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一章
八話 ホームルームを始めよう 後編
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「最初に僕たちの目的を整理しよう。僕たちの目的は魔王を倒して、この世界を救い、元の世界へ戻ること。そのために土のダンジョンを攻略し、古の賢者が残したとされる魔王討伐に有用な三つのアイテム『死者蘇生の秘薬』・『世界最強の剣』・『賢者の秘宝』を入手すること。ここまではいいよね?」
昨日の勇者会議で決まったことのおさらいだ。
当然だけれど、昨日は反対していた夢ちゃんにその気配はない。
というか、夢ちゃんがずっと俺に視線を向け続けている気がする。
あ、ほら、今、目が合った。視線が合ったら外してくると思ったがそんなことはない。
じっぃっと俺の瞳を見つめている。
この場所に来たとき、クラスの皆から好奇の視線を向けられたが、夢ちゃんから感じる視線はそれとは少し違う気色を感じだ。
なんだろう? さっきも朝から絡まれたし。普段よりも少し機嫌が悪そうだ。
昨日、関係性を進める為に踏み抜いた地雷の効力がまだ続いているのかな。
白露といい、そんなに根に持っていたら肩が凝るだろうに。
まぁ、夢ちゃんだし、そのうち自分で機嫌を直すだろう。
「そして、土のダンジョンを攻略するために南西の森を抜けた先にあると言う遺跡地帯に行く必要があるわけだけど」
元の世界に戻るには、魔王を倒す必要がある。
魔王を倒す為には、魔王に有効なアイテムを集める必要がある。
そのアイテムを手に入れる為には、ダンジョンを攻略する必要がある。
ダンジョンを攻略する為には、森を踏破する必要がある。
こうやって聞くとやっぱり古き良き王道のRPGゲームみたいだな。
ひとつひとつ、小さいクエストを達成していくことで、最終的な目標を達成できるようになる。
めんどくさいと思うこともあるが、エロ小説愛好家であると同時に、王道RPGゲームも割と好きな俺としてはワクワクする要素だ。
まあ、全部無視して魔王がいるという北の地に向かっても良いのだが、ここはゲームのような世界であっても、失敗したら死んでしまう現実だ。
いざ魔王と対面した時にやっぱり賢者のアイテムを手に入れておけば良かったと後悔しても取り返しが利かない。
冒険の書に記録して教会で復活することも、セーブしてセーブポイントから復活することもできないのだからね。
自分の命が掛かっている以上は、できるだけ丁寧に安全第一で攻略していきたい。
いつまでも時間があるとは限らないけれども。
「一旦、10日を目安として南西の森を抜けた先、遺跡地帯でもう一度集まって欲しい。もし期限までに森を抜けられなかったパーティがあれば、更に10日後、ここで待っていて欲しい。森を抜けた先に全てのパーティが集まらない場合は、みんなでここに戻って来て、改めて攻略を見直そうと思うから。……どうかな?」
もし最初の森すら攻略できないパーティがあった場合、編成を見直すってことか。
昨日の時点では仲良し同士が集まっただけで能力バランスも何もないからね。
しかし、バランスを重視しようにも一度冒険してみないと解らない。
うん。いい案なんじゃないかなって思う。
全員で攻略を目指す。良いことだよね。
各パーティーからも異論は出ない。
「よし。じゃあ、ひとまずの方針はこれで決定として。……快晴くん」
「ん? 俺? なにかな。勇作くん」
これで決定と言いつつ、俺を名指しする勇作くん。
20人の視線が俺を貫く。
あれ、てへへ。俺って結構人気者だね。
朝からそんなに何度も見つめられたら照れちゃうな。
「快晴くんも、ダンジョンの攻略を目指すつもりかい? 君は安全な城下町で僕たちを待っていてくれればいいんだよ?」
ああ、これは巷で人気な戦力外通告からの、仲間から追放される追放系というやつかな。
タイトルを考えるなら。
ロリコンの俺、異世界にクラス転移したけど追放されたので復讐してロリハーレムを作りますっ。
こんな感じかな。
うん、面白そうだ。特にロリって文字が入っているのが良い。何番煎じだろうが面白いものは面白いよね。
……と、長々妄想したけれど、別に勇作くんは悪意があって俺を追放しようとしている訳ではないだろう。
なんなら追放という概念すら相応しくない。
ただ単純に無能力な上にパーティ編成からも余ってしまった俺を心配しての発言だって伝わる。
言葉の端々に優しい色が見えるからね。
さて。ここで勇作くんの提案を受け入れて、クラスの皆が魔王を倒すまで幼女と一緒に安全な異世界ライフを堪能するのも面白いかもしれない。
というか、きっと俺の能力値だったらその選択をするべきなのだろう。
世界の救世主たる勇者として明らかに能力不足だし。
――でも。
「勇作くん。俺もダンジョンを攻略を目指すよ。あ、けれど、南西の森の攻略確認に俺を含める必要はないかな? できるだけ間に合わせるつもりではあるけれど。間に合わなかった所で俺の場合、パーティ編成の見直しも何もないからね」
例え無能力で貧弱ステータスだとしてもレベルを上げて強くなっておくことで、いつか皆の役に立つかもしれないし、魔王討伐に貢献できるかもしれない。
未来なんてどうなるか解らないのだから、出来ることはしておきたい。
なにより、望んだわけではないが折角、ファンタジー系の異世界に来たのだから、この世界を堪能したいのだ。
先ずは、ダンジョンを見てみたいし、古の賢者が残したというアイテムにも興味がある。
異世界系エロ小説を読みあさっている男の子の好奇心は、不思議の国を冒険したあの有名なアリスにも劣らない。
毎日ロリと淫靡な日々を過ごすノも良いけれど、それはエロ小説で飽きるほど読んできた。
こいつら異世界に来たんだから少しは冒険しろよって何回も思ったこともある。
「……解ったよ。でも、安全には十分気を付けるんだよ?」
「うん。心配してくれてありがとう」
勇作くんが心配そうにしつつも認めてくれた。
なんだかんだでいつも優しいイケメンだ。
「さて。僕から伝えようと思ったことは以上だけれど。他に皆から伝えておきたいことはあるかい?」
勇作くんの問いかけにクラスメイト達は答えない。
みんなからは伝えたいことないのかな?
こういう全体会議の場って喋るの何故か緊張するよね。
わかる。わかるよ。
俺も言いたいことあっても恥ずかしくて聞けないこと結構あるからね。
……さて。
「俺から一個、皆に確認しておきたいことがあるんだけどいいかな?」
「もちろん。何かな? 快晴くん」
少し待ってみたが他の皆は発言するつもりはないようだ。
であれば、俺が発言させてもらおう。
え? 恥ずかしいんじゃなかったって?
クラスの皆にロリコン変態野郎だとバレている以上に恥ずかしいことあると思う?
そういう境地は大分昔に過ぎ去ってしまった。
「今朝、気付いたんだけど。俺のステータス。レベルが上がっていないのにMPの最大値が上がっていたんだけど、同じようにステータスの値が上昇している人っている?」
「レベルアップ以外でのステータスの上昇。それは重要な話だね。僕は上がっていないな。みんなも確認してくれるかな?」
俺が言っている重要度をすぐに理解して勇作くんがステータスを確認してくれた。
ステータスの上昇はなかったようだけれど、他のみんなにも確認するように言ってくれたのは助かる。
検証のデータが増えれば増えるほど、正確な予測が立てやすい。
「あっ。快晴くん。私も上がっている。MPが50くらいかな?」
「快晴。私もMP上がっているわ。上昇量は10もないけれど。言われなかったら気付かなかったわ」
炎、白露とMPが上昇していることを申告してくれる。
二人に続いて、夢ちゃん、掛くん、斉藤くん、千夏ちゃんがステータスの上昇を教えてくれる。
上昇しているステータスはみんなMPだが、その上昇量に差異がある。
斉藤くんと千夏ちゃんは20くらい、掛くん、夢ちゃんの三人はほんの僅かに上昇しているとのことだ。
さて、この差にどんな意味があるのかな。
「なぁ。快晴。オレもステータスがあがってるぞ」
おっと。更にもう一人。
自己申告してくれたのは全身を金属のプレートアーマで包む男の子。
名前は不動 力斗(ふどう りきと)。
身長は俺より少し高めの176cm。
プレートアーマを着ていることから予想できるかもしれないが、クラス一の力持ちである。
因みに何故か既に兜まで被っていて、顔が見えないが容姿のレベルは中の上くらいだ。
平均以上の容姿ということで一見モテそうだが、そんなことはなく、クラスカーストも第四位と一番低い。
なぜそんな扱いなのかは、おいておくとして。
勇者としての能力は筋力増強で、使用中、毎秒ごとに筋力値が上昇するというものだ。
「教えてくれてありがとう。不動くん。どれくらいあがったの?」
「えっと。16から21になっているから、4だな」
違う。その計算式で間違いがないなら、上昇値は5だ。
まさかこの短いやりとりの中でボロを出すとは思わなかったが、これがさっきおいておいた不動くんの扱いが悪い理由である。
有り体にいえばお馬鹿なのだ。
一応、フォローしておくと勉強ができないだけで、普通に生活している分には誰にでも分け隔てなく接する気持ちのいい男の子だ。
彼がどれくらい気持ちのいい男の子かというと。
具体的には、中学三年生の時、高校受験前日に彼が試験対策をしたいから、勉強を教えてくれと言って来たときがあった。
もちろん、俺は二つ返事で引き受けて、どこを対策したいのか聞いてみた。
そうしたら、不動くんはなんて言ったと思う?
答えは試験範囲全部、だった。
一応、理解度テストをしてみたが、ほぼ全滅。
もう少し早く言ってくれれば一緒に対策したのだけれど、なにせ試験日は翌日だ。
勉強をしてどうにかするには3年くらい遅い。なんなら義務教育を初めからやり直した方がいいまであった。
これは普通にやっても絶対落ちるなと思った俺は、不動くんにある秘密兵器を授けることにした。
それは何かと言われれば、鉛筆転がし、である。
そこからはもう、変筆転がしで問題を解く方法を全力で教えた。
選択肢が5個以上あるものも解けるようにしたし、記述問題も解けるようにした。
不動くんもこの勉強はハマったようで、問題が解ける度に喜んでいたものだ。
……もちろん。解いた解答が正解とは限らないことに気付かない。
ともかく、鉛筆転がしをマスターした不動くんは、受験に挑み、見事合格した。
誰もが度肝を抜かれたが、不動くんは笑顔で俺に感謝し、受かった秘訣は俺に教えて貰った鉛筆転がしだと豪語していた。
そして、鉛筆転がしの解き方を他の人にまで教えていた。
にこにこと。
さて、ちょっと長めの回想だったが、不動くんの気持ちの良い性格が伝わったかな?
伝わったなら良し、伝わらなかったらなら、それでも良し。
高校であまり絡みがなくなった友人との思い出をふと思い出してしまっただけだからね。
しかし、16から21に変動して、上昇値は5か。
だとしたら白露や夢ちゃん達と同じ枠組だけど……ん?
変動前が16ってまさか。
「不動くん。上昇したのってMP?」
「いや? 筋力だぞ」
やっぱりか。どおりでMPの値にしては低すぎると思った。
16がMPの初期値だとしたら俺より低い事になる。
全ステータスがクラスで最下位という底辺の地位が奪われてしまう所だったね。
いや、別に奪って貰ってもよかったな。守っているわけじゃないし。
しかし、不動くんの筋力値って16が初期値だったのか、それはそれでかなり高めな値だと思う。
議論すべき観点は絶対にそこじゃいってことは解っているのだが……。
そうか、俺はオール1なのにな。
「ええと。MPの上昇に加えて、筋力値の上昇。やっぱりレベルアップ以外の要因でステータスはアップするみたいだね」
「そうだね。快晴君。問題は、どうしたらステータスを上昇させられるか、だね」
勇作くんの言うとおり、そこが一番大事な所だ。
ステータス上昇の仕組みを解き明かすことが出来れば、本当に戦闘せずに強くなることが出来る。
確実に勇者として魔王を倒す目的に役立つ筈だ。
勇者格差を感じて拗ねている場合じゃない。
「勇作くん。俺、昨日、MPを全部消費したんだけど。MPを全部消費する。もしくはMPを一定量消費することで最大MPが増える。っていう仮説はどう思う?」
「う~ん。ない。とは言わないけれど。どうだろう? もしそれが関係あるのだとしたらもっと多くの人が上昇するとは思うかな。実際、僕も昨日はそれなりにMPを消費したし」
「そうだよね」
それでも一応、勇作くんはみんなに昨日、MPを消費したか確認してくれる。
結果、俺のように全てのMPを消費した人間はいなかったが、MPを消費した人間は過半数を超えていた。
つまり、MP消費したからといって、そのままMPが上昇するということじゃないと言うことがわかる。
「不動くんは? 筋力値が上がりそうなことした?」
「ん? いや、してないぞ?」
さてさて、整理してみたが、それでも解らないことが多く、場が煮詰まってきてしまった。
俺と勇作くん以外、炎や白露、夢ちゃん達、他のみんなも考えてくれているようだが、良案は思いつかなさそうだ。
この場で謎を明らかにできれば良かったが、これ以上、この問題に頭を捻っていても仕方ない。
丁度、勇作くんと視線が合う。
同じことを考えたんだろうなと頷いておく。
この話はここまで、一旦解散しようと。
「馬鹿め」
空気を斬り割く罵倒が飛んだ。
もちろん、そんな罵倒を飛ばすのは、このクラスでひとりだけ。
眼鏡をかけた天才児、掛田 掛くんだ。
「少し考えれば解るだろう」
クラスの皆で頭を捻って解らなかった謎の答えは、少し考えれば解るらしい。
近くの人と相談しながら考えていたみんなが静かになって俺を見る。
勇作くんも俺を見る。
いや、言ったのは掛くんで俺じゃないんだけれど……。
まぁ、掛くんの相手をしろって言うことなんだろうな。
いいけども。
「掛くん。答えが解ったの? 教えてくれる?」
「説明してもいいが……いいんだな?」
いつも教えてと言えば、心良く教えてくれる掛くんが、真剣な瞳で本当に良いのか聞き返してきた。
何か不穏な気配はするけれど、解ったことがあるなら共有して貰いたい。
聞かない方がいい、この世界の真理とかに気付いてしまったとかな。
展開的には早すぎるが、掛くんならやりかねない。
今、ごくりっと唾を飲み込んだのは、俺だけではないだろう。
「う、うん? いいよ」
「よし、わかった。説明するぞ」
やっぱり心良く教えてくれる掛くんは、最初に俺と炎を指さして言う。
「まず確認だが、快晴。昨日、炎の部屋で夜を明かしたな」
「え? うん。そうだけど?」
「快晴くんっ!」
掛くんの問いに答えると、ぽんぽんぽんっと真っ赤な顔をした炎に肩を叩かれた。
全然痛くない。むしろ気持ちいい。
小動物にじゃれつかれているみたいで幸せな気持ちになる。
もっとやって欲しいな。
白露と夢ちゃんから極寒の視線を感じることを無視すればだけれど。
「あれ? 駄目だった? 付き合っていることは言ったんだし、昨日の夜、一緒にいるのも不自然じゃないと思うけど」
「快晴くんが話したいなら……駄目じゃないよ? 駄目じゃないけど……。恥ずかしいよぉ~~」
そうか。恥ずかしいか。この辺の女心は難しいな。
また白露に彼女を大事にしなさいって言われてしまう。
なんなら、瞳で言われているのが解る。
今はクラスカースト上位勢が周りにいて言ってこないけれど。
夢ちゃんの視線はよくわからない。
その夢ちゃんと、白露に掛くんが指を差した。
「そして白雪。姫路。お前達は、炎の部屋の両隣だったな」
「「……っ」」
極寒の瞳をしていた白露が左に、夢ちゃんが右に顔を背ける。
一瞬だったが二人の表情は紅潮しているように見えた。
ん? 二人も恥ずかしいのかな。
炎の部屋の隣という理由で恥ずかしいことなんて……あ。
「もうほぼ確定だが、念の為だ。斉藤。二階堂。お前達も昨夜は一緒にいたな」
「っ」
ここまで来たらなんとなく、掛くんの言いたいことは解ったが。
掛くんの止まらない追求が、斉藤くんと千夏ちゃんにも及ぶ。
もともと気の強くない千夏ちゃんが怯えるように肩を震わせて、斉藤くんは苦虫を噛んだような顔をしている。
千夏ちゃんの方は即座に女の子達が囲って後ろに隠したが、これ以上は不憫だ。
「掛くん。あの二人のことはそっとしておこうよ。それより、つまり?」
「俺は昨日、自慰行為をした。白雪、姫路も同じ行動をしていたのなら、MP上昇の原因はそれだ」
「「……」」
うん。したよ。とは言えないだろう。
仲の良いグループ内限定なら兎も角、クラス全員がいる場で話したくはないだろう。
だけど、そうか。白露と夢ちゃん。
昨日、ひとりえっちしてたのか。そうか。
しかもおかずは俺と炎の……。
「そして快晴と豪炎寺は――」
「――掛くん。ごめんね。結論だけ言って、できれば学問的に言って」
炎。ごめんね。恥ずかしがった理由が分ったよ。
これは俺でも恥ずかしいわ。
変態ロリコン野郎ってバレていることよりも恥ずかしいこと普通にあったね。
掛くんも、この謎を解き明かせば色々な人にダメージが入ることを解っていたから、最初に確認してたんだって今なら解る。
「つまりだ。性行為をすればMPが上昇する。中でも性交渉をすればMPの上昇量が増えるということだな」
と言うことらしい。
検証はするべきだが、掛くんが言うのだからきっと正しいだろう。
この世界、ゲームみたいな世界だなって思っていたが、訂正しよう。
エロゲーみたいな世界だな。
「掛くん。MPの上昇する仕組みはわかったけど。不動くんの筋力値があがったことについては」
「馬鹿め。不動の趣味は筋トレだろう。そこから考えればわかる。不動。昨日、筋トレをしたな?」
「ん? 筋トレ? 筋トレは日課だからな。もちろん、昨日もしたぞ」
なるほど、不動くんは筋トレをしたから、筋力値が上がったのか。
さっき何もしてないと言われたから、何もしてないものだと思ったが、日課の筋トレはこなしていたのか。
というか、掛くん。不動くんの趣味が筋トレだってよく知ってたね。
同じ中学で友達だった俺も知ってはいたけれど……。
いや、そんなことよりも。
「性行為でMP。筋トレで筋力……ということは」
「そうだ。快晴。基礎ステータスはステータスに応じた特訓をすることで伸すことが出来る可能性が高い。体力はランニングか? 知力は勉強か? 敏捷なら縄跳びか? 幸運はわからんが、上げようと思えば上げられるだろう」
「おおっ!」
これで戦闘以外でのステータスを鍛えられる方法が解った。
もちろんレベル上げも必要だろうが、それと並行して基礎ステータスも鍛えていけば……。
「ねぇ」
熱を帯びていた思考に冷や水を掛けられるような声。
夢ちゃんが今日一番冷たい視線を向けていた。
まるでゴミでもみるようだ。
「な、なにかな夢ちゃん」
「もしかして、私達に性行為を強制しようって話しですか?」
「……あ」
「あと、ちゃんって言わないでください。汚らわしい」
シンプルな罵倒。気持ちいいな。
でも、夢ちゃんが本気で嫌そうだから、乗り切れない。
他の女子メンバーからも冷たい視線が飛んでくる。
男子メンバーは霧島くんを筆頭にそわそわしているけれど……。
「答えてくれますか? 快晴くん?」
「えっと。どう思う? 勇作くん」
「私は快晴くんに聞いているだけど? そもそもこのお話し、快晴くんが始めた話だよね?」
流石にこれ以上、女子のヘイトを集めては溜まらないと、勇作くんに処理を任せようと、爆弾を投げたら、夢ちゃんが割り込んで投げ返してきた。
勇作くんの申し訳なそうな顔が見える。
どうやら逃げられないらしい。
「いや、まあ。どうするかって言われたら……」
……流石に、みんなに性行為を強制するのはインモラルが過ぎる。
ステータスアップの為とはいえ、本意ではない男女で性行為とか、鼻血が出そうな状況だね。
どうやってカップリングを選ぶのかな。
今日は巨乳の気分だから夢ちゃんでっ。ぐへへとか、男子に決定権があれば最高だな。
というか、ここで俺が、性行為を強制しようと言えば、強制できるのかな?
女子に軽蔑されるだけだし、炎との関係にも罅が入りそうだ。
彼女の炎はもちろん、友達の白露が蹂躙される姿を想像するのは胸くそが悪い。
――でももし、俺に強制できるのなら。
性行為をすれば強くなるという一点においては、強制させるのだって別に間違った解答ではないと思う。
少しでも強くなって、できるだけ安全にみんなで元の世界に戻れるのなら出来ることはやっておくべきだ。
いやいやでも、流石にそれは……。
「快晴くん? 悩んでるの?」
「え? いや……」
「大丈夫だよ? 私はどんな選択でも、快晴くんの選択を応援するからね」
女子からの軽蔑の視線が飛び乱れる中、炎だけは真剣な瞳で俺の瞳を見つめている。
そんな炎を見て決めた。
夢ちゃんに答えようと一瞬下げていた顔を上げると、呆れたような顔の白露と視線が合った。
何故かちょっと笑いそうになる。
「夢ちゃん。俺は性行為の強制はもちろん。他のステータスアップの強制もするつもりはないよ。俺達は元の世界に戻る為に戦うんだから、元の世界に戻れなくなるようなことはするべきじゃないって思うな。つまり、友達を大切にしようってことだね」
炎の言う通り、確かに悩んでしまったが、ここでインモラルな選択をして、不本意に強制される炎や白露を考えた時、どうしても正しい選択だとは思えなかった。
彼女である炎はもちろん、友達である白露には心から笑っていて欲しい。
「そう。ならいいですけど……。ちゃんって呼ばないでください」
ふっと、重かった空気が軽くなった気がする。
夢ちゃんの瞳も少しだけ柔らかくなり、女子の軽蔑の視線も消えている。
ほんの少し、男子のざわつきは残っているが、常識の範囲だろう。
「うん。僕も、快晴君と同じ意見だよ。ステータスアップは強制しない。やる分には止めないけれど、それを他人に強要しちゃだめだ。みんなの中にそういう人はいないと思うけれどね」
勇作くんが上手く纏めてくれた。
最後の冗談にみんなでくすくすと笑う。
だから最初から勇作くんに任せればよかったのだ。
これは本格的に夢ちゃんに嫌われてしまったかもしれない。
「さて。他に話もないようだし。そろそろ解散しよう。10日後、南西の森の向こうで無事にみんなと会えることを祈っているよ」
朝の集まりが終わり、勇作くん、掛くん、音ちゃん、各パーティが城下町に散っていく。
すれ違い様に斉藤くんからお礼を言われた。千夏ちゃんもぺこりと頭を下げてくれた。
さっき、掛くんが二人の関係を追求した件を流したことだろう。
別に気にしなくて良いのに。
夢ちゃんも言っていたが、あれに関しては俺が始めた話しだし、恩に着せてしまったら、マッチポンプだからね。
「……」
夢ちゃんは暫くの間、何かを言いたげに俺をじっと見つめてから、パーティを引き連れて去っていく。
ほぉ。ようやく、怖い視線から解放された。
肩の力が抜ける。
今度は何も言われなくて良かった。
「ねぇ。快晴。姫路さん。怒っているようだけれど? 追わなくていいのかしら?」
「え、なんで?」
白露も俺と同じく姫路さんの視線に気付いていたらしい。
やっぱり怒ってたよね。
「なんでって。私の時は追おうとしてくれたんでしょ?」
「まぁ。白露だからね」
「……姫路さんはいいの?」
「夢ちゃんは、ほっといても自分で解決するでしょ。強い女の子だし」
「私が弱い女の子みたいじゃないっ!」
「え?」
「は?」
白露に睨まれる。
折角、夢ちゃんの怖い視線から解放されたのに、これでは変らない。
いや、白露の視線なら一生浴びててもいいか。
「快晴はこう言っているけれど、炎はそれでいいのかしら?」
「うん? 快晴くんが大丈夫って言うのなら、大丈夫だと思うけど。白露さんは、何か心配?」
「あぁ……そうね。もういいわ」
「大丈夫なら白雪さん。私、白露さんのこと、白露ちゃんって呼んでいいかな? 白雪さんとは今まで以上に仲良くなりたいんだ」
「いいけれど……でも。早くないかしら? まだ――」
「――大丈夫だよっ。私達はきっと、ずぅっと一緒にいられるから」
気持ちよく浴び続けたかったが、炎と百合々々し始めてしまう。
間に挟まりたいが、二人のやりとりが尊いから止めておこう。
「じゃあ。霧島くん。隼人くん。二人を頼んだよ?」
「おう。まっ。雪のお姫様も、ママもオレよりしっかりしてるけどな~~」
霧島くんが謙遜するけれど、俺は信頼している。
だからこそ炎と白露を任せられる。
「よぉ。快晴も幼女にかまけず、ダンジョンには来いよ」
隼人くん。幼女にかまけないのはムリだ。
でも、ちゃんとダンジョンには向から許して欲しい。
ともかく、一応の挨拶も済ませたし、俺も移動しようかな。
未だに俺の腰に抱きついているステリルカと、右袖を掴みながら白露と戯れる炎に相図する。
「あっ。快晴くん。この後、どうする予定かな?」
「うん? 取り敢えず、ステリルカと一緒に朝食を摂ってから、道具屋で傷の跡を消せる薬がないか探してみるつもり」
「そっか。一緒に、と思ったけど。お邪魔はできないね。ステリルカちゃん。まだ私に慣れてくれてないもんね」
「え、別に気にしなくていいよ。一緒に行く?」
「ううん。やめておく。でも、今度は二人でお出かけしようね」
「うん。楽しみにしてるよ」
満面の笑みで手を振ってくれる炎の後ろから、白露も少し顔を赤らめながら小さめに手を振ってくれている。
何時も冷たい白露にしては珍しく、温かみを感じる行動だな。
白露の気持ちについて深く考えてしまいそうになるけれど、異世界での冒険が始まるというのに小難しいことを考えていても仕方ない。
どうせ次に再会するときにハッキリすることだ。
俺は思考を切り替えて、炎達と別れると、ステリルカと共に城下町へ繰り出した。
(続く)
――メモ――
起承転結の起が終わった所くらいかな?
ここまで5話くらいで到達する予定でした。
ようやく冒険が始まりそうですね。
☆クラスカースト纏め
●一位
池上 勇作
姫路 夢
掛田 掛
豪炎寺 炎
●第二位グループ
白雪白露
早々隼人
????
????
????
●第三位
斎藤 武
二階堂 千夏
????
????
????
????
????
●第四位
霧島 硝煙
不動 力斗
????
●番外位
音無 音
■登場人物
異世界転移組
●名前 星空 快晴(ほしぞら かいせい)
年齢 17
能力 無能力
役割 主人公
容姿 普通よりちょっと下くらい。
性格 ロリコン
異性関係 白露に好かれているかもしれないと気付く
備考 実は炎より先に告白されていたら、白露と付き合っていた。
☆所持金
銀貨 九九枚
銅貨 六二枚
―――――――――――
ステータス
星空 快晴
レベル 1
HP100(100)
MP 152(152)
筋力 1
体力 1
知力 1
敏捷 1
幸運 1
スキル なし:
―――――――――――
●名前 豪炎寺 炎(ごうえんじ えん)
年齢 16
性別 女
能力 豪炎創成
立場 快晴の恋人
容姿 背が低い
髪はショート 赤の混ざった茶色 身長は130cm後半 体重は38キロ。
手足は短いがすらりと伸びていて枝のように細い。
性格 ままぁ
口調 ~~だよ。~~するね。ママじゃないよ?
異性関係 快晴の彼女
備考 実は白露と快晴が互いにどう思っているか本人達よりも詳しい。
――――――――――――――
ステータス
豪炎寺 炎
レベル 1
HP 230(250)
MP 750(750)→MP 809(809)
筋力 3
体力 3
知力 8
敏捷 9
幸運 5
スキル 豪炎創成
――――――――――――――
●名前 白雪 白露(しらゆき しらつゆ)
年齢 17
性別 女
能力 ???
立場 カースト2位 男子人気2位
容姿 黒髪長髪ストレート 貧乳
性格 クーデレさん。
口調 「~~しておいたら?」「~~でしょ」「~~わね」
異性関係 親友の彼氏に片想いしている
備考 実は片想いしている人と親友のえっちを聞きながら自慰していた。
●名前 姫路 夢(ひめじ ゆめ)
年齢 17
性別 女
能力 絶対零度
立場 クラスのアイドル
容姿 端麗。巨乳。
性格 ???
口調 基本は敬語 好悪問わず感情が高ぶると敬語が取れる。
異性関係 快晴と炎が付き合ってしまって複雑な気持ち。
備考 快晴と炎のえっちを聞きながら致してしまって機嫌が悪い。
●名前 池上 勇作(いけがみ ゆうさく)
年齢 17
能力 能力複製
立場 クラスのリーダ
容姿 端麗
性格 優しい
口調 ~~だよね。~~いいかな。
異性関係 快晴と好きな人が被っているが、炎ではない。
備考 実は快晴と炎が付き合ってホッとしている。
――――――――――――――
ステータス
池上 勇作
レベル 1
HP1000
MP900
筋力 10
体力 10
知力 9
敏捷 9
幸運 10
スキル 能力複製
●名前 掛田 掛(かけた かける)
年齢 17
性別 男
能力 絶対体幹→常時発動型でどんな状況、場所を問わず体勢を崩さず、持っている物も落さなくなる。
また任意発動で、触った対象に絶対体幹の能力を付与できる。付与している間、毎秒MPを消費する。
立場 カースト1位 クラスで一番頭が良いというか、世界でも上位レベルで頭が良い。
容姿 めがね。
性格 物事をハッキリ言う。誰に対しても平等に接する。
口調「馬鹿め」と他人を罵倒するが、掛くんと比べると実際みんな馬鹿だから事実を言っているだけだったりする。
異性関係 自分より頭の良い人が好き。
備考 実は快晴が自分より頭が良いんじゃないかと思っている。
●名前 早々 隼人(はやばや はやと)
年齢 17
性別 男
能力 高速移動
立場 カースト2位
容姿 背が低め 割と容姿が整っている
性格 地頭がいい方でいつもよく周りを見ている
口調「やぁ」から話を始めることが多い。快晴のことを快晴と呼ぶ。
異性関係 モテる方だが興味はなし。
備考 実は勇作くんよりも快晴のことを信頼している。
●名前 霧島 硝煙(きりしま しょうえん)
年齢 17
能力 透明化
立場 快晴の友人
性格 お調子者
容姿 ???→描写してねぇぇ。
口調 だな~~。からな~~。
異性関係 好きな人と快晴が付き合ってしまったが、別に怨んでないが、羨ましくはある。
備考 実は炎に告白して振られている
●名前 不動 力斗(ふどう りきと)
年齢 17
性別 男
能力 筋力増強:能力使用中、1秒毎に筋力値が上昇する。上昇量は筋力の基礎ステータスが高いほど増える。
立場 クラスカースト第4位
容姿 身長175cm 体重80km 全身バキバキのボディービルダーだが、着痩せするタイプ。
髪は坊主。服の上からではそう見えないが脱ぐと手足が太い。
性格 愛される馬鹿
口調 ~~だ。~~なんだ。~~で。一人称はおれ。二人称はおまえ。誰かを呼ぶときは基本呼び捨て。
「おはよう。快晴」「がはは。元気か?」「今日も良い筋肉だ?」「え? おれが馬鹿だって? そんなことより、昨日快便だったんだ。見せたかったぜ」
異性関係 千夏ちゃんに告白して振られた翌日、千夏ちゃんが斉藤君とお付き合いをし始めた
備考 最初の武具選択で全身金属アーマを購入した。趣味は筋トレ
■フォーマット用
●名前
年齢
性別
能力
立場
容姿
性格
口調
異性関係
備考
昨日の勇者会議で決まったことのおさらいだ。
当然だけれど、昨日は反対していた夢ちゃんにその気配はない。
というか、夢ちゃんがずっと俺に視線を向け続けている気がする。
あ、ほら、今、目が合った。視線が合ったら外してくると思ったがそんなことはない。
じっぃっと俺の瞳を見つめている。
この場所に来たとき、クラスの皆から好奇の視線を向けられたが、夢ちゃんから感じる視線はそれとは少し違う気色を感じだ。
なんだろう? さっきも朝から絡まれたし。普段よりも少し機嫌が悪そうだ。
昨日、関係性を進める為に踏み抜いた地雷の効力がまだ続いているのかな。
白露といい、そんなに根に持っていたら肩が凝るだろうに。
まぁ、夢ちゃんだし、そのうち自分で機嫌を直すだろう。
「そして、土のダンジョンを攻略するために南西の森を抜けた先にあると言う遺跡地帯に行く必要があるわけだけど」
元の世界に戻るには、魔王を倒す必要がある。
魔王を倒す為には、魔王に有効なアイテムを集める必要がある。
そのアイテムを手に入れる為には、ダンジョンを攻略する必要がある。
ダンジョンを攻略する為には、森を踏破する必要がある。
こうやって聞くとやっぱり古き良き王道のRPGゲームみたいだな。
ひとつひとつ、小さいクエストを達成していくことで、最終的な目標を達成できるようになる。
めんどくさいと思うこともあるが、エロ小説愛好家であると同時に、王道RPGゲームも割と好きな俺としてはワクワクする要素だ。
まあ、全部無視して魔王がいるという北の地に向かっても良いのだが、ここはゲームのような世界であっても、失敗したら死んでしまう現実だ。
いざ魔王と対面した時にやっぱり賢者のアイテムを手に入れておけば良かったと後悔しても取り返しが利かない。
冒険の書に記録して教会で復活することも、セーブしてセーブポイントから復活することもできないのだからね。
自分の命が掛かっている以上は、できるだけ丁寧に安全第一で攻略していきたい。
いつまでも時間があるとは限らないけれども。
「一旦、10日を目安として南西の森を抜けた先、遺跡地帯でもう一度集まって欲しい。もし期限までに森を抜けられなかったパーティがあれば、更に10日後、ここで待っていて欲しい。森を抜けた先に全てのパーティが集まらない場合は、みんなでここに戻って来て、改めて攻略を見直そうと思うから。……どうかな?」
もし最初の森すら攻略できないパーティがあった場合、編成を見直すってことか。
昨日の時点では仲良し同士が集まっただけで能力バランスも何もないからね。
しかし、バランスを重視しようにも一度冒険してみないと解らない。
うん。いい案なんじゃないかなって思う。
全員で攻略を目指す。良いことだよね。
各パーティーからも異論は出ない。
「よし。じゃあ、ひとまずの方針はこれで決定として。……快晴くん」
「ん? 俺? なにかな。勇作くん」
これで決定と言いつつ、俺を名指しする勇作くん。
20人の視線が俺を貫く。
あれ、てへへ。俺って結構人気者だね。
朝からそんなに何度も見つめられたら照れちゃうな。
「快晴くんも、ダンジョンの攻略を目指すつもりかい? 君は安全な城下町で僕たちを待っていてくれればいいんだよ?」
ああ、これは巷で人気な戦力外通告からの、仲間から追放される追放系というやつかな。
タイトルを考えるなら。
ロリコンの俺、異世界にクラス転移したけど追放されたので復讐してロリハーレムを作りますっ。
こんな感じかな。
うん、面白そうだ。特にロリって文字が入っているのが良い。何番煎じだろうが面白いものは面白いよね。
……と、長々妄想したけれど、別に勇作くんは悪意があって俺を追放しようとしている訳ではないだろう。
なんなら追放という概念すら相応しくない。
ただ単純に無能力な上にパーティ編成からも余ってしまった俺を心配しての発言だって伝わる。
言葉の端々に優しい色が見えるからね。
さて。ここで勇作くんの提案を受け入れて、クラスの皆が魔王を倒すまで幼女と一緒に安全な異世界ライフを堪能するのも面白いかもしれない。
というか、きっと俺の能力値だったらその選択をするべきなのだろう。
世界の救世主たる勇者として明らかに能力不足だし。
――でも。
「勇作くん。俺もダンジョンを攻略を目指すよ。あ、けれど、南西の森の攻略確認に俺を含める必要はないかな? できるだけ間に合わせるつもりではあるけれど。間に合わなかった所で俺の場合、パーティ編成の見直しも何もないからね」
例え無能力で貧弱ステータスだとしてもレベルを上げて強くなっておくことで、いつか皆の役に立つかもしれないし、魔王討伐に貢献できるかもしれない。
未来なんてどうなるか解らないのだから、出来ることはしておきたい。
なにより、望んだわけではないが折角、ファンタジー系の異世界に来たのだから、この世界を堪能したいのだ。
先ずは、ダンジョンを見てみたいし、古の賢者が残したというアイテムにも興味がある。
異世界系エロ小説を読みあさっている男の子の好奇心は、不思議の国を冒険したあの有名なアリスにも劣らない。
毎日ロリと淫靡な日々を過ごすノも良いけれど、それはエロ小説で飽きるほど読んできた。
こいつら異世界に来たんだから少しは冒険しろよって何回も思ったこともある。
「……解ったよ。でも、安全には十分気を付けるんだよ?」
「うん。心配してくれてありがとう」
勇作くんが心配そうにしつつも認めてくれた。
なんだかんだでいつも優しいイケメンだ。
「さて。僕から伝えようと思ったことは以上だけれど。他に皆から伝えておきたいことはあるかい?」
勇作くんの問いかけにクラスメイト達は答えない。
みんなからは伝えたいことないのかな?
こういう全体会議の場って喋るの何故か緊張するよね。
わかる。わかるよ。
俺も言いたいことあっても恥ずかしくて聞けないこと結構あるからね。
……さて。
「俺から一個、皆に確認しておきたいことがあるんだけどいいかな?」
「もちろん。何かな? 快晴くん」
少し待ってみたが他の皆は発言するつもりはないようだ。
であれば、俺が発言させてもらおう。
え? 恥ずかしいんじゃなかったって?
クラスの皆にロリコン変態野郎だとバレている以上に恥ずかしいことあると思う?
そういう境地は大分昔に過ぎ去ってしまった。
「今朝、気付いたんだけど。俺のステータス。レベルが上がっていないのにMPの最大値が上がっていたんだけど、同じようにステータスの値が上昇している人っている?」
「レベルアップ以外でのステータスの上昇。それは重要な話だね。僕は上がっていないな。みんなも確認してくれるかな?」
俺が言っている重要度をすぐに理解して勇作くんがステータスを確認してくれた。
ステータスの上昇はなかったようだけれど、他のみんなにも確認するように言ってくれたのは助かる。
検証のデータが増えれば増えるほど、正確な予測が立てやすい。
「あっ。快晴くん。私も上がっている。MPが50くらいかな?」
「快晴。私もMP上がっているわ。上昇量は10もないけれど。言われなかったら気付かなかったわ」
炎、白露とMPが上昇していることを申告してくれる。
二人に続いて、夢ちゃん、掛くん、斉藤くん、千夏ちゃんがステータスの上昇を教えてくれる。
上昇しているステータスはみんなMPだが、その上昇量に差異がある。
斉藤くんと千夏ちゃんは20くらい、掛くん、夢ちゃんの三人はほんの僅かに上昇しているとのことだ。
さて、この差にどんな意味があるのかな。
「なぁ。快晴。オレもステータスがあがってるぞ」
おっと。更にもう一人。
自己申告してくれたのは全身を金属のプレートアーマで包む男の子。
名前は不動 力斗(ふどう りきと)。
身長は俺より少し高めの176cm。
プレートアーマを着ていることから予想できるかもしれないが、クラス一の力持ちである。
因みに何故か既に兜まで被っていて、顔が見えないが容姿のレベルは中の上くらいだ。
平均以上の容姿ということで一見モテそうだが、そんなことはなく、クラスカーストも第四位と一番低い。
なぜそんな扱いなのかは、おいておくとして。
勇者としての能力は筋力増強で、使用中、毎秒ごとに筋力値が上昇するというものだ。
「教えてくれてありがとう。不動くん。どれくらいあがったの?」
「えっと。16から21になっているから、4だな」
違う。その計算式で間違いがないなら、上昇値は5だ。
まさかこの短いやりとりの中でボロを出すとは思わなかったが、これがさっきおいておいた不動くんの扱いが悪い理由である。
有り体にいえばお馬鹿なのだ。
一応、フォローしておくと勉強ができないだけで、普通に生活している分には誰にでも分け隔てなく接する気持ちのいい男の子だ。
彼がどれくらい気持ちのいい男の子かというと。
具体的には、中学三年生の時、高校受験前日に彼が試験対策をしたいから、勉強を教えてくれと言って来たときがあった。
もちろん、俺は二つ返事で引き受けて、どこを対策したいのか聞いてみた。
そうしたら、不動くんはなんて言ったと思う?
答えは試験範囲全部、だった。
一応、理解度テストをしてみたが、ほぼ全滅。
もう少し早く言ってくれれば一緒に対策したのだけれど、なにせ試験日は翌日だ。
勉強をしてどうにかするには3年くらい遅い。なんなら義務教育を初めからやり直した方がいいまであった。
これは普通にやっても絶対落ちるなと思った俺は、不動くんにある秘密兵器を授けることにした。
それは何かと言われれば、鉛筆転がし、である。
そこからはもう、変筆転がしで問題を解く方法を全力で教えた。
選択肢が5個以上あるものも解けるようにしたし、記述問題も解けるようにした。
不動くんもこの勉強はハマったようで、問題が解ける度に喜んでいたものだ。
……もちろん。解いた解答が正解とは限らないことに気付かない。
ともかく、鉛筆転がしをマスターした不動くんは、受験に挑み、見事合格した。
誰もが度肝を抜かれたが、不動くんは笑顔で俺に感謝し、受かった秘訣は俺に教えて貰った鉛筆転がしだと豪語していた。
そして、鉛筆転がしの解き方を他の人にまで教えていた。
にこにこと。
さて、ちょっと長めの回想だったが、不動くんの気持ちの良い性格が伝わったかな?
伝わったなら良し、伝わらなかったらなら、それでも良し。
高校であまり絡みがなくなった友人との思い出をふと思い出してしまっただけだからね。
しかし、16から21に変動して、上昇値は5か。
だとしたら白露や夢ちゃん達と同じ枠組だけど……ん?
変動前が16ってまさか。
「不動くん。上昇したのってMP?」
「いや? 筋力だぞ」
やっぱりか。どおりでMPの値にしては低すぎると思った。
16がMPの初期値だとしたら俺より低い事になる。
全ステータスがクラスで最下位という底辺の地位が奪われてしまう所だったね。
いや、別に奪って貰ってもよかったな。守っているわけじゃないし。
しかし、不動くんの筋力値って16が初期値だったのか、それはそれでかなり高めな値だと思う。
議論すべき観点は絶対にそこじゃいってことは解っているのだが……。
そうか、俺はオール1なのにな。
「ええと。MPの上昇に加えて、筋力値の上昇。やっぱりレベルアップ以外の要因でステータスはアップするみたいだね」
「そうだね。快晴君。問題は、どうしたらステータスを上昇させられるか、だね」
勇作くんの言うとおり、そこが一番大事な所だ。
ステータス上昇の仕組みを解き明かすことが出来れば、本当に戦闘せずに強くなることが出来る。
確実に勇者として魔王を倒す目的に役立つ筈だ。
勇者格差を感じて拗ねている場合じゃない。
「勇作くん。俺、昨日、MPを全部消費したんだけど。MPを全部消費する。もしくはMPを一定量消費することで最大MPが増える。っていう仮説はどう思う?」
「う~ん。ない。とは言わないけれど。どうだろう? もしそれが関係あるのだとしたらもっと多くの人が上昇するとは思うかな。実際、僕も昨日はそれなりにMPを消費したし」
「そうだよね」
それでも一応、勇作くんはみんなに昨日、MPを消費したか確認してくれる。
結果、俺のように全てのMPを消費した人間はいなかったが、MPを消費した人間は過半数を超えていた。
つまり、MP消費したからといって、そのままMPが上昇するということじゃないと言うことがわかる。
「不動くんは? 筋力値が上がりそうなことした?」
「ん? いや、してないぞ?」
さてさて、整理してみたが、それでも解らないことが多く、場が煮詰まってきてしまった。
俺と勇作くん以外、炎や白露、夢ちゃん達、他のみんなも考えてくれているようだが、良案は思いつかなさそうだ。
この場で謎を明らかにできれば良かったが、これ以上、この問題に頭を捻っていても仕方ない。
丁度、勇作くんと視線が合う。
同じことを考えたんだろうなと頷いておく。
この話はここまで、一旦解散しようと。
「馬鹿め」
空気を斬り割く罵倒が飛んだ。
もちろん、そんな罵倒を飛ばすのは、このクラスでひとりだけ。
眼鏡をかけた天才児、掛田 掛くんだ。
「少し考えれば解るだろう」
クラスの皆で頭を捻って解らなかった謎の答えは、少し考えれば解るらしい。
近くの人と相談しながら考えていたみんなが静かになって俺を見る。
勇作くんも俺を見る。
いや、言ったのは掛くんで俺じゃないんだけれど……。
まぁ、掛くんの相手をしろって言うことなんだろうな。
いいけども。
「掛くん。答えが解ったの? 教えてくれる?」
「説明してもいいが……いいんだな?」
いつも教えてと言えば、心良く教えてくれる掛くんが、真剣な瞳で本当に良いのか聞き返してきた。
何か不穏な気配はするけれど、解ったことがあるなら共有して貰いたい。
聞かない方がいい、この世界の真理とかに気付いてしまったとかな。
展開的には早すぎるが、掛くんならやりかねない。
今、ごくりっと唾を飲み込んだのは、俺だけではないだろう。
「う、うん? いいよ」
「よし、わかった。説明するぞ」
やっぱり心良く教えてくれる掛くんは、最初に俺と炎を指さして言う。
「まず確認だが、快晴。昨日、炎の部屋で夜を明かしたな」
「え? うん。そうだけど?」
「快晴くんっ!」
掛くんの問いに答えると、ぽんぽんぽんっと真っ赤な顔をした炎に肩を叩かれた。
全然痛くない。むしろ気持ちいい。
小動物にじゃれつかれているみたいで幸せな気持ちになる。
もっとやって欲しいな。
白露と夢ちゃんから極寒の視線を感じることを無視すればだけれど。
「あれ? 駄目だった? 付き合っていることは言ったんだし、昨日の夜、一緒にいるのも不自然じゃないと思うけど」
「快晴くんが話したいなら……駄目じゃないよ? 駄目じゃないけど……。恥ずかしいよぉ~~」
そうか。恥ずかしいか。この辺の女心は難しいな。
また白露に彼女を大事にしなさいって言われてしまう。
なんなら、瞳で言われているのが解る。
今はクラスカースト上位勢が周りにいて言ってこないけれど。
夢ちゃんの視線はよくわからない。
その夢ちゃんと、白露に掛くんが指を差した。
「そして白雪。姫路。お前達は、炎の部屋の両隣だったな」
「「……っ」」
極寒の瞳をしていた白露が左に、夢ちゃんが右に顔を背ける。
一瞬だったが二人の表情は紅潮しているように見えた。
ん? 二人も恥ずかしいのかな。
炎の部屋の隣という理由で恥ずかしいことなんて……あ。
「もうほぼ確定だが、念の為だ。斉藤。二階堂。お前達も昨夜は一緒にいたな」
「っ」
ここまで来たらなんとなく、掛くんの言いたいことは解ったが。
掛くんの止まらない追求が、斉藤くんと千夏ちゃんにも及ぶ。
もともと気の強くない千夏ちゃんが怯えるように肩を震わせて、斉藤くんは苦虫を噛んだような顔をしている。
千夏ちゃんの方は即座に女の子達が囲って後ろに隠したが、これ以上は不憫だ。
「掛くん。あの二人のことはそっとしておこうよ。それより、つまり?」
「俺は昨日、自慰行為をした。白雪、姫路も同じ行動をしていたのなら、MP上昇の原因はそれだ」
「「……」」
うん。したよ。とは言えないだろう。
仲の良いグループ内限定なら兎も角、クラス全員がいる場で話したくはないだろう。
だけど、そうか。白露と夢ちゃん。
昨日、ひとりえっちしてたのか。そうか。
しかもおかずは俺と炎の……。
「そして快晴と豪炎寺は――」
「――掛くん。ごめんね。結論だけ言って、できれば学問的に言って」
炎。ごめんね。恥ずかしがった理由が分ったよ。
これは俺でも恥ずかしいわ。
変態ロリコン野郎ってバレていることよりも恥ずかしいこと普通にあったね。
掛くんも、この謎を解き明かせば色々な人にダメージが入ることを解っていたから、最初に確認してたんだって今なら解る。
「つまりだ。性行為をすればMPが上昇する。中でも性交渉をすればMPの上昇量が増えるということだな」
と言うことらしい。
検証はするべきだが、掛くんが言うのだからきっと正しいだろう。
この世界、ゲームみたいな世界だなって思っていたが、訂正しよう。
エロゲーみたいな世界だな。
「掛くん。MPの上昇する仕組みはわかったけど。不動くんの筋力値があがったことについては」
「馬鹿め。不動の趣味は筋トレだろう。そこから考えればわかる。不動。昨日、筋トレをしたな?」
「ん? 筋トレ? 筋トレは日課だからな。もちろん、昨日もしたぞ」
なるほど、不動くんは筋トレをしたから、筋力値が上がったのか。
さっき何もしてないと言われたから、何もしてないものだと思ったが、日課の筋トレはこなしていたのか。
というか、掛くん。不動くんの趣味が筋トレだってよく知ってたね。
同じ中学で友達だった俺も知ってはいたけれど……。
いや、そんなことよりも。
「性行為でMP。筋トレで筋力……ということは」
「そうだ。快晴。基礎ステータスはステータスに応じた特訓をすることで伸すことが出来る可能性が高い。体力はランニングか? 知力は勉強か? 敏捷なら縄跳びか? 幸運はわからんが、上げようと思えば上げられるだろう」
「おおっ!」
これで戦闘以外でのステータスを鍛えられる方法が解った。
もちろんレベル上げも必要だろうが、それと並行して基礎ステータスも鍛えていけば……。
「ねぇ」
熱を帯びていた思考に冷や水を掛けられるような声。
夢ちゃんが今日一番冷たい視線を向けていた。
まるでゴミでもみるようだ。
「な、なにかな夢ちゃん」
「もしかして、私達に性行為を強制しようって話しですか?」
「……あ」
「あと、ちゃんって言わないでください。汚らわしい」
シンプルな罵倒。気持ちいいな。
でも、夢ちゃんが本気で嫌そうだから、乗り切れない。
他の女子メンバーからも冷たい視線が飛んでくる。
男子メンバーは霧島くんを筆頭にそわそわしているけれど……。
「答えてくれますか? 快晴くん?」
「えっと。どう思う? 勇作くん」
「私は快晴くんに聞いているだけど? そもそもこのお話し、快晴くんが始めた話だよね?」
流石にこれ以上、女子のヘイトを集めては溜まらないと、勇作くんに処理を任せようと、爆弾を投げたら、夢ちゃんが割り込んで投げ返してきた。
勇作くんの申し訳なそうな顔が見える。
どうやら逃げられないらしい。
「いや、まあ。どうするかって言われたら……」
……流石に、みんなに性行為を強制するのはインモラルが過ぎる。
ステータスアップの為とはいえ、本意ではない男女で性行為とか、鼻血が出そうな状況だね。
どうやってカップリングを選ぶのかな。
今日は巨乳の気分だから夢ちゃんでっ。ぐへへとか、男子に決定権があれば最高だな。
というか、ここで俺が、性行為を強制しようと言えば、強制できるのかな?
女子に軽蔑されるだけだし、炎との関係にも罅が入りそうだ。
彼女の炎はもちろん、友達の白露が蹂躙される姿を想像するのは胸くそが悪い。
――でももし、俺に強制できるのなら。
性行為をすれば強くなるという一点においては、強制させるのだって別に間違った解答ではないと思う。
少しでも強くなって、できるだけ安全にみんなで元の世界に戻れるのなら出来ることはやっておくべきだ。
いやいやでも、流石にそれは……。
「快晴くん? 悩んでるの?」
「え? いや……」
「大丈夫だよ? 私はどんな選択でも、快晴くんの選択を応援するからね」
女子からの軽蔑の視線が飛び乱れる中、炎だけは真剣な瞳で俺の瞳を見つめている。
そんな炎を見て決めた。
夢ちゃんに答えようと一瞬下げていた顔を上げると、呆れたような顔の白露と視線が合った。
何故かちょっと笑いそうになる。
「夢ちゃん。俺は性行為の強制はもちろん。他のステータスアップの強制もするつもりはないよ。俺達は元の世界に戻る為に戦うんだから、元の世界に戻れなくなるようなことはするべきじゃないって思うな。つまり、友達を大切にしようってことだね」
炎の言う通り、確かに悩んでしまったが、ここでインモラルな選択をして、不本意に強制される炎や白露を考えた時、どうしても正しい選択だとは思えなかった。
彼女である炎はもちろん、友達である白露には心から笑っていて欲しい。
「そう。ならいいですけど……。ちゃんって呼ばないでください」
ふっと、重かった空気が軽くなった気がする。
夢ちゃんの瞳も少しだけ柔らかくなり、女子の軽蔑の視線も消えている。
ほんの少し、男子のざわつきは残っているが、常識の範囲だろう。
「うん。僕も、快晴君と同じ意見だよ。ステータスアップは強制しない。やる分には止めないけれど、それを他人に強要しちゃだめだ。みんなの中にそういう人はいないと思うけれどね」
勇作くんが上手く纏めてくれた。
最後の冗談にみんなでくすくすと笑う。
だから最初から勇作くんに任せればよかったのだ。
これは本格的に夢ちゃんに嫌われてしまったかもしれない。
「さて。他に話もないようだし。そろそろ解散しよう。10日後、南西の森の向こうで無事にみんなと会えることを祈っているよ」
朝の集まりが終わり、勇作くん、掛くん、音ちゃん、各パーティが城下町に散っていく。
すれ違い様に斉藤くんからお礼を言われた。千夏ちゃんもぺこりと頭を下げてくれた。
さっき、掛くんが二人の関係を追求した件を流したことだろう。
別に気にしなくて良いのに。
夢ちゃんも言っていたが、あれに関しては俺が始めた話しだし、恩に着せてしまったら、マッチポンプだからね。
「……」
夢ちゃんは暫くの間、何かを言いたげに俺をじっと見つめてから、パーティを引き連れて去っていく。
ほぉ。ようやく、怖い視線から解放された。
肩の力が抜ける。
今度は何も言われなくて良かった。
「ねぇ。快晴。姫路さん。怒っているようだけれど? 追わなくていいのかしら?」
「え、なんで?」
白露も俺と同じく姫路さんの視線に気付いていたらしい。
やっぱり怒ってたよね。
「なんでって。私の時は追おうとしてくれたんでしょ?」
「まぁ。白露だからね」
「……姫路さんはいいの?」
「夢ちゃんは、ほっといても自分で解決するでしょ。強い女の子だし」
「私が弱い女の子みたいじゃないっ!」
「え?」
「は?」
白露に睨まれる。
折角、夢ちゃんの怖い視線から解放されたのに、これでは変らない。
いや、白露の視線なら一生浴びててもいいか。
「快晴はこう言っているけれど、炎はそれでいいのかしら?」
「うん? 快晴くんが大丈夫って言うのなら、大丈夫だと思うけど。白露さんは、何か心配?」
「あぁ……そうね。もういいわ」
「大丈夫なら白雪さん。私、白露さんのこと、白露ちゃんって呼んでいいかな? 白雪さんとは今まで以上に仲良くなりたいんだ」
「いいけれど……でも。早くないかしら? まだ――」
「――大丈夫だよっ。私達はきっと、ずぅっと一緒にいられるから」
気持ちよく浴び続けたかったが、炎と百合々々し始めてしまう。
間に挟まりたいが、二人のやりとりが尊いから止めておこう。
「じゃあ。霧島くん。隼人くん。二人を頼んだよ?」
「おう。まっ。雪のお姫様も、ママもオレよりしっかりしてるけどな~~」
霧島くんが謙遜するけれど、俺は信頼している。
だからこそ炎と白露を任せられる。
「よぉ。快晴も幼女にかまけず、ダンジョンには来いよ」
隼人くん。幼女にかまけないのはムリだ。
でも、ちゃんとダンジョンには向から許して欲しい。
ともかく、一応の挨拶も済ませたし、俺も移動しようかな。
未だに俺の腰に抱きついているステリルカと、右袖を掴みながら白露と戯れる炎に相図する。
「あっ。快晴くん。この後、どうする予定かな?」
「うん? 取り敢えず、ステリルカと一緒に朝食を摂ってから、道具屋で傷の跡を消せる薬がないか探してみるつもり」
「そっか。一緒に、と思ったけど。お邪魔はできないね。ステリルカちゃん。まだ私に慣れてくれてないもんね」
「え、別に気にしなくていいよ。一緒に行く?」
「ううん。やめておく。でも、今度は二人でお出かけしようね」
「うん。楽しみにしてるよ」
満面の笑みで手を振ってくれる炎の後ろから、白露も少し顔を赤らめながら小さめに手を振ってくれている。
何時も冷たい白露にしては珍しく、温かみを感じる行動だな。
白露の気持ちについて深く考えてしまいそうになるけれど、異世界での冒険が始まるというのに小難しいことを考えていても仕方ない。
どうせ次に再会するときにハッキリすることだ。
俺は思考を切り替えて、炎達と別れると、ステリルカと共に城下町へ繰り出した。
(続く)
――メモ――
起承転結の起が終わった所くらいかな?
ここまで5話くらいで到達する予定でした。
ようやく冒険が始まりそうですね。
☆クラスカースト纏め
●一位
池上 勇作
姫路 夢
掛田 掛
豪炎寺 炎
●第二位グループ
白雪白露
早々隼人
????
????
????
●第三位
斎藤 武
二階堂 千夏
????
????
????
????
????
●第四位
霧島 硝煙
不動 力斗
????
●番外位
音無 音
■登場人物
異世界転移組
●名前 星空 快晴(ほしぞら かいせい)
年齢 17
能力 無能力
役割 主人公
容姿 普通よりちょっと下くらい。
性格 ロリコン
異性関係 白露に好かれているかもしれないと気付く
備考 実は炎より先に告白されていたら、白露と付き合っていた。
☆所持金
銀貨 九九枚
銅貨 六二枚
―――――――――――
ステータス
星空 快晴
レベル 1
HP100(100)
MP 152(152)
筋力 1
体力 1
知力 1
敏捷 1
幸運 1
スキル なし:
―――――――――――
●名前 豪炎寺 炎(ごうえんじ えん)
年齢 16
性別 女
能力 豪炎創成
立場 快晴の恋人
容姿 背が低い
髪はショート 赤の混ざった茶色 身長は130cm後半 体重は38キロ。
手足は短いがすらりと伸びていて枝のように細い。
性格 ままぁ
口調 ~~だよ。~~するね。ママじゃないよ?
異性関係 快晴の彼女
備考 実は白露と快晴が互いにどう思っているか本人達よりも詳しい。
――――――――――――――
ステータス
豪炎寺 炎
レベル 1
HP 230(250)
MP 750(750)→MP 809(809)
筋力 3
体力 3
知力 8
敏捷 9
幸運 5
スキル 豪炎創成
――――――――――――――
●名前 白雪 白露(しらゆき しらつゆ)
年齢 17
性別 女
能力 ???
立場 カースト2位 男子人気2位
容姿 黒髪長髪ストレート 貧乳
性格 クーデレさん。
口調 「~~しておいたら?」「~~でしょ」「~~わね」
異性関係 親友の彼氏に片想いしている
備考 実は片想いしている人と親友のえっちを聞きながら自慰していた。
●名前 姫路 夢(ひめじ ゆめ)
年齢 17
性別 女
能力 絶対零度
立場 クラスのアイドル
容姿 端麗。巨乳。
性格 ???
口調 基本は敬語 好悪問わず感情が高ぶると敬語が取れる。
異性関係 快晴と炎が付き合ってしまって複雑な気持ち。
備考 快晴と炎のえっちを聞きながら致してしまって機嫌が悪い。
●名前 池上 勇作(いけがみ ゆうさく)
年齢 17
能力 能力複製
立場 クラスのリーダ
容姿 端麗
性格 優しい
口調 ~~だよね。~~いいかな。
異性関係 快晴と好きな人が被っているが、炎ではない。
備考 実は快晴と炎が付き合ってホッとしている。
――――――――――――――
ステータス
池上 勇作
レベル 1
HP1000
MP900
筋力 10
体力 10
知力 9
敏捷 9
幸運 10
スキル 能力複製
●名前 掛田 掛(かけた かける)
年齢 17
性別 男
能力 絶対体幹→常時発動型でどんな状況、場所を問わず体勢を崩さず、持っている物も落さなくなる。
また任意発動で、触った対象に絶対体幹の能力を付与できる。付与している間、毎秒MPを消費する。
立場 カースト1位 クラスで一番頭が良いというか、世界でも上位レベルで頭が良い。
容姿 めがね。
性格 物事をハッキリ言う。誰に対しても平等に接する。
口調「馬鹿め」と他人を罵倒するが、掛くんと比べると実際みんな馬鹿だから事実を言っているだけだったりする。
異性関係 自分より頭の良い人が好き。
備考 実は快晴が自分より頭が良いんじゃないかと思っている。
●名前 早々 隼人(はやばや はやと)
年齢 17
性別 男
能力 高速移動
立場 カースト2位
容姿 背が低め 割と容姿が整っている
性格 地頭がいい方でいつもよく周りを見ている
口調「やぁ」から話を始めることが多い。快晴のことを快晴と呼ぶ。
異性関係 モテる方だが興味はなし。
備考 実は勇作くんよりも快晴のことを信頼している。
●名前 霧島 硝煙(きりしま しょうえん)
年齢 17
能力 透明化
立場 快晴の友人
性格 お調子者
容姿 ???→描写してねぇぇ。
口調 だな~~。からな~~。
異性関係 好きな人と快晴が付き合ってしまったが、別に怨んでないが、羨ましくはある。
備考 実は炎に告白して振られている
●名前 不動 力斗(ふどう りきと)
年齢 17
性別 男
能力 筋力増強:能力使用中、1秒毎に筋力値が上昇する。上昇量は筋力の基礎ステータスが高いほど増える。
立場 クラスカースト第4位
容姿 身長175cm 体重80km 全身バキバキのボディービルダーだが、着痩せするタイプ。
髪は坊主。服の上からではそう見えないが脱ぐと手足が太い。
性格 愛される馬鹿
口調 ~~だ。~~なんだ。~~で。一人称はおれ。二人称はおまえ。誰かを呼ぶときは基本呼び捨て。
「おはよう。快晴」「がはは。元気か?」「今日も良い筋肉だ?」「え? おれが馬鹿だって? そんなことより、昨日快便だったんだ。見せたかったぜ」
異性関係 千夏ちゃんに告白して振られた翌日、千夏ちゃんが斉藤君とお付き合いをし始めた
備考 最初の武具選択で全身金属アーマを購入した。趣味は筋トレ
■フォーマット用
●名前
年齢
性別
能力
立場
容姿
性格
口調
異性関係
備考
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