慟哭の先に

レクフル

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その後の日々

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 ここはルーシュカ国とロヴァダ国の国境にある、森深くに存在する場所。

 そこには多くの子供と、エルフであるウル達夫婦が力を合わせて生活をしていた。

 その場所を『ジークマリアの里』と名付け、村という位置付けにしなかった。
 それは何処の国の領土か分からないこの場所の管理を、他国であるオルギアン帝国に任せる事になった事からそうなったのだ。

 名付けたのはウル。私の父、ジークフリートと母マリアの名前からそう付けたって言っていた。ウルの気持ちが本当に有り難くて嬉しかった。

 その『ジークマリアの里』に、今日は二人でやってきた。

 
「あ、姉ちゃ! リュカ!」

「ウル、こんにちは!」

「うりゅ、こん、ちぁ」

「アハハ! こんにちは! リュカ! あたしの事は『ウーちゃん』って呼んでな! 少しずつ喋れるようになってきたなぁ!」

「うーちゃ!」

「もうー、むっちゃ可愛いわー! たまらんわー! 兄ちゃもメロメロやろ?」

「そりゃもう、毎日ベッタリなんだよ? 今日だってなかなか離れようとしなかったんだから」

「そらそうなるわー! で、今日は兄ちゃは?」

「うん、アクシタス国で高ランクの魔物が出て、エリアスの作った孤児達のいる村が襲われたんだって。だからその様子を見に行ってくるって。私とリュカは危ないからお留守番って言われて。でもこうやってウルに会いに来ちゃったけど」

「そらしゃあないわー。けど、ようやく離れて行動出来るようになってんなぁ?」

「そりゃそうならないとね。いつまでもずっとベッタリは流石に無理だって」

「そう? あたしから言わせると、それでもベッタリな感じやけどな!」

「かぁたん、のー、かぁた」

「ん? リュカは何言うてんの?」

「お母さん、喉乾いたって」

「流石やな。それは母親にしか分からんわー。 リュカ、ジュース飲む? こっちにおいで」

「じゅーちゅ!」

「あ、リュカ! お家に上がる時は何て言うの?!」

「おじゃぁ、しあしゅ」

「そうそう。お邪魔します、だね」


 まだ辿々しくしか歩けないリュカの手を繋いでウルの家に上がり込む。
 テーブルにジュースとお菓子をウルが置いてくれて、椅子に座った私の膝にリュカを乗せる。リュカは早速ジュースの入ったコップを手に取ってゴキュゴキュ飲んでいた。

 
「やっぱ姉ちゃにそっくり! でも髪と瞳が黒くって兄ちゃ譲りやし。前のリュカそのまんまやなぁ」

「ふふ……そう?」

「リュカ、昔の記憶とかないんかなぁ?」

「どうかな? まぁ、あってもなくても、どっちでも良いけど」

「そうやな。ホンマ幸せそう。良かったなぁ」

「うん。凄く幸せ。こんなに幸せで良いのか、不安になっちゃう」

「ええねんて! 今まで苦労してきてんねんから! あれ? 姉ちゃお菓子食べへんの? あたしが焼いたクッキーやねんけど、リュカがほぼ食べしまってるやん」

「うん。ちょっと今食欲無くて……」

「え……もしかしてまた?」

「うん……そうなんだ……」

「やったやん二人目! おめでとう!」


 ウルからそうやって言って貰えて、微笑みつつ「ありがとう」って答える。
 そうしていたら目の前の空間が歪んで、そこからエリアスが出てきた。


「あ! こんな所にいた!」

「え? あ、エリアス」

「家に帰ったら誰もいなかったから慌てたんだからな!」

「ちょっと、勝手に人の家の中に出現しやんといてくれる?」

「よう、ウル! 元気そうだな!」

「見ての通りや」

「とぅたん!」

「リュカ、良い子にしてたか? あ、口の周り
にいっぱいなんかつけてるじゃねぇか」


 私の膝からリュカを抱き上げて、エリアスはクッキーの食べカスだらけになってるリュカの口を拭っていた。


「リュカ、何食べたんだ?」

「くっきー! じゅーちゅ!」

「ハハハ、そっか。リュカはジュースが好きだもんな?」

「じゅーちゅ、しゅき!」

「そっかそっか!」


 エリアスは高い高いってリュカを上にあげてた。リュカは嬉しそうにキャッキャ言って笑ってる。いいなぁ、こう言うの。ずっと夢見てた日常が今ここにあるのが不思議に思う。

 
「さ、アシュリー、帰るか」

「え? もう? 今来たばっかりやで?」

「まぁそうなんだけどな? なるべく家にいた方が良いからな」

「赤ちゃんが魔力と体力奪うってのやろ? けど少しくらい良いやん! ホンマ、過保護やなぁ!」

「あ、もう知ってんのか?」

「さっき聞いた! おめでとう! 良かったなぁ! リュカ、お姉ちゃんになるやん!」

「お、ねぇちゃ?」

「そうだぞ。けどまだ分かんねぇよな?」

「お昼、食べて行きぃや。それくらい大丈夫やろ?」

「うん、そうしようか、な……あ、れ……」

「あ、アシュリー!」


 なんか頭がクラクラして、横に倒れそうになる。それをエリアスが咄嗟に支えてくれた。

 
「大丈夫か?!」

「うん、大丈夫……」

「どうしたん?! 貧血?!」

「いや、そうじゃねぇ。赤ん坊に魔力と体力奪われてんだよ」

「そうやろうけど、そんなに奪われんの?」

「そうだな。二人分だからな」

「え?」

「双子なんだ。男の子と女の子の」

「えーっ! そうなん!? 凄い!」

「だから前より魔力とか奪われちまうからな。今日はウルにこの事報告したかったんだろ?」

「うん。ごめん、ウル。やっぱり帰るね?」

「あ、うん、そうした方が良さそうやな。じゃ兄ちゃ、時々姉ちゃの事教えに来てな? 姉ちゃ、また子供産まれる時は家においでな! 手伝うから!」

「あぁ、分かった。じゃな」

「うーちゃ、ばいばい!」

「リュカ、バイバイ!」

「じゃあね、ウル」


 ウルに別れを言って三人で家に帰って来た。ソファーに座ると、エリアスがクッションを私の背中に置いて、膝掛けを掛けてくれたりして労ってくれる。


「ありがとう、エリアス」

「ちょっと辛そうだな。頼むから無理はしないでくれよ」

「うん、でも大丈夫だよ?」

「アシュリーはすぐそう言う。家の事は俺が全部するから、ゆっくり体を休めて欲しいんだ。頼むから……」

「うん……分かったよ」

「かぁたん、いちゃい?」

「痛くないよ? 少し眠いだけだよ?」

「ねんね?」

「うん、少し休むね?」

「リュカ、一緒にお昼ご飯作ろうか」

「ちゅくゆ!」

「作るか! じゃあリュカにはサラダを作って貰うぞ?」

「あい!」


 エリアスとリュカがキッチンで料理を始める。リュカは野菜を手で千切ってて、エリアスはそのフォローをしていた。
 その様子をソファーで横になりながら見ている。

 こうやって体調が思わしくなくなってきたのは一週間程前からで、私は夜エリアスとリュカが眠っている時にこっそりセームルグを呼び出して聞いたのだ。
 その時に妊娠したのが分かって、それが男の子と女の子の双子であると教えて貰った。

 セームルグは、私が不安そうな表情をしているのを分かってくれたようで、優しく教えてくれた。

 エリアスを不老不死で無くす方法を。




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