』でも『イキます』でも『郁美イキます』でもとにかく口に出すんだ。いいね?」
入室した時点から、精神的な被支配が快感に繋がるように調整していた。もう効果は充分彼女の身体に染み込んだだろう。
「…は…ぃ…」
ローターのスイッチを入れ、今度は背後から抱くように両腕を回しショーツ内を弄る。
「ふっ…ぅ」
堪え切れないで漏れる彼女の吐息を愉しみながら、中指をヒダに這わせていく。
明らかに素肌よりも熱くなり、すぐに指がふやけるくらいに濡れきったそこをクチュクチュと音が出るように触りながら、スイッチが入ったローターを滑り込ませ、ショーツで固定する。
ンンン…とあてがわれたローターの振動音をかき消すような嬌声が上がる。
そしてクリトリスに当たるよう位置を調整し、僕は再度ベッド端に腰掛ける。
「ん…んん…当たってます…そこ…」
「どこに?」
「いや、言わせないで…」
普段の彼女からは想像できないような淫らな相貌で、媚びる様な、蕩ける様な声で微かな抵抗を見せる。
「両手出して」
緩慢に差し出された両手を、僕の両手で握る。
「このまま。次は五分我慢するんだ」
先程までとは違い、両手で自分の骨盤を擦るかすかな抵抗も奪う。
「はっ…ぁ、ぁ、ぁ……ぁ………ぁ…」
「駄目だ、まだ我慢して」
さっきよりも早い絶頂の兆しを言葉で制する。僕の手を握る汗ばんだ彼女の両手にもなお力が入る。
「ほら、頑張って。もう少し…」
僕もグッと手に力を入れ、クリトリスに襲いかかる振動に抵抗するよう促す。
爪先立ちしたり、踵から指先に重心を置いたりと身体の重心を変えながら、与えられる振動を何処かに逃がそうと彼女も必死だ。
それでも痙攣と言って良い程に震える脚が限界の近さを物語っていた。
「でも…だめ……です…ぅ…っ……っ…っ!」
「イクときは何て言うか、わかるね?」
「はず…かし…ぁ…はっ……ぁ……ぁっ……………ぃ………ク……ぅ…!」
彼女の背筋が深い絶頂に反り返る。
ギリギリまで耐えた反動で頭から僕に崩れ落ち、膝で捉えたベッド端でようやく踏み留まり、床に転げ落ちはしなかった。
咄嗟に抱きしめる格好になったが、小さなモーターが生み出す数倍の震えるが彼女の全身から吹き出た。
「ぁ…くぅ……とまん…なぃ…」
脱力仕切った身体ではなおも快感を注ぎ込んでくるローターをずらすことも出来ず、抱かれたまま再びオルガスムスに向かおうとしている。
「ぃ…く……ぁ…っっっ…………っ…また…いっちゃい…ます……」
両腕で僕を締め付けながら囁く。
「いいよ、もう我慢しなくて良い。恥ずかしさを捨てて大きな声でイってごらん、きっと彼氏の事なんて吹き飛ぶくらい…気持ちいいから…」
「………っ…っ…ん…ぁ……あ……あ!あ!ああっ!ぃ…イクぅ!」
「郁美イっちゃいます!あ!あああっ!」
「しゅ…ごぃ…ぃく…イク!」
「ああぁぁぁぁぁ!」
華奢な女性の力とは思えない程に力んで盛大に果てる。
半ば意識が飛んだのだろうか、ビクンッビクンッと腰から何度も跳ね、僕の腕の中で彼女は動物みたいに、理性のない獣のように、何度も何度も波にのまれた。
ーーーーーーーーーー
「…ぅぅん…」
そのままベッドに添い寝する形にで、引いた汗で冷えないように抱いていた彼女の瞳に光が戻る。
「わたし…」
意識が明瞭になるにつれて、先程の痴態を思い出したのだろう。みるみるうちにクリームのように白かった彼女の頬が赤く染まる。
そんな彼女の頭を優しく撫でる。
「よく頑張ったね、偉いよ」
ますます赤くなる彼女。
もう僕に触られることへの抵抗は失った様だ。
そのまま彼女の赤みが落ち着くまで撫で
、ベッド脇に放られたリードを拾いつつ立ち上がる。
首輪の事など忘れていたのだろう。その金属音に彼女の大きな瞳が見開く。
「降りておいで、まだ君は僕のペットなんだから」
リードが張る距離まで僕が窓際の椅子に進んだところで、彼女も後に続く。
立ち上がろうとした時に、先程の余韻で膝が一度崩れたのを見逃さない。
椅子に腰掛けた僕はベッド脇にいる彼女に次の指示を出す。
「キャミソールを脱いで、そこで跪いて」
どうしたらよいか戸惑う彼女にさらに告げる。
抵抗ではなく戸惑いを見せた彼女に僕は大変に満足する。
「四つん這いになるんだ。脱ぎなさい」
「…はい…」
服を脱ぐ動作に鎖がジャラジャラと鳴る。
そして肩紐を外し、すとんとキャミソールを床に下ろす。
上下淡い白の下着、胸元にアクセントの青い小さなリボン、新調したのだろうか。
急に羞恥心が戻って来たらしく胸元で腕を組み、窓とは反対方向にずっと視線を落としている。
「両手を床につけて。膝を立てるんだ」
「はい…」
「そのままゆっくりこっちに」
「目線を下げないで、僕に視線を向けて、雄に媚びるように」
そんな事出来ませんと目で訴えてくる彼女だったが、僕と目が会うたびに視線が外れ、リードを引き強引に顔をこちらに向けさせる。
「…ぅぅ…」
徐々にこちらに向かってくる彼女だったが、恥ずかしさのあまり急いで来ることも、反発心からダラダラとくることもなく、恥ずかしさ一杯に下着から溢れる白いバストをたわわに揺らしながら迫ってくる。
「よし、もう少し」
「僕の両膝に両手を置いて。膝立ちに」
従う彼女。お互いに圧迫しあった双胸の谷間が強調される。
「良い子」
頭頂から右耳にかけて指先で撫でる。
一瞬、満更でもなく緩んだ彼女の表情が、すぐに引っ込んだ。
「自分の手をショーツに入れて」
「…いや…」
そう言いながらも右手中指の第二関節までを様子を見るように入れる。
「もっと奥まで」
僕の手で彼女の腕を取り、下に引き込む。
「どうなってるか教えて」
「どうも、なにも…」
「僕に確かめて欲しいの?」
「ちがっ…」
少し間をおいで今度は手首まで生地に隠れるほどに彼女の腕が自身の下腹部に入り込む。時折漏れる吐息が艶かしい。
「…ん…さっきより…冷え…て、乾いて…います…」
「奥は?」
「奥?…お…くは…また…熱くなってます…指を入れると…ぁ…また外まで…濡れて…」
クチッと異物の挿入を受け入れる為の潤滑液が鳴らす淫音を僕は聞き逃さない。
「そのまま中指を濡らして。クリトリスはどう?自分で触るんだ」
「皮を剥いて、ゆっくりと…」
「いや…ふっ…形が…はっきりわかり、ます…いつもより…膨らんで…るような…ぁ…それに敏感で…少し…痺れてます…」
「指は止めないで。最後に自分で触れたのは?」
「自分でって…」
「指は止めるなって言ったよね?」
「ぁ…はぃ…ぁっ…この間…寝る前に…ベッドで…」
「何を妄想しながら?」
「ゃ…言えない…じゃなくて…ひ…ぅ…」
「ちゃんと自分の声にして言うんだ」
「…………最初にホテルで……いれ…られた時の…ことを…」
「指を止めないで。ちゃんと僕の目を見て、続けて」
「だって…ぁ…ぅ、あの…太いの……ぁ、入った時の…こと…」
「続けて」
「中、押し広げられて…ぁぁ…圧迫…感すごく…て…ぇ…奥…おく……を…グッて…嫌なのに……だめ、なのに…気持ちよくなって……ふっ…ぁ…、押し込まれる、のも…っ…引き…抜かれるのも…ちゃんと、わかって……だん…んん!…だんだん…頭真っ白に…なって…ぁぁ…」
羞恥心と、溜まった想いを吐き出す排泄にも似た一種の快感、そして実際に身体を襲う刺激に挟まれ、複雑に歪んだ彼女の表情は、あらゆる情欲を孕んだ一つの怪奇な作品の様を呈していた。
「じゃあ、後はわかるね?」
彼女の、もはや自分から快楽を求めるその手を僕の股間へ導く。
「どうなっているか教えて」
初めは指先で、その存在を確かめ、掌で大きさを掴むように触れてくる。
「…強張ってます…」
「それに、じっとりと熱い…」
「太い…とても…服越しでも、形がわかります…」
「入れて欲しい?」
少し間を空け、ジャラジャラと首を横に降る。
「そう、じゃあ代わりに下を脱いで。大丈夫、今日は僕から挿入したりはしないから…」
薄い気休めにも安心したのか、抵抗なく両手で自分のショーツに手を掛け、下ろす。余程濡れていたのだろう、最後まで張り付いていた膣口部分と生地の間に糸が引く。
「僕のズボンも君が脱がすんだ」
「はい…」
ベルトに手を掛け、やや手こずりながらバックルが外れる。協力しながらも何とか脱げ、ボクサーパンツ越しに、より輪郭がわかるそれに彼女の視線が落ちる。
「や…」
「触って」
つうっと、その華奢な指先が膨張した肉塊を触るか触らないかの強さで撫でる。
「ん…」
思わず声が漏れる。手慣れているとは違う初々しい手付きがなお僕を興奮させる。
本人が意識したかはわからないが、反応に気を良くしたのか、初めは恐る恐るだった指先から次第に遠慮が薄れ、接触が濃くなる。
上下に、無機質に触れていた指先が、指の腹になり、線で撫でてくる。時折亀頭冠をクリクリと弄り、また元の動きに戻る。繰り返す度に先端から漏れ出てくるカウパーが、下着にシミを作っていく。
「…合って…ます?」
合ってるか合ってないかを尋ねてくるあたりが、なんとも彼女らしい。
「気持ち良いかを聞くんだ」
「ぇ…ぁ、ごめんなさい…」
「…気持ちいい、ですか?」
計算を感じる程の上目遣いで聞いてくる。
「うん、とても」
本音で返す。
ただ本人は気づいてないだろう。先程から潤んだ唇が小開きになっていること、鼻孔に有無を言わさず侵入するフェロモンが、脳髄を徐々に犯していることを。
あとは少し誘導すれば、戻れなくなる。
「口も使って」
一瞬の間。
「…は…い…」
ボクサーパンツのゴム部分に指をかけようとする彼女を制する。
「そこも口でするんだ」
聡い彼女は、すぐに意味を理解できたようだ。同時にただでさえ赤らみを帯びた顔が耳まで赤くなる。
そして決心したようにゆっくりと跪き、両手を僕の膝に添え、何度か僕の顔色を伺いつつ、求めるようにゆっくりと開閉する唇を近づける。
「ん…んむ……」
亀頭より上の生地を唇で挟み、竿を跨ぐように下へずらす。座ったままでは降り切らない生地をなんとかずり下げようと、側面に口を這わす。少し接触した腰骨と唇の感触に思わず喉が鳴る。
僕が腰を浮かしたことと、数度左右から下ろしたことで、ようやく腿まで到達した頃には、彼女の唾液で所々生地の色が変わっていた。
数秒、次の指示を伺っていた彼女だったが、僕が何も言わないことを察したようで、徐々に唇を亀頭へ近づける。
少し荒くなった呼吸で、林檎が地面に落ちるように、自然な、逆らえないような、そんな仕草で。
「…ん、チュ…」
緩慢な速さで、唇に先端から亀頭の半腹まで包まれる。彼女の体温と、湿りがじわじわと先から下腹部に広がる。
「…ん…ふっ…ク、チュ……」
「ぉ、おおきい……ジュ…ク…ッ…」
開いた唇で亀頭を包むのではなく、閉じた唇を亀頭の大きさで押し広げ、自分のの唇にフィットさせてくるフェラチオ。
決して歯を立てず、普段よりも分泌量の多い唾液を潤滑液にした不慣れでも天性のいやらしさを持った奉仕。
最初は自然に口内に入るだけだったカウパーを求めるように、亀頭を優しく上下するだけだった彼女に、鈴口を舐める動きが加わる。チロっと触れた後、しばらく唇を這わせ、また舌先が鈴口に触れる。今度は舌の面積をより使って舐めとろうとする動きだ。
「ん…ふっ…ふぁ…」
髪を空いた手でかき上げながら、肉棒を舐め上げる姿が艶かしい。
チュッ、チュッと鈴口に吸い付いた後、今度は唇を鈴口に当てがいながら、チロチロと口内で舌を這わせてくる。
よりカウパーを求めるように、鈴口を直接吸い上げる。
ジュッ…とその音が部屋に響く。
その音に彼女のフェラチオが止まる。自分の行為の卑猥さに気づいたようだが、もう止まらない。
「…ん、ん、ん…ぷぁ!はっ…む…ふ…」
より深く咥え込む。竿の中間まで、口に入るギリギリまで咥え、右手の親指と人差し指で輪を作り、扱く。
「くっ…」
そのねっとりと暖かな粘膜に包まれ、僕の声が漏れる。
扱き方も力任せの雑な動きではなく、ゆったりと射精を促すもの。
「んふ…ふ…ふぁ…ん、ん、ん…」
咥え込んだ後に竿に張り付かせた唇を徐々に抜く過程で、錨のように張り出た亀頭の段差に強く吸い付き、亀頭を引っ張るように抜き上げる。口内ではカウパーを漏らすまいと舌がウネウネと鈴口周辺を這う。
大雑把さを全く感じないフェラチオに思わず射精感が高まる。
「くっ、出すよ…」
「…んん?……ん、ん!ん!…ぷぁ…ん、ん、ん、ん!」
彼女も動きを早め、時たま僕の顔を見上げるように視線を投げてくる。肉棒を咥えながら、整った顔立ちで無言で射精を促すギャップが堪らない。
彼女の小さな頭を両手でがっしり掴み、喉奥までぶち込みたい衝動を堪える。あくまで彼女に導かれたい、そんな心境だった。
「んむ!んんっ!!」
ドクドクと竿が脈打ち、自分でも管の中を精液が通るのがわかるような絶頂。
「ふぅん!ん!ふっ!んんん!」
その勢いに驚きながらも必死に口内で受け止める彼女。口で受け止めろとは言っていないが、嫌がる様子は無い。むしろ迎え入れたようでもある。
口内射精を嫌がる女性も多い。潔癖なタイプだと尚更のことで、彼女もそのタイプのはずだが、もうそんな嫌悪感の順位は地に落ちているみたいだ。
しばらく波打つ棒を咥え込んだまま、為すがままに精液を受け入れた彼女は、波が収まるとフリーズする。
「吐き出して良いよ」
微塵も思っていないフォロー。
それを即座には受け入れない彼女。
「飲みたい?」
変態的な問いかけ。
まだ固まっている彼女。
「口開けて、溢れないように」
上を向き、唇を開く。白い歯の奥に、時折動く舌にまとわりつくように、真っ白な液体で満たされた口内が見える。
口を開けたことで、鼻にも匂いが通ったのだろう。射精したてであまり匂わない精液も、今の彼女にとっては中毒的な香りがするはずだ。
…ゴクン
二、三度に分け飲み込む。
「はっ…はっ…はぁ…」
「どう?」
意地悪い質問。
「…いや……聞かない、で……は、む…」
少量だが、まだ先端から漏れている精液に再度舌を這わす。それが答えのようだ。
「ん…ちゅ…ちゅ…」
まだ物欲しそうな仕草に満たされながらも、射精後の刺激は過剰なこともあり、優しく彼女の後頭部を制し、僕が座りながらのお姫様抱っこの形で彼女を抱き上げる。
「ん、んん!」
唇を奪う。
「んん!……ぷぁっ!まっ、んん!、キス、だ、んんん!だめ、ん!」
先程のフェラチオでやや動きが鈍った彼女の口を犯す。何度も。
「ん、ふぁ…んん!ん!うぅん!」
唇も性器と認めるような反応。弓反りに仰け反る。
首輪を外し、無防備な口内に執拗に舌をねじ込む。
「んん!まって!ん!そこ!」
同時に洪水状態の膣口に中指を這わせる。チュクチュクと音が鳴る程に濡れきっていた。
「はぁ、はぁ…んん…もぅ…我慢…むり…」
彼女の手から僕の両肩に体重を掛け、覆い被さる。
はっ、はっ…と整わない息遣いで見つめてくる。
「盛りきった雌犬だね」
「やっ、言わないで…」
そう言いつつ、彼女の指で肉棒を股間に当てがう。
「まだだよ」
先端ではなく中間を這わせるように下半身をせり上げる。
その摩擦でさえも今の彼女にとっては狂おしい程の刺激のようだ。
「やめ…て、もう焦らさ…ないで…ぁ…」
ズリュ…と擦れる度にその何倍の勢いで肢体を反らせる。
「ぁ、はぁ!擦れ、るぅ…や…あぁ…」
「止めて…ぃや…もっと…はぁぁ…」
「気持ち良いんでしょ?」
「んぁ…擦れ…て…気持ち…ぃぃ…ふぁ…も…もっと…」
「これ、中に挿れたらどうなるだろうね」
「駄目っ!挿れないで…それは駄目…」
「どうなるか想像して」
「いや…したく…ない…ぁぁ!」
「挿れたら?」
「ぃ…挿れたら…ふぁ…中、拡げられて…」
「拡げられて?」
「んぁ!拡げられて…はぁ!カリで…掻き乱されて…すごい…のが…」
「それで?」
「それ…でぇ…中、掻かれて…ぃゃ…想像させないで…ぁぁ!ィく…イクぅ!」
僕の胸板に両手を当てがいながら何度目かわからない絶頂。両腕で乳房を強調しながらオルガスムスを味わう姿が余りにも官能的だ。
幾度となく彼女の脳髄を襲う絶頂を見納め、なおもスロートを続ける。
「ゃ…やぁぁぁぁ!イったから!もぅ…擦らないで!」
「こんなに僕に自分から擦り付けておいて、やめても何もないだろう、ほら」
「そと!外もう無理なの?はぁぁぁ!ふぁ…お願い!」
「止めてってこと?」
「違っ、止めないで…お願い…お願い…しま…す…ぁぁ…ちゃんと……ちゃんとして…ちゃんと、ぁぁ!もぅ…はっ…我慢…無理なの…ぉ…挿れて!中に挿れて下さい!お願い!我慢できないの!中挿れ込んで!!お願い!お願いします!もう無理!前みたいに…挿れて…犯して!」
堕ちた。
でも、まだだ。
まだ許さない。
「よく言えたね。じゃあ…」
膣口に当てがう。あれだけ暴れ回っていた彼女の下半身も途端にあやされた赤子のように大人しくなる。
「…ぁ…」
一切の抵抗無く、膣口が押し広げられ、亀頭が肉壁に包まれながら深度を増していく。
「…ぁ…ぁ!」
彼女の表情、全身から、待ち侘びた瞬間をただただ受け入れる姿勢が垣間見える。
だだ亀頭が入りきった時点で挿入を止める。
「…ぁ…ぁ…は…やく…」
その華奢な身体に見合わない力で挿入を促してくるが、両臀を支え、拒む。
「ほら、ちゃんとおねだりできた通り、入ったよ」
そのまま数センチ単位でピストンする。
「違っ!やめて!」
「ん」
ピストンを止める。
「違っ、いじわる、いじわるしないで!」
聞きながらも浅いスロートを継続する。
プッ…プッ…と肉棒が出し挿れされる度に、肉壁が逃すまいと締め付けてくる甘美な圧力が堪らない。
「ぁっ!もっ…と…ぉ…くぅ…!奥まで…下さい!はぁぁ…ふぁ…焦らさ…な…ぃ…で…」
聞き流しながらも浅瀬の挿入は止めない。時折数センチ奥まで挿れ、また浅い挿入を繰り返す。
そうかと思えば膣口を拡げたまま暫く弄び、また引き抜く動作に戻る。
「ゃっ!狂…ぅ…むり…むりむり!もうむりぃぃぃ!」
先端が入り込んだ途端に膣口がキュッと
亀頭を包んでくるのがわかる。挿入をねだるように収縮する温かい彼女の中は、フェラチオをされているような錯覚を覚えるほどだ。
「すごい締めてくる」
浅いピストンを受け入れながらも、既に羞恥心が粘膜摩擦により倒錯している彼女は素直に答える。
「ぁぁ…そう、そうなの…あん!この…段差に扱かれる…感覚が…ぁ…はぁ!すごい…のっ…もっと…ほ…しぃの……突いて!お願い!入り口グチュグチュしないでぇ!」
双臀をがっちり掴まれながらも必死に体重を落とし込む彼女だったが、脱力した身体では思うように陰茎を受け入れられず、両手で自分の身体を抱きしめることしかできない。
「はぁ!ゃ、ゃ、やぁ…ぁ、ぁ、ぁ、ぁ…も…ぅ…む…りぃ…はや…く、はやくぅ…」
「何が欲しいんだっけ?」
「ゃっ…これっ、これ、ぇ…ぁぁ…挿れて!欲しいの!奥、突いてほしいの!前みたいにむちゃくちゃに、ぁぁ…むちゃくちゃ、にして欲しいの!」
あの冷静で、本当の感情は滅多に出さない彼女を支配しきった征服感に射精感が高まるが、必死に抑え、尻肉に食い込む両手を離す。
乱れた髪は所々汗で束になり、首筋や胸元に張り付いている。
心身ともに雌になったその相で僕の目を伺う。
いいの、と。
汗ばんだ頭を撫で、
「ゆっくり、ね」
「…は…い…」
ふやけた下半身を支えるように両足で踏ん張りながらゆっくりと腰を下ろしていく。
「ぁ…ぁぁ…」
膣全体がうねり、腹部から上半身へと震えが伝播する。
「ぁ、ふっ…あぁぁぁぁぁぁ…ぁぁ…うぁっ…ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
内臓を中から持ち上げられるような刺激なのだろう。ゆっくりと、深い絶頂。
「……ぁ……ふ……ふぁ…ぁ…」
「イった?」
「ふぁっ…ぁ…ぁぁ…」
余韻を味しめながらコクコクと頷く。
その背中へ手を回し、僕も上半身を起こす。対面座位の格好だ。
「このまま、腰は動かさずに中を締めて。七割くらいの力で、僕のを甘く噛むイメージで」
「ゃっ…くぅぅ…」
キュッと熱く湿った肉膜が食い付いてくる。
「ぁ…ぅぅ…もどか、しいです…くぅ…」
「ぃっ…はぁぁ…型、わかっ…る…はぁっ…まって…まだ、ぅごかないでっ…」
「動いてないよ、君の中が、動いてる」
「ぁっ!そんなっ!はぁぁ…ズンズン…きてるっ!ぁ、ぁ、ぁぁ!」
両腕を僕の首に回し、波のように押し寄せては引いていく愉悦に翻弄されている。
「ぁっ、あっ、だめっ!い、くぅぅ…」
両腕と下半身を限界まで力ませながら果てる。
肉茎からのオルガスムスを受け入れ、肩で息をする彼女の両尻を掴み、上下にグラインドさせる。
「あっ!あっ!はっ!ぁぁっ…奥っ、きてるっ!ぁぁぁぁ!」
「だめっ!奥、子宮グリグリしないっ、でぇぇ…あ、これ、だめっ、だめぇ…」
「舌、出して」
「はっ、くふ、んんん!ん!ん、ん、んん!んむっ、ぷぁっ!だめ、キスだっんむ!」
上も下も犯され、惚けた身体に何度も肉杭を打ち込む。
「ねぇ、どっちが気持ち良い?」
「んん!え…ぁっ、くぅ…どっちって…はぁ…」
「彼氏とどっちが良い、ねぇ?」
「いやっ、そんなの…はぁっ!ぁ、ぁぁ…彼との方が良いに…きまっんむっ!んんん!」
また口を塞ぐ。
そのまま力任せに押し倒し、ペニスは抜かず彼女の身体を関節に合わせねじり、うつ伏せにさせ、腰を持ち上げる。バックの体制だ。
パンッ、パンッと打ち込むたびに引き締まりつつも柔らかな尻肉から返ってくる肉感が堪らない。
「深いっ!あっ!あっ!ぁあ!これ、き、気持ち、いいっ!ぁぁぁ!」
しなやかな細指でシーツを目一杯に握りしめ、バックから執拗に打ち込まれる快感に耐えている。
「ねぇ、本当はどっちが良いの?」
スロートを緩め、尻肉を掴みながらゆっくりと抜き差ししながら問う。
「ぅぁぁ…はっ、いぃ…うぅ…悠介とするほうが…良い、ああっ!」
パシンッと平手で尻を打つ。
「あぁ!やめっ、はぁぁっ!」
もう一度、今度は反対を打つ。
「叩かれる度に中が締まってるじゃないか」
「そんなっ…こと、ひぁぁ!」
「もう気付いてるんだろ!ほらっ!君は優しくされるより、こうやって強引にメスにされるのが好きなんだよ」
「いやっ!言わないで!ああっ!うっ、うっ…うっ!あぁぁ!」
背中を震わせ、立てていた膝が崩れる。
脚を伸ばさせ、更に深く挿入する。
「あっ、だめっ!うぁっ!この体制、だめっ!」
寝バックでは刺激が強すぎるらしく、必死に顔を振り、許しを請うが、体重をかけ、彼女の奥を押し込む。
「ひ…あっ…あ……あ……あ…」
「あっ………あっ………あっ………」
「あっ……あっ……あっ……」
「あっあっあっ!いいっ!もっとぉ!あひ…き、もちいぃ!」
「あっ、いく!止まらない!ぁぁ」
「ぁっ…ずっと…あっあっあぁ!ずっといってる…みた、ぃぃっ!」
「とんじゃっ!飛んじゃいま…すぅ…あっあぁぁぁぁぁぁっ!」
「………………」
「………」
「………ン…んん……」
「…んんん!はっ!だめっ!なんでっ!」
「またっ…いつまでっ…はぁっ、良いっ!こんなの…はぁ…こんなのぉ…」
「知らないっ…良いっ!あっ、またっ、ああ!」
「そう、そうなの…こうやって…」
「あ、あ、あ!」
「強引に、イカされるの!」
「すきっ…はぁっ、すきな、の………」
「キス…欲しい…」
「息できないままいくの…すき…あっ!」
「抱きしめられながらも…すき…んっ、腰、止まらない…」
「もう…いぃ…もう、他のこと…どうでも…いい…」
「あっ、あっ、あっ、またっ、またイ…く…」
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