いつか世界の救世主―差し伸べるは救いの手―

明月

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加減の必要性

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「あぁ。スライムの核は取っておいてね。討伐の証拠になるから!」
「……了解」


取り敢えずフェイに続いて歩き出したわけだが、生憎スライムの倒し方は知らない。
ひとまず動くのはフェイの戦い方を見てからにしよう。



――フェイの戦い方は至極単純で、剣でスライムを切り裂いている。

別にそれは良いのだが、笑顔のまま切り刻んでいる上、返り血(?)で服が赤く染まっているため、正直怖い。雰囲気的には実に近寄りたくない。

ともあれ斬撃はスライムに効果的みたいだな。このスライムに危険性は無さそうだし、攻撃方法とか色々と実験してみようか。


フェイが二匹目のスライムを倒し終わり、考え込んでいるシアに気づいた。

「あれ? シアどうしたの? 一匹も倒してないみたいだけど……」
「あぁ、ごめん。少し考え事してた」

考え込んでいても始まらないし、どうせだからフェイに質問するか。こっちは初心者だし教えてくれるだろう。情報は多いほうが良いしな。

「あー……質問したいんだがいいか?」
「うん! なんでも聞いて!」
「スライムに効かない攻撃とかってあるのか? 例えば打撃とか」
「うーん……基本的に打撃はあまり効かないかな? 斬撃の場合はコツが必要だね」

聞いた話によると、ただ叩きつけるような切り方では駄目で、切り"裂く"とか削ぎ落とす様な感覚で切るらしい。フェイ曰く何度か戦えば自ずと感覚がわかるらしい。次に、手近な石を拾い上げフェイに聞いてみる。

「なるほど。じゃあもしこの石を投げつけた場合は?」
「……無理じゃない? 先が尖ってるわけでもないし弾かれると思うよ」
「まぁ物は試しだ。それっ」

まぁまぁの力で投げつけてみたが、見事に弾かれた。
音が出るなら「ぽよん」みたいな感じだな、全く効いている様子がない。

次は魔法も併用してみようか。

「ほらね?」
「全く効いてないな……次は全力で投げてみよう」
「あはは。無理だって今ので分かっ――」
「――ふん!」




シアが全力で石を投げた瞬間森が揺れた・・・・・
一瞬の静寂の後、ガサガサと逃げるような音と鳥が飛び立つ音が響き渡る。

標的がいたはずの場所にはクレーターが出来ており、そこには何も存在していない。
文字通り"消し飛んだ"上、周囲の木々も飛び散った地面の破片やらでボロボロになっている。

やり過ぎた。そう思うと同時に冷や汗がだらだらと出てくる。


フェイがゆっくりとこっちを見るが、その顔はとても引きつっていた。

「シア……」
「何も言わないでくれ。俺もやり過ぎたと思ってる」
「う、うん……見なかったことにしよう」

その後は至って単純だ。魔法が効果的と教えてもらったため、片っ端から"魔弾"で片付けていった。その時も若干引かれていたのは気のせいだろう。きっとな。


結局フェイが5匹、俺が6匹ほど狩った。核は取り敢えずバックに突っ込んでおいて、俺達は帰路につく。服は魔法の『ウォーター』で洗った後『エア』を使って乾かした。これも『魔法の基礎』の本に書いてあったものだ。


暫く談笑しながら歩いているとレスクが見えてくる。以前と同様に門番へ身分証を見せたが、フェイ曰くギルドカードでも大丈夫らしいし、次からはギルドカードを提示するとしよう。

そのままギルドへ向かい、依頼達成を報告する。
報酬は銅貨2枚(2000円相当)だった。これで買い物もできるな。

ギルドから出るとフェイが話しかけてくる。


「お疲れ様! シアはこれからどうする?」
「なんかもう疲れたから家に帰るよ」
「そうか。それじゃあまた一緒に依頼受けようね!」

そう言うとフェイは手を振りながら何処かへと去っていった。


……俺もそろそろ帰ろう。なんだかとても疲れた。
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