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14章
86.お揃い
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いつもの格好と比べるとかなりギラギラとしている。また、ドレスが重い。十二単衣よりマシなのかもしれないが、私にはそんなの知ったこっちゃない。
鮮やかな青を基調としたドレス。装飾をこれから選ぶのでもう少しギラギラする予定だ――いや、華やかと言うべきか。
身軽な装備を恋しがっていると、ノック音がする。メイドが私に許可を得た後、扉を開けるとイナトが正装姿で立っていた。白を基調としており、装飾も控えめだった。
私のドレス姿を見て硬直してしまったイナト。
イナトと一緒に来ていたセヴァスチャンが咳払いをしたことで我に返り私へ微笑みかけた。
「……救世主様、お綺麗です」
「ありがとう。イナトはかっこいいよ」
「あ、ありがとうございます」
照れるイナトを見て、セヴァスチャンは感慨深そうに頷いている。イナトは女性経験がなく――というよりもイナトに近づく女性は王族の仲間入りを狙うタイプが多かったと聞く。もちろんイナトは顔もいいので、一目惚れする人も多かったらしい。が、自己本位の人が多く、できるだけ女性と2人きりにならないようにイナトが避けていたらしい。
「他の2人は?」
「まだ決まっていません。2人とも僕より逞しいので……」
確かに2人と比べるとイナトは華奢だ。少し複雑そうな表情をしているが、イナト的にはもう少し筋肉量を増やしたいのだろうか。
「2人くらい筋肉欲しい?」
「僕としてはもう少し……。救世主様はどのようにお思いでしょうか」
「イナトはそのくらいが1番かっこいいと思うよ」
「……! そうですか」
イナトは頬を少し赤らめ嬉しそうに笑う。どうやらイナトは筋肉がつきにくい体質らしく伸び悩んでいたらしい。
そこまで筋肉を育てたいのかと聞いてみれば、周りに筋肉量の多い男ばかりいたため、自身が貧弱に見えたからだと言う。だが、すでに実力で団長を務めているのだし、肩肘張らずとも良いだろう。
「イナトは十分強いよ。あと、それ以上筋肉つけちゃうと自慢のスピードが落ちちゃうよ」
「それもそうですね。ありがとうございます」
筋肉をつけることに固執していたのか、イナトは納得するように頷き笑顔を向けた――。
大量のドレスを時々見つめながら、イナトは婦人と何かを話していた。婦人はイナトの話を聞きながら何度も頷き楽しそうにしている。
私はドレスに合うアクセサリーをメイドに見せてもらっていた。正直ちんぷんかんぷんなので適当でいいよと言いたい。だが、どれにしようかと真剣に悩むメイドの姿に口が出せないでいる。
そんなメイドが他のと比べ、じっくりと手に取り眺めていた青みがかった緑色のペンダント。小ぶりだが鮮やかな青色がよく目立ち、自然と目が向いてしまう。
「その色、綺麗ですね」
「ええ、ええ! とっても綺麗ですよね! これになさいますか?!」
自分が眺めていたものを褒められて喜んでいるのか、あまり話さず生真面目そうな雰囲気だったメイドが無邪気に喜んだ。よくわからないが、それがこのドレスに合うのならなんでもいい。私は頷きメイドにつけてもらった。メイドは似合うと何度も褒めてくれる。少し照れ臭い。
イナトがいる方向へと視線を向けると、イナトは何かいけないものでも見たかのように目を逸らし顔を赤らめた。今日は頻繁に顔を赤くするなぁ。
そんなことを思っていると、扉をノックする音が聞こえてきた。扉付近に控えていたセヴァスチャンが扉を開けて、ルーパルドとロクを部屋へと入れる。
ルーパルドとロクどちらもくたびれた顔をしている。せっかくかっこよく着飾っているのにもったいない。
「やっっっと服が決まりましたよ~」
「疲れた……」
「お疲れ。2人とも似合うね」
ルーパルドはワインレッド、ロクは深緑色。2人ともイナトと比べると少し黒い。
聞いた話によると貴族の装いは明るければ明るいほど良いとされているのだとか。だからこそ下位である渡者は黒で統一しているのだと。
2人にアクセサリーを見せ始めたセヴァスチャン。まだ何かあるのかとうんざりしているロク。その隣で苦笑いを浮かべるルーパルド。
「ちなみに、色とアクセサリーを合わせると夫婦や婚約者、恋人としてみられます。他人と被れば"匂わせ"と思われてしまうことがあります」
イナトは私に説明をしてくれる。
アクセサリーはイナトの場合、レプリカだが王族の宝物をつける。身につける宝物は片手で数えられる程度。だから大体目星がついてしまうのだとか。
「あ、だから合わせないように気を遣ってるんだね」
「はい。以前僕はシアン色の正装でパーティーに参加しました。なのでおそらくシアン色でくると予想しています」
一方的に追われている事は周知されているので、勘違いされることはない。だが、それでも被りを避けなかったことでデボラが勘違いすることは避けたいのだとイナトは言う。
「同性が同じ色やアクセサリーつけてた場合は?」
「友好関係の拒否になります」
「うわ、それは確かに避けたい」
女友達でお揃いなんてことはこの世界ではできないのかと驚いてしまう。お揃いを楽しむ女性は多くいるイメージがあるため、少し残念だ。
「パーティーでなければ、同性も異性も同じものをつけても問題ありませんよ」
察したようにイナトは笑顔でそう付け加えてくれた。
鮮やかな青を基調としたドレス。装飾をこれから選ぶのでもう少しギラギラする予定だ――いや、華やかと言うべきか。
身軽な装備を恋しがっていると、ノック音がする。メイドが私に許可を得た後、扉を開けるとイナトが正装姿で立っていた。白を基調としており、装飾も控えめだった。
私のドレス姿を見て硬直してしまったイナト。
イナトと一緒に来ていたセヴァスチャンが咳払いをしたことで我に返り私へ微笑みかけた。
「……救世主様、お綺麗です」
「ありがとう。イナトはかっこいいよ」
「あ、ありがとうございます」
照れるイナトを見て、セヴァスチャンは感慨深そうに頷いている。イナトは女性経験がなく――というよりもイナトに近づく女性は王族の仲間入りを狙うタイプが多かったと聞く。もちろんイナトは顔もいいので、一目惚れする人も多かったらしい。が、自己本位の人が多く、できるだけ女性と2人きりにならないようにイナトが避けていたらしい。
「他の2人は?」
「まだ決まっていません。2人とも僕より逞しいので……」
確かに2人と比べるとイナトは華奢だ。少し複雑そうな表情をしているが、イナト的にはもう少し筋肉量を増やしたいのだろうか。
「2人くらい筋肉欲しい?」
「僕としてはもう少し……。救世主様はどのようにお思いでしょうか」
「イナトはそのくらいが1番かっこいいと思うよ」
「……! そうですか」
イナトは頬を少し赤らめ嬉しそうに笑う。どうやらイナトは筋肉がつきにくい体質らしく伸び悩んでいたらしい。
そこまで筋肉を育てたいのかと聞いてみれば、周りに筋肉量の多い男ばかりいたため、自身が貧弱に見えたからだと言う。だが、すでに実力で団長を務めているのだし、肩肘張らずとも良いだろう。
「イナトは十分強いよ。あと、それ以上筋肉つけちゃうと自慢のスピードが落ちちゃうよ」
「それもそうですね。ありがとうございます」
筋肉をつけることに固執していたのか、イナトは納得するように頷き笑顔を向けた――。
大量のドレスを時々見つめながら、イナトは婦人と何かを話していた。婦人はイナトの話を聞きながら何度も頷き楽しそうにしている。
私はドレスに合うアクセサリーをメイドに見せてもらっていた。正直ちんぷんかんぷんなので適当でいいよと言いたい。だが、どれにしようかと真剣に悩むメイドの姿に口が出せないでいる。
そんなメイドが他のと比べ、じっくりと手に取り眺めていた青みがかった緑色のペンダント。小ぶりだが鮮やかな青色がよく目立ち、自然と目が向いてしまう。
「その色、綺麗ですね」
「ええ、ええ! とっても綺麗ですよね! これになさいますか?!」
自分が眺めていたものを褒められて喜んでいるのか、あまり話さず生真面目そうな雰囲気だったメイドが無邪気に喜んだ。よくわからないが、それがこのドレスに合うのならなんでもいい。私は頷きメイドにつけてもらった。メイドは似合うと何度も褒めてくれる。少し照れ臭い。
イナトがいる方向へと視線を向けると、イナトは何かいけないものでも見たかのように目を逸らし顔を赤らめた。今日は頻繁に顔を赤くするなぁ。
そんなことを思っていると、扉をノックする音が聞こえてきた。扉付近に控えていたセヴァスチャンが扉を開けて、ルーパルドとロクを部屋へと入れる。
ルーパルドとロクどちらもくたびれた顔をしている。せっかくかっこよく着飾っているのにもったいない。
「やっっっと服が決まりましたよ~」
「疲れた……」
「お疲れ。2人とも似合うね」
ルーパルドはワインレッド、ロクは深緑色。2人ともイナトと比べると少し黒い。
聞いた話によると貴族の装いは明るければ明るいほど良いとされているのだとか。だからこそ下位である渡者は黒で統一しているのだと。
2人にアクセサリーを見せ始めたセヴァスチャン。まだ何かあるのかとうんざりしているロク。その隣で苦笑いを浮かべるルーパルド。
「ちなみに、色とアクセサリーを合わせると夫婦や婚約者、恋人としてみられます。他人と被れば"匂わせ"と思われてしまうことがあります」
イナトは私に説明をしてくれる。
アクセサリーはイナトの場合、レプリカだが王族の宝物をつける。身につける宝物は片手で数えられる程度。だから大体目星がついてしまうのだとか。
「あ、だから合わせないように気を遣ってるんだね」
「はい。以前僕はシアン色の正装でパーティーに参加しました。なのでおそらくシアン色でくると予想しています」
一方的に追われている事は周知されているので、勘違いされることはない。だが、それでも被りを避けなかったことでデボラが勘違いすることは避けたいのだとイナトは言う。
「同性が同じ色やアクセサリーつけてた場合は?」
「友好関係の拒否になります」
「うわ、それは確かに避けたい」
女友達でお揃いなんてことはこの世界ではできないのかと驚いてしまう。お揃いを楽しむ女性は多くいるイメージがあるため、少し残念だ。
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察したようにイナトは笑顔でそう付け加えてくれた。
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