慟哭の時

レクフル

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第七章

リフレイム島

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その日の昼過ぎ、予定通りに船はリフレイム島に到着した。

港町ソリフィエに降り立って、周りを見渡す。

港町はやっぱり活気があって、人が多かった。
露店が多くて、鮮魚もいっぱい売っていた。
エリアスは周りを見ながらゆっくり歩く。
その左手を両手で包み込む様に握って、私もゆっくりと歩く。
少しずつ、こうやって慣れていかないと……
そう思ってエリアスを見ると、私を見て微笑む。
心配させない様にしてくれてるんだろうな……

早速ギルドに行ってみる。
ギルドには、色んな情報が持ち込まれる。
依頼に関してもだけど、店の情報や人々の情報や物流等に関しても、依頼にくっついて様々な情報も持ち込まれてくる。
だからエリアスはいつも、何か知りたい時はギルドにやって来ていた、と言っていた。
私を探している時も、真っ先にギルドに足を運んだそうだ。

時間的にギルドは人が少なくて、昼間からギルドの一角にある酒場で飲んだくれてる冒険者達もいた。
受付で、錬金術師の事を聞いてみる。


「錬金術師……ですか……」

「あぁ、知らねぇか?」

「前はいたんですけどねぇ……二年程前?もう少し前かしら……突然いなくなってしまったんですよ。それからは見かけてません。帰ってきたと言う情報もありません。」

「そうなんだな……あんまりいねぇ職種だからな。どこ行ったんだろうな……」

「さぁ……この島にいたのも三年位なんですよ。もしかして、他の場所へ行かれたのかもしれませんね。」

「そっか……分かった。ありがとな。」

「気になるなら一度、住まれてた場所に行かれてはどうですか?ここから北西にある、ザヴァイの村にまだ家が残っていますよ?」

「そうしてみる。」


そう聞いてエリアスと私は、早速ザヴァイの村へと向かった。
ここからそう遠い場所ではなかったから、街を出てからエリアスと走って行こうか!ってなった。

風魔法を纏って、どっちが速く走れるか勝負だって言って、二人で競争した。
エリアスは風魔法が得意だと言ってたのもあって、やっぱりかなり速かった。
軽やかに、風がエリアスの味方になっているみたいな感じで風を纏い、颯爽とエリアスは駆けて行った。
私も負けない様に、エリアスの横に並ぶように、風を感じながら走った。
風がとても気持ち良くって、高速で流れる景色が楽しくって、つい疲れも忘れてエリアスと二人で駆け続けてたんだ。

暫く走って、村の近く辺りで足を止めた。


「あー疲れたっ!久しぶりに走ったから、つい楽しくてずっと走っちまったな!」

「うん、疲れた!でも!楽しい!」

「道に人が殆どいなかったからな。長い距離走れたから、早く着いたな!」

「歩くと半日はかかるって言ってたけど、走ったら早かった!」

「けど、人に見られると驚かせちまうからな。ずっと魔力使っちまうし。この辺りに魔物の気配も無かったから、足止めせずに来れたな。」

「ここは気候が良くて、過ごしやすそうだ。道も舗装されてるから進みやすいし、脇にある森もちゃんと手入れされてる。」

「そうだな。ここの冒険者は、海の魔物を討伐したりしてんのかもな。」

「けど、エリアスは魔物を倒せなくて残念そうだ。」

「まぁな。クラーケン倒してからは、全然倒せてねぇ。体がなまっちまう。」

「そう言えば……前に……」

「え?」

「あ、ううん、何でもない!」

「何だよ?言えよ。」

「あ……その……ユリウスを左手で触った時……目に力が宿ったって……」

「あぁ。まだその力は使ってねぇから、ちゃんとは分かんねぇけど、多分……」

「多分……?」

「……邪眼……だな……」

「邪眼……」

「相手を呪える力を持ったかも知んねぇ。これは人には使えねぇな……」

「そう……なんだ……」

「怖くなったか?」

「え?!そんな事ない!エリアスを怖いとかは思わない!」

「そっか。それなら良かった。」


エリアスが私を見てニッて笑って、それから頭をワシャワシャした。

それから少し歩くと、ザヴァイの村に着いた。
木で作られた柵があって、門番と思われる人が入り口で椅子に座って寝ていた。

平和なんだな……

そう感じながら門番に声をかけて、寝ぼけ眼の門番の前を通っていく。
小さな村で、木でできた一階建ての家ばかりで、家畜もその家々にいる感じだ。
自給自足なのかな?
小さな畑も家の庭にあって、のんびりした雰囲気が感じられる。
畑仕事をしている人に聞いてみる。


「すみません、ここに錬金術師がいたと聞いたんですが、その人の家はどこですか?」

「え?錬金術師……リサの家?」

「リサって言う人だったのか?」

「そうだよー?今はいねぇけどねぇ。リサの弟子ならいるけどねぇ。」

「弟子がいんのか?!」

「いるよー。ウルって言う子でねぇ。こっから西へ行った、村の外れが家だよー。」

「分かりました。ありがとう。」


早速そこまで行ってみる。
村の外れの古びた家がそうらしく、側には大きな木があった。 

扉をノックしてみる。

……が、返事がない。

少しして、もう一度ノックしてみる。

……返事がない……

でも中に人がいる気配がする。

……警戒してるのか……?

どうするか……と考えてるところで


「おい!ウル!いてんだろ?!おーいっ!」


エリアスが大声で扉をドンドン何度も叩きだした!


「おーい!ウルー!出て来てくれー!ウールー!!」

「エリアス……!そんな大声で……」

「おいってー!ウルー!出て来ーい!!ウールー!!!」

「うるさいわーっっ!!」


突然勢いよく扉が開いて、中からウルと思われる少女が出てきた!

その少女を見て、一瞬驚いた。

少女の髪は銀色だったんだ……







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