魔女のような人間と、人間のような魔王

三原透

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本編

6. 雪の中で

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 朝起きると凄く寒かった。そして窓の外がとても明るくて眩しかった。

 もぞっと起き上がる。ぶるりと震えてブランケットを身体に巻きつけ、窓の曇りを擦る。

「……雪」

 雪だ。


 ちょっとだけ眠気が覚めたので起きることにした。

 雪だ雪。

 寒いことには寒いのでブランケットは巻いたままリビングに入ると、ちょうど男が暖炉に火を入れているところだった。

 もう随分見慣れた光景だ。積まれた薪が、今日までの男の回復の証である。

「おはよう」

「おはよう」

 挨拶を交わしソファに座る。男がずっと寝床にしているこの大きめなソファにはまだ温かいブランケットがくしゃっとなっていて、ちょうどいいからこれも羽織る。

 ぬくいぬくい。しあわせー。

「起きるならちゃんと着替えてこい」

「……朝ご飯」

「スープを温めるから」

 男はキッチンの方に歩いていった。

 ご飯ができるまでこのままうとうとしていてもいいのだが……せっかく雪が降っているのでもったいなくなった。


 ブランケットを捨てて外に出ると、しんしんと降り積もる雪の気配が全身を包んだ。

 夜の間にすっかり辺りは真っ白で、空も地面も裸の木々でさえ雪に抱かれている。わあっと感嘆を洩らしたら自分の吐息さえ白くなり、直後に吸った空気は肺を凍らしかねないほどの冷たさで、ぶるりと全身を震わせる。

 雪だ。

 手のひらを差し出して落ちてきた綿雪が溶けるのを楽しんでいると、肩に温かさが乗った。

「!」

「風邪を引く」

 男がローブをかけてくれたのだ。身長差がかなりあるから見下ろされる形になっていて、私の真っ赤になった手を包み込むように持った。

「着替えて、スープで身体を温めてからにしろ。ちゃんと準備したらまた出てきていいから」

 最近、男はよく私にかまってくる。一つ心当たりを挙げるとすれば、少し前にほんのちょっと頬に怪我をしたときからか。そんなに私は手のかかる子どもだと思われているのか。

「……やっぱり、お父さん?」

 男は凄く嫌そうな顔をした。

「誰がだ」

 頭をがしっと掴まれ、ぐしゃぐしゃかき混ぜられながら家に連れ戻された。暖炉で暖められた居間と温かい野菜たっぷりのスープとパンが私を待っていたので、本当にいいお父さんである。
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