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黒の村への帰りにて 意図せず与えた不安と帰還
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一夜明けて僕達は黄土の村を出発して新しく生まれた森の中を走っていた。ちなみに今日は僕とリンリーが破壊猪の背に乗せてもらっていて、兄さんと姉さんは鬼熊の背に乗せてもらっている。……あ、そうだ。
「リンリー、ちょっと僕の身体を支えててもらって良い?」
「…………まだ疲れが残ってるんですか?」
リンリーの言葉を、みんな聞いてたのか緊張感でピリピリしだしたので、きちんと否定しておく。
「違うよ。どうせなら帰り道沿いの植物達の状態を確認しようかなって思ってるだけだよ」
「なるほど同調や界気化に集中するというわけですね」
「そういう事。僕の身体を任せて良い?」
「大丈夫です。任せてください」
みんなの緊張感が解けリンリーも快諾してくれたから、僕は目を閉じて身体の力を抜き界気化した魔力を最大限に放つ。…………うん、どの植物達も元気だね。あ、植物達から有り余ってる魔力が送られてきた。世界樹の杖は僕の腰に巻き付いたままで杖形態じゃないから多少効率は落ちるけど、せっかくだから受け取ろう。僕は同調や界気化を保ちつつ、腰の世界樹の杖へ魔力を流し込んでいった。
……考えてみると、イーリリスさんに習って界気化を覚えた時に比べたら、魔力の複数同時制御がうまくなってきてるな。これなら今までは頭への負担が大きくてできなかった世界樹の杖へ常に魔力を蓄積してみても良いかもしれない。…………よし、世界樹の杖からも特に抵抗はないから、まずは今日一日やってみよう。
「ヤート君……」
「うん? リンリー、どうかした?」
「なんかすごく魔力が集まってますが……?」
「ああ、いざという時のために世界樹の杖へ魔力を溜めようと思ってね。辛いなら辞めるか抑えるよ?」
「そうなんですね。私は大丈夫なので気にしないでください」
「わかった。辛くなったらすぐに言って」
「わかりました」
リンリーの負担を少なくするため、送られてくる魔力の量を二割くらい減らす。さりげなくリンリーの様子を確認したら小さくホッとしていたから、これで良いはず。他のみんなの様子も特におかしいところはない。この感じで黒の村まで突き進もう。
あれから黒の村への旅路も世界樹の杖への魔力の蓄積も順調に進み大神林の目の前までやってきた。特に直前で止まる理由ないので、大神林の入ると比較的近くにいた動物や魔獣達が、いっせいに逃げていった。
「あー……、世界樹の杖に魔力を溜めすぎたかな」
「そうなのか? 俺には何も感じないぞ?」
「ラカムタさん達は僕が世界樹の杖に魔力を溜め始めた時から、いっしょだったから慣れたり感覚が麻痺してるんだよ」
「……ねえ、ヤート。それって黒のみんなは大丈夫なの?」
「逃げた動物や魔獣と同じで巨大な魔力が近づいてるって感じてると思う。ラカムタさん」
「そうだな。お前達は先に村へ戻って村長達に報告してくれ」
狩人二人がラカムタさんの指示を受けて村へと向かう。
「俺達は待機だ。ヤート、あの二人が村に到着する時はわかるよな?」
「うん、植物達に教えてもらえば良いから大丈夫だよ」
「それなら、ヤートが到着を感知するまで待機だ」
僕が村の様子を探ると、やっぱり僕達のいる方を警戒していた。遠くの状況を調べる手段がないと警戒するしかないからしょうがない。そんな事を考えていると村のみんなの対応が決まったようだ。
「ラカムタさん、村からも狩人二人が出てきたよ」
「……偵察だな」
「そうだね」
「途中で狩人達は出会しそうか?」
「両方ともまっすぐ進んでるから、どっちかが進路を変えたり隠れてやり過ごすとかしない限り対面するよ」
「わかった。ヤート、そのまま状況の確認を頼む」
「うん、任せて」
狩人達の様子を感知しながら数刻経った頃、狩人達は合流した。村から出発した狩人達は、僕達の方の狩人達にどういう事だと聞き巨大な魔力の原因が僕だと説明されると、頭を抱えた後に僕のいる方を見てため息をつく。…………その反応は何?
「ラカムタさん、狩人達が合流したよ」
「そうか、村から出てきた狩人は、どんな感じだ?」
「なんか魔力の原因が僕っていう説明をされたら頭を抱えてから、ため息をついてた」
「…………そういう事もあるかもしれないな」
ラカムタさんを始めみんなが僕から視線をそらす。…………なんか納得できない。
「ゴボン、よし、それじゃあ村に向かうぞ」
「……わかった」
僕達は再び移動して狩人達が合流したところに着く。すると村から来ていた狩人二人は、村に戻ったようだ。まあ、先に説明してくれた方が何かと都合が良いか。
そして、ようやく黒の村の門が見えてきた。すでに門の近くには黒のみんながいて僕らを出迎えてくれている。そして、その中にはサムゼンさんとヨナさんもいた。
「村長、戻ったぞ」
「うむ、ご苦労。無事に戻ってこれて何よりじゃ」
「先に言っておくが、ヤートの魔力の件に関してはわざとじゃないからな」
「それはわかっておるわ。ヤート、黒の村からもヤートの魔法は見えたし感じられたぞ」
「全力でやらないとダメな状況だったから大規模な魔法になった。カイエリキサさんやグレアソンさんのおかげで魔力の制御が上手くなったから、次はもっとうまくやる」
「できるだけ地形に影響を与えんようにな……」
「大きめの森ができるくらいだから大丈夫だよ」
「…………それを大丈夫とは言えん」
黒の村のみんなも、ラカムタさん達も、四体も、サムゼンさんとヨナさんも、全員が村長の言葉にうなずいた。……そんなに変? 別に山を壊して谷にするとかじゃないだけどな。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
「リンリー、ちょっと僕の身体を支えててもらって良い?」
「…………まだ疲れが残ってるんですか?」
リンリーの言葉を、みんな聞いてたのか緊張感でピリピリしだしたので、きちんと否定しておく。
「違うよ。どうせなら帰り道沿いの植物達の状態を確認しようかなって思ってるだけだよ」
「なるほど同調や界気化に集中するというわけですね」
「そういう事。僕の身体を任せて良い?」
「大丈夫です。任せてください」
みんなの緊張感が解けリンリーも快諾してくれたから、僕は目を閉じて身体の力を抜き界気化した魔力を最大限に放つ。…………うん、どの植物達も元気だね。あ、植物達から有り余ってる魔力が送られてきた。世界樹の杖は僕の腰に巻き付いたままで杖形態じゃないから多少効率は落ちるけど、せっかくだから受け取ろう。僕は同調や界気化を保ちつつ、腰の世界樹の杖へ魔力を流し込んでいった。
……考えてみると、イーリリスさんに習って界気化を覚えた時に比べたら、魔力の複数同時制御がうまくなってきてるな。これなら今までは頭への負担が大きくてできなかった世界樹の杖へ常に魔力を蓄積してみても良いかもしれない。…………よし、世界樹の杖からも特に抵抗はないから、まずは今日一日やってみよう。
「ヤート君……」
「うん? リンリー、どうかした?」
「なんかすごく魔力が集まってますが……?」
「ああ、いざという時のために世界樹の杖へ魔力を溜めようと思ってね。辛いなら辞めるか抑えるよ?」
「そうなんですね。私は大丈夫なので気にしないでください」
「わかった。辛くなったらすぐに言って」
「わかりました」
リンリーの負担を少なくするため、送られてくる魔力の量を二割くらい減らす。さりげなくリンリーの様子を確認したら小さくホッとしていたから、これで良いはず。他のみんなの様子も特におかしいところはない。この感じで黒の村まで突き進もう。
あれから黒の村への旅路も世界樹の杖への魔力の蓄積も順調に進み大神林の目の前までやってきた。特に直前で止まる理由ないので、大神林の入ると比較的近くにいた動物や魔獣達が、いっせいに逃げていった。
「あー……、世界樹の杖に魔力を溜めすぎたかな」
「そうなのか? 俺には何も感じないぞ?」
「ラカムタさん達は僕が世界樹の杖に魔力を溜め始めた時から、いっしょだったから慣れたり感覚が麻痺してるんだよ」
「……ねえ、ヤート。それって黒のみんなは大丈夫なの?」
「逃げた動物や魔獣と同じで巨大な魔力が近づいてるって感じてると思う。ラカムタさん」
「そうだな。お前達は先に村へ戻って村長達に報告してくれ」
狩人二人がラカムタさんの指示を受けて村へと向かう。
「俺達は待機だ。ヤート、あの二人が村に到着する時はわかるよな?」
「うん、植物達に教えてもらえば良いから大丈夫だよ」
「それなら、ヤートが到着を感知するまで待機だ」
僕が村の様子を探ると、やっぱり僕達のいる方を警戒していた。遠くの状況を調べる手段がないと警戒するしかないからしょうがない。そんな事を考えていると村のみんなの対応が決まったようだ。
「ラカムタさん、村からも狩人二人が出てきたよ」
「……偵察だな」
「そうだね」
「途中で狩人達は出会しそうか?」
「両方ともまっすぐ進んでるから、どっちかが進路を変えたり隠れてやり過ごすとかしない限り対面するよ」
「わかった。ヤート、そのまま状況の確認を頼む」
「うん、任せて」
狩人達の様子を感知しながら数刻経った頃、狩人達は合流した。村から出発した狩人達は、僕達の方の狩人達にどういう事だと聞き巨大な魔力の原因が僕だと説明されると、頭を抱えた後に僕のいる方を見てため息をつく。…………その反応は何?
「ラカムタさん、狩人達が合流したよ」
「そうか、村から出てきた狩人は、どんな感じだ?」
「なんか魔力の原因が僕っていう説明をされたら頭を抱えてから、ため息をついてた」
「…………そういう事もあるかもしれないな」
ラカムタさんを始めみんなが僕から視線をそらす。…………なんか納得できない。
「ゴボン、よし、それじゃあ村に向かうぞ」
「……わかった」
僕達は再び移動して狩人達が合流したところに着く。すると村から来ていた狩人二人は、村に戻ったようだ。まあ、先に説明してくれた方が何かと都合が良いか。
そして、ようやく黒の村の門が見えてきた。すでに門の近くには黒のみんながいて僕らを出迎えてくれている。そして、その中にはサムゼンさんとヨナさんもいた。
「村長、戻ったぞ」
「うむ、ご苦労。無事に戻ってこれて何よりじゃ」
「先に言っておくが、ヤートの魔力の件に関してはわざとじゃないからな」
「それはわかっておるわ。ヤート、黒の村からもヤートの魔法は見えたし感じられたぞ」
「全力でやらないとダメな状況だったから大規模な魔法になった。カイエリキサさんやグレアソンさんのおかげで魔力の制御が上手くなったから、次はもっとうまくやる」
「できるだけ地形に影響を与えんようにな……」
「大きめの森ができるくらいだから大丈夫だよ」
「…………それを大丈夫とは言えん」
黒の村のみんなも、ラカムタさん達も、四体も、サムゼンさんとヨナさんも、全員が村長の言葉にうなずいた。……そんなに変? 別に山を壊して谷にするとかじゃないだけどな。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
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