慟哭の時

レクフル

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第四章

連れ去られた赤子

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「銀髪の部族じゃと?!」

「はい。」

「なぜお前がそれを知っている?!…いや、お前に隠し立ては出来ぬか……」

「なぜこの国は銀髪の女を狙っているのですか?」

聞いた途端、父から悲愴感が感じとれた。

「銀髪の女との間に出来た子は、優れた能力を持って生まれてくる。しかし、殆どが生まれる前に亡くなっているか、生まれてすぐに亡くなるか、だ。」

「銀髪の男はどうなんですか?」

「男でも試したのだ。しかし、母体が耐えられんでな。子を生む前に母体の方が亡くなってしまう。」

「しかし、それでは銀髪の女を狙っても意味はないのではないでしょうか?」

「一度、成功している。」

「え?」

「しかし、赤子を連れて逃げられてしまってな。」

「っ!」

「どうしたリディ?」

「いえ、何も……」

「それから探してはいるのだが、一向に見つからぬ。母親である銀髪の女も、その子供も。」

「そう…ですか……」

「もう良いか?疲れたので休ませよ。」

「ありがとうございます。継承の件は、また話しをさせて下さい。では……」

そう言って部屋を後にした。



何一つ話を纏める事が出来なかった自分に苛立ちを覚える。

しかし、弟を拐ったと言う銀髪の女は、母親だったのか……

でも、それでは話がおかしくはないか?

俺の弟であれば、俺もその銀髪の女が母親と言うことになる。

俺の母は、第10夫人のベアトリーチェだ。

そう聞いている。

それが本当なら、銀髪の女が拐ったのは、俺とは関係のない赤子と言うことになる。

しかし、リーザが嘘をつくとは思えない。

死の間際の言葉なのだ。

嘘を言う必要など何処にもない。



幼い頃を思い浮かべてみる。



姉は、最初から俺を嫌っていなかったか?

理由は分からなかった。

ただ姉からはいつも、嫉妬や嫌悪と言う感情が溢れていた。


これは姉に聞く必要があるな……






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