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二章 新婚編
六十五 ロニエはやっぱり......だよね
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あれから、俺は徐々に衰弱していった。理由は魔女の誓いかそれとも呪いか、いやただロニエに会えないからかもしれない。自分の命が長く無いだろうなとは思う。けどそれで何かが悲しい訳では無い。逆だ。俺はその時を待っている。俺の命が尽きるその時を、そうすればもう、この悲しい現実が終わるのだから.......
俺の時間は一人の時は止まっている。動き出すのは定期的に来る。ロニエとイリア、そしてセントラル王国の少女達が着た時だけだ。でも最近はもう、殆ど何を話したのかも覚えていない。もうすぐだ。もうすぐ終わる。長いこの苦痛が。
「ヒカルさん。ちゃんとご飯は食べないと駄目ですよ」
いつの間にか食器を持った、金髪の少女ロニエが部屋にいた。
「ロニエ.......か。どうしたの? 何か俺に出来ることはある?」
「無いです。それより、自分の身体の心配をしてください。聞きましたよ、ご飯を食べてないみたいじゃないですか! それじゃあ、弱っても仕方ありません」
この記憶の中の俺を好きになってくれた少女と同じ姿と声をした。ロニエを見ていると、微笑ましい気持ちと、そして悲しい気持ちがあふれて来る。俺は後、どれくらいこの子を見る事が出来るのだろうか? 最後までこの子から離れない事を誓った俺は間違えだったのかもしれない。ただ悲しいだけだった。
ーーー間違えではありません。ヒカル様がいてロニエは嬉しいです。
「ありがとう。そうか嬉しいかなら良かった」
目の前の金髪少女に言われて気がしてそう呟いた。でも
「何を言っているのですか! 良いから早く食べて元気になってください」
そんな筈は無かった。ロニエが居るだけで幸せになれた俺は
「ロニエが居ないと駄目なんだよ.......」
時間が動いている時はもう悲しみしか無い。
「.......ヒカルさん。今日は何をしていたんですか?」
「ああ。ロニエか。久しぶりだね。今日は.......ごめん。何もしてないや.......いつの間にかに時間が流れてたよ」
もう、支離滅裂なのは自分でも分かっている。もう俺は駄目だ。
「そうですか。ヒカルさん、ならお散歩しませんか?」
「ロニエとなら何処にだって行きたいけど.......ごめんね何か力が入らないんだよ」
ロニエからのデートのお誘いだ。行きたいのか行きたくないのかは置いておいて行くのは当たり前だ。でももう行けないのだ。
「ヒカルさん。たまにはお風呂に入ってください! 変な臭いがしますよ」
またか、もうロニエと話してる時間しか無い。いつの間にかにロニエの服が変わってる。
「久しぶりだね。ロニエ。お風呂か.......ロニエと一緒に入りたいな」
「.......私と入りたいなら良いですよ。でもヒカルさんは私と入りたい訳じゃ無いじゃないですか」
ああ。俺はロニエと一緒に入りたい.......俺に笑ってくれる。ロニエと一緒に入りたい。
「だから私は体を拭いてあげます」
「良いよ。汚いから、後でやっとく」
「.......それ聞くの五回目ですよ。やらないじゃないですか! もう会いに来ませんよ!」
「そうかもう来ないのか.......それは悲しいな。ロニエに会いたいよ」
もう来てくれない。ロニエが.......
「でも仕方ないよね。ロニエじゃあ無いんだもん。今までありがとうね。幸せになってね」
「ああ、もう泣かないでください。また来ますから.......早く体を拭来ますよ」
「そうか.......ありがとう。でも良いよ。後で自分でやっておくからね。それよりロニエ。楽しいことあった? 信頼出来る人見つけられた?」
俺はもう長くない。心残りは今のロニエを最後まで見届けることが出来ないことだ。
ふと気付くとまた、ロニエの位置と服が変わっていた。またか。あれからどれくらい経ったのだろう。もう分からない。
ロニエは俺の手を握っていた。そしてコホコホと咳をしていた。
「ロニエ。大丈夫? 風邪引いたら休まないと駄目だよ」
「ヒカルさん! 起きたんですか?」
「うん。ロニエが来てるのに寝てられないよ。それより、もう、行きなよ。体を大事にしてね」
またか、いつの間にかにまたロニエだ位置が変わっていた。今日のロニエは.......
「ロニエ。なんで一緒に寝てるの?」
「.......ヒカルさんが早く寝た方が良いって言ったんですよ」
「抱き着いちゃうよ」
同じ毛布で寝ている。ロニエに抱き着くのを我慢出来る訳が無い。
「.......何度目ですか。ヒカルさんが抱き着きたいのは私では無いじゃないですか! それでも抱き着きたいのなら抱き着いても良いですよ」
「そうだね。俺が抱き着きたいのはロニエだよ。会いたいよ。でももうすぐ会えるよロニエ」
「会えませんよ。私は私です。良いのですか? 抱き着いても良いと言ったのですよ」
「.......もう良いんだよ。ロニエ。ロニエは優しいな。俺の事を心配してるんだよね。でも、もう良いんだよ。もう終わったんだから.......。ロニエごめん。一人で寝てよ。なんか今のロニエと寝てても悲しいだけだよ」
また時間が過ぎたようだ。
「コホコホ、コホコホ」
咳込みながら俺の手を握ってくれてる。
「ロニエ。また風邪引いたの? 寝ないと駄目だよ」
「入って良いですか?」
「ロニエがしたいなら良いよ」
ロニエが俺の布団に入ってくる。
「何かあったの?」
「今日。唯我様に、結婚を申し込まれました」
「ふーん。よかったじゃん」
「本気ですか? 私が他の方と結婚しても良いのですか? 一応、元旦那様ですよ」
「ロニエがそれで幸せになるなら、俺は.......」
「まだ寝ないでください」
少し落ちかけた意識をロニエが止める。
「ああ、ごめん。何の話だっけ?」
「私が誰かと結婚したらヒカルさんは悲しいですか?」
「そりゃあ、悲しいよ」
「そうですか。ならしないことにします」
「いや、していいよ。俺に今のロニエを止める資格は無いから」
また意識が飛んだ。ゴホゴホと咳をする。ロニエが俺を見下ろしていた。
「..............会いたいよ。ロニエ」
「ヒカルさん! 入って良いですか?」
「駄目だよ。ロニエはロニエの部屋で寝ないとね」
「ロニエの部屋なんてここにはありませんよ」
「あれ? イリアは?」
ロニエはイリアと一緒に寝ていた気がする。
「お姉様は大好きですが信用できません。まだヒカルさんの方が信用できます」
「俺には全幅の信頼を.......良いやしなくて。もう長くないだろうし」
自分で分かる次に、意識が飛んだら俺はもう目を覚まさないだろう。
「やっと会えるよロニエに。ずっと会いたかったロニエに会いたかった」
「嫌です! ヒカルさん! 私を一人にしないでください」
「ロニエ.......一人じゃないよ。天野王国に行きなよ。ヒムートもセレナ.......はいないかもしれないけど皆きっとロニエを待ってるよ」
意識が飛びかける。これで終わりだ。辛いのも悲しいのも全部終わりだ。
「ヒカルさんを待ってるんですよ。寝ちゃ駄目ですよ?起きててください」
しかし、ロニエに引き止められる。もう全て終わったというのに。
「もう終わったんだよ。最後にロニエの顔を見れて.......よかった」
「嫌です。最後なんて言わないでください! 私はを見てください。ヒカルさん。気付いてた居るのでしょう? 私はもう、ヒカルさんの事がーーー」
「駄目だよ。ロニエはロニエとして生きるんだから俺に縛られちゃ駄目だよ」
「ヒカルさん。私はヒカルさんの事が好きです。私では駄目ですか?」
「うん。俺が愛したのはロニエであってロニエじゃないから、ね」
「せめて。ならせめてキスをしてください」
キスをねだる。ロニエは久しぶりだ。これがロニエだったらどんなに.......
「いい加減にしなさい!! 貴女のせいでこの人は!! 貴女さえ居なければ!! 許さないわ!」
セレナの声がした。
「セレナ? 来てくれたの?」
「ずっと居たわよ。貴方が離れるなって命令したんじゃない」
嬉しかった。素直に嬉しくて涙が出た。もう愛する人に誰にも会えないと思っていたから、最後の最後に会えて嬉しかった。
「セレナ。おいでロニエを責めちゃ駄目だよ」
「わかっているわよ。その子は悪くないのはわかっているのよ。でもその子を見てると! どうしても我慢出来ないよ!」
「セレナ! 来てよ。もう良いから。来てよ」
俺がセレナを呼ぶとセレナは
「私で良いの? 最後が私で良いの?」
「セレナは相変わらず面白いな。俺に抱かれる為に出て来たんでしょ」
「違うわよ.......違くない.......そうね。最後くらい貴女に貴女の1番になりたかったわ」
「それは無理だけど、最後はセレナの手の中で.......愛するセレナを抱いていたいよ」
「そう。良いわよ。貴方が望むなら私は良いわよ」
俺の手を握るロニエをセレナは一瞥してから俺に抱き着いた。セレナの体を感じる。久しぶりだ。
「セレナ。体が暑いよ。興奮してるの?」
「貴方が相手してくれなかったからね。仕方ないでしょ? 貴方は違うみたいね」
「うん。セレナを抱けば大丈夫かと思ったけど、なんかそういう気分にならないんだよ。ごめんね。セレナは可愛いよ。自信とか無くさないでね」
「私ほどの良い女はいないわよ。私を抱いてイケるのだから。感謝しなさいよ」
セレナはいつも通りの会話をしてくれる。少し息が荒いけどまあ良いや。
「セレナ。ヒムートに謝ってくれない。俺はムリそうだから」
「そうね。良いわよ。もう良いわよ。寝ていいわよ」
「セレナ。最後にお願い無いの?」
「あるけどどうせ駄目だから良いのよ」
「このままじゃ寝られないから言ってよ」
セレナを抱きしめていると心地好くてもっと抱きしめて居たくなる。
「そうね。じゃあお願いするわね。最後にお願いするわ。あの子の事を忘れて私と一緒に帰りましょう。そして三人で生きましましょう」
「ほんとだ。それは無理だよ」
「そうね。貴方らそう言うと思っていたわ。なら私を1番と言って私が貴方の1番だと言って」
「それも言えないよ。セレナは大好きだけどそれだけは言えない。ロニエとの約束なんだよ。ロニエを1番愛するって約束なんだよ。ああ、でもこれなら良いかな。セレナ。俺は君をロニエと同じくらい愛しているよ。もうロニエとセレナに差なんて無いよ」
「何よそれ.......嬉しいじゃない。最後の最後であの子に並べたなんて嬉しいじゃない」
そうしてセレナを抱いて瞼を閉じた。
ーーー認めません!!
しかしあの幻聴が聞こえた。
ーーーヒカル様の1番はロニエだけです。認めません。
ーーー仕方ないよ。ロニエは居ないんだもん。生きてるずっと一緒に居てくれたセレナを愛して1番にしてあげても良いじゃん。最後くらい。
ーーー良いですよ。ヒカル様がそう思うなら良いですよ。けどロニエは認めません!! 目を開けてロニエにキスしてください。
ーーー嫌だよ。ロニエに無理矢理キスしないって誓ったもん。
ーーーお願いです。ロニエにキスしてください。
ーーーそれは出来ないよ。
ーーー思い出してください。ロニエがヒカル様キスを初めてしたあの時を、ロニエは無理矢理ヒカル様キスをしたのです。ロニエは後悔しました。本当はヒカル様からキスをして欲しかったと後悔しました。もう後悔したくありません。
俺とロニエの恋の始まり、ギルドの拷問部屋という風情も無い場所でロニエが俺にキスしてくれたから俺は幸せになれた。本当は俺からしなきゃ行けなかったのに。
ーーー目を開けてロニエにキスしてください。
ーーーセレナに怒られちゃうよ。
ーーーロニエのお願いです。ロニエにキスしてください。
ーーー.......無理だよ。
ーーーなら言い方を変えます。ロニエは今ヒカル様にキスして貰えないと不幸になります。
ーーーロニエは相変わらず狡いな~
ーーーそうですね。今のは狡いですね。でも
ーーーうん。
そうロニエが不幸になるのなら最後の最後の力を振り絞って目を開ける。
近くに涙目のロニエがいたから、手を伸ばして
「ロニエ。ごめんね」
「ヒカルさん!? ん! っーーー!?」
頭を引き寄せてキスをした。
大好きなロニエにキスをした。ロニエの味がした。ロニエはちゃんと舌を絡ませてくれた。両手でロニエを抱きしめた。何度も何度も舌を絡ませた。力強く抱きしめた。ロニエも俺を抱きしめてくれた。だからロニエを好きな気持ちを抑えられなかった。欲情しない筈の俺が欲情している。久しぶりの高揚感を味わう。
「ロニエが好きだ」
「私が好きですか? 私を好きですか?」
「うん。ロニエが好きだよ。きっとロニエはロニエだから記憶を無くしてもロニエはロニエだから俺はやっぱり君が大好きだ! 何よりも誰よりも大好きだ」
「私もです! ヒカルさん! 初めは嫌な人だと思いました。でも、ヒカルさんと話していると心が震えます。ヒカルさんに抱きしめられていると安心出来ます。ヒカルさんの近くが1番安心出来ます。ヒカルさん。私でも良いですか? ヒカルさんが愛した私では無くても良いですか?」
息を掛け合い。抱き合い言葉を交わしあって。
「勘違いだよ。ロニエはロニエだよ。俺の愛したロニエだよ。俺達は間違っていたんだよ。ロニエはロニエ何だよ」
「違います。ロニエはヒカルさんの知っているロニエではありません」
「ロニエ。お願い。ロニエはロニエだという事にしてよ。違うなんて悲しいこと言わないでよ。こうして抱きしめてキスして分かった。ロニエは何も変わっていなかった。記憶なんて関係なかった」
「そうですね。ヒカルさんがそう言うのならそうなのでしょうね。私は.......何も変わらずヒカルさんを愛しているのでしょう」
「何だよ。ロニエ俺のこと愛しているのかよ。いつから?」
「ヒカルさんがロニエの事を二回目に抱きしめた時にはヒカルさんに惹かれていました」
「お風呂の時かロニエはいつも早いな」
俺はあの時まだロニエを見守ると誓っただけだったのに。
「ロニエを幸せにするのは俺だ!」
「はい。幸せにしてください」
「ロニエだけは誰にも幸せにする権利を渡さない」
「はい。私もヒカルさんに幸せにして貰いたいです」
「ロニエは今何をしたら幸せになれる?」
「そうですね。ヒカルさんと私は既に結婚していますからね、では私をヒカルさんの1番にしてください。何もかもヒカルさんの1番にしてください」
その言葉に反応したのは俺では無かった。
「待ちなさいよ! 聞いていなかったの! 私がこの人の1番なのよ」
「同立で満足なんて私はしません。ヒカルさん。どうか私を幸せにしてください」
「待ちなさい! 何をするきよ! 今更何をするきよ」
セレナが騒ぎ出すが。
「そりゃあ愛し合っている二人がすることなんてね」
「一つしか無いですよね」
「やめなさい! 死ぬわよ!」
「なんか死なない気がする。ロニエ。キスしよう」
「ヒカルさん。ロニエはヒカルさんにキスされて幸せでした」
幻聴の言うことも聞くものだ。
「なんかちょっとだけ元気になったよ。ロニエはキスだけが良い?」
「ヒカルさんはエッチですね」
「嫌ならしないよ」
「してください。ロニエにしてください」
「嫌じゃないの? おっぱい触っただけで怒ったのに」
「あれは混乱していたのにヒカルさんが無理やりやるからじゃないですか! .......ちょっと気持ち良かったんですよ」
「そりゃあね。ロニエの体は全部知り尽くしてるからね」
「ならヒカルさんに任せます。ロニエは初めてですから優しくしてください」
「体は初めてじゃないよ。慣れ親しんでいるからすぐに気持ち良くなれるよ」
ロニエにキスしながら笑い会う。さっきまで死を覚悟するほど衰弱してたのに今はもう。
「わぁー。大きいですね」
「ちょっと本気なの!? 私もいるのよ」
「いつもいるじゃん」
「そうですね。セレナさんは第三王妃なのでしょう、恥ずかしがってどうするのです」
「ロニエ。また一緒に暮らそうね」
「はい。ヒカルさんと一緒に暮らしたいです」
ロニエを抱く。それだけで元気になれる。
「お! 凄い。ロニエ準備が出来てるじゃん。このままいけるよ。良い?」
「良いですよ。ヒカルさんに抱かれていると怖くありません。ヒカルさんの好きにしてください」
既にトロトロになっているロニエにゆっくりと当てる。
「一応ゆっくりやるよ」
「はい。ヒカルさんキスしながらお願いします」
「最初からそのつもり」
ゆっくりとキスしながらロニエの中に久しぶりに入れていく。
ーーーヒカルさんが好きです。
久しぶりの共有に懐かしいものを感じながらロニエキスする。
「どう?」
「!? ヒカル.......さん。もっと激しく気持ち良くしてください」
「え? でも最初は.......」
「お願いします。ロニエはもっと気持ち良くなりたいです。ヒカルさんと前のロニエが歩んだ道を見せてください」
「何だよ。ロニエは可愛いよ。良いよ。ロニエの願い叶えてあげる」
ロニエを気持ち良くさせる為に激しさをましていく。俺も久しぶり過ぎて感度がやばい。それでも長い時間快感に浸りつづけてた。そしてそろそろ限界だと思っていたら。
「まだです。もっと激しく!」
「ほーう。良いよ。全力でロニエをいかせてあげる」
「ヒカルさんも一緒がいいです」
「大丈夫。多分同時だから。いつもだいたい同時だし」
そして更に全力でロニエを犯した。とろけるような快感で遂に
「ヒカルさん! 中にぃ!」
中に出だした。ロニエもイッた。その快感が久しぶり過ぎて気持ち良すぎて意識が跳んだ。
そして懐かしい場所に行った。
俺の時間は一人の時は止まっている。動き出すのは定期的に来る。ロニエとイリア、そしてセントラル王国の少女達が着た時だけだ。でも最近はもう、殆ど何を話したのかも覚えていない。もうすぐだ。もうすぐ終わる。長いこの苦痛が。
「ヒカルさん。ちゃんとご飯は食べないと駄目ですよ」
いつの間にか食器を持った、金髪の少女ロニエが部屋にいた。
「ロニエ.......か。どうしたの? 何か俺に出来ることはある?」
「無いです。それより、自分の身体の心配をしてください。聞きましたよ、ご飯を食べてないみたいじゃないですか! それじゃあ、弱っても仕方ありません」
この記憶の中の俺を好きになってくれた少女と同じ姿と声をした。ロニエを見ていると、微笑ましい気持ちと、そして悲しい気持ちがあふれて来る。俺は後、どれくらいこの子を見る事が出来るのだろうか? 最後までこの子から離れない事を誓った俺は間違えだったのかもしれない。ただ悲しいだけだった。
ーーー間違えではありません。ヒカル様がいてロニエは嬉しいです。
「ありがとう。そうか嬉しいかなら良かった」
目の前の金髪少女に言われて気がしてそう呟いた。でも
「何を言っているのですか! 良いから早く食べて元気になってください」
そんな筈は無かった。ロニエが居るだけで幸せになれた俺は
「ロニエが居ないと駄目なんだよ.......」
時間が動いている時はもう悲しみしか無い。
「.......ヒカルさん。今日は何をしていたんですか?」
「ああ。ロニエか。久しぶりだね。今日は.......ごめん。何もしてないや.......いつの間にかに時間が流れてたよ」
もう、支離滅裂なのは自分でも分かっている。もう俺は駄目だ。
「そうですか。ヒカルさん、ならお散歩しませんか?」
「ロニエとなら何処にだって行きたいけど.......ごめんね何か力が入らないんだよ」
ロニエからのデートのお誘いだ。行きたいのか行きたくないのかは置いておいて行くのは当たり前だ。でももう行けないのだ。
「ヒカルさん。たまにはお風呂に入ってください! 変な臭いがしますよ」
またか、もうロニエと話してる時間しか無い。いつの間にかにロニエの服が変わってる。
「久しぶりだね。ロニエ。お風呂か.......ロニエと一緒に入りたいな」
「.......私と入りたいなら良いですよ。でもヒカルさんは私と入りたい訳じゃ無いじゃないですか」
ああ。俺はロニエと一緒に入りたい.......俺に笑ってくれる。ロニエと一緒に入りたい。
「だから私は体を拭いてあげます」
「良いよ。汚いから、後でやっとく」
「.......それ聞くの五回目ですよ。やらないじゃないですか! もう会いに来ませんよ!」
「そうかもう来ないのか.......それは悲しいな。ロニエに会いたいよ」
もう来てくれない。ロニエが.......
「でも仕方ないよね。ロニエじゃあ無いんだもん。今までありがとうね。幸せになってね」
「ああ、もう泣かないでください。また来ますから.......早く体を拭来ますよ」
「そうか.......ありがとう。でも良いよ。後で自分でやっておくからね。それよりロニエ。楽しいことあった? 信頼出来る人見つけられた?」
俺はもう長くない。心残りは今のロニエを最後まで見届けることが出来ないことだ。
ふと気付くとまた、ロニエの位置と服が変わっていた。またか。あれからどれくらい経ったのだろう。もう分からない。
ロニエは俺の手を握っていた。そしてコホコホと咳をしていた。
「ロニエ。大丈夫? 風邪引いたら休まないと駄目だよ」
「ヒカルさん! 起きたんですか?」
「うん。ロニエが来てるのに寝てられないよ。それより、もう、行きなよ。体を大事にしてね」
またか、いつの間にかにまたロニエだ位置が変わっていた。今日のロニエは.......
「ロニエ。なんで一緒に寝てるの?」
「.......ヒカルさんが早く寝た方が良いって言ったんですよ」
「抱き着いちゃうよ」
同じ毛布で寝ている。ロニエに抱き着くのを我慢出来る訳が無い。
「.......何度目ですか。ヒカルさんが抱き着きたいのは私では無いじゃないですか! それでも抱き着きたいのなら抱き着いても良いですよ」
「そうだね。俺が抱き着きたいのはロニエだよ。会いたいよ。でももうすぐ会えるよロニエ」
「会えませんよ。私は私です。良いのですか? 抱き着いても良いと言ったのですよ」
「.......もう良いんだよ。ロニエ。ロニエは優しいな。俺の事を心配してるんだよね。でも、もう良いんだよ。もう終わったんだから.......。ロニエごめん。一人で寝てよ。なんか今のロニエと寝てても悲しいだけだよ」
また時間が過ぎたようだ。
「コホコホ、コホコホ」
咳込みながら俺の手を握ってくれてる。
「ロニエ。また風邪引いたの? 寝ないと駄目だよ」
「入って良いですか?」
「ロニエがしたいなら良いよ」
ロニエが俺の布団に入ってくる。
「何かあったの?」
「今日。唯我様に、結婚を申し込まれました」
「ふーん。よかったじゃん」
「本気ですか? 私が他の方と結婚しても良いのですか? 一応、元旦那様ですよ」
「ロニエがそれで幸せになるなら、俺は.......」
「まだ寝ないでください」
少し落ちかけた意識をロニエが止める。
「ああ、ごめん。何の話だっけ?」
「私が誰かと結婚したらヒカルさんは悲しいですか?」
「そりゃあ、悲しいよ」
「そうですか。ならしないことにします」
「いや、していいよ。俺に今のロニエを止める資格は無いから」
また意識が飛んだ。ゴホゴホと咳をする。ロニエが俺を見下ろしていた。
「..............会いたいよ。ロニエ」
「ヒカルさん! 入って良いですか?」
「駄目だよ。ロニエはロニエの部屋で寝ないとね」
「ロニエの部屋なんてここにはありませんよ」
「あれ? イリアは?」
ロニエはイリアと一緒に寝ていた気がする。
「お姉様は大好きですが信用できません。まだヒカルさんの方が信用できます」
「俺には全幅の信頼を.......良いやしなくて。もう長くないだろうし」
自分で分かる次に、意識が飛んだら俺はもう目を覚まさないだろう。
「やっと会えるよロニエに。ずっと会いたかったロニエに会いたかった」
「嫌です! ヒカルさん! 私を一人にしないでください」
「ロニエ.......一人じゃないよ。天野王国に行きなよ。ヒムートもセレナ.......はいないかもしれないけど皆きっとロニエを待ってるよ」
意識が飛びかける。これで終わりだ。辛いのも悲しいのも全部終わりだ。
「ヒカルさんを待ってるんですよ。寝ちゃ駄目ですよ?起きててください」
しかし、ロニエに引き止められる。もう全て終わったというのに。
「もう終わったんだよ。最後にロニエの顔を見れて.......よかった」
「嫌です。最後なんて言わないでください! 私はを見てください。ヒカルさん。気付いてた居るのでしょう? 私はもう、ヒカルさんの事がーーー」
「駄目だよ。ロニエはロニエとして生きるんだから俺に縛られちゃ駄目だよ」
「ヒカルさん。私はヒカルさんの事が好きです。私では駄目ですか?」
「うん。俺が愛したのはロニエであってロニエじゃないから、ね」
「せめて。ならせめてキスをしてください」
キスをねだる。ロニエは久しぶりだ。これがロニエだったらどんなに.......
「いい加減にしなさい!! 貴女のせいでこの人は!! 貴女さえ居なければ!! 許さないわ!」
セレナの声がした。
「セレナ? 来てくれたの?」
「ずっと居たわよ。貴方が離れるなって命令したんじゃない」
嬉しかった。素直に嬉しくて涙が出た。もう愛する人に誰にも会えないと思っていたから、最後の最後に会えて嬉しかった。
「セレナ。おいでロニエを責めちゃ駄目だよ」
「わかっているわよ。その子は悪くないのはわかっているのよ。でもその子を見てると! どうしても我慢出来ないよ!」
「セレナ! 来てよ。もう良いから。来てよ」
俺がセレナを呼ぶとセレナは
「私で良いの? 最後が私で良いの?」
「セレナは相変わらず面白いな。俺に抱かれる為に出て来たんでしょ」
「違うわよ.......違くない.......そうね。最後くらい貴女に貴女の1番になりたかったわ」
「それは無理だけど、最後はセレナの手の中で.......愛するセレナを抱いていたいよ」
「そう。良いわよ。貴方が望むなら私は良いわよ」
俺の手を握るロニエをセレナは一瞥してから俺に抱き着いた。セレナの体を感じる。久しぶりだ。
「セレナ。体が暑いよ。興奮してるの?」
「貴方が相手してくれなかったからね。仕方ないでしょ? 貴方は違うみたいね」
「うん。セレナを抱けば大丈夫かと思ったけど、なんかそういう気分にならないんだよ。ごめんね。セレナは可愛いよ。自信とか無くさないでね」
「私ほどの良い女はいないわよ。私を抱いてイケるのだから。感謝しなさいよ」
セレナはいつも通りの会話をしてくれる。少し息が荒いけどまあ良いや。
「セレナ。ヒムートに謝ってくれない。俺はムリそうだから」
「そうね。良いわよ。もう良いわよ。寝ていいわよ」
「セレナ。最後にお願い無いの?」
「あるけどどうせ駄目だから良いのよ」
「このままじゃ寝られないから言ってよ」
セレナを抱きしめていると心地好くてもっと抱きしめて居たくなる。
「そうね。じゃあお願いするわね。最後にお願いするわ。あの子の事を忘れて私と一緒に帰りましょう。そして三人で生きましましょう」
「ほんとだ。それは無理だよ」
「そうね。貴方らそう言うと思っていたわ。なら私を1番と言って私が貴方の1番だと言って」
「それも言えないよ。セレナは大好きだけどそれだけは言えない。ロニエとの約束なんだよ。ロニエを1番愛するって約束なんだよ。ああ、でもこれなら良いかな。セレナ。俺は君をロニエと同じくらい愛しているよ。もうロニエとセレナに差なんて無いよ」
「何よそれ.......嬉しいじゃない。最後の最後であの子に並べたなんて嬉しいじゃない」
そうしてセレナを抱いて瞼を閉じた。
ーーー認めません!!
しかしあの幻聴が聞こえた。
ーーーヒカル様の1番はロニエだけです。認めません。
ーーー仕方ないよ。ロニエは居ないんだもん。生きてるずっと一緒に居てくれたセレナを愛して1番にしてあげても良いじゃん。最後くらい。
ーーー良いですよ。ヒカル様がそう思うなら良いですよ。けどロニエは認めません!! 目を開けてロニエにキスしてください。
ーーー嫌だよ。ロニエに無理矢理キスしないって誓ったもん。
ーーーお願いです。ロニエにキスしてください。
ーーーそれは出来ないよ。
ーーー思い出してください。ロニエがヒカル様キスを初めてしたあの時を、ロニエは無理矢理ヒカル様キスをしたのです。ロニエは後悔しました。本当はヒカル様からキスをして欲しかったと後悔しました。もう後悔したくありません。
俺とロニエの恋の始まり、ギルドの拷問部屋という風情も無い場所でロニエが俺にキスしてくれたから俺は幸せになれた。本当は俺からしなきゃ行けなかったのに。
ーーー目を開けてロニエにキスしてください。
ーーーセレナに怒られちゃうよ。
ーーーロニエのお願いです。ロニエにキスしてください。
ーーー.......無理だよ。
ーーーなら言い方を変えます。ロニエは今ヒカル様にキスして貰えないと不幸になります。
ーーーロニエは相変わらず狡いな~
ーーーそうですね。今のは狡いですね。でも
ーーーうん。
そうロニエが不幸になるのなら最後の最後の力を振り絞って目を開ける。
近くに涙目のロニエがいたから、手を伸ばして
「ロニエ。ごめんね」
「ヒカルさん!? ん! っーーー!?」
頭を引き寄せてキスをした。
大好きなロニエにキスをした。ロニエの味がした。ロニエはちゃんと舌を絡ませてくれた。両手でロニエを抱きしめた。何度も何度も舌を絡ませた。力強く抱きしめた。ロニエも俺を抱きしめてくれた。だからロニエを好きな気持ちを抑えられなかった。欲情しない筈の俺が欲情している。久しぶりの高揚感を味わう。
「ロニエが好きだ」
「私が好きですか? 私を好きですか?」
「うん。ロニエが好きだよ。きっとロニエはロニエだから記憶を無くしてもロニエはロニエだから俺はやっぱり君が大好きだ! 何よりも誰よりも大好きだ」
「私もです! ヒカルさん! 初めは嫌な人だと思いました。でも、ヒカルさんと話していると心が震えます。ヒカルさんに抱きしめられていると安心出来ます。ヒカルさんの近くが1番安心出来ます。ヒカルさん。私でも良いですか? ヒカルさんが愛した私では無くても良いですか?」
息を掛け合い。抱き合い言葉を交わしあって。
「勘違いだよ。ロニエはロニエだよ。俺の愛したロニエだよ。俺達は間違っていたんだよ。ロニエはロニエ何だよ」
「違います。ロニエはヒカルさんの知っているロニエではありません」
「ロニエ。お願い。ロニエはロニエだという事にしてよ。違うなんて悲しいこと言わないでよ。こうして抱きしめてキスして分かった。ロニエは何も変わっていなかった。記憶なんて関係なかった」
「そうですね。ヒカルさんがそう言うのならそうなのでしょうね。私は.......何も変わらずヒカルさんを愛しているのでしょう」
「何だよ。ロニエ俺のこと愛しているのかよ。いつから?」
「ヒカルさんがロニエの事を二回目に抱きしめた時にはヒカルさんに惹かれていました」
「お風呂の時かロニエはいつも早いな」
俺はあの時まだロニエを見守ると誓っただけだったのに。
「ロニエを幸せにするのは俺だ!」
「はい。幸せにしてください」
「ロニエだけは誰にも幸せにする権利を渡さない」
「はい。私もヒカルさんに幸せにして貰いたいです」
「ロニエは今何をしたら幸せになれる?」
「そうですね。ヒカルさんと私は既に結婚していますからね、では私をヒカルさんの1番にしてください。何もかもヒカルさんの1番にしてください」
その言葉に反応したのは俺では無かった。
「待ちなさいよ! 聞いていなかったの! 私がこの人の1番なのよ」
「同立で満足なんて私はしません。ヒカルさん。どうか私を幸せにしてください」
「待ちなさい! 何をするきよ! 今更何をするきよ」
セレナが騒ぎ出すが。
「そりゃあ愛し合っている二人がすることなんてね」
「一つしか無いですよね」
「やめなさい! 死ぬわよ!」
「なんか死なない気がする。ロニエ。キスしよう」
「ヒカルさん。ロニエはヒカルさんにキスされて幸せでした」
幻聴の言うことも聞くものだ。
「なんかちょっとだけ元気になったよ。ロニエはキスだけが良い?」
「ヒカルさんはエッチですね」
「嫌ならしないよ」
「してください。ロニエにしてください」
「嫌じゃないの? おっぱい触っただけで怒ったのに」
「あれは混乱していたのにヒカルさんが無理やりやるからじゃないですか! .......ちょっと気持ち良かったんですよ」
「そりゃあね。ロニエの体は全部知り尽くしてるからね」
「ならヒカルさんに任せます。ロニエは初めてですから優しくしてください」
「体は初めてじゃないよ。慣れ親しんでいるからすぐに気持ち良くなれるよ」
ロニエにキスしながら笑い会う。さっきまで死を覚悟するほど衰弱してたのに今はもう。
「わぁー。大きいですね」
「ちょっと本気なの!? 私もいるのよ」
「いつもいるじゃん」
「そうですね。セレナさんは第三王妃なのでしょう、恥ずかしがってどうするのです」
「ロニエ。また一緒に暮らそうね」
「はい。ヒカルさんと一緒に暮らしたいです」
ロニエを抱く。それだけで元気になれる。
「お! 凄い。ロニエ準備が出来てるじゃん。このままいけるよ。良い?」
「良いですよ。ヒカルさんに抱かれていると怖くありません。ヒカルさんの好きにしてください」
既にトロトロになっているロニエにゆっくりと当てる。
「一応ゆっくりやるよ」
「はい。ヒカルさんキスしながらお願いします」
「最初からそのつもり」
ゆっくりとキスしながらロニエの中に久しぶりに入れていく。
ーーーヒカルさんが好きです。
久しぶりの共有に懐かしいものを感じながらロニエキスする。
「どう?」
「!? ヒカル.......さん。もっと激しく気持ち良くしてください」
「え? でも最初は.......」
「お願いします。ロニエはもっと気持ち良くなりたいです。ヒカルさんと前のロニエが歩んだ道を見せてください」
「何だよ。ロニエは可愛いよ。良いよ。ロニエの願い叶えてあげる」
ロニエを気持ち良くさせる為に激しさをましていく。俺も久しぶり過ぎて感度がやばい。それでも長い時間快感に浸りつづけてた。そしてそろそろ限界だと思っていたら。
「まだです。もっと激しく!」
「ほーう。良いよ。全力でロニエをいかせてあげる」
「ヒカルさんも一緒がいいです」
「大丈夫。多分同時だから。いつもだいたい同時だし」
そして更に全力でロニエを犯した。とろけるような快感で遂に
「ヒカルさん! 中にぃ!」
中に出だした。ロニエもイッた。その快感が久しぶり過ぎて気持ち良すぎて意識が跳んだ。
そして懐かしい場所に行った。
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