1 / 6
お父様に言いつけてやる!と言われた
しおりを挟む
「アミーリア!貴様に婚約破棄を言いつける!」
その瞬間、これまでこの男に対して必死に取り繕ってきた笑顔が剥がれ落ちた。
「本気ですかラルフ様?」
「当たり前だ!自らの身分が高いことに胡座をかき、身分が低いものを虐げるその行い。正義を執行するバーネル家の婚約者として相応しくないのは誰が見ても明らかだ!」
「いえ、これは虐めているわけではなく、」
「うるさい!今更言い訳など見苦しい」
私が事実を述べようとする暇もなく、ラルフは私の目の前に座って食事をしていたアイリーンの腕を強引に掴んだ
「いたっ!」
アイリーンが痛そうにしているのにも全く気づかず、自分が正義を行なっているつもりのラルフ。
「君も君だ。自分の身分が低いからって遠慮してはいけないよ?こうやって助けてくれる人がいつもいるとは限らないんだから」
そうして暗に、身分の低いものは普通は従うのが普通だけどね、と言い自分がとても素晴らしい人であると宣伝してくる。
「いえ、私はアミーリア様には決して虐められているわけではありません!それどころか…助けていただいています」
アイリーン、よく言ってくれた!
これでラルフの誤解も解ける。
そう思った私が馬鹿だった。
「うんうん、わかっているよ。アミーリアにそういうように言われているんだろう?遠慮しなくてもいいんだ、僕がこの女から救い出してあげるからね」
婚約者の私に対する言動とは思えないものがどんどんと飛び出してくる。
本当に私のことを悪者だと思い込んでいるようね。
そんなことを考えている間にも、ラルフはアイリーンの腕から手を離さず、むしろ自分が座っている席まで案内しようと無理矢理に引っ張って行こうとしている。
このままだと、この勘違い野郎にアイリーンが連れ去られてしまう。
仕方なく席を立ち、アイリーンの綺麗な腕に赤い跡をつけようとしている男の腕を、
握り拳を握った私の手で叩き落とした。
自分の腕を大袈裟にさすっている軟弱なラルフ。
「貴様っ!婚約者である私によくもそのような暴行を加えたな!?」
先ほどから女性の腕を無理やりに引っ張っていこうとしていたのは暴行ではないようである。
「あれっ?先ほどの言葉は聞き間違いだったのでしょうか?私は婚約破棄を言い渡されたと思いましたが?」
飄々とした表情で告げる私
怒りで顔を赤く染めるラルフ
「…先ほどは貴様の行動を戒めるために言っただけだったが、これほどの事をされたら先ほどの言葉を本当にしても問題あるまい!」
いや、戒めでも婚約破棄なんて言ったらダメでしょう?
それに、腕をちょっと殴られたぐらいで婚約破棄を決定づけるなんてどこのおぼっちゃまなんだよ?
私が内心でこの男をボロクソに言っていると、沈黙は肯定していると受け取ったのか、
「最後にもう一度言っておく、貴様との婚約は破棄する!父上にもお前の悪行を伝え、私の行いが正当であると伝えておくからな!」
仰々しく言っているが、要は『お父さんに言いつけてやる!』という事らしい。
言いたいことを言い終わったラルフは、私のことを散々睨みつけて食堂から出て行った。
わざとらしく私が叩きつけた腕をさすりながら。
あぁ、なんていう小物臭がする行動なんだろう。
しかし婚約破棄だなんてラルフから言い出したけど、あの男はわかっているのだろうか?
我らがアスカイア王国で最も繁栄している領地がエグレシア領であることを。
そして、その領主の子供が私ただ一人であることを。
その瞬間、これまでこの男に対して必死に取り繕ってきた笑顔が剥がれ落ちた。
「本気ですかラルフ様?」
「当たり前だ!自らの身分が高いことに胡座をかき、身分が低いものを虐げるその行い。正義を執行するバーネル家の婚約者として相応しくないのは誰が見ても明らかだ!」
「いえ、これは虐めているわけではなく、」
「うるさい!今更言い訳など見苦しい」
私が事実を述べようとする暇もなく、ラルフは私の目の前に座って食事をしていたアイリーンの腕を強引に掴んだ
「いたっ!」
アイリーンが痛そうにしているのにも全く気づかず、自分が正義を行なっているつもりのラルフ。
「君も君だ。自分の身分が低いからって遠慮してはいけないよ?こうやって助けてくれる人がいつもいるとは限らないんだから」
そうして暗に、身分の低いものは普通は従うのが普通だけどね、と言い自分がとても素晴らしい人であると宣伝してくる。
「いえ、私はアミーリア様には決して虐められているわけではありません!それどころか…助けていただいています」
アイリーン、よく言ってくれた!
これでラルフの誤解も解ける。
そう思った私が馬鹿だった。
「うんうん、わかっているよ。アミーリアにそういうように言われているんだろう?遠慮しなくてもいいんだ、僕がこの女から救い出してあげるからね」
婚約者の私に対する言動とは思えないものがどんどんと飛び出してくる。
本当に私のことを悪者だと思い込んでいるようね。
そんなことを考えている間にも、ラルフはアイリーンの腕から手を離さず、むしろ自分が座っている席まで案内しようと無理矢理に引っ張って行こうとしている。
このままだと、この勘違い野郎にアイリーンが連れ去られてしまう。
仕方なく席を立ち、アイリーンの綺麗な腕に赤い跡をつけようとしている男の腕を、
握り拳を握った私の手で叩き落とした。
自分の腕を大袈裟にさすっている軟弱なラルフ。
「貴様っ!婚約者である私によくもそのような暴行を加えたな!?」
先ほどから女性の腕を無理やりに引っ張っていこうとしていたのは暴行ではないようである。
「あれっ?先ほどの言葉は聞き間違いだったのでしょうか?私は婚約破棄を言い渡されたと思いましたが?」
飄々とした表情で告げる私
怒りで顔を赤く染めるラルフ
「…先ほどは貴様の行動を戒めるために言っただけだったが、これほどの事をされたら先ほどの言葉を本当にしても問題あるまい!」
いや、戒めでも婚約破棄なんて言ったらダメでしょう?
それに、腕をちょっと殴られたぐらいで婚約破棄を決定づけるなんてどこのおぼっちゃまなんだよ?
私が内心でこの男をボロクソに言っていると、沈黙は肯定していると受け取ったのか、
「最後にもう一度言っておく、貴様との婚約は破棄する!父上にもお前の悪行を伝え、私の行いが正当であると伝えておくからな!」
仰々しく言っているが、要は『お父さんに言いつけてやる!』という事らしい。
言いたいことを言い終わったラルフは、私のことを散々睨みつけて食堂から出て行った。
わざとらしく私が叩きつけた腕をさすりながら。
あぁ、なんていう小物臭がする行動なんだろう。
しかし婚約破棄だなんてラルフから言い出したけど、あの男はわかっているのだろうか?
我らがアスカイア王国で最も繁栄している領地がエグレシア領であることを。
そして、その領主の子供が私ただ一人であることを。
0
あなたにおすすめの小説
今、婚約破棄宣言した2人に聞きたいことがある!
白雪なこ
恋愛
学園の卒業と成人を祝うパーティ会場に響く、婚約破棄宣言。
婚約破棄された貴族令嬢は現れないが、代わりにパーティの主催者が、婚約破棄を宣言した貴族令息とその恋人という当事者の2名と話をし出した。
勝手に勘違いして、婚約破棄したあなたが悪い
猿喰 森繁
恋愛
「アリシア。婚約破棄をしてほしい」
「婚約破棄…ですか」
「君と僕とでは、やはり身分が違いすぎるんだ」
「やっぱり上流階級の人間は、上流階級同士でくっつくべきだと思うの。あなたもそう思わない?」
「はぁ…」
なんと返したら良いのか。
私の家は、一代貴族と言われている。いわゆる平民からの成り上がりである。
そんなわけで、没落貴族の息子と政略結婚ならぬ政略婚約をしていたが、その相手から婚約破棄をされてしまった。
理由は、私の家が事業に失敗して、莫大な借金を抱えてしまったからというものだった。
もちろん、そんなのは誰かが飛ばした噂でしかない。
それを律儀に信じてしまったというわけだ。
金の切れ目が縁の切れ目って、本当なのね。
始まりはよくある婚約破棄のように
喜楽直人
恋愛
「ミリア・ファネス公爵令嬢! 婚約者として10年も長きに渡り傍にいたが、もう我慢ならない! 父上に何度も相談した。母上からも考え直せと言われた。しかし、僕はもう決めたんだ。ミリア、キミとの婚約は今日で終わりだ!」
学園の卒業パーティで、第二王子がその婚約者の名前を呼んで叫び、周囲は固唾を呑んでその成り行きを見守った。
ポンコツ王子から一方的な溺愛を受ける真面目令嬢が涙目になりながらも立ち向い、けれども少しずつ絆されていくお話。
第一章「婚約者編」
第二章「お見合い編(過去)」
第三章「結婚編」
第四章「出産・育児編」
第五章「ミリアの知らないオレファンの過去編」連載開始
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
悪意には悪意で
12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。
私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。
ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる