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22章
147.龍人との共闘
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最後のダンジョンを終わらせて、すぐにオジーと別れた。
早く師匠に会いたいというウキウキな雰囲気ではない。少し焦っているようなそんな表情だ。
どうしてそのような表情をするのか、今の私にはわからない。
落ち着いたらオジーに手紙を送ってみるのもいいかもしれない。
「最後のダンジョンで手に入ったそれは、なんでしょうね?」
ルーパルドが指さしたのは、私の手の中にあるそれ。戻り玉らしいが、それ以外特に説明はない。
どこに戻るのかもわからない。得体がしれないので為す術もない場合に使う程度だろう。
「戻り玉は1人だけ移動するものなのでしょうか。それもわからないなんて……」
「リンがどこかに行っても俺が見つけだすから問題ない」
「それなら僕だって救世主様に呼ばれたらすぐにでも移動できるので問題ありません」
「また俺だけ省かれてる……」
イナトとロクは得意気に言い、ルーパルドだけ項垂れている。
「ルーパルドにも何かそう言うアイテムあったらいいよね。作ろうか」
ルーパルドにしか聞こえないようにそう言えば、ルーパルドは目を輝かせ何度も頷いた。
「ありがとう。1番はリンと離れ離れにならないことだけど、そういうのが1つあると安心するよな」
まだ作っていないのに、もう受け取ったかのように安心したルーパルド。これは早く作って渡してあげた方が良さそうだ。
私はルーパルドから離れてイナトに声をかける。
「そういえば、次の目的地って? もう魔王城行く?」
「すぐに行きましょう。と言いたいところですが……魔王城がどこにあるのかわかっていません」
魔王城が隠されていることを忘れていた。どのように探せばいいのか、オジーに聞いておけばよかった。
イナトは続けて話す。
「なので、まずエンドラスト国の王に魔族弱体のアイテムを取ったことを報告しましょう。土地を取り戻すなら今でしょう」
◇
「おお、これが魔族弱体のアイテムなのか……」
ロケット型ペンダントを手に取ってまじまじと見つめるエンドラスト国の王、コンゴウ。
最初に会った時よりもさらに厚着をしており、もこもこだ。
外にいた人はそこまで厚着をしていなかったが、もしかして1番寒がりだったりするのだろうか。
ロケット型ペンダントを私に返しながら、コンゴウは興味深そうに少しだけ口角を上げた。
「これでどれほど魔族の力が弱まるのか。試してみる価値はあるだろう」
「昔やったことはないんですか?」
「ああ、我は今回王になったばかりのひよっこだ。龍人は長生きだから、なかなか代替わりも遅いのだ」
コンゴウは立ち上がり、コウギョクに何かを書いた紙を渡した。コウギョクは読んだ後頷き足早に部屋を出ていった。
「これから招集をかける。せっかくだ、他の者にも顔を見せてやってほしい」
「わかりました!」
コンゴウが外へと歩きだす。私達も後から着いていく。
外にはすでに武装した人々が大勢立っていた。やる気に満ちている人もいれば、怠そうな人もいる。不安そうな人もいるし、様々だ。
「集まってくれてありがとう。こちらの救世主様のおかげで魔族弱体アイテムを手に入れた。せっかくなのでひと暴れしようと思う」
真面目な演説でも始まるのかと思えば、コンゴウはゆるりとした態度でそう口にして皆に手を振った。
「救世主様! ありがとうございます! 戦に行く前にあたしと手合わせしてくれませんか!」
「ずるい! わたしもわたしも!」
わらわらと集まってきた屈強な女性達。寒くないのか、腹出しだったりノースリーブだったり。コンゴウとは逆に露出が高すぎる。見ているだけで寒い。
その後、一通り女性メインで手合わせをした。いつの間にやら強くなっていたようで、息切れは気になるものの、相手に遅れをとることはなかった。
オジーのおかげでレベルが上がっているのもあるだろう。
ある程度相手をした後、休憩のためにベンチへと座る。
もらった水を飲みながら、イナト達の様子を見る。皆、龍人相手に勝ち星をあげている。しかし、余裕というほどではない。だが、戦闘に強いと言われている龍人に勝てているのだから、誰も文句は言えないだろう。
「救世主様が戦えるっていうのは本当だったんですね!」
腹筋の割れている快活な女性。腕もムキムキ。そこらの男より断然逞しい。その隣で眺めていた女性も不思議そうな顔で私を見つめていた。
「こんなに華奢で可愛らしいのに、不思議ですねぇ」
どうやらここの女性達は筋肉こそ強さと思っているらしい。だから自分より細い男に興味がなく、もれなく私のパーティーは全員筋肉不足だと一蹴されている。
クロノダやスミスだったら十分なのだろうか……
「そろそろ身体も温まってきただろう。救世主の能力でワープできると聞く。ここまで連れていってはくれないか」
「いいですよ。大人数の移動に使ったことはないですが……」
私や私が触っていればワープできると聞くが、この人数全員連れていくにはどうすればいいんだろう。
そう思っているとコンゴウが言う。
「蜘蛛の糸を皆で持てばできると聞いたことがある。それでよろしく頼む」
長く結んだ蜘蛛の糸を皆で持ってもらい、移動をすることに。
成功するのかドキドキだ。
早く師匠に会いたいというウキウキな雰囲気ではない。少し焦っているようなそんな表情だ。
どうしてそのような表情をするのか、今の私にはわからない。
落ち着いたらオジーに手紙を送ってみるのもいいかもしれない。
「最後のダンジョンで手に入ったそれは、なんでしょうね?」
ルーパルドが指さしたのは、私の手の中にあるそれ。戻り玉らしいが、それ以外特に説明はない。
どこに戻るのかもわからない。得体がしれないので為す術もない場合に使う程度だろう。
「戻り玉は1人だけ移動するものなのでしょうか。それもわからないなんて……」
「リンがどこかに行っても俺が見つけだすから問題ない」
「それなら僕だって救世主様に呼ばれたらすぐにでも移動できるので問題ありません」
「また俺だけ省かれてる……」
イナトとロクは得意気に言い、ルーパルドだけ項垂れている。
「ルーパルドにも何かそう言うアイテムあったらいいよね。作ろうか」
ルーパルドにしか聞こえないようにそう言えば、ルーパルドは目を輝かせ何度も頷いた。
「ありがとう。1番はリンと離れ離れにならないことだけど、そういうのが1つあると安心するよな」
まだ作っていないのに、もう受け取ったかのように安心したルーパルド。これは早く作って渡してあげた方が良さそうだ。
私はルーパルドから離れてイナトに声をかける。
「そういえば、次の目的地って? もう魔王城行く?」
「すぐに行きましょう。と言いたいところですが……魔王城がどこにあるのかわかっていません」
魔王城が隠されていることを忘れていた。どのように探せばいいのか、オジーに聞いておけばよかった。
イナトは続けて話す。
「なので、まずエンドラスト国の王に魔族弱体のアイテムを取ったことを報告しましょう。土地を取り戻すなら今でしょう」
◇
「おお、これが魔族弱体のアイテムなのか……」
ロケット型ペンダントを手に取ってまじまじと見つめるエンドラスト国の王、コンゴウ。
最初に会った時よりもさらに厚着をしており、もこもこだ。
外にいた人はそこまで厚着をしていなかったが、もしかして1番寒がりだったりするのだろうか。
ロケット型ペンダントを私に返しながら、コンゴウは興味深そうに少しだけ口角を上げた。
「これでどれほど魔族の力が弱まるのか。試してみる価値はあるだろう」
「昔やったことはないんですか?」
「ああ、我は今回王になったばかりのひよっこだ。龍人は長生きだから、なかなか代替わりも遅いのだ」
コンゴウは立ち上がり、コウギョクに何かを書いた紙を渡した。コウギョクは読んだ後頷き足早に部屋を出ていった。
「これから招集をかける。せっかくだ、他の者にも顔を見せてやってほしい」
「わかりました!」
コンゴウが外へと歩きだす。私達も後から着いていく。
外にはすでに武装した人々が大勢立っていた。やる気に満ちている人もいれば、怠そうな人もいる。不安そうな人もいるし、様々だ。
「集まってくれてありがとう。こちらの救世主様のおかげで魔族弱体アイテムを手に入れた。せっかくなのでひと暴れしようと思う」
真面目な演説でも始まるのかと思えば、コンゴウはゆるりとした態度でそう口にして皆に手を振った。
「救世主様! ありがとうございます! 戦に行く前にあたしと手合わせしてくれませんか!」
「ずるい! わたしもわたしも!」
わらわらと集まってきた屈強な女性達。寒くないのか、腹出しだったりノースリーブだったり。コンゴウとは逆に露出が高すぎる。見ているだけで寒い。
その後、一通り女性メインで手合わせをした。いつの間にやら強くなっていたようで、息切れは気になるものの、相手に遅れをとることはなかった。
オジーのおかげでレベルが上がっているのもあるだろう。
ある程度相手をした後、休憩のためにベンチへと座る。
もらった水を飲みながら、イナト達の様子を見る。皆、龍人相手に勝ち星をあげている。しかし、余裕というほどではない。だが、戦闘に強いと言われている龍人に勝てているのだから、誰も文句は言えないだろう。
「救世主様が戦えるっていうのは本当だったんですね!」
腹筋の割れている快活な女性。腕もムキムキ。そこらの男より断然逞しい。その隣で眺めていた女性も不思議そうな顔で私を見つめていた。
「こんなに華奢で可愛らしいのに、不思議ですねぇ」
どうやらここの女性達は筋肉こそ強さと思っているらしい。だから自分より細い男に興味がなく、もれなく私のパーティーは全員筋肉不足だと一蹴されている。
クロノダやスミスだったら十分なのだろうか……
「そろそろ身体も温まってきただろう。救世主の能力でワープできると聞く。ここまで連れていってはくれないか」
「いいですよ。大人数の移動に使ったことはないですが……」
私や私が触っていればワープできると聞くが、この人数全員連れていくにはどうすればいいんだろう。
そう思っているとコンゴウが言う。
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