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異常との対面にて 詠唱完了と染まる空間
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「「「「「「…………」」」」」」
誰も何も言わなくなったし動かなくなって、ただ世界樹の杖に実っている五個の深緑色の実を見ていた。…………リザッバも何もしてこないから、始めて良いのかな?
「「「…………」」」
本当に無反応だ。……まあ、良いか。始めよう。僕が五個の実の下に両手を伸ばすと、五個の実が一人でに世界樹の杖の枝から落ちてきて僕の両掌の上に並んで浮かぶ。そして僕は世界樹の杖を背にして立ち、第一詠唱を口にした。
「世界樹の杖、循環をここに」
僕の言葉の後に五個の実の間で力のやり取りが始まる。…………あ、これは、まずいかもしれない。まさか、ほんの少しの力の循環から生まれた余波が、僕達を囲んでいるリザッバの人形の一部を消し飛ばすとは思わなかったな。……とはいえ、始めたものはしょうがないから、このまま続けよう。
「みんな、僕も全力で制御するけど、もしかしたら余波がみんなの方にもいくかもしれないから気をつけて」
「「「「「「…………」」」」」」
「……僕の声は聞こえてる?」
「ハッ‼︎ 全員、あいつの人形の相手は最低限で良い‼︎ とにかくヤートの方からの余波に全力で警戒しろ‼︎」
ラカムタさんの声を聞いて、みんなは僕の方に背を向けるのをやめた。…………なるほど、利き手側の半身を僕に向けて、逆側の半身をリザッバの人形の方に向けているから、僕の方が警戒されているってわかるね。よし、これなら何か不測の事態になっても大丈夫だろうから続けれる。
「世界樹の杖、加速をここに」
「「「サセルカーー‼︎」」」
僕が第二詠唱で五個の実の力の循環を加速させ始めると、リザッバが大量のヘドロと汚泥の塊を放ってきた。でも、強くなる余波によって塵と化し意味をなさない。…………この余波をもう少し制御できないかな?
バチンッ‼︎
「ヤート‼︎」
「ラカムタさん、ちょっと制御に失敗しただけだから僕の事は気にしないで」
「………慎重にな」
「うん」
みんなが僕の掌から流血を心配そうに見てくる。これは漏れ出る余波を五個の実の力の循環に戻そうとしたら弾かれて手の肉が裂けただけだ。まあ、制御しきれないから余波が出てくるわけで、その余波をもう一度僕の制御下にしようとしたのがダメだったね。僕らしくないからダメなものはダメと割り切ろう。第三詠唱のために呼吸を整える。
「「「ソレイジョウハ、ユルサンゾ‼︎」」」
「お前に許可される必要はないよ。世界樹の杖、励起をここに」
「「「ダマ、グハッ‼︎」」」
さらに五個の実の間で力が高まっていく中、リザッバが周りのヘドロと汚泥を取り込み巨大な戦鎚のようなものを作り出し僕に向かって振り回してきたけど純粋なる緑の加護に触れた瞬間、リザッバの戦鎚もどきが消し飛びリザッバ自身にも衝撃が返ってきたのか吹き飛んだ。…………おかしいな。純粋なる緑の加護に反射効果はなかったはずだけど? 不思議に思い純粋なる緑の加護へ界気化した魔力を慎重に放つ。
「……なるほど」
「ヤート、何が起こった⁉︎ あいつは何で吹き飛んだ⁉︎」
「純粋なる緑の加護が、今からやろうとしてる魔法の余波を受けて変質したみたい」
「……それって問題ないの?」
「うん、もともと純粋なる緑の加護は世界樹の杖が起点になっていて、同じく世界樹の杖から生まれた五個の実と相性が良いみたいだよ」
「魔法が魔法に影響を受けるとかあるんですね……」
「「「ヌグアアア‼︎ オノレ、ヨクモォォォ‼︎」
「ふー……、世界樹の杖、臨界をここに」
兄さん達の質問に答えていると、リザッバが体勢を整えて僕達の方に四足歩行で叫びながら走ってくる。僕は兄さん達との会話を止めて第四詠唱をした。
ドクンッ‼︎
……こうなるのか。僕の声は小さいけど、僕の詠唱がもたらした変化は多大だったね。まず、五個の実の間でやりとりされる力が爆発的に増え、それと同時に五個の実は一定の間隔で拍動するようになる。あと漏れ出る余波も強くなったせいか、五個の実の拍動とともにリザッバの空間そのものも揺れるようになった。
「よし、空間には影響を与えるぐらい力が高まったね」
「「「サセン‼︎ ワガクウカンハ、ダレニモコワサセヌ‼︎」」」
ドクンッ‼︎
「「「グオッ‼︎ クソガーー‼︎」」」
五個の実の拍動のたびに吹き飛ばされるリザッバは怒り狂いながら叫ぶ。すると地面のヘドロと汚泥に加えて空の赤黒い液体がリザッバにまとわりついていく。…………リザッバが巨大化した。質量でゴリ押しをして吹き飛ばされたり消し飛ばされないようにする気か。
「「「ツブス‼︎ ツブス‼︎ カナラズツブシテヤル‼︎」」」
「その判断は正しいよ。でも、もう一度言わせてもらうと本気になるのが遅かったね。緑盛魔法・純粋なる緑の大浄化」
僕が魔法を発動すると五個の実は僕の足もとに落ちて地面の中に消えた。そして次の瞬間、リザッバの空間の全ての地面が深緑色の光に染まる。お、リザッバの人形と地面のヘドロと汚泥が深緑色の光にのまれて消えたね。もちろんリザッバの足もとにも影響はあったけど、見上げると首が痛くなるような巨体だから消えたのはごくごく一部だ。
「「「ソノテイド、ナンノモンダイモナイワ‼︎‼︎」」」
リザッバは大きく跳んで僕達の真上に来た。純粋なる緑の大浄化の効果が空中にないって判断したのと、本当に言葉通りに僕達を自重で押しつぶすつもりだね。大声で叫んで暴れる割には冷静な対応ができるんだな。まあ、遅いけどね。リザッバが落下し始めた時、深緑色の光に染まっていた地面はひときわ強く発光した。そしてその光は地面から空へと伸びて、リザッバの空間全体を深緑色に染め上げる。
「「「ナッ‼︎ ギャーーーー‼︎‼︎」」」
僕達の真上に落ちてきていたリザッバには下から来る光を避ける事ができず、その巨体は光にのまれて末端から消えていく。さて、これで決着……って考えるのはダメだ。絶対に油断はしない。僕は腰の小袋から一つの種を取り出し足もとに埋めた。
「緑盛魔法……」
その日出現した天地をつなぐ巨大な深緑色の光の柱は、あらゆる人々が目にした。当然、前に起きた天を貫く緑色の光の線との関係を想像するもの達もいたが、そもそも確認のしようがなくその放出される魔力の大きさに呆然と見ている事しかないできなかった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
誰も何も言わなくなったし動かなくなって、ただ世界樹の杖に実っている五個の深緑色の実を見ていた。…………リザッバも何もしてこないから、始めて良いのかな?
「「「…………」」」
本当に無反応だ。……まあ、良いか。始めよう。僕が五個の実の下に両手を伸ばすと、五個の実が一人でに世界樹の杖の枝から落ちてきて僕の両掌の上に並んで浮かぶ。そして僕は世界樹の杖を背にして立ち、第一詠唱を口にした。
「世界樹の杖、循環をここに」
僕の言葉の後に五個の実の間で力のやり取りが始まる。…………あ、これは、まずいかもしれない。まさか、ほんの少しの力の循環から生まれた余波が、僕達を囲んでいるリザッバの人形の一部を消し飛ばすとは思わなかったな。……とはいえ、始めたものはしょうがないから、このまま続けよう。
「みんな、僕も全力で制御するけど、もしかしたら余波がみんなの方にもいくかもしれないから気をつけて」
「「「「「「…………」」」」」」
「……僕の声は聞こえてる?」
「ハッ‼︎ 全員、あいつの人形の相手は最低限で良い‼︎ とにかくヤートの方からの余波に全力で警戒しろ‼︎」
ラカムタさんの声を聞いて、みんなは僕の方に背を向けるのをやめた。…………なるほど、利き手側の半身を僕に向けて、逆側の半身をリザッバの人形の方に向けているから、僕の方が警戒されているってわかるね。よし、これなら何か不測の事態になっても大丈夫だろうから続けれる。
「世界樹の杖、加速をここに」
「「「サセルカーー‼︎」」」
僕が第二詠唱で五個の実の力の循環を加速させ始めると、リザッバが大量のヘドロと汚泥の塊を放ってきた。でも、強くなる余波によって塵と化し意味をなさない。…………この余波をもう少し制御できないかな?
バチンッ‼︎
「ヤート‼︎」
「ラカムタさん、ちょっと制御に失敗しただけだから僕の事は気にしないで」
「………慎重にな」
「うん」
みんなが僕の掌から流血を心配そうに見てくる。これは漏れ出る余波を五個の実の力の循環に戻そうとしたら弾かれて手の肉が裂けただけだ。まあ、制御しきれないから余波が出てくるわけで、その余波をもう一度僕の制御下にしようとしたのがダメだったね。僕らしくないからダメなものはダメと割り切ろう。第三詠唱のために呼吸を整える。
「「「ソレイジョウハ、ユルサンゾ‼︎」」」
「お前に許可される必要はないよ。世界樹の杖、励起をここに」
「「「ダマ、グハッ‼︎」」」
さらに五個の実の間で力が高まっていく中、リザッバが周りのヘドロと汚泥を取り込み巨大な戦鎚のようなものを作り出し僕に向かって振り回してきたけど純粋なる緑の加護に触れた瞬間、リザッバの戦鎚もどきが消し飛びリザッバ自身にも衝撃が返ってきたのか吹き飛んだ。…………おかしいな。純粋なる緑の加護に反射効果はなかったはずだけど? 不思議に思い純粋なる緑の加護へ界気化した魔力を慎重に放つ。
「……なるほど」
「ヤート、何が起こった⁉︎ あいつは何で吹き飛んだ⁉︎」
「純粋なる緑の加護が、今からやろうとしてる魔法の余波を受けて変質したみたい」
「……それって問題ないの?」
「うん、もともと純粋なる緑の加護は世界樹の杖が起点になっていて、同じく世界樹の杖から生まれた五個の実と相性が良いみたいだよ」
「魔法が魔法に影響を受けるとかあるんですね……」
「「「ヌグアアア‼︎ オノレ、ヨクモォォォ‼︎」
「ふー……、世界樹の杖、臨界をここに」
兄さん達の質問に答えていると、リザッバが体勢を整えて僕達の方に四足歩行で叫びながら走ってくる。僕は兄さん達との会話を止めて第四詠唱をした。
ドクンッ‼︎
……こうなるのか。僕の声は小さいけど、僕の詠唱がもたらした変化は多大だったね。まず、五個の実の間でやりとりされる力が爆発的に増え、それと同時に五個の実は一定の間隔で拍動するようになる。あと漏れ出る余波も強くなったせいか、五個の実の拍動とともにリザッバの空間そのものも揺れるようになった。
「よし、空間には影響を与えるぐらい力が高まったね」
「「「サセン‼︎ ワガクウカンハ、ダレニモコワサセヌ‼︎」」」
ドクンッ‼︎
「「「グオッ‼︎ クソガーー‼︎」」」
五個の実の拍動のたびに吹き飛ばされるリザッバは怒り狂いながら叫ぶ。すると地面のヘドロと汚泥に加えて空の赤黒い液体がリザッバにまとわりついていく。…………リザッバが巨大化した。質量でゴリ押しをして吹き飛ばされたり消し飛ばされないようにする気か。
「「「ツブス‼︎ ツブス‼︎ カナラズツブシテヤル‼︎」」」
「その判断は正しいよ。でも、もう一度言わせてもらうと本気になるのが遅かったね。緑盛魔法・純粋なる緑の大浄化」
僕が魔法を発動すると五個の実は僕の足もとに落ちて地面の中に消えた。そして次の瞬間、リザッバの空間の全ての地面が深緑色の光に染まる。お、リザッバの人形と地面のヘドロと汚泥が深緑色の光にのまれて消えたね。もちろんリザッバの足もとにも影響はあったけど、見上げると首が痛くなるような巨体だから消えたのはごくごく一部だ。
「「「ソノテイド、ナンノモンダイモナイワ‼︎‼︎」」」
リザッバは大きく跳んで僕達の真上に来た。純粋なる緑の大浄化の効果が空中にないって判断したのと、本当に言葉通りに僕達を自重で押しつぶすつもりだね。大声で叫んで暴れる割には冷静な対応ができるんだな。まあ、遅いけどね。リザッバが落下し始めた時、深緑色の光に染まっていた地面はひときわ強く発光した。そしてその光は地面から空へと伸びて、リザッバの空間全体を深緑色に染め上げる。
「「「ナッ‼︎ ギャーーーー‼︎‼︎」」」
僕達の真上に落ちてきていたリザッバには下から来る光を避ける事ができず、その巨体は光にのまれて末端から消えていく。さて、これで決着……って考えるのはダメだ。絶対に油断はしない。僕は腰の小袋から一つの種を取り出し足もとに埋めた。
「緑盛魔法……」
その日出現した天地をつなぐ巨大な深緑色の光の柱は、あらゆる人々が目にした。当然、前に起きた天を貫く緑色の光の線との関係を想像するもの達もいたが、そもそも確認のしようがなくその放出される魔力の大きさに呆然と見ている事しかないできなかった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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