婚約破棄ですか？そうですか、なら遠慮はしませんわよ？

第7話 王太子side①

---王太子side---

私はサンフロール王国の王太子である。
私には幼い頃からの婚約者がいたが、本当に気に入らない女だった。

『殿下、この書類は不備があります。』
『殿下、先程の行動は王太子として問題です。』
『殿下、立場を弁えてください。』

などなど、事あるごとにこの私につっかかってきて、いつも恥をかかせる。
この私に対して全く敬意が感じられない。

そんなとき、アイリが現れた。
初めはこの私にぶつかってきて、なんと不敬な女だと思ったが、よく見れば顔もいいし、なにより、私を必ず立ててくれる。
これが運命なのだと思った。
まったく、セレナもアイリを少しは見習ってほしい。


そしてある日、アイリが私に泣きついてきた。
最初、なにを泣いているのかわからなかったが、話を聞くと、セレナから数々の嫌がらせを受けているという。
私がアイリを可愛がっていることを知って、嫉妬して嫌がらせをしたのか！
あの様な心の汚れた女、絶対に婚約破棄をしてやる！


迎えた卒業パーティー。
私はこの日、セレナに婚約破棄をたたきつけ、アイリに謝罪させようとした。

実際、婚約破棄を言い渡した時、セレナは驚いていた。
まあ、ここで素直に謝るなら側室くらいにならしてやってもいいかもしれないな。

そう思ったのに、あの女ときたら、まさか自分は知らないなどと言い出した。
その上、私との婚約破棄をなんの躊躇いもなく受け入れるなどと言い出す始末。

クソッ！アイリだって泣いているではないか。
絶対に許さん！


なに？婚約破棄の損害？
ああ、慰謝料のことか？
貴様がアイリをいじめたことが原因だろうが！
浮気だと？
私は浮気などしていない！真実の愛を見つけたのだ！仕方がないだろ！

まあ、真実の愛のための婚約破棄だ。
公爵家が可哀想だからいくらかのお金くらいならくれてやるさ。
本当に惨めだなあ。


ふん！最後まで澄ました顔をして会場を出て行きやがった。
まあ、負け惜しみに決まっているがな。


ん？なぜ他の者たちも帰るのだ？
なぜ皆んな会場を去っていく？
王太子であるこの私が真実の愛を見つけ、悪であるセレナを断罪し、今日この場でアイリと結ばれるのだぞ？祝福して然るべきだろう！

「おい！貴様ら！私たちを祝福するべきだろう。」

私が声をかけているというのに誰も振り向きもしない。
クソッ！全員処罰してやるぞ！

「おい！無視するな！」

この私を無視しおって！
絶対許さん！


しばらくして、国王である父上が会場に来た。

「おう、父上！私はきょ「この馬鹿者があ！」グヘェ！」

「な、なにをするのですか父上。」

「なにを考えているのだバカ息子め！」

何故か父上に殴られた。
なんだ？
なんなんだよ。
バカ息子って私のことか？