20 / 27
第20話 二度目の王立歌劇場
しおりを挟む「わあ......!この席もまた違っていいね。熱気が伝わってくる」
前回と同様に一杯ずつシャンパンを飲むと、早々に一階のボックス席に連れてこられた。サントロ伯爵家で貸切契約をしている席らしい。
ひとしきり窓から劇場内を見渡すと、後ろのカウチソファでサラの様子を見ながらくつろぐフィリップの隣に腰を下ろした。
「そういえばクレア殿下の婚約が公表されたね。サラがエリックさんと知り合いな理由がわかったよ」
「知り合いではないんだけどね......」
「クレア殿下の仕事をしているのは察していたけど、全然エリックさんと繋がらなかったよ」
サラがクレアの下着を作っていることは察していたようだ。
「王宮に勤めていても二人は噂になったりしなかったのね」
「そうだね」
「......クレア殿下の、その......想像しちゃ駄目よ?」
「ん?……ああ。クレア殿下に興味がないから大丈夫だよ。でも、サラが作る下着には純粋に興味があるよ。サラがどんな物を作り出すのかって」
「今度自分用に作ったら見せようか?」
「......サラは自分の下着も作るの?」
「たまにね。買った物も着るけど」
「今日は?自分の作った下着、着てる?」
「着てる、けど......」
「見てみたい」
「こんな所で、駄目だよ……他のお客さんもいるし......」
会話が怪しくなってきた。フィリップが立ち上がると重厚なカーテンを閉めた。ほぼ完全な個室となった。
「これで問題ないよ」
「ちょ、これだと舞台が見えないよ!?」
「始まったら開けるよ」
フィリップが隣に座りなおすと、肩を抱かれる。声もなんだか色っぽい。
「少しだけ、見せてほしいな」
「......えっち」
「下着を見たいだけだよ、いやらしい妄想をしているのはサラじゃない?」
「っ!意地悪言うから見せませんっ」
私だけがいやらしいような口ぶりに、恥ずかしくなって立ち上がる。離れようとすると、長い腕が腰に絡まり膝の上に座らされた。後ろから力強く抱きしめられる。
「ごめんごめん、俺が悪かった。下心を認めるから許して」
「んもう」
背後のフィリップが耳にキスをする。ちゅ、ちゅうとリップ音をわざと立てているようだ。
「んっ」
「ドレスをプレゼントする理由の一つは、脱がせたいからだよ、サラ」
耳元でささやかれると、脳にダイレクトにフィリップの声が響く。フィリップがレロレロと舐め始めると、声が我慢できない。
耳を弄られることで気持ちよくなってしまうことが恥ずかしい。
「んっ、ふ、舐めないでっ......」
「感じちゃう?可愛いよサラ。……お願い。少しだけ。サラだから見たい」
「……少しだけ、だよ?」
「やった」
無邪気な声に絆される。お腹に巻き付いていた手がするすると上がり胸を撫でる。優しく掴むと手のひらを回すように動く。
「んっ見るだけじゃないのっ……?触るって聞いてない......」
「触るに決まってる」
フィリップが力を込めて揉み始める。
カーテンを閉められたことで、部屋が薄暗い。それが一層、隠微な雰囲気に拍車をかけている。
「んっ、ふうん......フィリップって、こういうの、興味がないと思ってた、なんとなくだけど」
「そんな訳ない......けど、サラがそう言うのも理解できるよ。サラを好きになるまで、興味なかった」
「でも、手慣れてる、気がする」
「そう?十五から寮に入っていたし、その後女性が苦手になったから、経験はもちろんないけど」
フィリップが耳から離れると、背中のファスナーを歯で噛んだのか、カチリと固いもの同士がぶつかる音がする。そのままジジジと下げていく。
サラの肌が露出すると、現れた肌にキスを繰り返す。背中にキスをしながら指でファスナーを腰まで下ろした。
下着が現れるとプツン、と後ろのホックを外される。
見たいと言うわりにあっさりと外され焦ると、器用にデイドレスの袖を抜き、ドレスを脱がされた。
「ほら、やっぱり、慣れてる感じがする......!」
「サラにしたいことをしてるだけだよ」
上半身が、心許ない。身に付けていた下着が浮き上がり、胸を隠すように腕を交差する。
「恥ずかしいよ......」
「綺麗だよ。めちゃくちゃ興奮してる」
「こんな所で興奮、しちゃ駄目だよ」
「確かに......そうだね」
口ではそう言いながら、浮き上がった隙間から手のひらが侵入してくる。
「やんっ」
フィリップが直接肌に触れると、乳房を下から持ち上げるように揉む。柔らかさを堪能するように、優しくふにふにと揉む。
「サラ、以前オーダーした時に気づいたけど、こんなに胸が大きかったんだね」
「っ……大きいの、やだ?」
「好き……というより、考えたことなかったかも。サラの胸だったらなんでも好き。サラの胸だから触りたい」
何度も揉み込まれる。フィリップの手で自由自在に形が変わる。指の先が胸の先端に触れた。
「あっ......フィリップっ......ふっ」
声が漏れてしまう。
「少しくらい声を出しても聞こえないよ」
「恥ずかしいからっ......って、全然、下着見てないしい!」
「今度、改めて見る……今はサラの胸に夢中だから」
「フィリップったらあ!」
意味の無くなった下着を取り払うと、いよいよ上半身を覆う物が無くなり、さらに腕を持ち上げられた。耳の横まで上げると、頭の後ろで手を組まされる。隠すものがなくなり顔に熱が集まる。フィリップに背を向けているとはいえ、丸見えだ。
「やあっ、見ないで」
たおやかな双丘の上に赤い蕾がその存在を主張している。フィリップが覗きこみながらもう一度揉み始めると、フィリップの息が荒くなる。
「綺麗……。はあ、サラ、好きだ、好きすぎる」
「んっ、私も好き……」
指先が乳首をつつく。指の腹で優しく回すように触れると、すぐに先端が凝りだす。
「硬くなった」
「実況、だめ……」
「俺も、痛いくらい」
背後から腰を押し付けられると、硬いものがあたる。
「私の体に興奮してくれてるの……?」
「ん、めちゃくちゃ興奮してる」
ついさっき興奮しては駄目と言ったのに、興奮してくれることが嬉しい。片手は揉み続けたまま、振り向くように誘導される。
フィリップの方に顔を向けると、半開きの口に唇を奪われた。すぐに舌が入ってくる。
仕事終わりに会った時に、何度か舌を絡めるキスをしたが、まだ慣れない。
フィリップの舌が熱い。口内を蹂躙される。
「ふっ、……んっ」
「サラ、サラ」
息継ぎ間に、何度も名前を呼ばれてどんどん気持ちが盛り上がる。
フィリップの唇が離れて行くと首筋を舐めだした。フィリップの足がサラの膝を持ち上げるように割り入れると、フィリップの足に片足を乗せた状態になる。ドレスで見えないが、股を開いた格好に恥ずかしさと、興奮でおかしくなりそうだ。
サラの胸を揉んでいた手が片方降りてくると、サラの股をドレス越しにひと撫でした。
サラは恥ずかしさのあまり、フィリップにキスをねだる。
「はあん!……フィリップ、もっと、キスして……?」
「っ……サラ!」
我慢ができないとばかりにソファに押し倒された瞬間、大きなブザーが鳴った。舞台が始まる合図だ。
フィリップの動きが止まると、不満げにため息をついた。
「……約束だからね」
サラを起こすと、下着とドレスを着るのを手伝ってくれた。背中のファスナーが上がりきるとサラは立ち上がって、カーテンを開ける。
中途半端な愛撫にこちらも悶々と体が疼いてしまっている。フィリップのせいで、いやらしい気持ちになってしまったが、さすがに続きをして欲しいとは口に出来なかった。
一番前の席に座ってもフィリップが来ない。振り向くとフィリップが背もたれに肘をつきながら顔を隠している。
「フィリップ?」
「……落ち着いたら、座るよ」
フィリップの硬くなっていた股間を思い出し、ぐるんと正面を向いた。
帰りの馬車の中。
「今日の俳優さんも演技が上手ね……!顔も格好良いし、人気がありそう」
「……顔だったら俺の方が格好良いけど」
「それはもちろんよ、フィリップより格好良い人なんていないよ?」
「俺のこと格好良いって思ってくれてるの?」
「言ってなかった?ずっと思ってるけど……それこそ出会った時から」
フィリップが嬉しそうににやけている。
「そういえば、アリアナさんの話聞きたいな」
「ああ、アリアナさんの恋人は第三騎士団の副団長なんだよ。この前アリアナさんが差し入れにきてて気づいてさ。ちなみに副団長は騎士団屈指の色男で有名だったんだけど、今は皆の前で、早く彼女と結婚したい、早く子供が欲しいって連呼してる」
「わあ、熱烈……」
「俺も、同じように思っているよ」
「っ……」
「早く一緒に暮らしたい」
「気が早すぎじゃない……?」
「そうかな?帰ったら、サラがうちにいるなんて最高じゃないか」
真面目な口ぶりに、恥ずかしくなって顔を逸らす。
「まあ、待ち合わせをしたり、今みたいに離れ難い気持ちも今しかない物だと思うと堪能しないとね」
「もう、結婚は既定路線みたいな口ぶり……」
「既定路線だけど?」
得意げなフィリップに顔を真っ赤にするサラであった。
65
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
働かないつもりでしたのに、気づけば全部うまくいっていました ――自由に生きる貴族夫人と溺愛旦那様』
鷹 綾
恋愛
前世では、仕事に追われるだけの人生を送り、恋も自由も知らないまま終わった私。
だからこそ転生後に誓った――
「今度こそ、働かずに優雅に生きる!」 と。
気づけば貴族夫人、しかも結婚相手は冷静沈着な名門貴族リチャード様。
「君は何もしなくていい。自由に過ごしてくれ」
――理想的すぎる条件に、これは勝ち確人生だと思ったのに。
なぜか気づけば、
・屋敷の管理を改善して使用人の待遇が激変
・夫の仕事を手伝ったら経理改革が大成功
・興味本位で教えた簿記と珠算が商業界に革命を起こす
・商人ギルドの顧問にまで祭り上げられる始末
「あれ? 私、働かない予定でしたよね???」
自分から出世街道を爆走するつもりはなかったはずなのに、
“やりたいことをやっていただけ”で、世界のほうが勝手に変わっていく。
一方、そんな彼女を静かに見守り続けていた夫・リチャードは、
実は昔から彼女を想い続けていた溺愛系旦那様で――。
「君が選ぶなら、私はずっとそばにいる」
働かないつもりだった貴族夫人が、
自由・仕事・愛情のすべてを“自分で選ぶ”人生に辿り着く物語。
これは、
何もしないはずだったのに、幸せだけは全部手に入れてしまった女性の物語。
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
仕事で疲れて会えないと、恋人に距離を置かれましたが、彼の上司に溺愛されているので幸せです!
ぽんちゃん
恋愛
――仕事で疲れて会えない。
十年付き合ってきた恋人を支えてきたけど、いつも後回しにされる日々。
記念日すら仕事を優先する彼に、十分だけでいいから会いたいとお願いすると、『距離を置こう』と言われてしまう。
そして、思い出の高級レストランで、予約した席に座る恋人が、他の女性と食事をしているところを目撃してしまい――!?
氷の宰相補佐と押しつけられた厄災の花嫁
瑞原唯子
恋愛
王命により、アイザックはまだ十歳の少女を妻として娶ることになった。
彼女は生後まもなく始末されたはずの『厄災の姫』である。最近になって生存が判明したが、いまさら王家に迎え入れることも始末することもできない——悩んだ末、国王は序列一位のシェフィールド公爵家に押しつけたのだ。
捨てられた地味な王宮修復師(実は有能)、強面辺境伯の栄養管理で溺愛され、辺境を改革する ~王都の貴重な物が失われても知りませんよ?~
水上
恋愛
「カビ臭い地味女」と王太子に婚約破棄された王宮修復師のリディア。
彼女の芸術に関する知識と修復師としての技術は、誰からも必要性を理解されていなかった。
失意の中、嫁がされたのは皆から恐れられる強面辺境伯ジェラルドだった!
しかし恐ろしい噂とは裏腹に、彼はリディアの不健康を見逃せない超・過保護で!?
絶品手料理と徹底的な体調管理で、リディアは心身ともに美しく再生していく。
一方、彼女を追放した王都では、貴重な物が失われたり、贋作騒動が起きたりとパニックになり始めて……。
悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません
由香
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢・セレフィーナに転生した私。
破滅回避のため、目立たず静かに生きる――はずだった。
しかし現実は、三人の兄による全力溺愛&完全監視生活。
外出には護衛、交友関係は管理制、笑顔すら規制対象!?
さらに兄の親友である最強騎士・カインが護衛として加わり、
静かで誠実な優しさに、次第に心が揺れていく。
「恋をすると破滅する」
そう信じて避けてきた想いの先で待っていたのは、
断罪も修羅場もない、安心で騒がしい未来だった――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる