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裏の都編
着いた先 その4
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「ふぅ……着いた」
スーツケースの後から車両を降りてきたのは、長い黒髪と真白い肌、そして人形のように整った貌の少女だった。
紺色のニット棒にやや袖の長いクリーム色のセーター。ホットパンツから伸びるすらりとした脚には、ニット棒に合わせた紺色のニーソックスと、白のスニーカーを履いている。
年の頃は十五、六歳ほどに見えるが、街に出ればまず間違いなく、十人が十人振り返る美少女と言えた。
「……」
その美貌を目にし、結城も知らぬ間に息を飲んでいた。
少女はプラットホームを見渡すと、
「ん?」
立ち尽くして見ている結城の存在に気付いたようだった。
そのままスーツケースを引きながら、結城の元まで歩み寄ってきた。
結城は少女に見惚れたままだったが、
「……はっ!」
1メートル圏内まで近づかれてようやく我に返った。
「あなた、もしかして人間?」
少女は結城の上から下までを観察しながら聞いた。
「へ? あ……」
結城は少女の質問にすぐに答えられなかった。
列車を降りた先にあった謎の駅と街。走っているはずのない車両。そこから降り立った美少女。
訳の分からない状況が続いてしまい、結城はどの事象から対応していけばいいか、思考が追いつかなくなっていた。
「見たところ本当にただの人間だけど、おかしいな。極月の前後はここに人間は入って来れないはずなんだけど」
そう言いながら、少女はなおも結城の姿を観察している。
結城はといえば、少し落ち着いてきたのか、改めて目の前にいる少女の容貌を見て気付いたことがあった。
(あれ? この娘……)
結城は少女の貌に見覚えがあった。
直接会ったことはない。
だが、確実にどこかで見た記憶があった。
(どこで? 写真……写真だ! でも普通の写真じゃなかった。もっと大きめの……それで文字が入ってて……あ! そうだ! 『月刊少年メガ神』の―――)
「ぎっ!?」
そこまで思い出して、結城は急に猛烈な頭痛に襲われた。
「え? なに?」
結城の唐突な挙動に、少女も驚いて一歩後ずさる。
「う! うあああ! いぎっ! ぎぎっ!」
頭が割れるような激痛に、結城は身を捩り、背を曲げる動作を繰り返す。
「ああああ! あ―――」
ふと結城の体から力が抜けた。
縺れかかっていた足は、その不安定さからバランスを崩し、結城は前のめりに倒れていった。
「うわっと」
危うくプラットホームに倒れるところだった結城を、少女は間一髪受け止めることができた。
「ちょっと? どうしたの? もしもし?」
少女は結城を揺さぶるが、当の結城は完全に気を失ったまま、まるで反応しなかった。
スーツケースの後から車両を降りてきたのは、長い黒髪と真白い肌、そして人形のように整った貌の少女だった。
紺色のニット棒にやや袖の長いクリーム色のセーター。ホットパンツから伸びるすらりとした脚には、ニット棒に合わせた紺色のニーソックスと、白のスニーカーを履いている。
年の頃は十五、六歳ほどに見えるが、街に出ればまず間違いなく、十人が十人振り返る美少女と言えた。
「……」
その美貌を目にし、結城も知らぬ間に息を飲んでいた。
少女はプラットホームを見渡すと、
「ん?」
立ち尽くして見ている結城の存在に気付いたようだった。
そのままスーツケースを引きながら、結城の元まで歩み寄ってきた。
結城は少女に見惚れたままだったが、
「……はっ!」
1メートル圏内まで近づかれてようやく我に返った。
「あなた、もしかして人間?」
少女は結城の上から下までを観察しながら聞いた。
「へ? あ……」
結城は少女の質問にすぐに答えられなかった。
列車を降りた先にあった謎の駅と街。走っているはずのない車両。そこから降り立った美少女。
訳の分からない状況が続いてしまい、結城はどの事象から対応していけばいいか、思考が追いつかなくなっていた。
「見たところ本当にただの人間だけど、おかしいな。極月の前後はここに人間は入って来れないはずなんだけど」
そう言いながら、少女はなおも結城の姿を観察している。
結城はといえば、少し落ち着いてきたのか、改めて目の前にいる少女の容貌を見て気付いたことがあった。
(あれ? この娘……)
結城は少女の貌に見覚えがあった。
直接会ったことはない。
だが、確実にどこかで見た記憶があった。
(どこで? 写真……写真だ! でも普通の写真じゃなかった。もっと大きめの……それで文字が入ってて……あ! そうだ! 『月刊少年メガ神』の―――)
「ぎっ!?」
そこまで思い出して、結城は急に猛烈な頭痛に襲われた。
「え? なに?」
結城の唐突な挙動に、少女も驚いて一歩後ずさる。
「う! うあああ! いぎっ! ぎぎっ!」
頭が割れるような激痛に、結城は身を捩り、背を曲げる動作を繰り返す。
「ああああ! あ―――」
ふと結城の体から力が抜けた。
縺れかかっていた足は、その不安定さからバランスを崩し、結城は前のめりに倒れていった。
「うわっと」
危うくプラットホームに倒れるところだった結城を、少女は間一髪受け止めることができた。
「ちょっと? どうしたの? もしもし?」
少女は結城を揺さぶるが、当の結城は完全に気を失ったまま、まるで反応しなかった。
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