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大神林の奥にて 驚愕とため息
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「ギィイイイィィィ!!!!!」
硬金樹の特徴的な黒光りする幹に魔樹の顔があり、僕を憎々しげな目で見て叫んでいる。魔石――見た目は魔樹に戻ったけどややこしいから魔石って呼ぶ――に硬金樹の身体を与える事になったのは僕の判断ミスだし、ここで逃げるのもなんか違う。身体の状態を確認したらそれなりに回復してるから、やれるだけとことん戦おうと立ち上がって前を向けば、三体が僕の前に立ち魔石に対して戦闘態勢になっていた。……あれ?
「気ニ入リマセンネ」
「……ガア」
「ブオ」
「…………ギィィィイイイ」
魔石の方も完全に戦闘態勢になってる。さっきまで常に視線は僕を見てたのに、今は三体を見てた。ディグリがイラだちながらも背中越しに僕へ声をかけてくる。
「アア、コノ身ノ程知ラズヲ殲滅スルノデ下ガッテテクダサイ」
「「……」」
そう言えば鬼熊と破壊猪は初めて出会った時はケンカになった。ディグリともケンカになってる。それに王国の軍馬の黒曜馬・六足馬と大神林の外で対面した時もケンカになった。もしかして魔獣は別の魔獣と初めて出会った時は、どっちが格上かみたいなのを決めるために本能的に戦うの? そうだとしたら迷惑極まりないぞ。
「あのさ、魔石とは僕が戦ってたんだけど……」
「「「「…………」」」」
僕は完全に蚊帳の外なってる。……とりあえず下がろう。一応魔石から視線を外さないようにジリジリ下がって、うわ!! 突然ディグリが振り返り僕を抱えて跳んだ。その理由はさっきまで僕が立っていた地面から根が三本突き出していたからで、どうやら魔石は視線を三体に向けつつも、やっぱり僕を狙っていたようだ。その後もディグリに抱えられた僕を何度も狙って魔石の根が地面から突き出てくる。それにしても本能で襲いかかってくるだけかと思ってたけど、魔石はけっこう策士だな。
…………地面から突き出てくる魔石の根を避ける度に、ディグリの表情と気配が鋭くなっていく。そして何度目かわからない根を避けた時に、ディグリが右手を一瞬で鞭にして魔石を攻撃する。それを魔石は触手で防ごうとしたけど、鬼熊の魔力を溜めた前足から放たれる魔力刃と、破壊猪の鼻から放たれる魔力を込めた鼻息弾が魔石の触手を切り裂き破壊されて、ディグリの鞭が魔石の右目にくらった。ガンッという金属同士がぶつかった音と共に空気が一気に張り詰めていく。
「本当ニ気ニ入リマセンネ。コノ期ニ及ヨンデ、マダ執拗ニ狙ウトハ…………虫唾ガ走ル」
「ディグリ?」
「「…………」」
「ギィィィイイイイイイ!!!!!!!」
今度こそお互いを敵だと確信したみたいで、三体の身体から魔力が吹き上がり魔石は全身から触手を生やした。ウグゥ、抱えられて真近で魔力を放たれると弱ってる今の僕にはキツイ。
「ディグリ、魔力の圧がキツイから、せめて半分くらいにできない?」
「ア、モウシワケアリマセン」
ディグリが魔力の放出を抑えてくれたからマシになった。ただディグリが魔力の放出を弱めた代わりに鬼熊と破壊猪の魔力が増した。……あの二体の近くにいたら魔力の圧に耐えれなくて、僕は絶対吐いてたな。ディグリが離れてくれて良かった。
「ガ?」
「ブオ」
二体はうなずき合うと一瞬身体を沈めて魔石に突撃していく。魔石はすぐに触手で突き刺しにかかる。僕は二体が向かってくる触手を、避けるなり迎撃すると思ったら二体は迷う事なく突撃する。当然顔や身体に触手が突き刺さるから、僕はすぐ治療しようと魔法を準備したけど、ガキンという音と共に二体に刺さったはずの触手が弾かれたのを見て唖然とした。
「うそ……、あの触手はかなり鋭くて硬いはずなのに」
「当然デス。オフタカタト戦ッタ事ガアルノデワカリマスガ、戦闘態勢ニハイッタオフタカタニハ生半可ナ攻撃ハ通用シマセン。…………私ハ、ドウトデモデキマスガ」
「ガア!!」
「ブオ!!」
「事実ヲ言ッタダケデス」
なんで魔石が目の前にいるこの状況でケンカできるんだろ? 魔石に突進していく二体が反論してチラッとディグリを見る。けれど、特に表情が変わらないディグリを見て小さくうなると、突進の速さが上がった。……魔石との戦いが終わった後がさらに騒がしくなる気がする。
鬼熊の振り下ろしと破壊猪の突進が同時にガッと魔石に当たった音で僕は現実逃避から戻される。そんな僕の目に入ってきたのは鬼熊の爪と破壊猪の牙は魔石に刺さっただけで破壊する事できず受け止められたという驚きの光景だった。二体も魔石の硬金樹の身体の硬さに驚いて目を見開いている。そんな中、ディグリのつぶやきがポツリともれた。
「フン、情ケナイデスネ」
「いや、今の魔石の身体は硬金樹なんだからしょうがないよ。ディグリも同じ植物なら硬金樹のスゴさはわかるでしょ?」
「硬金樹ノ、スゴサハワカリマス。デスガ、私ガ言ッテイルノハ、敵ヲ下ニ見テ全力ヲ出サズ、攻撃ヲ止メラレラタ事ガ情ケナイト言ッタノデス」
「そう……なの?」
「エエ、少ナクトモ、貴方ガ苦戦シタ相手ヲ下ニ見テイル時点デ最低デスネ。…………ハァ」
ディグリが言葉を発する度に二体の身体がピクッと震える。そしてディグリがため息をすると二体の身体がふた回りくらい大きくなる。
「ガアアア!!!」
「ブオオオ!!!」
二体が叫ぶとガゴンッ!!!! って魔石の硬金樹の身体が砕かれる。硬金樹を助走なしの状態から強引に砕いた? 今度は魔石が目を見開く。
「マッタク始メカラソウスレバ良イモノヲ……」
僕は二体が魔石の身体になってる硬金樹を強引に砕いた事に驚いていたけど、ディグリは二体が破壊できる事が当たり前のようにつぶやいてる。…………二体との付き合いで言えば、僕の方が長いのにディグリの方がよくわかってるのが、なんか悔しい。
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◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
硬金樹の特徴的な黒光りする幹に魔樹の顔があり、僕を憎々しげな目で見て叫んでいる。魔石――見た目は魔樹に戻ったけどややこしいから魔石って呼ぶ――に硬金樹の身体を与える事になったのは僕の判断ミスだし、ここで逃げるのもなんか違う。身体の状態を確認したらそれなりに回復してるから、やれるだけとことん戦おうと立ち上がって前を向けば、三体が僕の前に立ち魔石に対して戦闘態勢になっていた。……あれ?
「気ニ入リマセンネ」
「……ガア」
「ブオ」
「…………ギィィィイイイ」
魔石の方も完全に戦闘態勢になってる。さっきまで常に視線は僕を見てたのに、今は三体を見てた。ディグリがイラだちながらも背中越しに僕へ声をかけてくる。
「アア、コノ身ノ程知ラズヲ殲滅スルノデ下ガッテテクダサイ」
「「……」」
そう言えば鬼熊と破壊猪は初めて出会った時はケンカになった。ディグリともケンカになってる。それに王国の軍馬の黒曜馬・六足馬と大神林の外で対面した時もケンカになった。もしかして魔獣は別の魔獣と初めて出会った時は、どっちが格上かみたいなのを決めるために本能的に戦うの? そうだとしたら迷惑極まりないぞ。
「あのさ、魔石とは僕が戦ってたんだけど……」
「「「「…………」」」」
僕は完全に蚊帳の外なってる。……とりあえず下がろう。一応魔石から視線を外さないようにジリジリ下がって、うわ!! 突然ディグリが振り返り僕を抱えて跳んだ。その理由はさっきまで僕が立っていた地面から根が三本突き出していたからで、どうやら魔石は視線を三体に向けつつも、やっぱり僕を狙っていたようだ。その後もディグリに抱えられた僕を何度も狙って魔石の根が地面から突き出てくる。それにしても本能で襲いかかってくるだけかと思ってたけど、魔石はけっこう策士だな。
…………地面から突き出てくる魔石の根を避ける度に、ディグリの表情と気配が鋭くなっていく。そして何度目かわからない根を避けた時に、ディグリが右手を一瞬で鞭にして魔石を攻撃する。それを魔石は触手で防ごうとしたけど、鬼熊の魔力を溜めた前足から放たれる魔力刃と、破壊猪の鼻から放たれる魔力を込めた鼻息弾が魔石の触手を切り裂き破壊されて、ディグリの鞭が魔石の右目にくらった。ガンッという金属同士がぶつかった音と共に空気が一気に張り詰めていく。
「本当ニ気ニ入リマセンネ。コノ期ニ及ヨンデ、マダ執拗ニ狙ウトハ…………虫唾ガ走ル」
「ディグリ?」
「「…………」」
「ギィィィイイイイイイ!!!!!!!」
今度こそお互いを敵だと確信したみたいで、三体の身体から魔力が吹き上がり魔石は全身から触手を生やした。ウグゥ、抱えられて真近で魔力を放たれると弱ってる今の僕にはキツイ。
「ディグリ、魔力の圧がキツイから、せめて半分くらいにできない?」
「ア、モウシワケアリマセン」
ディグリが魔力の放出を抑えてくれたからマシになった。ただディグリが魔力の放出を弱めた代わりに鬼熊と破壊猪の魔力が増した。……あの二体の近くにいたら魔力の圧に耐えれなくて、僕は絶対吐いてたな。ディグリが離れてくれて良かった。
「ガ?」
「ブオ」
二体はうなずき合うと一瞬身体を沈めて魔石に突撃していく。魔石はすぐに触手で突き刺しにかかる。僕は二体が向かってくる触手を、避けるなり迎撃すると思ったら二体は迷う事なく突撃する。当然顔や身体に触手が突き刺さるから、僕はすぐ治療しようと魔法を準備したけど、ガキンという音と共に二体に刺さったはずの触手が弾かれたのを見て唖然とした。
「うそ……、あの触手はかなり鋭くて硬いはずなのに」
「当然デス。オフタカタト戦ッタ事ガアルノデワカリマスガ、戦闘態勢ニハイッタオフタカタニハ生半可ナ攻撃ハ通用シマセン。…………私ハ、ドウトデモデキマスガ」
「ガア!!」
「ブオ!!」
「事実ヲ言ッタダケデス」
なんで魔石が目の前にいるこの状況でケンカできるんだろ? 魔石に突進していく二体が反論してチラッとディグリを見る。けれど、特に表情が変わらないディグリを見て小さくうなると、突進の速さが上がった。……魔石との戦いが終わった後がさらに騒がしくなる気がする。
鬼熊の振り下ろしと破壊猪の突進が同時にガッと魔石に当たった音で僕は現実逃避から戻される。そんな僕の目に入ってきたのは鬼熊の爪と破壊猪の牙は魔石に刺さっただけで破壊する事できず受け止められたという驚きの光景だった。二体も魔石の硬金樹の身体の硬さに驚いて目を見開いている。そんな中、ディグリのつぶやきがポツリともれた。
「フン、情ケナイデスネ」
「いや、今の魔石の身体は硬金樹なんだからしょうがないよ。ディグリも同じ植物なら硬金樹のスゴさはわかるでしょ?」
「硬金樹ノ、スゴサハワカリマス。デスガ、私ガ言ッテイルノハ、敵ヲ下ニ見テ全力ヲ出サズ、攻撃ヲ止メラレラタ事ガ情ケナイト言ッタノデス」
「そう……なの?」
「エエ、少ナクトモ、貴方ガ苦戦シタ相手ヲ下ニ見テイル時点デ最低デスネ。…………ハァ」
ディグリが言葉を発する度に二体の身体がピクッと震える。そしてディグリがため息をすると二体の身体がふた回りくらい大きくなる。
「ガアアア!!!」
「ブオオオ!!!」
二体が叫ぶとガゴンッ!!!! って魔石の硬金樹の身体が砕かれる。硬金樹を助走なしの状態から強引に砕いた? 今度は魔石が目を見開く。
「マッタク始メカラソウスレバ良イモノヲ……」
僕は二体が魔石の身体になってる硬金樹を強引に砕いた事に驚いていたけど、ディグリは二体が破壊できる事が当たり前のようにつぶやいてる。…………二体との付き合いで言えば、僕の方が長いのにディグリの方がよくわかってるのが、なんか悔しい。
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