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後日談 我慢はほどほどに⑦
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しばらくすると仮眠していたシャルロットが目を覚ました。
アランは侍女が運んできた酒を飲んでいる。
「ごめんなさい……寝てしまっていたのね」
ぼんやりとしたシャルロットの頭を撫でる。
「疲れたでしょう。まだ寝ていてもいいですよ」
ぐう、とシャルロットの腹の音が響いた。
そういえばもう外は真っ暗だが、夕食も取らずに睦みあっていた。
「何か食べましょうか」
昼に持たせてもらった包みをベッドの上で開く。
トレイに乗せると、十分お腹が膨れそうな量だった。
食べやすいように配慮してくれたのか、小ぶりのサイズにカットしてあるものが多い。
お互いに食べさせ合っているとシャルロットがハッとあることに気づいた。
「私、侍女達に何も伝えていないわ!今頃心配させてるかも……!」
慌ててベッドから抜け出そうとするシャルロットをやんわりと抱きしめる。
「大丈夫ですよ、今日は俺の自宅に泊まらせると事前に伝えてありますから」
「えっ、そうなの?全然知らなかったわ?」
アランのスマートさにシャルロットはびっくりする。
この家を二人で過ごせるように準備をしていたり、侍女に予め話を通していたりと、スマートに事を進めるアランは、花嫁修行をしているときは知らなかった一面だ。
「さあ、続きを食べましょう」
脱ぎかけたアランのシャツにもう一度腕を通すと、アランに寄り添う。
残ったデザートをアランが摘むと、シャルロットの口元に運び食べさせる。
アランが手についたクリームを当たり前のように舐めた。
貰ってきた料理を全て胃の中に収めると、シャルロットがアランの肩に頭を預ける。
「はあ、もうお腹がいっぱいよ。しばらく動けないかも」
「意外に量がありましたね。……たまには外食も良いですね」
「とっても美味しかったし、また行きたいわ?」
「いつでも行きましょう」
その言葉にシャルロットが喜ぶと、薬指の宝石を眺める。
縦長の長方形の四隅が角を取るようにカットされている。
透明な宝石が照明の光を集めては反射して煌めく。
見る角度を変える度に違った表情を魅せる美しい婚約指輪に、うっとりと見蕩れてしまう。
「気に入ってくださいましたか」
「ええ、とっても……」
シャルロットが婚約指輪から目を逸らさずに答える。
「結婚指輪は二人で買いに行きましょう」
「まあ!楽しみにしてるわ」
アランの頬にキスをすると、また指輪に視線を向ける。
アランは指輪を気に入って貰えて安心したが、そろそろ自分のこともかまって欲しい。
散々我慢した反動のせいか、シャルロットが枯渇している。
日を置かずに会っていたはずなのに、シャルロットだけを昂める日々は、アランがシャルロットに焦がれ続けるような日々だった。
先ほど何度か吐き出したのに、まだ足りない。
陰嚢が重い。
シャルロットを想うだけで陰嚢に精子が溜まるのがわかった。
早くシャルロットの中を感じたい。
しかし、幸せそうにするシャルロットを見守りたい気持ちもあり、相反する気持ちがせめぎ合っているとシャルロットから口を開いた。
「私が寂しくないように、プロポーズしてくれたのね? 」
思いもよらない言葉にアランが口ごもる。
シャルロットの言った通りの側面も確かにあるからだ。
「……純粋にあなたと結婚したいという気持ちが第一ですよ。あとは私があなたをこれ以上、誰かの目に恋愛対象としてうつるのが許せないというのもあります……結婚しても良からぬことを考える輩はいるかもしれませんが」
「そんな人いるかしら?」
「言っておきますが、あなたの気持ちを疑っている訳ではなく、誰かがシャルロットを好きになることが許せないということですからね」
「独占欲ね」
シャルロットが嬉しそうに笑う。
「私はあなたのこと好きにならないで!なんてとてもじゃないけど、言えないわ、国一番の騎士様だもの。でもアランがアランの全てで私を好きと伝えてくれるから、心配はしていないわ?」
「ええ、心配はいりません」
「……ヤキモチは、妬いてしまうかもしれないけれど」
「それはそれでご褒美のようですね」
「んもう」
「俺はもう一生分の嫉妬はしましたよ」
ちゅう、ちゅっ、と何度だって飽きずにキスをする。
「そういえば、私がいればって、言っていたけど、子供についてはどう考えているかしら……?えっと、欲しくない?」
「あなたとの子供が出来れば、嬉しいですよ、もちろん」
「本当?」
「はい、……どうしましたか?なにか不安なことでも?」
シャルロットの肩を抱く。
どうしたのか、何か心配ごとでもあるのか。
アランの心配を他所に、シャルロットは隣に座るアランに跨ると、一つしか止めていなかったボタンをあっさりと外し、シャツを肩から落として胸を露出させた。
シャツが引っかかったままの両腕で、胸を持ち上げるように自分の体を抱きしめる。
強調されたたわわな胸に釘付けになるアラン。
自分の手のためにあるのかと思うほど手のひらにぴたりと吸い付く乳房も、その中心にある桃色のツンと尖った乳首も、簡単にアランを誘惑する。
「じゃあ、……赤ちゃんが出来ること、しましょう?」
寝ちゃってごめんね……?と、まつ毛の影が落ちるシャルロットの顔に朱が浮かぶ。
アランと同様に、体の繋がりを我慢し続けたシャルロットも、どうしようもなくアランに飢えていた。
アランは勘の悪い自分が情けなくなる。
言わせてしまったことは申し訳ないが、魅惑的な恋人の誘いに、体は正直にすぐに臨戦態勢となった。
シャルロットは自分の太ももに当たる太く立ち上がったそれに気づき、アランの肩に手を乗せると嬉しそうに笑った。
アランも釣られて笑ってしまう。
アランがシャルロットの後頭部を支えたかと思うと、二人は口付けを交わしながら再びベッドに倒れ込んだのだった。
アランは侍女が運んできた酒を飲んでいる。
「ごめんなさい……寝てしまっていたのね」
ぼんやりとしたシャルロットの頭を撫でる。
「疲れたでしょう。まだ寝ていてもいいですよ」
ぐう、とシャルロットの腹の音が響いた。
そういえばもう外は真っ暗だが、夕食も取らずに睦みあっていた。
「何か食べましょうか」
昼に持たせてもらった包みをベッドの上で開く。
トレイに乗せると、十分お腹が膨れそうな量だった。
食べやすいように配慮してくれたのか、小ぶりのサイズにカットしてあるものが多い。
お互いに食べさせ合っているとシャルロットがハッとあることに気づいた。
「私、侍女達に何も伝えていないわ!今頃心配させてるかも……!」
慌ててベッドから抜け出そうとするシャルロットをやんわりと抱きしめる。
「大丈夫ですよ、今日は俺の自宅に泊まらせると事前に伝えてありますから」
「えっ、そうなの?全然知らなかったわ?」
アランのスマートさにシャルロットはびっくりする。
この家を二人で過ごせるように準備をしていたり、侍女に予め話を通していたりと、スマートに事を進めるアランは、花嫁修行をしているときは知らなかった一面だ。
「さあ、続きを食べましょう」
脱ぎかけたアランのシャツにもう一度腕を通すと、アランに寄り添う。
残ったデザートをアランが摘むと、シャルロットの口元に運び食べさせる。
アランが手についたクリームを当たり前のように舐めた。
貰ってきた料理を全て胃の中に収めると、シャルロットがアランの肩に頭を預ける。
「はあ、もうお腹がいっぱいよ。しばらく動けないかも」
「意外に量がありましたね。……たまには外食も良いですね」
「とっても美味しかったし、また行きたいわ?」
「いつでも行きましょう」
その言葉にシャルロットが喜ぶと、薬指の宝石を眺める。
縦長の長方形の四隅が角を取るようにカットされている。
透明な宝石が照明の光を集めては反射して煌めく。
見る角度を変える度に違った表情を魅せる美しい婚約指輪に、うっとりと見蕩れてしまう。
「気に入ってくださいましたか」
「ええ、とっても……」
シャルロットが婚約指輪から目を逸らさずに答える。
「結婚指輪は二人で買いに行きましょう」
「まあ!楽しみにしてるわ」
アランの頬にキスをすると、また指輪に視線を向ける。
アランは指輪を気に入って貰えて安心したが、そろそろ自分のこともかまって欲しい。
散々我慢した反動のせいか、シャルロットが枯渇している。
日を置かずに会っていたはずなのに、シャルロットだけを昂める日々は、アランがシャルロットに焦がれ続けるような日々だった。
先ほど何度か吐き出したのに、まだ足りない。
陰嚢が重い。
シャルロットを想うだけで陰嚢に精子が溜まるのがわかった。
早くシャルロットの中を感じたい。
しかし、幸せそうにするシャルロットを見守りたい気持ちもあり、相反する気持ちがせめぎ合っているとシャルロットから口を開いた。
「私が寂しくないように、プロポーズしてくれたのね? 」
思いもよらない言葉にアランが口ごもる。
シャルロットの言った通りの側面も確かにあるからだ。
「……純粋にあなたと結婚したいという気持ちが第一ですよ。あとは私があなたをこれ以上、誰かの目に恋愛対象としてうつるのが許せないというのもあります……結婚しても良からぬことを考える輩はいるかもしれませんが」
「そんな人いるかしら?」
「言っておきますが、あなたの気持ちを疑っている訳ではなく、誰かがシャルロットを好きになることが許せないということですからね」
「独占欲ね」
シャルロットが嬉しそうに笑う。
「私はあなたのこと好きにならないで!なんてとてもじゃないけど、言えないわ、国一番の騎士様だもの。でもアランがアランの全てで私を好きと伝えてくれるから、心配はしていないわ?」
「ええ、心配はいりません」
「……ヤキモチは、妬いてしまうかもしれないけれど」
「それはそれでご褒美のようですね」
「んもう」
「俺はもう一生分の嫉妬はしましたよ」
ちゅう、ちゅっ、と何度だって飽きずにキスをする。
「そういえば、私がいればって、言っていたけど、子供についてはどう考えているかしら……?えっと、欲しくない?」
「あなたとの子供が出来れば、嬉しいですよ、もちろん」
「本当?」
「はい、……どうしましたか?なにか不安なことでも?」
シャルロットの肩を抱く。
どうしたのか、何か心配ごとでもあるのか。
アランの心配を他所に、シャルロットは隣に座るアランに跨ると、一つしか止めていなかったボタンをあっさりと外し、シャツを肩から落として胸を露出させた。
シャツが引っかかったままの両腕で、胸を持ち上げるように自分の体を抱きしめる。
強調されたたわわな胸に釘付けになるアラン。
自分の手のためにあるのかと思うほど手のひらにぴたりと吸い付く乳房も、その中心にある桃色のツンと尖った乳首も、簡単にアランを誘惑する。
「じゃあ、……赤ちゃんが出来ること、しましょう?」
寝ちゃってごめんね……?と、まつ毛の影が落ちるシャルロットの顔に朱が浮かぶ。
アランと同様に、体の繋がりを我慢し続けたシャルロットも、どうしようもなくアランに飢えていた。
アランは勘の悪い自分が情けなくなる。
言わせてしまったことは申し訳ないが、魅惑的な恋人の誘いに、体は正直にすぐに臨戦態勢となった。
シャルロットは自分の太ももに当たる太く立ち上がったそれに気づき、アランの肩に手を乗せると嬉しそうに笑った。
アランも釣られて笑ってしまう。
アランがシャルロットの後頭部を支えたかと思うと、二人は口付けを交わしながら再びベッドに倒れ込んだのだった。
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