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14章
87.レッスン
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髪型やアクセサリーなどを決めた後、休むことなく礼儀作法やダンスの練習へ。
今回は立食らしく、テーブルマナーよりも覚えることが少ないと聞く。とはいえ何も知らない私にとってどの程度の差なのかは知らないのだが。
ダンスも1曲踊れば他は断ってもいいらしい。なので最初の1曲のみ覚えてしまえば良い。
「まず、その場に置いてある料理には手をつけても問題ないと思います。ですが、給仕から飲食物を直接受け取ってはいけません」
「毒を盛られている可能性が高いから?」
「その通りです。念のため万能解毒薬を渡しておきますが、受け取らないに越したことはありません」
全員に薬の入った小瓶を渡しながら、イナトはそう言った。ロクは小瓶を眺めた後、イナトを見て口を開く。
「俺は大体の毒に慣れている。どんな毒かもわかるはずだ。だから貰っても平気だと思うが」
もし受け取っても毒見役としてロク自身が味を見て、それから口を付ければいいと提案。だが、イナトは即却下。
「やめておけ。激毒なんか盛られたら流石に効くだろ」
少し不服そうにしていたが、ロクはわかったと頷きそれ以上何か言うことはなかった。
その後も立食のマナー講座は続いた。
シミュレーションが出来るようテーブルにカトラリーや空ではあるが、ワイングラスなどを置き実践して見せた。
いつも気軽に食事を楽しんでいた身としては、あれこれ考えながらは性に合わないなぁとため息が出てしまいそうだ。そんな私を見て、イナトは提案する。
「……この程度で良いでしょう。面倒でしたら食事に一切手をつけないというのも手です」
「パーティー終わった後に食べたって良いもんね」
ルーパルドは隣で頷いた。
「その方が毒やらマナーやら気にしなくて良いですしね~」
「俺は食べるぞ」
「まあ、渡者は気にせず食ってそうだよなぁ」
お次はダンスの練習。最初にお手本でセヴァスチャンとメイドのダンスを披露してもらった。
テレビでしか見たことないようなダンスに思わず惚れ惚れしてしまう。私にこれが踊れるのだろうか。
2人に感謝の言葉をかけた後、イナトは私に手を差し伸べた。
「習うより慣れよ、ですよ。救世主様」
「そうかもしれないけど……やっぱり私は壁の花になりたい」
「俺も」
「なれるなら俺だってなりたいですけどねぇ」
ロクもルーパルドも大きく頷いた。しかしイナトがそれを許すわけもなく、2人はセヴァスチャンやメイドに捕まった。
最初こそ足を踏んだり躓いたりと騒がしくしていた。だが、なんとか数時間で、踏んだり躓いたりすることはなくなった。
やはり1番踊りやすかったのはエスコートを完璧にこなしてくれるイナトだ。
だが身長差問題なのだろう、ロクと踊る時はあまり腕を高く上げずに済んで楽だった。ルーパルドは私とやる時は少々動きにくそうに見えた。
「昼休憩にしましょう」
「やっとお昼かー」
イナトの声かけに、ルーパルドは力を抜き体を伸ばした。何度もメイドにしごかれていたロクは、疲れ果て項垂れている。
「本日は立食スタイルでご用意いたしました」
美味しそうに並べられた食事……だが、和洋中何もかもある時代背景無視な卓の上。いつもなら洋食がメインだが、デボラが世界中から美食を集めるのが趣味らしい。それを真似して今回は揃えているのだとか。
「練習も兼ねてるのか……」
「そうだ。間違えたらその場で指摘するから覚悟しておくように」
イナトやセヴァスチャン、メイドは爽やかな笑顔で私やルーパルド、ロクを見た。
◇
「お疲れ様でした。本日の分は終了です」
そう言われた途端、3人は大きく息を吐いた。
「国王様は忙しいため、今回の夕食にはいません。いつも通り気楽にしてください」
そう聞いた途端、肩の荷が全て降りたような気分になった。この1週間は過酷なレッスンを受け、国王様との食事が待ち受けているかと思っていたから尚更軽い。
部屋へと戻りすぐさま正装を脱ぎ、楽な格好に。と言っても服はメイドが用意してくれた高価なワンピースだ。また肌触りが良く可愛らしいデザイン。汚したりしたら大変だ。
長い廊下を歩き食事の用意されている部屋へと入る。すでに3人とも着席しており待ったましたと言いたげな瞳でこちらを見ていた。
「救世主さまは今日も可愛らしいお洋服ですね~」
「ルーパルドはガタイがいいせいか、ちょっと不思議な感じがするね」
「違和感あるでしょ? 俺もそう思います」
フリフリとしたものがたくさんついている。フリフリの名前も服の名前もわからないが、華奢な美少年が着たら似合いそうな服だ。
イナトも似た服を着ているが、違和感は一切ない。むしろすごく似合っている。そんな服を着ていたことは一度もないのに見慣れている気さえしてしまう。
「イナトは着慣れてるからなのか、全然違和感がないね」
「騎士学校に入る前はよく着せられてましたね」
懐かしむイナト。近くに控えていたセヴァスチャンも小さく頷いている。懐かしそうにイナトを見つめていることから、用意したのはセヴァスチャンかもしれない。
「ロクはいつでもローブ着たがるね」
「正装の時は我慢してたし、いいだろ別に」
中身は2人と似たものなのかそれとも別なのか。気になったが、ロクは食事中一度もローブを脱ぐことはなかった。
今回は立食らしく、テーブルマナーよりも覚えることが少ないと聞く。とはいえ何も知らない私にとってどの程度の差なのかは知らないのだが。
ダンスも1曲踊れば他は断ってもいいらしい。なので最初の1曲のみ覚えてしまえば良い。
「まず、その場に置いてある料理には手をつけても問題ないと思います。ですが、給仕から飲食物を直接受け取ってはいけません」
「毒を盛られている可能性が高いから?」
「その通りです。念のため万能解毒薬を渡しておきますが、受け取らないに越したことはありません」
全員に薬の入った小瓶を渡しながら、イナトはそう言った。ロクは小瓶を眺めた後、イナトを見て口を開く。
「俺は大体の毒に慣れている。どんな毒かもわかるはずだ。だから貰っても平気だと思うが」
もし受け取っても毒見役としてロク自身が味を見て、それから口を付ければいいと提案。だが、イナトは即却下。
「やめておけ。激毒なんか盛られたら流石に効くだろ」
少し不服そうにしていたが、ロクはわかったと頷きそれ以上何か言うことはなかった。
その後も立食のマナー講座は続いた。
シミュレーションが出来るようテーブルにカトラリーや空ではあるが、ワイングラスなどを置き実践して見せた。
いつも気軽に食事を楽しんでいた身としては、あれこれ考えながらは性に合わないなぁとため息が出てしまいそうだ。そんな私を見て、イナトは提案する。
「……この程度で良いでしょう。面倒でしたら食事に一切手をつけないというのも手です」
「パーティー終わった後に食べたって良いもんね」
ルーパルドは隣で頷いた。
「その方が毒やらマナーやら気にしなくて良いですしね~」
「俺は食べるぞ」
「まあ、渡者は気にせず食ってそうだよなぁ」
お次はダンスの練習。最初にお手本でセヴァスチャンとメイドのダンスを披露してもらった。
テレビでしか見たことないようなダンスに思わず惚れ惚れしてしまう。私にこれが踊れるのだろうか。
2人に感謝の言葉をかけた後、イナトは私に手を差し伸べた。
「習うより慣れよ、ですよ。救世主様」
「そうかもしれないけど……やっぱり私は壁の花になりたい」
「俺も」
「なれるなら俺だってなりたいですけどねぇ」
ロクもルーパルドも大きく頷いた。しかしイナトがそれを許すわけもなく、2人はセヴァスチャンやメイドに捕まった。
最初こそ足を踏んだり躓いたりと騒がしくしていた。だが、なんとか数時間で、踏んだり躓いたりすることはなくなった。
やはり1番踊りやすかったのはエスコートを完璧にこなしてくれるイナトだ。
だが身長差問題なのだろう、ロクと踊る時はあまり腕を高く上げずに済んで楽だった。ルーパルドは私とやる時は少々動きにくそうに見えた。
「昼休憩にしましょう」
「やっとお昼かー」
イナトの声かけに、ルーパルドは力を抜き体を伸ばした。何度もメイドにしごかれていたロクは、疲れ果て項垂れている。
「本日は立食スタイルでご用意いたしました」
美味しそうに並べられた食事……だが、和洋中何もかもある時代背景無視な卓の上。いつもなら洋食がメインだが、デボラが世界中から美食を集めるのが趣味らしい。それを真似して今回は揃えているのだとか。
「練習も兼ねてるのか……」
「そうだ。間違えたらその場で指摘するから覚悟しておくように」
イナトやセヴァスチャン、メイドは爽やかな笑顔で私やルーパルド、ロクを見た。
◇
「お疲れ様でした。本日の分は終了です」
そう言われた途端、3人は大きく息を吐いた。
「国王様は忙しいため、今回の夕食にはいません。いつも通り気楽にしてください」
そう聞いた途端、肩の荷が全て降りたような気分になった。この1週間は過酷なレッスンを受け、国王様との食事が待ち受けているかと思っていたから尚更軽い。
部屋へと戻りすぐさま正装を脱ぎ、楽な格好に。と言っても服はメイドが用意してくれた高価なワンピースだ。また肌触りが良く可愛らしいデザイン。汚したりしたら大変だ。
長い廊下を歩き食事の用意されている部屋へと入る。すでに3人とも着席しており待ったましたと言いたげな瞳でこちらを見ていた。
「救世主さまは今日も可愛らしいお洋服ですね~」
「ルーパルドはガタイがいいせいか、ちょっと不思議な感じがするね」
「違和感あるでしょ? 俺もそう思います」
フリフリとしたものがたくさんついている。フリフリの名前も服の名前もわからないが、華奢な美少年が着たら似合いそうな服だ。
イナトも似た服を着ているが、違和感は一切ない。むしろすごく似合っている。そんな服を着ていたことは一度もないのに見慣れている気さえしてしまう。
「イナトは着慣れてるからなのか、全然違和感がないね」
「騎士学校に入る前はよく着せられてましたね」
懐かしむイナト。近くに控えていたセヴァスチャンも小さく頷いている。懐かしそうにイナトを見つめていることから、用意したのはセヴァスチャンかもしれない。
「ロクはいつでもローブ着たがるね」
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