╂AVALON-ROAD╂【地の章】

ガンガルガン

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第11幕【霞の里:隠密裏】

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「エステリオスさんよ。ここでお別れだ」
「色々ありがとう」

「もし村人に会えたら、この手紙を見せるんだぜ」

「すまんな」

手紙を受け取り懐に入れた

2人は別れを惜しみ、肩を抱き合いながらお互いのいく末を祈った


ブライドは今来た道を帰って行く

感謝しつくせない思いで、俺も背を向け歩き出した

 
 
 
 
 


―山道―

半日程歩き、道らしき道に出る道脇には甲冑艸(カッチュウソウ)が植えられており、奥へと進むと魔物が串刺しのまま木にぶら下げられていた

これは明らかに、これ以上進むな!という警告だ!!

俺は慎重に踏み入る

すると1人の女の子が草むらから飛び出した

「なんの用でここに来たのかニャ?」

「君は村の者か?」
「そうニャ」

俺は懐に手を入れる

その瞬間、周りから弓を引く人々が一斉に木々の間から姿を見せた

周りを気にしながら、ゆっくりと手紙を取り出す

女の子が右手を上げると、人々は弦をゆるめた

その手紙を受け取り
「ふむふむ…あっ!ブライドさんからニャ!
この人は敵ではないニャ」


お~

その言葉を聞いたとたん、人々は集まってきた

「待てぃ!」
人混みの奥から声がする

声の主は人をかき分け姿を見せた

身の丈は俺よりも高く、短くかりあげた髪は『金髪』で筋肉質の女だ
『肩から腕にかけて刺青を施している』
腰には片刃の長剣を2本差しており、剣技においては絶対的な自信を持っているということか‥


「ブライドからの手紙だとぉ?信じられん。
こんなのはいくらでも作れるわ」

「それは間違いなくブライドさんの字ニャ
匂いも間違いないニャ」

チッと声を漏らす

マジマジ俺を見ながら
「ほ~、いっちょ前に二本差しか‥
その実力見せて貰おう!オレを倒せば村にいれようぞ」
その女は剣を抜くが俺は首を振った

「何だとぉ!
キサマの剣はただの飾りか!え~い問答無用!」

◆ブアッ!
抜くと同時に左肩から振り抜いた

俺は右に跳びそれをかわす

女は右手に持ち替え腕をひねると剣先をクンと上げそのまま腰を落とす

なに!?その構えは!

◆ガキン!
俺はとっさに右手で抜いた剣で受け止め
左手で抜いた剣を自分の喉元にまわした

女の左手の剣先は喉元の手前で止まっている

「凄いニャ!トリスさんとまともに戦える人がいるニャ」
女の子は小踊りしながら喜んでいる


女の口が開いた
「何故わかった?」

「その太刀筋だ。右手を低く構えひねらせる…これは飛鳥(ヒチョウ)の構え…
おそらくおたくは双刀使い。流派は違えど、俺も双剣マイスターだ」



「なる程…」
女は剣を収めた


「改めて迎えいれよう」


その一言で歓喜が湧いた




―霞みの里―


「では案内するニャ。うちはシャム、よろしくニャ」
シュリシアよりは年は上だが、背が小さいゆえに幼く見える

「あぁ、こちらこそよろしく。俺の名はエステリオスだ」

「ここは外部からの受け入れはしないから、ブライドさん以外の人と話すのは初めてニャ」
シャムは後ろに手を回し、少し恥ずかしそうだ

「エステリオスさんは、ブライドさんからこの里の秘密は聞いたのかニャ?」
「秘密?いいや聞いてないよ。何だいそれって」

「ニャハハハ。夜になると分かるニャ」
シャムに連れられ、橋を渡り向かった先に屋敷がある
それは大きな屋敷で造りも立派だ

庭も美しく刈り込まれ、石畳の通し路にはチリひとつも落ちてはいない。洗練された調和は見事に自然と重なり合い、この屋敷の主のセンスが伺える

その門をくぐった


「この部屋を使うといいニャ」

通された部屋は綺麗に片付けられており、放浪に身をゆだねてきた俺にとっては勿体ないほどだ

「ここを自由に使ってニャ。ご飯の用意が出来たら呼びに来るニャ」

「あっ!そうそう、言い忘れてたけど、ここはトリスさんの屋敷ニャ」

「トリス?って、あのデカい女…?」

ニャハハハ
シャムは笑った

「トリスさんはいい人ニャ。ちょっと口が悪いから誤解されやすいだけニャ」

「また呼びにくるまでゆっくりしててニャ」


俺は甲冑を外し椅子に座る
目を閉じ過去を振り返る…

すぅー…‥

安堵からか、そのまま寝てしまった


―その夜―


「…」
◆コンコン

「‥エステリオスさん?」
ドアの向こうから声がした

はっとして慌てて目を覚ます
部屋はもう真っ暗になっていた


ガチャ
「ごめん、寝てしまったようだ」

ん!?
確かにシャムの声がしたのに誰もいない
ただ足元にいる白い猫を除いて…

「!?まさか…」

俺は猫をみた

「そのまさかニャ。ここは獣の里、日が昇れば人へ、沈めば獣になるニャ」

シャムはにっこり微笑んだ

「こっちニャ。もうお腹ペコペコニャ~」

シャムは尻尾を振りながら歩き出した



―居間―

ある部屋に行くと、豪華な料理が卓上を飾る

「失礼する」
「お~入れ」
トリスの声がした


俺は席についた
しかしトリスの姿が見当たらない

シャムはニヤニヤしている

「ト リ スさん?」
俺は周りを見渡しながら言った

「オレはここだ!」

所狭しと並べられた料理の隙間に、手のひらに乗るぐらいの小鳥がいた

「まさか!?トリスって…トリス・クラウン?」
〈トリス・クラウンとは『黄色い』鳥で、羽根の部分に『青い模様』がある
昔、平和な国のある王様がふと冠を見ると黄色い鳥が巣を作っていた
王様は「このように平和な時代が続けばよいな」と漏らした童話に平和の象徴として登場する鳥である
因みに[冠に巣を作る]ということわざはここからきている〉


「貴様ぁ~!今バカにしたな!!剣を抜け!剣をっ!」
トリスは羽ばたきながらくちばしで頭をつつく

「ゴメン、ゴメン。馬鹿にしてないよ。もう二度と言わないよ、トリスさん」

俺は手で覆いながら逃げ回る

シャムはニタニタしながらその様子を面白がっていた

「トリスさん、何か嬉しそうニャ」

「べ、別に嬉しくなんかないわ。コイツが俺をバカにするからだ」


ふんっとトリスはパタパタしながら席についた


「じゃあ飯にしよう」

トリスは起用に小さな足を使いながら食べている


その様子をじっとみている俺がいる

目が合いそうになり、慌てて目をそらした
昼間のギャップがありすぎて、どうしても吹き出しそうだ

ギロッ
トリスは睨みつけた


俺は話をそらすために聞いてみた

「トリスさん、腕の刺青に何か意味があるのかい?」

「刺青?
ああ、これか‥」
トリスは羽根を広げた

「これは刺青じゃない。羽根の模様がそのまま残るだけだ。
ただの遺伝、気にするな」

トリスは上目使いに見たあと、また食べ始めた

「‥」

「…」

「…‥」

クチャクチャと口にほおばる沈黙が続いた後、それに耐えきれずエステリオスはまた尋ねた

「ブライドさんとはどういう経緯で?」

「ブライドはランブルスネークに噛まれ、瀕死の状態だったシャムを助けてくれた恩人だ。それに彼は行商人、外部と絶っているため色々と都合がいいのだ」

トリスは甘く煮込んだ豆をついばみ美味そうに飲み込む

「そうニャ。ブライドさん恩人ニャ!」
口にジャガイモを頬張りながら嬉しそうに言った

「実は‥俺も助けてもらった。
俺の恩人でもある」


「そうか…」
トリスはうなずいた



「してエステリオスは何用にこの里によったのだ?」

「俺には使命がある…この世に現れた闇を打ち砕かなくてはならない。
愛する人達を護るためにも、強くならねばならないんだ。この里へ来ることは自分自身の運命だとおもっている。そのためにはトリスさん、もっと俺を鍛えてくれ」

「よし!その心意気は気に入った!明日からビシビシいくぞ!今夜は大いに呑もうぞ」
「シャムも手伝うニャ」

「シャム!」
トリスは合図した

「はいニャ!
トリスさん、エステリオスさんのこと気に入ったみたいニャ」

シャムは酒を継ぎ、3人の前に置いた

★「誓いの杯だ。俺達の未来の為に」
★「未来の為に」
★「未来の為ニャ」

一気に呑み干し、床に投げ割った

「ニ゙ャ~、やっぱりニガいニャ」

((わっはっはっは))


3人は誓いの杯を交わし、夜は更けていった





 
 
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