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堅田衆
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「これは余談になるやもしれが、わしは黒字の直線をバツ印のように交差させた直違紋を掲げたあの戦船の雄姿を思い出し、改めて感じたわい。丹羽殿は湖北どころか琵琶湖全体の制海権を支配しておるのだなと・・・義太夫よ、おぬし堅田衆の名を聞いたことがあるじゃろ?」
「堅田衆? そりゃ、琵琶湖において最強の水軍集団の名では? 確か、琵琶湖では水軍のことを湖族と呼ぶのであったかな? まあそれは別として、その堅田衆が何か?」
「うむ。その琵琶湖最強の水軍、堅田衆を丹羽殿が自らの傘下に置いておった事実をわしはうっかりと失念しておった・・・」
「いや、伯父御ちょっと待て! 堅田水軍衆の棟梁であった猪飼という男はあの明智が乱の時に奴は明智方につき、反明智と旗幟を鮮明にして戦った瀬田城主山岡景隆殿との瀬田橋沖の合戦で死んだと聞いておったが・・・」
「さすが情報通の義太夫益重だのう。その山岡殿にあの戦船の件で気になったわしは直接堅田衆について問い合わせたところ、棟梁であった猪飼昇貞は確かに戦死したという事であった。ところが丹羽殿は志賀郡の領主になるや昇貞の息子秀貞に命じて堅田水軍の再編を命じ、今や父の昇貞の時代より精強な堅田衆となったという・・・。秀貞にしてみれば賊軍の片棒を担ぎ棟梁であった父昇貞の死によって前途に途方に暮れていた自分ら堅田衆に生きる光明を見出させてくれた丹羽殿の恩に報いようと必死になった結果、先代よりも精強な集団になったのであろうな・・・」
「そのような仔細が、あったとは・・・」
「山岡殿の言うところ、再編なった堅田衆の練達の操船術は琵琶湖においても屈指のものであるらしく、彼等は昼、夜問わず、琵琶湖の南北、東端西端まで最短距離でそれこそ縦横無尽に湖面を走破できるとのことであった・・・。高島郡、志賀郡という近江国の西半分を自らの所領とした丹羽殿は短期間で琵琶湖水運の要となる志賀郡に本拠を持つ堅田衆を再編から傘下に入れたこと・・・その手腕、さすが・・・さすが丹羽殿としか言いようがないわ、カッカッカ!!!」
我が事のように長秀の領国経営の巧みさを無邪気に喜ぶ一益である。
「わしはな、その堅田衆の凄みを山岡殿から聞いてある場面を思い浮かべて身震いするほど興奮したぞい義太夫!」
「・・・な なんじゃい、伯父御。 うれしそうにして・・・。その気味が悪いほどのご機嫌なめ目つきは・・・いったい何を思い浮かべたのじゃ?」
「よう聞いた、義太夫よ!!」
(この叔父御は、いつもこうじゃ・・・)
義太夫益重は、嬉しそうに興奮しながら話す一益を見て苦笑する・・・
(本当に面白いことを見つけて余人に話しをする表情は、まさに悪童そのままじゃて・・・)
「湖南の坂本城、もしくは湖北の海津から丹羽殿が大挙堅田水軍を率いて琵琶湖を横断し飯浦の渡しに向かってくる情景を想像してみい! 日中であれば、その帆先を白くさせながら押し寄せる大船団の全景が【賤ヶ岳】の頂からも眺めれるであろうぞ! もしくは夜間であれば各戦船が醸し出す灯りの群れが一糸乱れず飯浦に迫りくるその情景を!!! 想像するだけで武者震いがするわい!!!」
「「「 おお・・・ 」」」
一益の熱の籠った言葉に義太夫益重をはじめ、一同皆その勇壮な情景を思い浮かべて嘆息の声を上げる・・・
「堅田衆? そりゃ、琵琶湖において最強の水軍集団の名では? 確か、琵琶湖では水軍のことを湖族と呼ぶのであったかな? まあそれは別として、その堅田衆が何か?」
「うむ。その琵琶湖最強の水軍、堅田衆を丹羽殿が自らの傘下に置いておった事実をわしはうっかりと失念しておった・・・」
「いや、伯父御ちょっと待て! 堅田水軍衆の棟梁であった猪飼という男はあの明智が乱の時に奴は明智方につき、反明智と旗幟を鮮明にして戦った瀬田城主山岡景隆殿との瀬田橋沖の合戦で死んだと聞いておったが・・・」
「さすが情報通の義太夫益重だのう。その山岡殿にあの戦船の件で気になったわしは直接堅田衆について問い合わせたところ、棟梁であった猪飼昇貞は確かに戦死したという事であった。ところが丹羽殿は志賀郡の領主になるや昇貞の息子秀貞に命じて堅田水軍の再編を命じ、今や父の昇貞の時代より精強な堅田衆となったという・・・。秀貞にしてみれば賊軍の片棒を担ぎ棟梁であった父昇貞の死によって前途に途方に暮れていた自分ら堅田衆に生きる光明を見出させてくれた丹羽殿の恩に報いようと必死になった結果、先代よりも精強な集団になったのであろうな・・・」
「そのような仔細が、あったとは・・・」
「山岡殿の言うところ、再編なった堅田衆の練達の操船術は琵琶湖においても屈指のものであるらしく、彼等は昼、夜問わず、琵琶湖の南北、東端西端まで最短距離でそれこそ縦横無尽に湖面を走破できるとのことであった・・・。高島郡、志賀郡という近江国の西半分を自らの所領とした丹羽殿は短期間で琵琶湖水運の要となる志賀郡に本拠を持つ堅田衆を再編から傘下に入れたこと・・・その手腕、さすが・・・さすが丹羽殿としか言いようがないわ、カッカッカ!!!」
我が事のように長秀の領国経営の巧みさを無邪気に喜ぶ一益である。
「わしはな、その堅田衆の凄みを山岡殿から聞いてある場面を思い浮かべて身震いするほど興奮したぞい義太夫!」
「・・・な なんじゃい、伯父御。 うれしそうにして・・・。その気味が悪いほどのご機嫌なめ目つきは・・・いったい何を思い浮かべたのじゃ?」
「よう聞いた、義太夫よ!!」
(この叔父御は、いつもこうじゃ・・・)
義太夫益重は、嬉しそうに興奮しながら話す一益を見て苦笑する・・・
(本当に面白いことを見つけて余人に話しをする表情は、まさに悪童そのままじゃて・・・)
「湖南の坂本城、もしくは湖北の海津から丹羽殿が大挙堅田水軍を率いて琵琶湖を横断し飯浦の渡しに向かってくる情景を想像してみい! 日中であれば、その帆先を白くさせながら押し寄せる大船団の全景が【賤ヶ岳】の頂からも眺めれるであろうぞ! もしくは夜間であれば各戦船が醸し出す灯りの群れが一糸乱れず飯浦に迫りくるその情景を!!! 想像するだけで武者震いがするわい!!!」
「「「 おお・・・ 」」」
一益の熱の籠った言葉に義太夫益重をはじめ、一同皆その勇壮な情景を思い浮かべて嘆息の声を上げる・・・
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