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大霊湖にて イリュキンと大きな存在達
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はあー……、高いところで吹き抜ける風を感じるのは、気持ち良いね。イリュキンはどうかなと見たら、微妙に顔が引き立ってるような気がする。
「イリュキン、もしかして緊張してるの?」
「ヤート君……」
「何?」
「青にとって大髭様は大霊湖に等しいと言っても過言じゃない存在だよ? そんな存在の大髭様の頭に乗って緊張しないはずがないだろ‼︎」
「そ、そうなんだ……」
グンッと近づいてきて力説するイリュキンの勢いに押された。そう、今の僕とイリュキンは、大髭様の頭に乗っている。
なんか大髭様と大霊湖を巡っている苔巨人兵達に、この後、大霊湖の浅瀬と湖畔に根付いてる苔巨人兵達のところへも、あいさつに行くって話すと大髭様から近くまで運ぶから前のように乗れって言われた。そんなわけで僕達は大髭様の頭に上がり今に至る。
ちなみに二体の苔巨人兵は、湖畔へ向かっている大髭様を左右で挟むような位置どりとなって同じ方向に進んでいた。
「バフ?」
「あ、決して乗り心地が悪いという事じゃないです‼︎」
「……バフ?」
「えっと……、なんと言いますか、その、私が大髭様に乗るのは申し訳ないと言いますか……」
「バフ」
「ありがとうございます‼︎ 大髭様の上から見たこの景色を、一生の宝とします‼︎」
大髭様のイリュキンに向ける感情というか気持ちは、大神林の奥で出会った世界樹が僕と話す時の包み込んでくる感じに似ていた。やっぱり大きな存在は、相手が遥かに小さくても優しく接してくれるんだね。
そんな事を考えていたら僕を見る二つの視線に気づいた。大髭様の左右にいる苔巨人兵達が、身体は進行方向のまま顔を僕へと向けている。僕と話したいのかな?
「僕に何か言いたい事があるの? ……うん?」
僕が質問すると、苔巨人兵達は感謝の気持ちと喜びの感情を伝えてきて、さらに苔巨人兵として独立したあの日から今までの経験が僕の頭の中に浮かんでくる。
それは大霊湖を吹き抜ける風・水をかき分ける感触・夜明けと夕暮れに、他にもいろいろ。本当に今の苔巨人兵としての自分達と、自分達が置かれている環境を楽しんでるようで安心した。
「良い日々を過ごせてるみたいだね」
苔巨人兵達が腕を曲げ親指を立て、もちろんだと僕に伝えてくる。……この感じだと大丈夫そうだけど、一応聞いておくべきか。
「話は変わるけど、僕が黒の村に帰った後も問題なさ……、わかった。大丈夫なんだね」
この質問には苔巨人兵達は、両手で大きく丸を作って食い気味に即答してくる。ここまで、はっきり自分達の意思を伝えてくると清々しい。とは言えだ。万が一の事も考えておかないと。
「もし、僕が黒の村に帰ってから何かまずい事が起きたら、青の村のイーリリスさんに相談して。……えっと、イーリリスさんは、前に僕と緑葉船に乗ってた人なんだけど、わかる?」
僕の頭の中に、緑葉船に乗ってる僕とイーリリスさんの映像が浮かんできた。これはあの日の苔巨人兵達の視点か。
「そうそう、今思い浮かべた人で合ってるよ。このイーリリスさんは僕以上に界気化を使えて、しっかり話を聞く人だからね」
「ヤート君、私からも彼らに良いかな?」
爽やかな声でイリュキンが、僕と苔巨人兵達の会話に入ってくる。会話と会話のちょうど間で、誰も嫌な気分にならない完璧な瞬間をとらえた僕にはできない気配りをしていた。たぶん大髭様にもきちんと、こっちの会話に入るってちゃんと了解を得ているはず。
すごいなと感心していたらイリュキンが目や仕草で、僕に良いかともう一度確認してきたのでうなずいた。するとイリュキンはニコリと笑う。今まで見た誰とも違う笑顔だ。
「大髭様、少しの間立ちますね」
「バフ」
「ありがとうございます」
礼を大髭様へ言ったイリュキンは、スッと立ち上がり苔巨人兵達に頭を下げる。
「はじめまして苔巨人兵の方々、私の名前は青のイリュキン、次代の水添えの第一候補です」
イリュキンの鮮やかなあいさつに、苔巨人兵達は頭を下げて返礼した。その後お互いに頭を上げるとイリュキンは、背をピンと伸ばして口を開く。
「先程ヤート君が言ったように何か良くない事が起きた時には、問題解決の第一歩としての当代水添えのお祖母様に話してもらえれば大丈夫です。また、本当に悪い偶然が重なってお祖母様の不在の場合は、私も界気化を使えて皆さんの言葉はわかるので、ぜひ私にどうぞ。水添え候補者としても私個人としても、皆さんと良い関係を築ければと思っていますので、よろしくお願いします」
苔巨人兵達はイリュキンのあいさつを聞いて立ち止まると、さっき以上に深く頭を下げこちらこそよろしくという意思を伝えていた。
今までのやり取りを見てると、大霊湖を巡っている二体の苔巨人兵達と青のみんなは、うまくやっていけそうだ。これから会いにいく大霊湖の浅瀬や湖畔に根付いてる苔巨人兵達とも同じく気の合う隣人になれたら最高だね。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
「イリュキン、もしかして緊張してるの?」
「ヤート君……」
「何?」
「青にとって大髭様は大霊湖に等しいと言っても過言じゃない存在だよ? そんな存在の大髭様の頭に乗って緊張しないはずがないだろ‼︎」
「そ、そうなんだ……」
グンッと近づいてきて力説するイリュキンの勢いに押された。そう、今の僕とイリュキンは、大髭様の頭に乗っている。
なんか大髭様と大霊湖を巡っている苔巨人兵達に、この後、大霊湖の浅瀬と湖畔に根付いてる苔巨人兵達のところへも、あいさつに行くって話すと大髭様から近くまで運ぶから前のように乗れって言われた。そんなわけで僕達は大髭様の頭に上がり今に至る。
ちなみに二体の苔巨人兵は、湖畔へ向かっている大髭様を左右で挟むような位置どりとなって同じ方向に進んでいた。
「バフ?」
「あ、決して乗り心地が悪いという事じゃないです‼︎」
「……バフ?」
「えっと……、なんと言いますか、その、私が大髭様に乗るのは申し訳ないと言いますか……」
「バフ」
「ありがとうございます‼︎ 大髭様の上から見たこの景色を、一生の宝とします‼︎」
大髭様のイリュキンに向ける感情というか気持ちは、大神林の奥で出会った世界樹が僕と話す時の包み込んでくる感じに似ていた。やっぱり大きな存在は、相手が遥かに小さくても優しく接してくれるんだね。
そんな事を考えていたら僕を見る二つの視線に気づいた。大髭様の左右にいる苔巨人兵達が、身体は進行方向のまま顔を僕へと向けている。僕と話したいのかな?
「僕に何か言いたい事があるの? ……うん?」
僕が質問すると、苔巨人兵達は感謝の気持ちと喜びの感情を伝えてきて、さらに苔巨人兵として独立したあの日から今までの経験が僕の頭の中に浮かんでくる。
それは大霊湖を吹き抜ける風・水をかき分ける感触・夜明けと夕暮れに、他にもいろいろ。本当に今の苔巨人兵としての自分達と、自分達が置かれている環境を楽しんでるようで安心した。
「良い日々を過ごせてるみたいだね」
苔巨人兵達が腕を曲げ親指を立て、もちろんだと僕に伝えてくる。……この感じだと大丈夫そうだけど、一応聞いておくべきか。
「話は変わるけど、僕が黒の村に帰った後も問題なさ……、わかった。大丈夫なんだね」
この質問には苔巨人兵達は、両手で大きく丸を作って食い気味に即答してくる。ここまで、はっきり自分達の意思を伝えてくると清々しい。とは言えだ。万が一の事も考えておかないと。
「もし、僕が黒の村に帰ってから何かまずい事が起きたら、青の村のイーリリスさんに相談して。……えっと、イーリリスさんは、前に僕と緑葉船に乗ってた人なんだけど、わかる?」
僕の頭の中に、緑葉船に乗ってる僕とイーリリスさんの映像が浮かんできた。これはあの日の苔巨人兵達の視点か。
「そうそう、今思い浮かべた人で合ってるよ。このイーリリスさんは僕以上に界気化を使えて、しっかり話を聞く人だからね」
「ヤート君、私からも彼らに良いかな?」
爽やかな声でイリュキンが、僕と苔巨人兵達の会話に入ってくる。会話と会話のちょうど間で、誰も嫌な気分にならない完璧な瞬間をとらえた僕にはできない気配りをしていた。たぶん大髭様にもきちんと、こっちの会話に入るってちゃんと了解を得ているはず。
すごいなと感心していたらイリュキンが目や仕草で、僕に良いかともう一度確認してきたのでうなずいた。するとイリュキンはニコリと笑う。今まで見た誰とも違う笑顔だ。
「大髭様、少しの間立ちますね」
「バフ」
「ありがとうございます」
礼を大髭様へ言ったイリュキンは、スッと立ち上がり苔巨人兵達に頭を下げる。
「はじめまして苔巨人兵の方々、私の名前は青のイリュキン、次代の水添えの第一候補です」
イリュキンの鮮やかなあいさつに、苔巨人兵達は頭を下げて返礼した。その後お互いに頭を上げるとイリュキンは、背をピンと伸ばして口を開く。
「先程ヤート君が言ったように何か良くない事が起きた時には、問題解決の第一歩としての当代水添えのお祖母様に話してもらえれば大丈夫です。また、本当に悪い偶然が重なってお祖母様の不在の場合は、私も界気化を使えて皆さんの言葉はわかるので、ぜひ私にどうぞ。水添え候補者としても私個人としても、皆さんと良い関係を築ければと思っていますので、よろしくお願いします」
苔巨人兵達はイリュキンのあいさつを聞いて立ち止まると、さっき以上に深く頭を下げこちらこそよろしくという意思を伝えていた。
今までのやり取りを見てると、大霊湖を巡っている二体の苔巨人兵達と青のみんなは、うまくやっていけそうだ。これから会いにいく大霊湖の浅瀬や湖畔に根付いてる苔巨人兵達とも同じく気の合う隣人になれたら最高だね。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
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