小林結城は奇妙な縁を持っている

木林 裕四郎

文字の大きさ
460 / 465
裏の都編

着いた先 その4

しおりを挟む
「ふぅ……着いた」
 スーツケースの後から車両を降りてきたのは、長い黒髪と真白い肌、そして人形のように整ったかおの少女だった。
 紺色のニット棒にややそでの長いクリーム色のセーター。ホットパンツから伸びるすらりとした脚には、ニット棒に合わせた紺色のニーソックスと、白のスニーカーを履いている。
 年の頃は十五、六歳ほどに見えるが、街に出ればまず間違いなく、十人が十人振り返る美少女と言えた。
「……」
 その美貌を目にし、結城ゆうきも知らぬ間に息を飲んでいた。
 少女はプラットホームを見渡すと、
「ん?」
 立ち尽くして見ている結城の存在に気付いたようだった。
 そのままスーツケースを引きながら、結城の元まで歩み寄ってきた。
 結城は少女に見惚みとれたままだったが、
「……はっ!」
 1メートル圏内まで近づかれてようやく我に返った。
「あなた、もしかして人間?」
 少女は結城の上から下までを観察しながら聞いた。
「へ? あ……」
 結城は少女の質問にすぐに答えられなかった。
 列車を降りた先にあった謎の駅と街。走っているはずのない車両。そこから降り立った美少女。
 訳の分からない状況が続いてしまい、結城はどの事象から対応していけばいいか、思考が追いつかなくなっていた。
「見たところ本当にただの人間だけど、おかしいな。極月ごくげつの前後はここに人間は入って来れないはずなんだけど」
 そう言いながら、少女はなおも結城の姿を観察している。
 結城はといえば、少し落ち着いてきたのか、改めて目の前にいる少女の容貌を見て気付いたことがあった。
(あれ? この……)
 結城は少女の貌に見覚みおぼえがあった。
 直接会ったことはない。
 だが、確実にどこかで見た記憶があった。
(どこで? 写真……写真だ! でも普通の写真じゃなかった。もっと大きめの……それで文字が入ってて……あ! そうだ! 『月刊少年メガジン』の―――)
「ぎっ!?」
 そこまで思い出して、結城は急に猛烈な頭痛に襲われた。
「え? なに?」
 結城の唐突な挙動に、少女も驚いて一歩あとずさる。
「う! うあああ! いぎっ! ぎぎっ!」
 頭が割れるような激痛に、結城は身をよじり、背を曲げる動作を繰り返す。
「ああああ! あ―――」
 ふと結城の体から力が抜けた。
 もつれかかっていた足は、その不安定さからバランスを崩し、結城は前のめりに倒れていった。
「うわっと」
 危うくプラットホームに倒れるところだった結城を、少女は間一髪受け止めることができた。
「ちょっと? どうしたの? もしもし?」
 少女は結城を揺さぶるが、当の結城は完全に気を失ったまま、まるで反応しなかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

魔石物語 - 魔石ガチャとモンスター娘のハーレムパーティーで成り上がり -

花京院 光
ファンタジー
十五歳で成人を迎え、冒険者登録をするために魔法都市ヘルゲンに来たギルベルトは、古ぼけたマジックアイテムの専門店で『魔石ガチャ』と出会った。 魔石はモンスターが体内に魔力の結晶。魔石ガチャは魔石を投入してレバーを回すと、強力なマジックアイテムを作り出す不思議な力を持っていた。 モンスターを討伐して魔石を集めながら、ガチャの力でマジックアイテムを入手し、冒険者として成り上がる物語です。 モンスター娘とのハーレムライフ、マジックアイテム無双要素を含みます。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

処理中です...