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一章
九話 幼女の傷跡を治癒しよう
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朝食は何にしようかなと煩雑に入り乱れた城下町をゆっくりと歩く。
ステリルカの両手足と首に付いている長い鎖が、歩く度にちゃりんちゃりんと音が鳴っている。
やっぱり、地面の上を引きずっているし邪魔そうだな。
取ってあげたかったが、それは鎖に触られることを嫌がる以上は難しい。
ならばと、鎖を手足に巻いておくのはどうかと提案してみたら。
「お兄ちゃんが……してくれますか?」
と、上目遣いで頼まれた。
もちろんいいのだが、幼女の上目遣いは破壊力抜群だ。
ともかく、幼女の細い手足に無骨な鎖を巻き付けるというレアなイベントが発生した。
両手足にできるだけ軽めに鎖を巻いあげて、首の鎖も首に巻き、それでも余った部分を幼女の服の中、胸元へ落すと……。
「んっ」
「あっ。ごめん。外に出してると邪魔になるかなって思ったんだけど」
「いえ……。冷たくて驚いただけです」
ステリルカは胸を押さえて柔らかく笑う。
顔に傷の跡があるのを忘れてしまいそうになるほど魅力的な表情だ。
偶に歳不相応な色気を感じるんだよなぁ。
俺は幼女なら特に何が無くても発情できる変態だが、さっきの微笑みは昨晩、夜を共にした炎に通じるものがあった。
つまり、性癖にぶっ刺さるお色気です。
「ありがとうございます。歩きやすくなりました」
「それは良かった」
さて、朝ご飯だったね。
どうせなら異世界特有のレストランみたいな所で食べてみたいが、そういうお店はまだ営業前のようだ。
とりあえず、周囲には果物や、お肉を焼いている露天、お魚を焼いている店なんてのもある。
香ばしい香りが漂っていて食欲が刺激される。
匂いで釣るのはズルいと思います。
「ステリルカ。何か食べたいものある? 俺、この世界の食事事情について詳しくないから何か言ってくれると助かるんだけど」
「リルカも今まで外で何かを食べることが少なかったので……」
「そっか……なら適当に、ここでいいっか」
「はい」
この世界から元の世界に戻るには時間が掛かりそうだし、異世界っぽいお店もそのうち入るだろう。
あまり長く悩んでいても仕方ないと、お魚を焼いている露天の前で足を止める。
焚き火を囲うようにして串焼きにされているお魚を銅貨6枚で二尾購入して、一尾をステリルカに手渡した。
一応、人通りの邪魔にならないようにと、道の端に寄って幼女と肩を寄せ合いながらお魚を口にしみる。
塩気が利いていてサクサク食べられる。
昨日の夕餉でも思ったが、この世界の料理、普通に美味しいな。
「美味しいです」
ステリルカも笑顔でお魚を食べてくれている。
幼女の食事風景は癒やされるな。
食事を済ませた後も、通りのお店を見て回り、日持ちの良さそうな食料を見繕った。
―――――――――――――――
アイテムボック
プニプニンの体液 50個
プニプニンの皮 14個
銀貨 99枚→97枚
銅貨 62枚→59枚
NEW
フィールフィッシュの塩焼き 10個
フィールフィッシュの燻製 10個
フィール獣肉の塩焼き 10個
フィール獣肉の燻製 10個
―――――――――――――――
約銀貨2枚分と結構買ってしまったが、これで南西の森を攻略する際に食糧不足に陥ることはないだろう。
冒険中に空腹で飢えるのは嫌だからね。
なんとなく、ステリルカの分まで一緒に冒険する前提で買い溜めてしまったけれど、今後どうしたいかは本人に聞いておかないといけないな。
もちろん、奴隷を購入した以上はきっちり最後まで、面倒を見るつもりだが、ステリルカが嫌がるなら、わざわざ危険な冒険に連れて行く必要はない。
王様に面倒を見てくれるように頼んでみようかな。
それで冒険の合間に会いに行って癒されよう。
現地妻っぽくて最高だ。
まぁ、何にせよ、ステリルカの意思を優先すればいい。
奴隷幼女の扱いを検討しながら歩いていたら、道具屋に到着した。
え、さっきからどうやって目的地にたどり着いているのか不思議だって?
それはもちろん、行きかう人々に聞きながら、だ。
偶に隣を歩く幼女の奴隷を見て、蔑みの視線を向けられることもあったが、基本はみんな親切に道を教えてくれた。
で、たどり着いた場所は昨日、武具を購入したお店の隣だったりする。
うん。何も言わないでね。
昨日は初めての異世界風景に気を取られていて周りをあまり見ていなかっただけなのです。
ともかく、ステリルカと一緒にお店に入った。
「いらっしゃい。勇者さん。何かお探しかい?」
お店の扉を開けるとすぐにカウンターがあり、そこに立つ30代前半くらいの女性が声を掛けてくれた。
店主さんかな。気さくなお姉さんだ。
俺は気にしないが、ステリルカがビクッと反応して背後に隠れる。
お姉さんの後ろには棚や机があり、雑然と大から小まで沢山の商品が山積みされいるようだ。
一応、カウンターよりのこっち側にも商品が陳列されているが、何がどういう商品なのかは全くわからない。
いろいろ物色してみたいが、とりあえず、目的の物があるか聞いてみよう。
「こんにちは。この子の傷痕を治せる薬を探しているんですが、ありますか?」
「なら、ポーションだね。どんな傷痕か見せてくれるかい?」
おっ。やっぱり回復薬はあるらしい。
勇者の中にヒーラがいないから、もし回復薬がなかったら自然治癒を待つしかない地獄難易度の冒険かと怯えていたからよかった。
ともかく、後ろを振り向いて、怯えているステリルカに確認する。
「ステリルカ。ちょっとだけ、この人に傷を見せてもいい?」
「……はい。快晴さま」
鎖を触られる時のように、また嫌がるかなとも思ったが、傷を見せるのはいいらしい。
ステリルカが両手を挙げて、俺に向かって伸ばす。かわいいなぁ。
って、これ、もしかしなくても抱っこをせがまれているね。
え、でも、本当にいいの? 抱っこして。俺、ロリコンだよ?
「快晴さま?」
まさかの抱っこ要求に邪な感情が沸いて躊躇していたら、幼女が純粋な表情で不思議そうにこくり首を倒す。
完全に妄想だが、なんで抱っこしてくれないのお兄ちゃんって、甘えられている気がする。
いけない。いけない。心頭滅却。
俺はお兄ちゃん。俺はお兄ちゃんなのだ。
妹に邪な感情は抱いてはいけない。
「あ、いや、抱っこするね?」
「はい」
腰を落とし、幼女の小さい背中と膝に腕を通して抱きあげる。
ぷにぷにと柔らかく、ちょっと力を入れたら潰れてしまいそうな感触だ。
別に意識してなかったが、お姫様抱っこになってしまった。
幼女なお姫様が俺に身を任せるように体重を預けてくれる。
この恰好、幼女と顔の距離が近くて興奮する。
いけない。いけない。心頭滅却。
俺はロリコン。俺はロリコンなのだ。
ロリに邪なことをしてはいけない。
「お姉さん。これで解りますか?」
「どれどれ……。かなり酷い火傷の痕だね。お兄さん。どれだけ酷い折檻をしたんだい?」
「えっと……」
「ああっ。詮索はよくなかったね。この傷なら上級ポーションじゃないと治らないよ。ただ、ポーションは今、北の国で魔王影響でかなり高等しているけれど、購入するかい?」
店主のお姉さんに俺がステリルカを傷つけたと勘違いされてしまったのは悲報だが、上級ポーションさえあれば傷跡を治せるというのは朗報だ。
「おいくらですか?」
「魔王が余を乱す前なら、銀貨50枚で売っていたけれど、今は金貨5枚だね」
「おっと、予算オーバ」
なるほど、幼女の傷を治すとコストがかかると言っていた奴隷商人の言葉が今初めて理解できた。
確かに幼女の傷を治していたら、売値より治療費の方が高くつく。
治療しづらいのも仕方ない。
まぁ、それならそれで、もっと幼女を高く売れよと思うけれど。
「お兄さん。勇者だろ? もし魔物の素材を持っていたら買い取れるよ?」
「魔物の素材っ! あります」
昨日、王様から今後は自分達でお金を稼ぐように言われたとき、実はどうやって稼げばいいのかと思っていたが、魔物の素材を売って稼げということか。
最悪、労働しないといけないと思っていたからよかった。
まぁ、命を懸けて危険な魔物と戦わないといけないわけだが……。
そこは、どうせ魔王を倒す為にその配下である魔物とは戦う必要があるのだから、得だと思っておく。
さて、どれくらいで売れるのか。
アイテムボックスから昨日手に入れた魔物の素材を取り出してカウンターに乗せる。
えっと、持っている魔物の素材は、プニプニンの体液が50個、プニプニンの皮が14個。
因みにプニプニンの体液は謎の小瓶に入っている。
別に俺が入れた訳じゃないから、自動でアイテムボックスに格納される時に瓶詰されるようだ。
これで金貨5枚分になればいいけれど……無理な気がする。
いくら勇者とはいえ、新米が半日働いただけで幼女代より多くは稼げないだろう。
「プニプニンの素材だね。皮は銅貨3枚、体液は銅貨2枚、合計銀貨一枚と銅貨42枚だね。買い取りでいいかい?」
「買い取りでお願いします」
焼き魚一尾が銅貨3枚だったことから、銀貨二枚あれば、当分食うに困らない金額と言える。
昨日、半日費やした戦闘の成果としては申し分ないと思う。
……が、銀貨二枚増えた所で所持金の総計は、銀貨99枚と銅貨59枚。
案の定、上級ポーションの値段である金貨5枚には遠く及ばない。
しかし、ここで諦めたら道具屋に来た意味がない。
もう少し粘ってみよう。
「あの、綺麗なお姉さん。今回だけ値――」
「――値引きは一切しないよっ。お金が足りないなら、もっと魔物を倒して素材を集めてくるんだね」
うん。ダメだった。
仕方ない。しばらく王国の周辺でプニプニンを倒して素材を集めるか。
経験値集めにもなるし丁度いいと前向きに考えよう。
しかし、半日で銀貨2枚ということは、金貨5枚集めるのに何日かかることになるのか。
初手で幼女に大金を使ってしまった手前仕方ないが、憧れていた異世界で最初の悩みが金欠になるとはなんて世知辛いことか。
やっぱり異世界でもお金は大事なんだなと、現実の厳しさに打ち震えていると。
――すっ。
背後から白く細い手が伸びて来て、袖を引かれた。
引き戻される白く細い手に釣られて、後ろを振り向くと、前髪で目元が隠れた少女の姿。
21人の勇者の一人にして、5人のパーティーリーダの一人でもある音無 音(おとなし おと)ちゃんだ。
音ちゃんの後ろには、斎藤 武(さいとう たける)くんと二階堂 千夏(にかいどう ちなつ)ちゃんの姿もある。
二人とも不思議そうに音ちゃんの行動を見守っているようだ。
音無パーティーの面々だ。
更に後方で音ちゃんが率いるパーティの最後の一人、ちょっと暗い雰囲気を纏ったぱっつんお下げの少女が俺に小さくお辞儀をしてくれている。
音ちゃん達も、冒険の準備をするために道具屋へ来たのかな?
「音ちゃん? ごめんね。邪魔だったよね。でも、もう少しだけ待ってくれる? 今値引き交渉をしてるところだから」
「値引きは無駄だって言っているだろ」
「……」
思い出して欲しいのだが、音無 音という少女は基本的に無口、無表情な女の子である。
だから話しかけても、表情を一切変えずに返事をしないのは彼女のデフォルトだ。
俺が個人的に嫌われているって訳では全くない。
真顔のまま真っ黒の瞳でじぃぃっと俺のことを見つめているけれど。
嫌われていないんだ。ほんとだよ?
いやでも、普段はもう少し仕草で反応を表していると思うんだけど……。
普段絡んでいるのは、俺じゃなく、後方で佇むぱっつん少女と、炎や白露と言った面々か。
そうなると俺が嫌われてる可能性も……。
「……」
「……」
あ、やっぱり。
――快晴くん。早く退いてよね。邪魔だよ。まったくもうっ。ぷんぷんっ。
って、言われている気がする。
いや、音ちゃんの口調とか、声質とか一切しらないけれど。
俺の脳内音声では、CVはロリ顔ヒロインに定評がある人気声優さんだ。
「あ、うん。すぐに退くよ。退くからね」
「……」
流石に感情の読めない視線を無言で浴び続けていると、居たたまれない気持ちになる。
特に急ぎでもないし、半分諦めていた所だったし、後でもいいか。
今度、炎と白露に音ちゃんのことを紹介し直して貰うことを決めて、場所を譲ろうと、カウンターの前から離れようと足を動かす……と。
すぅっと、音ちゃんが俺の進行方向に立ち塞がって通せんぼ。
「……えっと?」
「……」
じぃっ。
一応、なんの意図があるのか確認するが、音ちゃんは変わらず無表情で、見つめてくるだけ。
……俺、やっぱり嫌われてるのかな。
ロリコンは絶対、許さない系少女とか?
「斎藤くん。千夏ちゃん。これ、どういうこと?」
ここまで意思の疎通ができないと、自分で解決するのは難しい。
ここは音ちゃんとパーティーを組むほど、仲が良いであろう、斎藤くんと千夏ちゃんのカップルに助けを求めることにした。
……が。
「いや、悪いな、快晴。俺も解らない。千夏はどうだ? 音無が何を言いたいのか、解るか?」
「ううん。私も解らない。こんな音無さん見たことない。星空君、何かしたの?」
「何もしてないと思うんだけど……。そもそも、こっちの世界に来るまでも、来てからも、音ちゃんとは、ほぼ絡んでないし」
「……」
やっぱり、二人も解らないらしい。
解ったことと言えば、今の音ちゃんの行動は彼女に近い人から見ても、珍しいということだけ。
やっぱり嫌われているのかな。
何故かさらに視線の圧が強くなった気がするし。
無表情だけど。
「星くん。音。落ち込んでるみたいよ」
「え?」
「え?」
「え?」
「……」
驚く俺、斎藤くん、千夏ちゃん。やっぱり無表情の音ちゃん。
四人の視線を受けたのは、実は音ちゃんより自己主張が少ないぱっつん前髪の少女。
音無 音パーティーの最後の一人、水野 雫(みずの しずく)。
なんでこんなに驚いているかというと水野さんの声を聴いたのはずいぶんと久しぶりだからだ。
どれくらい久しぶりかと言うと、約一年。
一年前に色々とあってから、ずっと口を閉ざしていたのだが、やっと喋ってくれる気になったのかな。
そうだとしたら素直に嬉しい。
よし、水野さんを改めて、よく観察しようか。
えっと、身長は千夏ちゃんと比べて一回り大きく、丸い眼鏡と頭の後ろで結ばれたポニーテールが特徴的な女の子だ。
容姿は白露に並ぶほど整っているのだが、目元にある濃い隈と、瞳が淀んでいるせいで男性人気も低迷している。
実はこのクラスの委員長だったりするのだが、クラスカーストは霧島くんや、不動くんに並んで最下位でもある。
俺の感想を言えば、あからさまに陰がある美少女も性癖に的中している。
けれどまぁ……。水野さんに関しては、陰がある理由は知っているし、彼女が自分で元気になるまでそっとしておこうと思っていた。
なんならクラスのみんなも同じような扱いをしていた。
だからきっと、誰に対しても平等に無表情、無言な音無 音ちゃんと一緒に居ることが、居心地が良かったんだと思う。
「水野さん。音ちゃんの言いたいことわかるの?」
「……星くん。私のことは『さん』って呼ぶんだね」
え、そこ大事かな。
水野さんは、元気があった頃からずっと水野さんって呼んでたし、今さら変える必要もないと思うんだけれど。
あれ? 委員長ちゃんって呼んでた気もするな。
まあ、ともかく、特別な意図はない。
しかし、夢ちゃんには、「ちゃん」と呼ぶなと怒られ、炎には「ママ」と呼ぶなと怒られ、水野さんには「さん」と呼ぶなと言われるのか。
俺のクラスって呼び方に厳しい女の子が多いなぁ。
そんなに拘りがあるのなら、なんて呼んで欲しいか解るカードでも首からぶら下げておいてくれても良いと思う。
「じゃあ、なんて呼んで欲しい? 水野さんなら特別に呼んで欲しいっていう呼び方で呼ぶけれど? 雫? 水野様? 委員長ちゃん? なんでもいいよ」
「星くんの特別なんていらない。呼ぶなとは言っていないでしょ。そんなことより音のことじゃないの?」
なんなんだ。
最初に言及したのは水野さんの方なのに。
せっかく、基本は相手が嫌がっても好きに呼ぶ俺が、特別に呼び方を指定していいって言ったのに。
後でやっぱり委員長ちゃんって呼んで欲しいって言っても変えてあげないぞ。
後悔してからじゃな遅いこともあるんだよ。
さて、でもまぁ、確かに今は、音ちゃんの事か。
そろそろ、ステリルカを抱っこしている腕も辛くなってきたし。
ステリルカ。音ちゃん達の登場で怯えているのか、降ろそうとしてもぎゅっと抱き着いてきて降りてくれないんだよなぁ。
幼女に甘えられるのはご褒美だからいいんだけれど。
「じゃあ、音ちゃんが落ち込んでいるって、どうして?」
「さぁ? 私は音じゃないんだから、それはわからないわ」
すまし顔で言われてしまった。
コイツっ!
って、思うけれど、この憎らしい喋り方こそが、水野さんの特徴でもある。
前は憎らしい所が愛らしく感じていたものだ。
ともかく、音無パーティーメンバーと俺しかいない状況とは言え、前のようにしゃべれるほど、元気になってくれてよかった。
「でも、音は、空くんに渡したいものがあるってことはわかるわ」
「渡したいもの?」
「……」
無表情のままな音ちゃんがゆっくり両手を差し出してくる。
その両手の上には金貨が5枚乗っていた。
「えっと?」
「……」
「あっ。そういうことか。そういうことなら、俺も、一枚出すぞ」
「音無さん。私も出させて」
「……私も、いい?」
ぽんぽんぽん。と、斎藤くん、千夏ちゃん、水野さんが、音ちゃんの手に金貨一枚ずつ乗せる。
音ちゃんは三人にこくりと頷いて、もともとあった金貨を三枚しまうと、もう一度、俺に両手を差し出した。
……ああ、もしかして。
「上級ポーションを買うお金を援助してくれるってこと?」
「……」
俺にもこくりと頷いてくれればいいのだが、音ちゃんは無表情のまま微動だにしない。
え? どうしよう? たぶん、援助してくれるってことだろうけれど。いいのかな。
どうでもいいけれど。現役女子高校生から援助を受けるってなんかアダルトな語感だよね。
「って、こと? でいいのかな? みんな」
「いいんじゃないか? 少なくとも俺はその意味で渡したが」
「わたしも。いいと思うけど……」
「音。いいのよね?」
「……」
音ちゃんが、三人に向かってこくりと頷くと、俺に無表情で両手をぐいっと更に押し伸ばす。
伸ばし過ぎて音ちゃんの手が俺のお腹に当たっているんだけど……まぁ、痛くはないしいいか。
というか、俺にもリアクションを返して欲しいんだけど。
「ありがとう。みんな。ここは受け取るね。後で絶対に返すから」
「気にするな。快晴のことだからな」
「うん。気にしないで、星空くんのことだから」
「空くんが私に気を使わないで。死にたくなる。お礼なら音だけでいいんじゃない? 一番出しているし、最初に渡そうとしたし」
「……」
音ちゃんが、水野さんに向かってブンブンと勢いよく首を横に振っている。
やっぱり俺には反応してくれないが、どうやら音ちゃんもお礼はいらないらしい。
みんな俺のためって言ってくれるのは温かい気持ちになる。
俺は幼女の事しか考えていないんだけれども。
だが、しかし、友達から貰うだけになるのは心が痛む。
どうするか。
「あっ。じゃあ、さっき買った焼き魚をあげる。俺も食べたから美味しいのは保証するよ。金額的には全然釣り合わないけれど」
「気にするなって言っただろ。だが、貰っておこう(苦笑い)」
「ありがとう。星空くん。(愛想笑い)」
「……ありがとう。(仏頂面)」
「……(無表情)」
アイテムボックスから、焼き魚を取り出して四人に渡す。
断るのも悪いと思ったのか、四人とも受け取ってくれた。
音ちゃんは受けったそばから口に入れている。
もぐもぐもぐと口が動いて、あっという間に完食。
また無表情な視線で俺を見る。
まだ食べたいのかなと、もう一尾差し出すと、今度も受け取ったそばから口にして即座に完食。
そしてまた無表情な視線が……。
これ、エンドレスだな。
「ともかく。みんなありがとう。これで上級ポーションが買える」
お金は後で返すとして、とりあえず今は幼女の傷跡を治すことを優先しよう。
カウンターでお姉さんに金貨を渡して、上級ポーションを購入し、使用方法を聞く。
どうやらポーションは直接口で飲んでも、患部に塗っても効果はあるらしく、飲んだ場合は、HPと傷を効能分だけ重篤な怪我から回復し、塗った場合はHPの回復はなく、塗った部位だけが回復するとのことだ。
今回、治したいのが顔の傷跡だけなのであれば、その部位にだけ上級ポーションを塗り、HPや他の傷は、上級ポーションよりも、効能は低いが値段も低い、中級ポーションやポーションを使用して、また下位のポーションで治せない傷を負った時に残った上級ポーションを使用した方がいいと、助言まで貰えた。
因みに、中級ポーションは銀貨5枚、ポーションは銅貨5枚とのことだ。
ここはお姉さんに教えてもらった通りにしておこうと思う。
「はい。ステリルカ。自分で濡れるかな?」
「……っ」
金貨5枚で購入した上級ポーションは小瓶一つ分。
元の世界で売っていたラムネ瓶と比べて半分くらい、ウィスキーの瓶で例えるならミニボトル二つ分あるかないかくらい。
あ、俺はお酒飲んだことないけれどね。なんとなくそれくらいってだけ。
ともかく、上級ポーションの小瓶をステリルカに渡そうとしたのだが、全身の毛を逆立てる猫のように警戒する様子を見せた。
あれ? 結構親密度を上げられたと思ったんだけどな。
「快晴さま」
「ん?」
「リルカに優しくしてくださるのは嬉しいです。でも」
「でも?」
「リルカには快晴さまの優しさに対してお返しできるものがないです」
遠慮しすぎて畏れ多くなったって感じかな。
今まで俺の想像が及ばないほど、酷い扱いを受けてきたようだから仕方ないとはいえ……。
この幼女、俺を誰だと思っているのか。
変態(ロリコン)だぞ。
俺が、ステリルカに求める見返りは一つだけ。
「笑顔でありがとうって、言ってくれればいいんだよ」
「……っ」
「それでも足りないと思うなら、もっと甘えて欲しいな」
「……」
ステリルカがぎゅっと俺の胸元に顔を埋める。
赤くなった耳と頬、ほんの少し湿る感触を感じるが、ここは指摘しない場面だよね。
そっと優しく頭を撫でてさせてもらって、落ち着かせる。
ほら、また報酬を貰えた。
こんなにふうに幼女と触れ合えるのなら、金貨をいくら払ってもいい。
「ステリルカ。上級ポーションを使っていいかな?」
「はい。……でも」
「でも?」
「快晴さまが塗ってくれますか?」
「おおっ。最高だよ!! 解ってるじゃん。ステリルカ」
「「「……」」」
あ、まずい。心の叫びが出てしまった。
水野さんを筆頭に、斎藤君と千夏ちゃんから冷たい視線を向けられる。
でも、幼女が甘えてくれるんだから興奮しても仕方ないじゃないか。
これだから性癖正常者は。まぁ、気にしても仕方ない。
ずっと抱いていた幼女を下ろして、上級ポーションの瓶から、液体を垂らす。
ぺちゃぺちゃと塗り込むと、瞬く間に火傷の跡が消えていく。
どす黒く焼け爛れていた肌が白く、ぷにぷにの質感を取り戻す。
「あっ……んっ」
傷跡が消える感触に悶えるように幼女が身をよじる。
頬を朱に染めたステリルカの容姿は、もう誰も醜いとは言わないだろう。
大きな瞳、白い肌、ぷっくりと膨れた唇。
幼い少女から匂い立つ色気は、既に男を虜にするほどだ。
なんとなく予感はしていたが、俺が買った奴隷幼女、可愛い系かつ、美しい系を併せ持った女神のごとき存在だ。
ぐへへ。ぺろぺろしたい。
本当に言い買い物をしたものだ。
「快晴さま? 変ですか?」
「変じゃないよ? とっても可愛いよ。二百文字くらい掛けてその可愛さを描写したいくらいにね。ステリルカはどう? なにか変な所はある?」
ぺたぺたと頬を触って確かめるステリルカに、千夏ちゃんが手鏡を使ってくれた。
ステリルカは鏡に映る自分を見て、目を丸く開き、息を呑む。
「これ……わたし……」
ぽたぽたと幼女の瞳から雫が流れ落ちて床を濡らす。
それが悲しみの涙じゃないことくらいは見て解る。
「快晴さま」
「ん?」
「ありがとう……ございますっ」
「おっと」
「ずっと元に戻らないと思ってました……」
涙でぐちゃぐちゃになった幼女が俺の胸元に飛びついてくるのを受け止める。
しくしくと鼻を鳴らすステリルカの頭を俺は優しくなで続けた。(続く)
メモ
更新止まってしまっててすみません。
とあるVチューバ―にドはまりしたあげく、配信見過ぎてめっちゃ体調崩してました……。
実はもっと書くつもりでしたが、丁度よさげなのでここで一旦分割。
というか、一話5千文字程度を目標として書いているんですが、毎回1万文字くらいになってしまう。
そして毎回見直しが大変になるという。
あ、リアクションとかして下さった方ありがとうございます。
誰がしてくれたのか一切解らない仕様かつ、作品評価に関わらないので最初はあんまり気にしていませんでしたが。
実はリアクションに毎回ほっこりすることに気がつきました。
そろそろ、新キャラ(クラスメイト)登場は一旦打ち止めになると思います。
☆クラスカースト纏め
●一位
池上 勇作
姫路 夢
掛田 掛
豪炎寺 炎
●第二位グループ
白雪 白露
早々 隼人
????
????
????
●第三位
斎藤 武
二階堂 千夏
????
????
????
????
????
●第四位
霧島 硝煙
不動 力斗
水野 雫
●番外位
音無 音
☆各勇者パーティ構成
※□リーダ○メンバー
□池上 勇作
○????
○????
○????
□姫路 夢
○????
○????
○????
□掛田 掛
○????
○????
○????
□豪炎寺 炎
○白雪 白露
○早々 隼人
○霧島 硝煙
□音無 音
○斎藤 武
○二階堂 千夏
○水野 雫
□星空 快晴
○メンバーなし
■登場人物
異世界転移組
●名前 星空 快晴(ほしぞら かいせい)
年齢 17
能力 無能力
役割 主人公
容姿 普通よりちょっと下くらい。
性格 ロリコン
異性関係 白露に好かれているかもしれないと気付く
備考 実は炎より先に告白されていたら、白露と付き合っていた。
―――――――――――――――
アイテムボック
プニプニンの体液 50個
プニプニンの皮 14個
銀貨 99枚→97枚
銅貨 62枚→59枚
フィールフィッシュの塩焼き 5個
フィールフィッシュの燻製 10個
フィール獣肉の塩焼き 10個
フィール獣肉の燻製 10個
―――――――――――――――
ステータス
星空 快晴
レベル 1
HP100(100)
MP 152(152)
筋力 1
体力 1
知力 1
敏捷 1
幸運 1
スキル なし:
―――――――――――
●名前 豪炎寺 炎(ごうえんじ えん)
年齢 16
性別 女
能力 豪炎創成
立場 快晴の恋人
容姿 背が低い
髪はショート 赤の混ざった茶色 身長は130cm後半 体重は38キロ。
手足は短いがすらりと伸びていて枝のように細い。
性格 ままぁ
口調 ~~だよ。~~するね。ママじゃないよ?
異性関係 快晴の彼女
備考 実は白露と快晴が互いにどう思っているか本人達よりも詳しい。
――――――――――――――
ステータス
豪炎寺 炎
レベル 1
HP 230(250)
MP 809(809)
筋力 3
体力 3
知力 8
敏捷 9
幸運 5
スキル 豪炎創成
――――――――――――――
●名前 白雪 白露(しらゆき しらつゆ)
年齢 17
性別 女
能力 ???
立場 カースト2位 男子人気2位
容姿 黒髪長髪ストレート 貧乳
性格 クーデレさん。
口調 「~~しておいたら?」「~~でしょ」「~~わね」
異性関係 親友の彼氏に片想いしている
備考 実は片想いしている人と親友のえっちを聞きながら自慰していた。
●名前 姫路 夢(ひめじ ゆめ)
年齢 17
性別 女
能力 絶対零度
立場 クラスのアイドル
容姿 端麗。巨乳。
性格 ???
口調 基本は敬語 好悪問わず感情が高ぶると敬語が取れる。
異性関係 快晴と炎が付き合ってしまって複雑な気持ち。
備考 快晴と炎のえっちを聞きながら致してしまって機嫌が悪い。
●名前 池上 勇作(いけがみ ゆうさく)
年齢 17
能力 能力複製
立場 クラスのリーダ
容姿 端麗
性格 優しい
口調 ~~だよね。~~いいかな。
異性関係 快晴と好きな人が被っているが、炎ではない。
備考 実は快晴と炎が付き合ってホッとしている。
――――――――――――――
ステータス
池上 勇作
レベル 1
HP1000
MP900
筋力 10
体力 10
知力 9
敏捷 9
幸運 10
スキル 能力複製
●名前 掛田 掛(かけた かける)
年齢 17
性別 男
能力 絶対体幹→常時発動型でどんな状況、場所を問わず体勢を崩さず、持っている物も落さなくなる。
また任意発動で、触った対象に絶対体幹の能力を付与できる。付与している間、毎秒MPを消費する。
立場 カースト1位 クラスで一番頭が良いというか、世界でも上位レベルで頭が良い。
容姿 めがね。
性格 物事をハッキリ言う。誰に対しても平等に接する。
口調「馬鹿め」と他人を罵倒するが、掛くんと比べると実際みんな馬鹿だから事実を言っているだけだったりする。
異性関係 自分より頭の良い人が好き。
備考 実は快晴が自分より頭が良いんじゃないかと思っている。
●名前 早々 隼人(はやばや はやと)
年齢 17
性別 男
能力 高速移動
立場 カースト2位
容姿 背が低め 割と容姿が整っている
性格 地頭がいい方でいつもよく周りを見ている
口調「やぁ」から話を始めることが多い。快晴のことを快晴と呼ぶ。
異性関係 モテる方だが興味はなし。
備考 実は勇作くんよりも快晴のことを信頼している。
●名前 霧島 硝煙(きりしま しょうえん)
年齢 17
能力 透明化
立場 快晴の友人
性格 お調子者
容姿 ???→描写してねぇぇ。
口調 だな~~。からな~~。
異性関係 好きな人と快晴が付き合ってしまったが、別に怨んでないが、羨ましくはある。
備考 実は炎に告白して振られている
●名前 不動 力斗(ふどう りきと)
年齢 17
性別 男
能力 筋力増強:能力使用中、1秒毎に筋力値が上昇する。上昇量は筋力の基礎ステータスが高いほど増える。
立場 クラスカースト第4位
容姿 身長175cm 体重80km 全身バキバキのボディービルダーだが、着痩せするタイプ。
髪は坊主。服の上からではそう見えないが脱ぐと手足が太い。
性格 愛される馬鹿
口調 ~~だ。~~なんだ。~~で。一人称はおれ。二人称はおまえ。誰かを呼ぶときは基本呼び捨て。
「おはよう。快晴」「がはは。元気か?」「今日も良い筋肉だ?」「え? おれが馬鹿だって? そんなことより、昨日快便だったんだ。見せたかったぜ」
異性関係 千夏ちゃんに告白して振られた翌日、千夏ちゃんが斉藤君とお付き合いをし始めた
備考 最初の武具選択で全身金属アーマを購入した。趣味は筋トレ
●名前 水野 雫 (みずの しずく)
年齢 17
性別 女
能力 ???
立場 クラス委員長、今はクラスカースト最下位だが、かつては最上位だった。
容姿 ぱっつんお下げ、眼鏡をかけているが、白露に並ぶほど整った顔。清楚系、気崩さない。ポニーテール。目元に隈があり、瞳が淀んでいる。
性格 委員長タイプなのだが、過去のトラウマで今は引っ込みじあんになった
口調 星くん。~~よ。~~わ。
異性関係 かつていじめられたことがあるため、男性は苦手。なんなら女性も苦手
備考 実は快晴のクラスで過去に起きた事件の中心人物であり、最重要人物だが、今の所、特に描写するつもりはない。
●名前 音無 音(おとなし おと)
年齢 15
性別 女
能力 ???
立場 カーストの外に生きている子
容姿 身長は150cm後半、体重はきっと軽い。
髪は黒色で、前髪が目にかかっていて瞳は見たことがない。後ろ髪は肩をちょっと過ぎたあたりまで伸ばしている。
性格 無口
口調 「……」「……ッ」「……!」「……?」
異性関係 気になる人はいる
備考 実はクラス2位の成績
■フォーマット用
●名前
年齢
性別
能力
立場
容姿
性格
口調
異性関係
備考
ステリルカの両手足と首に付いている長い鎖が、歩く度にちゃりんちゃりんと音が鳴っている。
やっぱり、地面の上を引きずっているし邪魔そうだな。
取ってあげたかったが、それは鎖に触られることを嫌がる以上は難しい。
ならばと、鎖を手足に巻いておくのはどうかと提案してみたら。
「お兄ちゃんが……してくれますか?」
と、上目遣いで頼まれた。
もちろんいいのだが、幼女の上目遣いは破壊力抜群だ。
ともかく、幼女の細い手足に無骨な鎖を巻き付けるというレアなイベントが発生した。
両手足にできるだけ軽めに鎖を巻いあげて、首の鎖も首に巻き、それでも余った部分を幼女の服の中、胸元へ落すと……。
「んっ」
「あっ。ごめん。外に出してると邪魔になるかなって思ったんだけど」
「いえ……。冷たくて驚いただけです」
ステリルカは胸を押さえて柔らかく笑う。
顔に傷の跡があるのを忘れてしまいそうになるほど魅力的な表情だ。
偶に歳不相応な色気を感じるんだよなぁ。
俺は幼女なら特に何が無くても発情できる変態だが、さっきの微笑みは昨晩、夜を共にした炎に通じるものがあった。
つまり、性癖にぶっ刺さるお色気です。
「ありがとうございます。歩きやすくなりました」
「それは良かった」
さて、朝ご飯だったね。
どうせなら異世界特有のレストランみたいな所で食べてみたいが、そういうお店はまだ営業前のようだ。
とりあえず、周囲には果物や、お肉を焼いている露天、お魚を焼いている店なんてのもある。
香ばしい香りが漂っていて食欲が刺激される。
匂いで釣るのはズルいと思います。
「ステリルカ。何か食べたいものある? 俺、この世界の食事事情について詳しくないから何か言ってくれると助かるんだけど」
「リルカも今まで外で何かを食べることが少なかったので……」
「そっか……なら適当に、ここでいいっか」
「はい」
この世界から元の世界に戻るには時間が掛かりそうだし、異世界っぽいお店もそのうち入るだろう。
あまり長く悩んでいても仕方ないと、お魚を焼いている露天の前で足を止める。
焚き火を囲うようにして串焼きにされているお魚を銅貨6枚で二尾購入して、一尾をステリルカに手渡した。
一応、人通りの邪魔にならないようにと、道の端に寄って幼女と肩を寄せ合いながらお魚を口にしみる。
塩気が利いていてサクサク食べられる。
昨日の夕餉でも思ったが、この世界の料理、普通に美味しいな。
「美味しいです」
ステリルカも笑顔でお魚を食べてくれている。
幼女の食事風景は癒やされるな。
食事を済ませた後も、通りのお店を見て回り、日持ちの良さそうな食料を見繕った。
―――――――――――――――
アイテムボック
プニプニンの体液 50個
プニプニンの皮 14個
銀貨 99枚→97枚
銅貨 62枚→59枚
NEW
フィールフィッシュの塩焼き 10個
フィールフィッシュの燻製 10個
フィール獣肉の塩焼き 10個
フィール獣肉の燻製 10個
―――――――――――――――
約銀貨2枚分と結構買ってしまったが、これで南西の森を攻略する際に食糧不足に陥ることはないだろう。
冒険中に空腹で飢えるのは嫌だからね。
なんとなく、ステリルカの分まで一緒に冒険する前提で買い溜めてしまったけれど、今後どうしたいかは本人に聞いておかないといけないな。
もちろん、奴隷を購入した以上はきっちり最後まで、面倒を見るつもりだが、ステリルカが嫌がるなら、わざわざ危険な冒険に連れて行く必要はない。
王様に面倒を見てくれるように頼んでみようかな。
それで冒険の合間に会いに行って癒されよう。
現地妻っぽくて最高だ。
まぁ、何にせよ、ステリルカの意思を優先すればいい。
奴隷幼女の扱いを検討しながら歩いていたら、道具屋に到着した。
え、さっきからどうやって目的地にたどり着いているのか不思議だって?
それはもちろん、行きかう人々に聞きながら、だ。
偶に隣を歩く幼女の奴隷を見て、蔑みの視線を向けられることもあったが、基本はみんな親切に道を教えてくれた。
で、たどり着いた場所は昨日、武具を購入したお店の隣だったりする。
うん。何も言わないでね。
昨日は初めての異世界風景に気を取られていて周りをあまり見ていなかっただけなのです。
ともかく、ステリルカと一緒にお店に入った。
「いらっしゃい。勇者さん。何かお探しかい?」
お店の扉を開けるとすぐにカウンターがあり、そこに立つ30代前半くらいの女性が声を掛けてくれた。
店主さんかな。気さくなお姉さんだ。
俺は気にしないが、ステリルカがビクッと反応して背後に隠れる。
お姉さんの後ろには棚や机があり、雑然と大から小まで沢山の商品が山積みされいるようだ。
一応、カウンターよりのこっち側にも商品が陳列されているが、何がどういう商品なのかは全くわからない。
いろいろ物色してみたいが、とりあえず、目的の物があるか聞いてみよう。
「こんにちは。この子の傷痕を治せる薬を探しているんですが、ありますか?」
「なら、ポーションだね。どんな傷痕か見せてくれるかい?」
おっ。やっぱり回復薬はあるらしい。
勇者の中にヒーラがいないから、もし回復薬がなかったら自然治癒を待つしかない地獄難易度の冒険かと怯えていたからよかった。
ともかく、後ろを振り向いて、怯えているステリルカに確認する。
「ステリルカ。ちょっとだけ、この人に傷を見せてもいい?」
「……はい。快晴さま」
鎖を触られる時のように、また嫌がるかなとも思ったが、傷を見せるのはいいらしい。
ステリルカが両手を挙げて、俺に向かって伸ばす。かわいいなぁ。
って、これ、もしかしなくても抱っこをせがまれているね。
え、でも、本当にいいの? 抱っこして。俺、ロリコンだよ?
「快晴さま?」
まさかの抱っこ要求に邪な感情が沸いて躊躇していたら、幼女が純粋な表情で不思議そうにこくり首を倒す。
完全に妄想だが、なんで抱っこしてくれないのお兄ちゃんって、甘えられている気がする。
いけない。いけない。心頭滅却。
俺はお兄ちゃん。俺はお兄ちゃんなのだ。
妹に邪な感情は抱いてはいけない。
「あ、いや、抱っこするね?」
「はい」
腰を落とし、幼女の小さい背中と膝に腕を通して抱きあげる。
ぷにぷにと柔らかく、ちょっと力を入れたら潰れてしまいそうな感触だ。
別に意識してなかったが、お姫様抱っこになってしまった。
幼女なお姫様が俺に身を任せるように体重を預けてくれる。
この恰好、幼女と顔の距離が近くて興奮する。
いけない。いけない。心頭滅却。
俺はロリコン。俺はロリコンなのだ。
ロリに邪なことをしてはいけない。
「お姉さん。これで解りますか?」
「どれどれ……。かなり酷い火傷の痕だね。お兄さん。どれだけ酷い折檻をしたんだい?」
「えっと……」
「ああっ。詮索はよくなかったね。この傷なら上級ポーションじゃないと治らないよ。ただ、ポーションは今、北の国で魔王影響でかなり高等しているけれど、購入するかい?」
店主のお姉さんに俺がステリルカを傷つけたと勘違いされてしまったのは悲報だが、上級ポーションさえあれば傷跡を治せるというのは朗報だ。
「おいくらですか?」
「魔王が余を乱す前なら、銀貨50枚で売っていたけれど、今は金貨5枚だね」
「おっと、予算オーバ」
なるほど、幼女の傷を治すとコストがかかると言っていた奴隷商人の言葉が今初めて理解できた。
確かに幼女の傷を治していたら、売値より治療費の方が高くつく。
治療しづらいのも仕方ない。
まぁ、それならそれで、もっと幼女を高く売れよと思うけれど。
「お兄さん。勇者だろ? もし魔物の素材を持っていたら買い取れるよ?」
「魔物の素材っ! あります」
昨日、王様から今後は自分達でお金を稼ぐように言われたとき、実はどうやって稼げばいいのかと思っていたが、魔物の素材を売って稼げということか。
最悪、労働しないといけないと思っていたからよかった。
まぁ、命を懸けて危険な魔物と戦わないといけないわけだが……。
そこは、どうせ魔王を倒す為にその配下である魔物とは戦う必要があるのだから、得だと思っておく。
さて、どれくらいで売れるのか。
アイテムボックスから昨日手に入れた魔物の素材を取り出してカウンターに乗せる。
えっと、持っている魔物の素材は、プニプニンの体液が50個、プニプニンの皮が14個。
因みにプニプニンの体液は謎の小瓶に入っている。
別に俺が入れた訳じゃないから、自動でアイテムボックスに格納される時に瓶詰されるようだ。
これで金貨5枚分になればいいけれど……無理な気がする。
いくら勇者とはいえ、新米が半日働いただけで幼女代より多くは稼げないだろう。
「プニプニンの素材だね。皮は銅貨3枚、体液は銅貨2枚、合計銀貨一枚と銅貨42枚だね。買い取りでいいかい?」
「買い取りでお願いします」
焼き魚一尾が銅貨3枚だったことから、銀貨二枚あれば、当分食うに困らない金額と言える。
昨日、半日費やした戦闘の成果としては申し分ないと思う。
……が、銀貨二枚増えた所で所持金の総計は、銀貨99枚と銅貨59枚。
案の定、上級ポーションの値段である金貨5枚には遠く及ばない。
しかし、ここで諦めたら道具屋に来た意味がない。
もう少し粘ってみよう。
「あの、綺麗なお姉さん。今回だけ値――」
「――値引きは一切しないよっ。お金が足りないなら、もっと魔物を倒して素材を集めてくるんだね」
うん。ダメだった。
仕方ない。しばらく王国の周辺でプニプニンを倒して素材を集めるか。
経験値集めにもなるし丁度いいと前向きに考えよう。
しかし、半日で銀貨2枚ということは、金貨5枚集めるのに何日かかることになるのか。
初手で幼女に大金を使ってしまった手前仕方ないが、憧れていた異世界で最初の悩みが金欠になるとはなんて世知辛いことか。
やっぱり異世界でもお金は大事なんだなと、現実の厳しさに打ち震えていると。
――すっ。
背後から白く細い手が伸びて来て、袖を引かれた。
引き戻される白く細い手に釣られて、後ろを振り向くと、前髪で目元が隠れた少女の姿。
21人の勇者の一人にして、5人のパーティーリーダの一人でもある音無 音(おとなし おと)ちゃんだ。
音ちゃんの後ろには、斎藤 武(さいとう たける)くんと二階堂 千夏(にかいどう ちなつ)ちゃんの姿もある。
二人とも不思議そうに音ちゃんの行動を見守っているようだ。
音無パーティーの面々だ。
更に後方で音ちゃんが率いるパーティの最後の一人、ちょっと暗い雰囲気を纏ったぱっつんお下げの少女が俺に小さくお辞儀をしてくれている。
音ちゃん達も、冒険の準備をするために道具屋へ来たのかな?
「音ちゃん? ごめんね。邪魔だったよね。でも、もう少しだけ待ってくれる? 今値引き交渉をしてるところだから」
「値引きは無駄だって言っているだろ」
「……」
思い出して欲しいのだが、音無 音という少女は基本的に無口、無表情な女の子である。
だから話しかけても、表情を一切変えずに返事をしないのは彼女のデフォルトだ。
俺が個人的に嫌われているって訳では全くない。
真顔のまま真っ黒の瞳でじぃぃっと俺のことを見つめているけれど。
嫌われていないんだ。ほんとだよ?
いやでも、普段はもう少し仕草で反応を表していると思うんだけど……。
普段絡んでいるのは、俺じゃなく、後方で佇むぱっつん少女と、炎や白露と言った面々か。
そうなると俺が嫌われてる可能性も……。
「……」
「……」
あ、やっぱり。
――快晴くん。早く退いてよね。邪魔だよ。まったくもうっ。ぷんぷんっ。
って、言われている気がする。
いや、音ちゃんの口調とか、声質とか一切しらないけれど。
俺の脳内音声では、CVはロリ顔ヒロインに定評がある人気声優さんだ。
「あ、うん。すぐに退くよ。退くからね」
「……」
流石に感情の読めない視線を無言で浴び続けていると、居たたまれない気持ちになる。
特に急ぎでもないし、半分諦めていた所だったし、後でもいいか。
今度、炎と白露に音ちゃんのことを紹介し直して貰うことを決めて、場所を譲ろうと、カウンターの前から離れようと足を動かす……と。
すぅっと、音ちゃんが俺の進行方向に立ち塞がって通せんぼ。
「……えっと?」
「……」
じぃっ。
一応、なんの意図があるのか確認するが、音ちゃんは変わらず無表情で、見つめてくるだけ。
……俺、やっぱり嫌われてるのかな。
ロリコンは絶対、許さない系少女とか?
「斎藤くん。千夏ちゃん。これ、どういうこと?」
ここまで意思の疎通ができないと、自分で解決するのは難しい。
ここは音ちゃんとパーティーを組むほど、仲が良いであろう、斎藤くんと千夏ちゃんのカップルに助けを求めることにした。
……が。
「いや、悪いな、快晴。俺も解らない。千夏はどうだ? 音無が何を言いたいのか、解るか?」
「ううん。私も解らない。こんな音無さん見たことない。星空君、何かしたの?」
「何もしてないと思うんだけど……。そもそも、こっちの世界に来るまでも、来てからも、音ちゃんとは、ほぼ絡んでないし」
「……」
やっぱり、二人も解らないらしい。
解ったことと言えば、今の音ちゃんの行動は彼女に近い人から見ても、珍しいということだけ。
やっぱり嫌われているのかな。
何故かさらに視線の圧が強くなった気がするし。
無表情だけど。
「星くん。音。落ち込んでるみたいよ」
「え?」
「え?」
「え?」
「……」
驚く俺、斎藤くん、千夏ちゃん。やっぱり無表情の音ちゃん。
四人の視線を受けたのは、実は音ちゃんより自己主張が少ないぱっつん前髪の少女。
音無 音パーティーの最後の一人、水野 雫(みずの しずく)。
なんでこんなに驚いているかというと水野さんの声を聴いたのはずいぶんと久しぶりだからだ。
どれくらい久しぶりかと言うと、約一年。
一年前に色々とあってから、ずっと口を閉ざしていたのだが、やっと喋ってくれる気になったのかな。
そうだとしたら素直に嬉しい。
よし、水野さんを改めて、よく観察しようか。
えっと、身長は千夏ちゃんと比べて一回り大きく、丸い眼鏡と頭の後ろで結ばれたポニーテールが特徴的な女の子だ。
容姿は白露に並ぶほど整っているのだが、目元にある濃い隈と、瞳が淀んでいるせいで男性人気も低迷している。
実はこのクラスの委員長だったりするのだが、クラスカーストは霧島くんや、不動くんに並んで最下位でもある。
俺の感想を言えば、あからさまに陰がある美少女も性癖に的中している。
けれどまぁ……。水野さんに関しては、陰がある理由は知っているし、彼女が自分で元気になるまでそっとしておこうと思っていた。
なんならクラスのみんなも同じような扱いをしていた。
だからきっと、誰に対しても平等に無表情、無言な音無 音ちゃんと一緒に居ることが、居心地が良かったんだと思う。
「水野さん。音ちゃんの言いたいことわかるの?」
「……星くん。私のことは『さん』って呼ぶんだね」
え、そこ大事かな。
水野さんは、元気があった頃からずっと水野さんって呼んでたし、今さら変える必要もないと思うんだけれど。
あれ? 委員長ちゃんって呼んでた気もするな。
まあ、ともかく、特別な意図はない。
しかし、夢ちゃんには、「ちゃん」と呼ぶなと怒られ、炎には「ママ」と呼ぶなと怒られ、水野さんには「さん」と呼ぶなと言われるのか。
俺のクラスって呼び方に厳しい女の子が多いなぁ。
そんなに拘りがあるのなら、なんて呼んで欲しいか解るカードでも首からぶら下げておいてくれても良いと思う。
「じゃあ、なんて呼んで欲しい? 水野さんなら特別に呼んで欲しいっていう呼び方で呼ぶけれど? 雫? 水野様? 委員長ちゃん? なんでもいいよ」
「星くんの特別なんていらない。呼ぶなとは言っていないでしょ。そんなことより音のことじゃないの?」
なんなんだ。
最初に言及したのは水野さんの方なのに。
せっかく、基本は相手が嫌がっても好きに呼ぶ俺が、特別に呼び方を指定していいって言ったのに。
後でやっぱり委員長ちゃんって呼んで欲しいって言っても変えてあげないぞ。
後悔してからじゃな遅いこともあるんだよ。
さて、でもまぁ、確かに今は、音ちゃんの事か。
そろそろ、ステリルカを抱っこしている腕も辛くなってきたし。
ステリルカ。音ちゃん達の登場で怯えているのか、降ろそうとしてもぎゅっと抱き着いてきて降りてくれないんだよなぁ。
幼女に甘えられるのはご褒美だからいいんだけれど。
「じゃあ、音ちゃんが落ち込んでいるって、どうして?」
「さぁ? 私は音じゃないんだから、それはわからないわ」
すまし顔で言われてしまった。
コイツっ!
って、思うけれど、この憎らしい喋り方こそが、水野さんの特徴でもある。
前は憎らしい所が愛らしく感じていたものだ。
ともかく、音無パーティーメンバーと俺しかいない状況とは言え、前のようにしゃべれるほど、元気になってくれてよかった。
「でも、音は、空くんに渡したいものがあるってことはわかるわ」
「渡したいもの?」
「……」
無表情のままな音ちゃんがゆっくり両手を差し出してくる。
その両手の上には金貨が5枚乗っていた。
「えっと?」
「……」
「あっ。そういうことか。そういうことなら、俺も、一枚出すぞ」
「音無さん。私も出させて」
「……私も、いい?」
ぽんぽんぽん。と、斎藤くん、千夏ちゃん、水野さんが、音ちゃんの手に金貨一枚ずつ乗せる。
音ちゃんは三人にこくりと頷いて、もともとあった金貨を三枚しまうと、もう一度、俺に両手を差し出した。
……ああ、もしかして。
「上級ポーションを買うお金を援助してくれるってこと?」
「……」
俺にもこくりと頷いてくれればいいのだが、音ちゃんは無表情のまま微動だにしない。
え? どうしよう? たぶん、援助してくれるってことだろうけれど。いいのかな。
どうでもいいけれど。現役女子高校生から援助を受けるってなんかアダルトな語感だよね。
「って、こと? でいいのかな? みんな」
「いいんじゃないか? 少なくとも俺はその意味で渡したが」
「わたしも。いいと思うけど……」
「音。いいのよね?」
「……」
音ちゃんが、三人に向かってこくりと頷くと、俺に無表情で両手をぐいっと更に押し伸ばす。
伸ばし過ぎて音ちゃんの手が俺のお腹に当たっているんだけど……まぁ、痛くはないしいいか。
というか、俺にもリアクションを返して欲しいんだけど。
「ありがとう。みんな。ここは受け取るね。後で絶対に返すから」
「気にするな。快晴のことだからな」
「うん。気にしないで、星空くんのことだから」
「空くんが私に気を使わないで。死にたくなる。お礼なら音だけでいいんじゃない? 一番出しているし、最初に渡そうとしたし」
「……」
音ちゃんが、水野さんに向かってブンブンと勢いよく首を横に振っている。
やっぱり俺には反応してくれないが、どうやら音ちゃんもお礼はいらないらしい。
みんな俺のためって言ってくれるのは温かい気持ちになる。
俺は幼女の事しか考えていないんだけれども。
だが、しかし、友達から貰うだけになるのは心が痛む。
どうするか。
「あっ。じゃあ、さっき買った焼き魚をあげる。俺も食べたから美味しいのは保証するよ。金額的には全然釣り合わないけれど」
「気にするなって言っただろ。だが、貰っておこう(苦笑い)」
「ありがとう。星空くん。(愛想笑い)」
「……ありがとう。(仏頂面)」
「……(無表情)」
アイテムボックスから、焼き魚を取り出して四人に渡す。
断るのも悪いと思ったのか、四人とも受け取ってくれた。
音ちゃんは受けったそばから口に入れている。
もぐもぐもぐと口が動いて、あっという間に完食。
また無表情な視線で俺を見る。
まだ食べたいのかなと、もう一尾差し出すと、今度も受け取ったそばから口にして即座に完食。
そしてまた無表情な視線が……。
これ、エンドレスだな。
「ともかく。みんなありがとう。これで上級ポーションが買える」
お金は後で返すとして、とりあえず今は幼女の傷跡を治すことを優先しよう。
カウンターでお姉さんに金貨を渡して、上級ポーションを購入し、使用方法を聞く。
どうやらポーションは直接口で飲んでも、患部に塗っても効果はあるらしく、飲んだ場合は、HPと傷を効能分だけ重篤な怪我から回復し、塗った場合はHPの回復はなく、塗った部位だけが回復するとのことだ。
今回、治したいのが顔の傷跡だけなのであれば、その部位にだけ上級ポーションを塗り、HPや他の傷は、上級ポーションよりも、効能は低いが値段も低い、中級ポーションやポーションを使用して、また下位のポーションで治せない傷を負った時に残った上級ポーションを使用した方がいいと、助言まで貰えた。
因みに、中級ポーションは銀貨5枚、ポーションは銅貨5枚とのことだ。
ここはお姉さんに教えてもらった通りにしておこうと思う。
「はい。ステリルカ。自分で濡れるかな?」
「……っ」
金貨5枚で購入した上級ポーションは小瓶一つ分。
元の世界で売っていたラムネ瓶と比べて半分くらい、ウィスキーの瓶で例えるならミニボトル二つ分あるかないかくらい。
あ、俺はお酒飲んだことないけれどね。なんとなくそれくらいってだけ。
ともかく、上級ポーションの小瓶をステリルカに渡そうとしたのだが、全身の毛を逆立てる猫のように警戒する様子を見せた。
あれ? 結構親密度を上げられたと思ったんだけどな。
「快晴さま」
「ん?」
「リルカに優しくしてくださるのは嬉しいです。でも」
「でも?」
「リルカには快晴さまの優しさに対してお返しできるものがないです」
遠慮しすぎて畏れ多くなったって感じかな。
今まで俺の想像が及ばないほど、酷い扱いを受けてきたようだから仕方ないとはいえ……。
この幼女、俺を誰だと思っているのか。
変態(ロリコン)だぞ。
俺が、ステリルカに求める見返りは一つだけ。
「笑顔でありがとうって、言ってくれればいいんだよ」
「……っ」
「それでも足りないと思うなら、もっと甘えて欲しいな」
「……」
ステリルカがぎゅっと俺の胸元に顔を埋める。
赤くなった耳と頬、ほんの少し湿る感触を感じるが、ここは指摘しない場面だよね。
そっと優しく頭を撫でてさせてもらって、落ち着かせる。
ほら、また報酬を貰えた。
こんなにふうに幼女と触れ合えるのなら、金貨をいくら払ってもいい。
「ステリルカ。上級ポーションを使っていいかな?」
「はい。……でも」
「でも?」
「快晴さまが塗ってくれますか?」
「おおっ。最高だよ!! 解ってるじゃん。ステリルカ」
「「「……」」」
あ、まずい。心の叫びが出てしまった。
水野さんを筆頭に、斎藤君と千夏ちゃんから冷たい視線を向けられる。
でも、幼女が甘えてくれるんだから興奮しても仕方ないじゃないか。
これだから性癖正常者は。まぁ、気にしても仕方ない。
ずっと抱いていた幼女を下ろして、上級ポーションの瓶から、液体を垂らす。
ぺちゃぺちゃと塗り込むと、瞬く間に火傷の跡が消えていく。
どす黒く焼け爛れていた肌が白く、ぷにぷにの質感を取り戻す。
「あっ……んっ」
傷跡が消える感触に悶えるように幼女が身をよじる。
頬を朱に染めたステリルカの容姿は、もう誰も醜いとは言わないだろう。
大きな瞳、白い肌、ぷっくりと膨れた唇。
幼い少女から匂い立つ色気は、既に男を虜にするほどだ。
なんとなく予感はしていたが、俺が買った奴隷幼女、可愛い系かつ、美しい系を併せ持った女神のごとき存在だ。
ぐへへ。ぺろぺろしたい。
本当に言い買い物をしたものだ。
「快晴さま? 変ですか?」
「変じゃないよ? とっても可愛いよ。二百文字くらい掛けてその可愛さを描写したいくらいにね。ステリルカはどう? なにか変な所はある?」
ぺたぺたと頬を触って確かめるステリルカに、千夏ちゃんが手鏡を使ってくれた。
ステリルカは鏡に映る自分を見て、目を丸く開き、息を呑む。
「これ……わたし……」
ぽたぽたと幼女の瞳から雫が流れ落ちて床を濡らす。
それが悲しみの涙じゃないことくらいは見て解る。
「快晴さま」
「ん?」
「ありがとう……ございますっ」
「おっと」
「ずっと元に戻らないと思ってました……」
涙でぐちゃぐちゃになった幼女が俺の胸元に飛びついてくるのを受け止める。
しくしくと鼻を鳴らすステリルカの頭を俺は優しくなで続けた。(続く)
メモ
更新止まってしまっててすみません。
とあるVチューバ―にドはまりしたあげく、配信見過ぎてめっちゃ体調崩してました……。
実はもっと書くつもりでしたが、丁度よさげなのでここで一旦分割。
というか、一話5千文字程度を目標として書いているんですが、毎回1万文字くらいになってしまう。
そして毎回見直しが大変になるという。
あ、リアクションとかして下さった方ありがとうございます。
誰がしてくれたのか一切解らない仕様かつ、作品評価に関わらないので最初はあんまり気にしていませんでしたが。
実はリアクションに毎回ほっこりすることに気がつきました。
そろそろ、新キャラ(クラスメイト)登場は一旦打ち止めになると思います。
☆クラスカースト纏め
●一位
池上 勇作
姫路 夢
掛田 掛
豪炎寺 炎
●第二位グループ
白雪 白露
早々 隼人
????
????
????
●第三位
斎藤 武
二階堂 千夏
????
????
????
????
????
●第四位
霧島 硝煙
不動 力斗
水野 雫
●番外位
音無 音
☆各勇者パーティ構成
※□リーダ○メンバー
□池上 勇作
○????
○????
○????
□姫路 夢
○????
○????
○????
□掛田 掛
○????
○????
○????
□豪炎寺 炎
○白雪 白露
○早々 隼人
○霧島 硝煙
□音無 音
○斎藤 武
○二階堂 千夏
○水野 雫
□星空 快晴
○メンバーなし
■登場人物
異世界転移組
●名前 星空 快晴(ほしぞら かいせい)
年齢 17
能力 無能力
役割 主人公
容姿 普通よりちょっと下くらい。
性格 ロリコン
異性関係 白露に好かれているかもしれないと気付く
備考 実は炎より先に告白されていたら、白露と付き合っていた。
―――――――――――――――
アイテムボック
プニプニンの体液 50個
プニプニンの皮 14個
銀貨 99枚→97枚
銅貨 62枚→59枚
フィールフィッシュの塩焼き 5個
フィールフィッシュの燻製 10個
フィール獣肉の塩焼き 10個
フィール獣肉の燻製 10個
―――――――――――――――
ステータス
星空 快晴
レベル 1
HP100(100)
MP 152(152)
筋力 1
体力 1
知力 1
敏捷 1
幸運 1
スキル なし:
―――――――――――
●名前 豪炎寺 炎(ごうえんじ えん)
年齢 16
性別 女
能力 豪炎創成
立場 快晴の恋人
容姿 背が低い
髪はショート 赤の混ざった茶色 身長は130cm後半 体重は38キロ。
手足は短いがすらりと伸びていて枝のように細い。
性格 ままぁ
口調 ~~だよ。~~するね。ママじゃないよ?
異性関係 快晴の彼女
備考 実は白露と快晴が互いにどう思っているか本人達よりも詳しい。
――――――――――――――
ステータス
豪炎寺 炎
レベル 1
HP 230(250)
MP 809(809)
筋力 3
体力 3
知力 8
敏捷 9
幸運 5
スキル 豪炎創成
――――――――――――――
●名前 白雪 白露(しらゆき しらつゆ)
年齢 17
性別 女
能力 ???
立場 カースト2位 男子人気2位
容姿 黒髪長髪ストレート 貧乳
性格 クーデレさん。
口調 「~~しておいたら?」「~~でしょ」「~~わね」
異性関係 親友の彼氏に片想いしている
備考 実は片想いしている人と親友のえっちを聞きながら自慰していた。
●名前 姫路 夢(ひめじ ゆめ)
年齢 17
性別 女
能力 絶対零度
立場 クラスのアイドル
容姿 端麗。巨乳。
性格 ???
口調 基本は敬語 好悪問わず感情が高ぶると敬語が取れる。
異性関係 快晴と炎が付き合ってしまって複雑な気持ち。
備考 快晴と炎のえっちを聞きながら致してしまって機嫌が悪い。
●名前 池上 勇作(いけがみ ゆうさく)
年齢 17
能力 能力複製
立場 クラスのリーダ
容姿 端麗
性格 優しい
口調 ~~だよね。~~いいかな。
異性関係 快晴と好きな人が被っているが、炎ではない。
備考 実は快晴と炎が付き合ってホッとしている。
――――――――――――――
ステータス
池上 勇作
レベル 1
HP1000
MP900
筋力 10
体力 10
知力 9
敏捷 9
幸運 10
スキル 能力複製
●名前 掛田 掛(かけた かける)
年齢 17
性別 男
能力 絶対体幹→常時発動型でどんな状況、場所を問わず体勢を崩さず、持っている物も落さなくなる。
また任意発動で、触った対象に絶対体幹の能力を付与できる。付与している間、毎秒MPを消費する。
立場 カースト1位 クラスで一番頭が良いというか、世界でも上位レベルで頭が良い。
容姿 めがね。
性格 物事をハッキリ言う。誰に対しても平等に接する。
口調「馬鹿め」と他人を罵倒するが、掛くんと比べると実際みんな馬鹿だから事実を言っているだけだったりする。
異性関係 自分より頭の良い人が好き。
備考 実は快晴が自分より頭が良いんじゃないかと思っている。
●名前 早々 隼人(はやばや はやと)
年齢 17
性別 男
能力 高速移動
立場 カースト2位
容姿 背が低め 割と容姿が整っている
性格 地頭がいい方でいつもよく周りを見ている
口調「やぁ」から話を始めることが多い。快晴のことを快晴と呼ぶ。
異性関係 モテる方だが興味はなし。
備考 実は勇作くんよりも快晴のことを信頼している。
●名前 霧島 硝煙(きりしま しょうえん)
年齢 17
能力 透明化
立場 快晴の友人
性格 お調子者
容姿 ???→描写してねぇぇ。
口調 だな~~。からな~~。
異性関係 好きな人と快晴が付き合ってしまったが、別に怨んでないが、羨ましくはある。
備考 実は炎に告白して振られている
●名前 不動 力斗(ふどう りきと)
年齢 17
性別 男
能力 筋力増強:能力使用中、1秒毎に筋力値が上昇する。上昇量は筋力の基礎ステータスが高いほど増える。
立場 クラスカースト第4位
容姿 身長175cm 体重80km 全身バキバキのボディービルダーだが、着痩せするタイプ。
髪は坊主。服の上からではそう見えないが脱ぐと手足が太い。
性格 愛される馬鹿
口調 ~~だ。~~なんだ。~~で。一人称はおれ。二人称はおまえ。誰かを呼ぶときは基本呼び捨て。
「おはよう。快晴」「がはは。元気か?」「今日も良い筋肉だ?」「え? おれが馬鹿だって? そんなことより、昨日快便だったんだ。見せたかったぜ」
異性関係 千夏ちゃんに告白して振られた翌日、千夏ちゃんが斉藤君とお付き合いをし始めた
備考 最初の武具選択で全身金属アーマを購入した。趣味は筋トレ
●名前 水野 雫 (みずの しずく)
年齢 17
性別 女
能力 ???
立場 クラス委員長、今はクラスカースト最下位だが、かつては最上位だった。
容姿 ぱっつんお下げ、眼鏡をかけているが、白露に並ぶほど整った顔。清楚系、気崩さない。ポニーテール。目元に隈があり、瞳が淀んでいる。
性格 委員長タイプなのだが、過去のトラウマで今は引っ込みじあんになった
口調 星くん。~~よ。~~わ。
異性関係 かつていじめられたことがあるため、男性は苦手。なんなら女性も苦手
備考 実は快晴のクラスで過去に起きた事件の中心人物であり、最重要人物だが、今の所、特に描写するつもりはない。
●名前 音無 音(おとなし おと)
年齢 15
性別 女
能力 ???
立場 カーストの外に生きている子
容姿 身長は150cm後半、体重はきっと軽い。
髪は黒色で、前髪が目にかかっていて瞳は見たことがない。後ろ髪は肩をちょっと過ぎたあたりまで伸ばしている。
性格 無口
口調 「……」「……ッ」「……!」「……?」
異性関係 気になる人はいる
備考 実はクラス2位の成績
■フォーマット用
●名前
年齢
性別
能力
立場
容姿
性格
口調
異性関係
備考
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