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異変
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マヤとトクラ──否、ルチルア神とロアール神が宮を去り、数週間後のこと。
「うっ、かはっ!」
リセク国宮には──ある、異変が襲っていた。
「氷と布は用意したのか!?」
「人数が多すぎて対応が追いつきません! ですが大広間の解放を許すと王が許可されました!!」
「ッチ、なんなんだこの病はっ……?」
宮周辺地域を襲った、原因不明の疫病である。
「っ姫様! アーリゼア様っ!」
「主任! 病人の数が千人を超えました! 国民の診療所にも病人が殺到しています!」
「落ち着いて対処をしろ! 脳への被害が最小限になるように、頭だけは冷やしておけ!」
その始まりは──ちょうど、昨日の今ぐらいのこと。
「地方で疫病が発生している件についてご報告申し上げます」
紫色の衣を纏った大臣の言葉で、四人は初めてそれを知ったのだ。
「……それはシレーグナ達も知るべきことね?」
シレーグナとクラネスは、フィランソの森林の奥深くに住んでいる二人を訪ねている。明日帰ってくる予定で、今、国宮には不在だ。
「はっ……しかし、国を司る方達には、すぐに知っていただきたいと存じます」
「いいでしょう」
「地方で疫病が発生している件についてなのですが──ついに、都にも被害者が出ました」
「……何ですって? 原因は?」
「もともと地方の被害者の親族で、見舞いに行ったようなのです。しかしその後空気から感染し、発病したと」
「病にかかった者に共通点は?」
「ほとんどが女性で、男性は二、三人しかおりません」
「対処はどうしている? 症状は?」
「高熱と吐き気、中には呼吸困難──」
ガタタンッ、と椅子が倒れる音が聞こえた。サニーラがすぐさま横を向いたあとにはもう──アーリゼアが、倒れていた。
「っアーリゼア!?」
「姫様! 姫様っ!」
と、いう訳なのだ。
「男の治療師を集めろ! 主任はどこだ!」
「ここにいます、王子」
「倉庫にある布は使って構わない──厨房にも氷は膨大な量があるだろう」
「っはい!」
「痛みありますか?」
「頭が、痛くて……っ」
「お腹は?」
「それは、特にないです……」
「分かりました。今よりも体調が悪くなったと思ったら呼んで下さい。あなたは俺が担当します」
「よろしく、お願いします」
「患者のほとんどが女性であり、頭痛と発熱がひどいです。頭だけは冷やすように治療師達に指示しました。今の所治療師の被害は出ていません」
「ああ、報告ありがとう……アーリゼアは?」
声が重く、心配げになったサニーラ。いくら次期国王といえど血も涙もないわけではなく、執務中でも対のことは心配なようだ。
「比較的症状は軽いです。先程フィランソ森林に使いを向かわせました」
「今二人には帰って来て欲しくない……途中で足止めするなりなんなりしておけ」
「はっ」
突如、リセク国を襲った疫病の嵐。アーリゼアをも蝕んだその病は、リセク国を打ち破ってしまうのか────。
「うっ、かはっ!」
リセク国宮には──ある、異変が襲っていた。
「氷と布は用意したのか!?」
「人数が多すぎて対応が追いつきません! ですが大広間の解放を許すと王が許可されました!!」
「ッチ、なんなんだこの病はっ……?」
宮周辺地域を襲った、原因不明の疫病である。
「っ姫様! アーリゼア様っ!」
「主任! 病人の数が千人を超えました! 国民の診療所にも病人が殺到しています!」
「落ち着いて対処をしろ! 脳への被害が最小限になるように、頭だけは冷やしておけ!」
その始まりは──ちょうど、昨日の今ぐらいのこと。
「地方で疫病が発生している件についてご報告申し上げます」
紫色の衣を纏った大臣の言葉で、四人は初めてそれを知ったのだ。
「……それはシレーグナ達も知るべきことね?」
シレーグナとクラネスは、フィランソの森林の奥深くに住んでいる二人を訪ねている。明日帰ってくる予定で、今、国宮には不在だ。
「はっ……しかし、国を司る方達には、すぐに知っていただきたいと存じます」
「いいでしょう」
「地方で疫病が発生している件についてなのですが──ついに、都にも被害者が出ました」
「……何ですって? 原因は?」
「もともと地方の被害者の親族で、見舞いに行ったようなのです。しかしその後空気から感染し、発病したと」
「病にかかった者に共通点は?」
「ほとんどが女性で、男性は二、三人しかおりません」
「対処はどうしている? 症状は?」
「高熱と吐き気、中には呼吸困難──」
ガタタンッ、と椅子が倒れる音が聞こえた。サニーラがすぐさま横を向いたあとにはもう──アーリゼアが、倒れていた。
「っアーリゼア!?」
「姫様! 姫様っ!」
と、いう訳なのだ。
「男の治療師を集めろ! 主任はどこだ!」
「ここにいます、王子」
「倉庫にある布は使って構わない──厨房にも氷は膨大な量があるだろう」
「っはい!」
「痛みありますか?」
「頭が、痛くて……っ」
「お腹は?」
「それは、特にないです……」
「分かりました。今よりも体調が悪くなったと思ったら呼んで下さい。あなたは俺が担当します」
「よろしく、お願いします」
「患者のほとんどが女性であり、頭痛と発熱がひどいです。頭だけは冷やすように治療師達に指示しました。今の所治療師の被害は出ていません」
「ああ、報告ありがとう……アーリゼアは?」
声が重く、心配げになったサニーラ。いくら次期国王といえど血も涙もないわけではなく、執務中でも対のことは心配なようだ。
「比較的症状は軽いです。先程フィランソ森林に使いを向かわせました」
「今二人には帰って来て欲しくない……途中で足止めするなりなんなりしておけ」
「はっ」
突如、リセク国を襲った疫病の嵐。アーリゼアをも蝕んだその病は、リセク国を打ち破ってしまうのか────。
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